132 / 138

チートが災いしてキチガイ認定される

しおりを挟む
『早急に狂戦士(バーサーカー)を発見しなくてはならない!
どうか君達にも協力して欲しいんだ。
この世界を守るために!』


翌朝、目を覚ました俺は集まった群衆に真摯に呼び掛ける。
が、極めて反応が薄い。


さては昨日の四天王自刎事件をまだ引き摺っているのか…
おいおい。
相手側がクレームを入れてくるまでは、こちらからどうこう言う問題でもないだろう。
そもそも、俺は被害者だぞ?
一方的に粘着されて、裁判紛いの扱いを受けた。
寧ろ、オーク側から俺に詫びを入れに来る場面ではないか?
いや、俺はそんなに怒って無いけどね。
ただ、アイツらに色々思惑を潰されたのが大打撃だっただけでさぁ。



「あのさあ、チート。」


『何だいヴェギータ。』


「狂戦士(バーサーカー)なら昨日見つかったじゃない?」


『おいおいw
あれは誤作動だよw』


「いや、でも…
あんなデカい声で…
チートが狂戦士(バーサーカー)だって…
診断されてたじゃないか。
その所為で四天王が切腹しちゃったんだしさ。」


『あれは誤作動だよ。』


「誤作動なの?」


『だって、ゲートが出現してないもん。』


「ああ、光に包まれた扉が出現するんだったね。」


『それに俺、全然キチガイじゃないし。』


「ん?」


『いや、そこで言葉に詰まるなよ。

ねえ、そうですよね!
ギャラリーの皆さん!
俺が狂戦士(バーサーカー)だなんて笑っちゃいますよねwww』


だってそうだろ?
ここまで読み進めてくれた君なら理解してくれる筈だ。
この世に俺ほど理性的な人間は居ないし、その俺が狂戦士(バーサーカー)な筈がないよな?

何故か群衆が目を逸らすのだが…
まあいいだろう。
愚民如きに英雄の在り方なんぞ理解される訳ないのだ。



『なあ、ギーガーからも何とか言ってやってくれよw
同じ釜の飯を食った君なら解るだろ?
俺のどこがキチガイなんだってなあww

オークの連中がどうして俺の能力を誤解しているか理解出来なかったんだけどさw
ポンコツの診断機を使ってるから、間違えちゃったんだろうよw』



「…チート。
ここから先は水掛け論になっちゃうからさ。
スキル診断してみない?」


『えー?
必要ないだろw
昨日、診断したしww』


「でも、その診断は間違いなんでしょ?
君に言わせればさあ。」


『まあ、ね。』


「じゃあ、折角リザード側の神像もあるんだし。
そっちでやってみない?」


『昨日は有耶無耶になったんだけど。
俺のスキルは【心を読む】ことだよ?
皆の前でそれが晒されるのって、結構キツいっていうか…』


「チートの言い分は解らないでもないけど。
でも、それじゃあ皆納得出来ないよ。
大体君、オークの神像からは狂戦士(バーサーカー)って診断されたじゃないか。
心なんか読まれるよりも、そっちの方が遥かに反社会的だと思うけどね。」



そうなんだよな。
俺のスキルは【心を読む】という、極めて知的に洗練された文明的なスキルだ。
それをまるで低能な蛮族が持ってそうな、キチガイスキルの持ち主か何かと誤解されるのは癪だな。
日本人全体の名誉に関わる問題だ。


『ちっ!
わかったよ!
はいはい、俺の負けでいーですよ
はいはい、やればいいんでしょやればさー!

皆ー。
昨日、オーク達に有耶無耶にされちゃったけど。

俺の能力は【心を読む】ことだー。

まあ、察してる方も多かったと思う。

だってそうだろ?
これまで何千年も不可能だった種族間意思疎通がさあ。
俺がチョチョイと動いただけで、一夜にして成ってしまったんだぜ?
勘のいい連中はとっくに気付いてたんだろうけどさ。

ここに集まってくれたのは、各省庁のエリートばかりだ。
恐らく、職場では俺の能力の予想は立っていたと思う。

そう!
この伊勢海地人が持つ超絶異能!
【心を読む】スキルをね!!』



愚かにも群衆は俺から目を逸らしたまま、ウンともスンとも言わない。
オイオイオイ。
こっちは袋叩きにされる覚悟でカミングアウトしてるんだぜ?
もうちょっとリアクション寄越せよ。
またく、愚民というのは度し難い生き物だ。



『じゃあ、ヴェギータ。
俺が皆からボコられ始めたら、ちゃんと助けてくれよ?

俺が【心を読む】スキルを悪用しなかった事は
近くに居た君が一番知ってる筈だよな!?』


「…そ、そうだね。」


『はい。
それじゃあ、伊勢海地人。
リザード神像の診断を以て罪の告白をしまーす!』



俺はリザード神像の水晶に触れる。
リザード語は今や世界共通語だからなぁ…
オーク語表記の診断と以上に言い逃れ出来ない出来ないよなぁ。



『みんなーーーーーッ!!!!
ごめーーーーーんッ!!!!!

このスキルこそがッ!!!
俺の正体でーーーーーーーーーーす!!!!』



《診断結果が出ました。》



うむ、流石文明種族たるリザード種族の神像だ。
声色に品があるねえ。
あれだよ、君ぃ。
これからはリザード学をもっと真摯に学ばなきゃいかんぞー。



《貴方のスキルは。》



やれやれ。
俺の【心を読む】というスキルも、遂に白日の下に晒される日が来てしまったか…
(この月世界に太陽は存在しないんだけどね。)

あーあ、こりゃあ世界の敵になっちまうなー。
かーッ、辛ぇw
かーッ、鬱になるわぁw
かーッ、俺のミラクルチートがバレちまったわww




《狂戦士(バーサーカー)です。》



ん?
今、何て?
リザード語で【心を読む】ことを《バーサーカー》と表記するのか?
ん?
ん?
今、押し間違えた?
こっちかな?



《狂戦士(バーサーカー)です。》



ん?
この機械、壊れてる?
配線の調子が悪い?

あ、そうか。
リザードの腕力を想定した機械だから、もっと強めに押さなきゃ駄目なんだ。

よーし、体重掛けて…
えい!



《狂戦士(バーサーカー)です。》



ん? ん? ん?



『大変だ、ヴェギータ。
この神像壊れてるぞ?
やっぱり移動させたのが悪かったのかな?』



《狂戦士(バーサーカー)です。》



「…。」



『あれ?
どうした?

あ、そうか。
君達の神像を壊しちゃったのを怒ってるんだな?

勿論、修理代は可能な限り支払うよ。
俺は技術者の知り合いが多いんだ!』




《狂戦士(バーサーカー)です。》



「…。」



『おいおい!
どうした諸君!!

確かに故障させたのは申し訳なく思ってるよ!
ワザとじゃないんだ。
中々場所が確保出来なくてさー。

ちょww
おいおいおいw
みんなー、何かリアクションしてくれよー。

何も言ってくれないなら【心を読んじゃう】ぞーーww

なーんつってwww』



《狂戦士(バーサーカー)です。》




…。



《狂戦士(バーサーカー)です。》




『…けんな。

っざけんなぁ!!!!
この機械が故障してるって言ってんだよーーーー!!!

はぁーーー。  はぁーーー。 


俺はぁッ!!
この世界の為に1人で戦ってきた!!!
何の見返りも欲っせずにだ!!

オマエラも知ってるだろう!!!!
知ってるよなぁ!!!

それまで意思疎通の可能性すら想像されてなかった世界で、だ!
俺がぁ!!
俺がぁ!!
俺が全種族会議を作ったぁ!!!

この俺の【心を読む】能力でだ!!!
俺はオマエラの心が読める!!
自動翻訳機能付きでなあ!!

本だって読めるぞ!!
古文書や論文だって、この能力で解読してきた!!!

【心を読む】能力を応用してだ!!!


悪用しようと思えば幾らでも悪用出来た!!!
でも、俺そんなことしたか!?
全部自腹だぞ!!!!
俺、全部自腹切ってやってるんだぞ!!!!

なあ!!
オマエラ、それは知ってるよなァ!!!!!

おい!!!
何とか言えよ!!!

その目は何だ!!!
オマエラぁ!!!

おい!!!
揃いも揃ってその表情やめろおお!!!

俺は正気だよ!!!!
誰よりも正気だよ!!!
理性によって世界を正してきた!!!

志ッ!!!
確固たる理性に基づいた志があるからだ!!!

オマエラ、その目で俺を見るんじゃねーよッ!!!!

何だその目はぁ!!!!

俺がどれだけオマエラの為に動いてきてやったと思ってる!!!!

まさか、オマエラ…
俺の事をずっとそんな風に見てたのか!?

いやいや、まさかだよなあ!!!
まさかだよなあああ!!!!!

この俺をそんな風に見るなんてッ!!
正気かーーーーー、テメーらああ!!!!!


俺はキチガイじゃない!!!!!
俺はキチガイじゃない!!!!!
俺はキチガイじゃない!!!!!

誰かこの雑音止めろォーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!』





《狂戦士(バーサーカー)です。》
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。 【あらすじ】   異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。  それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。  家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。  十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。   だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。  最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。  この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。  そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。  そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。  旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。 ☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。 ☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...