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第一章 MP強化編
第2話 ゼロス
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「ミノタウロス!!!」
敵の圧が減って来て緩んでいた俺達の耳に怒号が響く。
俺達の場所じゃない。どこかが突破されたようだ。
見てわかる牛頭の巨人だ。巨大な両刃のバトルアクスを振り回し、投げ飛ばしては再召喚している。あの武器も召喚魔法か。
「ヤバいな。シコル。アレを落とすぞ。付いて来られるか」
「問題ないぜ。それより俺達で落とせるのか?」
「まずはヘイトだ。そこから重火器の召喚で仕留められる。・・・だが随伴魔物が多いな。反対側に誘導は難しい。囲まれないように火力支援するぞ」
「オーケー。ならこいつだな」
俺はリボルバーグレネードランチャーを呼び出すとそのマガジンに近接信管を付与する。
「近接信管グレネード撃つぞ!!!」
ミノタウロスの周りにスポポーンと撃ち込んでいく。効果は覿面だがMP消費が激しいな。リロードも一発ごとで長い。使うなら適時タクティカルリロードだな。
俺はリボルバーグレネードランチャーを捨てると背中に回したアサルトライフルを手にこちらにやってきたゴブリンやオークを片付ける。
「いい判断だなシコル。前世は何をやってたんだ?」
「ゲーマーだ。それ以上も以下もない。ゼロスは軍人か?」
「俺は・・・。一般人だな。全てここで覚えた」
「お互い脛に疵持ちだ。前世の話は無しだ。そもそも憶えてないしな」
「悪い。たんに気になっただけだ。動きが良すぎたからな。だいたい新人は武器も出せずに死んでいくからな。自分は死なないと思ってる奴が多くて困る」
「それは異世界転生を選ばれた人間だと思ってる奴が多いからだな。実際はただの肥溜めだ。本当にその世界に必要とされるなら異世界送りはないだろう」
それを聞いたゼロスは不機嫌そうに鼻を鳴らした。
「・・・女体でシコル・ギウス先生は言う事が違うな」
「同類がなに言ってやがる。望んでここに来たんだろう?」
「正論パンチはやめろ。後ろから突っ込むぞ」
「本当は俺のことが掘りたくて仕方ないんだろう? むっつりゼロス先生は」
「お前な。俺はEDだ。こっちにきても治らなかった。むっつりじゃねぇ」
「なんだ? 手伝ってやろうか?」
「本当ならお前を見捨てたかったんだ。だがお前は中身が女じゃないからな。次に同じことを言ったら鉛弾をブチ込むぞ」
「なんだ女嫌いか。安心したぜ。親切すぎるのに下心がないから何かと思ったぜ」
「お前が使えると思ったからだ。俺の親切を信じられないようではここでは生き残れないぞ」
「いやどう見ても初心者狙いムーブだろ。他の仲間はどうした」
「堅苦しいんだとさ。俺が居るとな。だがそいつらはみんな死んだ。死なない奴を探すのは当然だろう」
「なんだゼロス先生。俺の事が欲しくて仕方がないんじゃないか。しょうがないな。付き合ってやるよ。その代わり色々教えてくれよな」
「ああ。そうしろ。取り合えず死ぬな。裏切るな。それなら協力してやる」
「決まりだな。ミノタウロスも片付きそうだ。後は掃討戦だな」
「オーガー!!!」
その怒声に視線を向けると金棒を持った赤い巨人が居る。動きが早い。さっきのミノタウロスが中距離遠投タイプだとしたら、オーガは完全に近接攻撃タイプ。動きが止まらない。いや止められないというのが正しいか。
「不味いな。あれは弾速が遅い武器は当たらんぞ。接近する。直射で削るしかない。付いて来られるか? シコル」
「任せろ。カバーでいいな?」
「ああ。随伴の方を頼む」
ーーー
俺達は城壁から降りて屋根の上を走っている。それでも地上を走るオーガを追い駆けるのがやっとだ。
「本当に止まらねぇなアレは」
「ああ。あの早さじゃロケットは当たらんだろう。直射にしても有効打はねぇ。削って落とすしかねぇのが現状だ」
直射ねぇ・・・。
俺は思いつくままに単発式グレネードランチャーを召喚するとそこに付与をかける。
「徹甲榴弾化!」
片手で持っていた単発式グレランが予想を超える重さで思わず落としそうになる。
「おいおい。なんだそれは。また誰かがヤバいもの作ってやがるな。捨てちまえ。絶対撃つなよ」
あまりの重さに俺はアサルトを背に回して単発式グレランを両手持ちする。これは撃ったらとんでもない事になりそうな予感がひしひしと伝わってくる。そのぐらいの重さだ。
「ワイヤー」
俺は駄目もとで召喚してみたがどうやら可能なようだ。そいつを単発式グレランに巻き付けるとそれとは別にトリガーにもワイヤーを掛ける。
「ゼロス。こいつを投げつけてドカーンだ。援護してくれ」
「マジかよ。シコリ・スギル先生。文字通りの砲弾投げじゃねぇか。だったら俺がミニガンを出す。オーガが食い付いたら顔面にお見舞いしてやれ」
屋根から降りて大通りでミニガンを召喚するゼロス。その轟音と弾幕につられたオーガがゼロスを狙う。
ここだ。俺は砲丸投げの要領で単発式グレランを投げ飛ばすとするすると伸びていくワイヤーを手に機を見計らう。単発式グレランがオーガの顔面と直線になった時に俺はワイヤーを引く。
それはそれは凄まじい光景が広がった。ラッパ上に広がったグレランの砲身。銃床はバラバラだ。だがその砲弾はオーガの顔面を捉え突き刺さる。それが大爆発を起こした。
「やるじゃねぇか。シコル・ギウス。だがまだだ。このままミニガンで削る。援護してくれ」
「オーケー。けどだいぶ集まってきたな」
俺はアサルトに持ち替えてやってきた連中を撃っているが数に押し負けそうだ。
「だったらオートショットガンのタクティカルリロードだ。ジャムったら捨てろ。召喚できるのは常に新品だが、もとから問題のある銃器はどうにもならん」
なるほどな。俺はアサルトを背に回すとドラム式オートショットガンを召喚して二丁持ちする。柔らかいゴブリンはこれで落とせるな。鉄鎧のオークも動きは止まる。有効打ではないが削れている。
俺は左手の方をアサルトに持ち替えるとスリングで繋ぐ。リロードは左手でリリースボタンを押し、スリングで垂れ下がらせた後、召喚したマガジンで本体を持ち上げ射撃姿勢に戻る。実銃ならあまり褒められたものではないが常に新品が使えるならありだろう。
そうこうするうちに敵が片付き始めた。オーガもようやく倒れた。頭を破壊されてミニガンの猛攻を受けても即死しないのか。
「ようやく片付き始めたな。初戦はどうだ? シコル」
ゼロスはミニガンを片付けていつものアサルトライフルに戻っている。
「まあまあだな。それよりもはやくシコリてぇ」
「ブレないな。そのツラならここの生活は最適解だ。ようこそ地獄の監視惑星ファンタジーへ。歓迎するぜ。シコル・ギウス。転生なんて口実だ。ここでは延々晒し物の笑い者だ。精々食いつぶされないようにするんだな」
「そうだろうな。天国にはいけねぇと思ったよ。まあこれからベッドで天国だけどな」
「お前、本当に女体でシコル為にここに来たのか。それならここも天国かもな」
そうだとも。さてここからめくるめく女体の探索へゴーだ。
▽
Tips
スリングやワイヤーが出てくるのは手から離れた銃器は消滅するため。
繋いでいれば消滅しない。
敵の圧が減って来て緩んでいた俺達の耳に怒号が響く。
俺達の場所じゃない。どこかが突破されたようだ。
見てわかる牛頭の巨人だ。巨大な両刃のバトルアクスを振り回し、投げ飛ばしては再召喚している。あの武器も召喚魔法か。
「ヤバいな。シコル。アレを落とすぞ。付いて来られるか」
「問題ないぜ。それより俺達で落とせるのか?」
「まずはヘイトだ。そこから重火器の召喚で仕留められる。・・・だが随伴魔物が多いな。反対側に誘導は難しい。囲まれないように火力支援するぞ」
「オーケー。ならこいつだな」
俺はリボルバーグレネードランチャーを呼び出すとそのマガジンに近接信管を付与する。
「近接信管グレネード撃つぞ!!!」
ミノタウロスの周りにスポポーンと撃ち込んでいく。効果は覿面だがMP消費が激しいな。リロードも一発ごとで長い。使うなら適時タクティカルリロードだな。
俺はリボルバーグレネードランチャーを捨てると背中に回したアサルトライフルを手にこちらにやってきたゴブリンやオークを片付ける。
「いい判断だなシコル。前世は何をやってたんだ?」
「ゲーマーだ。それ以上も以下もない。ゼロスは軍人か?」
「俺は・・・。一般人だな。全てここで覚えた」
「お互い脛に疵持ちだ。前世の話は無しだ。そもそも憶えてないしな」
「悪い。たんに気になっただけだ。動きが良すぎたからな。だいたい新人は武器も出せずに死んでいくからな。自分は死なないと思ってる奴が多くて困る」
「それは異世界転生を選ばれた人間だと思ってる奴が多いからだな。実際はただの肥溜めだ。本当にその世界に必要とされるなら異世界送りはないだろう」
それを聞いたゼロスは不機嫌そうに鼻を鳴らした。
「・・・女体でシコル・ギウス先生は言う事が違うな」
「同類がなに言ってやがる。望んでここに来たんだろう?」
「正論パンチはやめろ。後ろから突っ込むぞ」
「本当は俺のことが掘りたくて仕方ないんだろう? むっつりゼロス先生は」
「お前な。俺はEDだ。こっちにきても治らなかった。むっつりじゃねぇ」
「なんだ? 手伝ってやろうか?」
「本当ならお前を見捨てたかったんだ。だがお前は中身が女じゃないからな。次に同じことを言ったら鉛弾をブチ込むぞ」
「なんだ女嫌いか。安心したぜ。親切すぎるのに下心がないから何かと思ったぜ」
「お前が使えると思ったからだ。俺の親切を信じられないようではここでは生き残れないぞ」
「いやどう見ても初心者狙いムーブだろ。他の仲間はどうした」
「堅苦しいんだとさ。俺が居るとな。だがそいつらはみんな死んだ。死なない奴を探すのは当然だろう」
「なんだゼロス先生。俺の事が欲しくて仕方がないんじゃないか。しょうがないな。付き合ってやるよ。その代わり色々教えてくれよな」
「ああ。そうしろ。取り合えず死ぬな。裏切るな。それなら協力してやる」
「決まりだな。ミノタウロスも片付きそうだ。後は掃討戦だな」
「オーガー!!!」
その怒声に視線を向けると金棒を持った赤い巨人が居る。動きが早い。さっきのミノタウロスが中距離遠投タイプだとしたら、オーガは完全に近接攻撃タイプ。動きが止まらない。いや止められないというのが正しいか。
「不味いな。あれは弾速が遅い武器は当たらんぞ。接近する。直射で削るしかない。付いて来られるか? シコル」
「任せろ。カバーでいいな?」
「ああ。随伴の方を頼む」
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俺達は城壁から降りて屋根の上を走っている。それでも地上を走るオーガを追い駆けるのがやっとだ。
「本当に止まらねぇなアレは」
「ああ。あの早さじゃロケットは当たらんだろう。直射にしても有効打はねぇ。削って落とすしかねぇのが現状だ」
直射ねぇ・・・。
俺は思いつくままに単発式グレネードランチャーを召喚するとそこに付与をかける。
「徹甲榴弾化!」
片手で持っていた単発式グレランが予想を超える重さで思わず落としそうになる。
「おいおい。なんだそれは。また誰かがヤバいもの作ってやがるな。捨てちまえ。絶対撃つなよ」
あまりの重さに俺はアサルトを背に回して単発式グレランを両手持ちする。これは撃ったらとんでもない事になりそうな予感がひしひしと伝わってくる。そのぐらいの重さだ。
「ワイヤー」
俺は駄目もとで召喚してみたがどうやら可能なようだ。そいつを単発式グレランに巻き付けるとそれとは別にトリガーにもワイヤーを掛ける。
「ゼロス。こいつを投げつけてドカーンだ。援護してくれ」
「マジかよ。シコリ・スギル先生。文字通りの砲弾投げじゃねぇか。だったら俺がミニガンを出す。オーガが食い付いたら顔面にお見舞いしてやれ」
屋根から降りて大通りでミニガンを召喚するゼロス。その轟音と弾幕につられたオーガがゼロスを狙う。
ここだ。俺は砲丸投げの要領で単発式グレランを投げ飛ばすとするすると伸びていくワイヤーを手に機を見計らう。単発式グレランがオーガの顔面と直線になった時に俺はワイヤーを引く。
それはそれは凄まじい光景が広がった。ラッパ上に広がったグレランの砲身。銃床はバラバラだ。だがその砲弾はオーガの顔面を捉え突き刺さる。それが大爆発を起こした。
「やるじゃねぇか。シコル・ギウス。だがまだだ。このままミニガンで削る。援護してくれ」
「オーケー。けどだいぶ集まってきたな」
俺はアサルトに持ち替えてやってきた連中を撃っているが数に押し負けそうだ。
「だったらオートショットガンのタクティカルリロードだ。ジャムったら捨てろ。召喚できるのは常に新品だが、もとから問題のある銃器はどうにもならん」
なるほどな。俺はアサルトを背に回すとドラム式オートショットガンを召喚して二丁持ちする。柔らかいゴブリンはこれで落とせるな。鉄鎧のオークも動きは止まる。有効打ではないが削れている。
俺は左手の方をアサルトに持ち替えるとスリングで繋ぐ。リロードは左手でリリースボタンを押し、スリングで垂れ下がらせた後、召喚したマガジンで本体を持ち上げ射撃姿勢に戻る。実銃ならあまり褒められたものではないが常に新品が使えるならありだろう。
そうこうするうちに敵が片付き始めた。オーガもようやく倒れた。頭を破壊されてミニガンの猛攻を受けても即死しないのか。
「ようやく片付き始めたな。初戦はどうだ? シコル」
ゼロスはミニガンを片付けていつものアサルトライフルに戻っている。
「まあまあだな。それよりもはやくシコリてぇ」
「ブレないな。そのツラならここの生活は最適解だ。ようこそ地獄の監視惑星ファンタジーへ。歓迎するぜ。シコル・ギウス。転生なんて口実だ。ここでは延々晒し物の笑い者だ。精々食いつぶされないようにするんだな」
「そうだろうな。天国にはいけねぇと思ったよ。まあこれからベッドで天国だけどな」
「お前、本当に女体でシコル為にここに来たのか。それならここも天国かもな」
そうだとも。さてここからめくるめく女体の探索へゴーだ。
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スリングやワイヤーが出てくるのは手から離れた銃器は消滅するため。
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