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第一章 MP強化編
第3話 形態進化
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今はオーガを倒した後、城壁の上だ。
「シコル。ここでは一日三回お祈りで食料と水の配給が受けられる。使ってみるか?」
「は? お祈りで食事が出るのかよ」
「まあ、見てろ。祈りの言葉は何でもいい。手を組み合わせて跪け。我らが父よ。その信徒に導きを与えたまえ」
ゼロスが言葉通り跪いて手を組み合わせる。するとその前に明かりが灯りそこにゼロスが手を入れると白い柔らかそうなパンと水の入ったコップが出てくる。
「おお!? なんの手品だよ!?」
「神からの支給品だ。騙されたと思ってやってみろ」
ほうほう。俺も同じように跪いて手を組む。
「南無阿弥陀仏!」
おお!? 俺の前に光が出てくる。恐る恐る手を入れると柔らかなパンの感触とヒンヤリと冷たいガラスのコップの感触がある。それを掴むと光は消えた。
「シコル。お前お経て。念仏で出て来たパンは食いたくねぇな」
「うるせぇな。出て来たんだからいいだろ。本当に食ってもいいのか?」
「毒じゃねぇといいけどな。それとも米で出来たパンか?」
「いただきます!」
うだうだ言っているゼロスは無視して齧り付く。うめぇな。水も冷えてやがる。
「それをそんなに美味そうに食う奴初めて見たぜ。欠食児童か?」
「いや普通に美味いだろ。こういうプレーンなパンって憧れだったんだよな。何でもかんでもデコってなんか入ってるからな。いらねぇんだよな。ああいうの」
「デコ? お前何を食って生きて来たんだ?」
「この白パンがレアなんだよ。売ってねぇだろこういうの」
「なんでパンがレアなんだ。白パンだが生焼けじゃないだろ」
? 何か話が嚙み合わねぇな。生焼け白パンがレアなのか? 普通にハズレだろ。
「ごちそうさま!」
そうこうする内に食べ終わるが、足りねぇな。
「なあ、神の施しならワインが出てくるんじゃねぇのか?」
「あるぜ。そっちは立ったままでオーケーだ。胸に手を当てて、我らが父よ。血の猛りをわが手に与えたまえ」
ゼロスの前にワインの張ったグラスが現れる。それを手にすると手の中で揺らす。
「こっちは一日に一回だ。やってみろ」
俺も胸に手を当てる。
「南無妙法蓮華経!」
おお! 俺の前にもワイングラスが!
だがそれをひったくる手が現れた。
「おい! なにする・・・オーク!!!」
オークだ。フガフガ言いながら、いや、こいつ戦闘服を着ているぞ。
ゼロスが間髪入れずにアサルトの斉射でトドメを指す。
おいおいおい。まだ残ってるじゃねぇか!
床にぶちまけられたワインは残念だが俺の血がぶちまけられないだけマシか。
俺がアサルトを召喚して警戒するともう一匹銃を構えたオークが居る。こいつも戦闘服だ。だがそいつが銃を構えた途端銃が消える。よくわからないが殺意は本物だ。俺はアサルトで掃射する。
俺が更に警戒をしているとゼロスは落ち着いたものだった。
「おい! 第二陣じゃないのか」
「いや。もう終わりだ」
ゼロスの視線を辿ると銃声が轟く。他で片付けたみたいだな。
「あれが新人の末路だ。ほとんどはアレだ」
? 何の話だ?
「さっきのオークが元新人だ。さっきも言ったろ。俺達は神に監視されてる。犯罪を起こす前にああなるのさ」
「つまり・・・、どういうことだ?」
さっきの話は聞いていた。聞いていたが、嘘だろ?
「お前の想像通りだ。正確には形態進化らしいけどな。俺達とここの住人はその行動で種族変化が起こる。プラス方向は見たことないが、マイナス方向はああなるって事さ」
「奴らは何をしたんだ?」
「わかるだろ。女が居て酒を奪うんだ。そっちの方も奪う気だったんだろう。窃盗は分かり易く変わる。あの手の奴は死んでも治らないからな。判定も緩いんだろ」
「それだけでか」
「ああ。犯罪行為はかなり厳しいぞ。人のものは盗るな。こういう基本中の基本が出来ない奴は特に厳しい。新人が次々に死ぬわけさ」
「銃も出せずに死ぬってのはこういう事か」
「まあ、そんな顔をするなシコル。お前は大丈夫だ。初のワインだ。お前にやるよ」
ゼロスがワイン入りのグラスを俺に差し出す。
「これで窃盗判定のオーク行きはないだろうな」
「安心しろ。監視されてると言っただろ。これで窃盗なら薦めている俺がオーク行きだ」
俺はゼロスのワインを受け取ると飲み干す。
「美味い。これは気持ちよくシコれそうだ」
「そいつは良かった。明日になったら感想を聞かせてくれ。朝になったら食堂が開いてるからな。そこで会おう」
「ああって寝床は何処だよ」
「これから行くぞ。一応個室だ」
やっと憩いの時間か。長かったな。
▽
Tips
基本的に天罰が起きる前に魔物堕ちが起こる。
天罰は犯罪が確定した後に起こる。
「シコル。ここでは一日三回お祈りで食料と水の配給が受けられる。使ってみるか?」
「は? お祈りで食事が出るのかよ」
「まあ、見てろ。祈りの言葉は何でもいい。手を組み合わせて跪け。我らが父よ。その信徒に導きを与えたまえ」
ゼロスが言葉通り跪いて手を組み合わせる。するとその前に明かりが灯りそこにゼロスが手を入れると白い柔らかそうなパンと水の入ったコップが出てくる。
「おお!? なんの手品だよ!?」
「神からの支給品だ。騙されたと思ってやってみろ」
ほうほう。俺も同じように跪いて手を組む。
「南無阿弥陀仏!」
おお!? 俺の前に光が出てくる。恐る恐る手を入れると柔らかなパンの感触とヒンヤリと冷たいガラスのコップの感触がある。それを掴むと光は消えた。
「シコル。お前お経て。念仏で出て来たパンは食いたくねぇな」
「うるせぇな。出て来たんだからいいだろ。本当に食ってもいいのか?」
「毒じゃねぇといいけどな。それとも米で出来たパンか?」
「いただきます!」
うだうだ言っているゼロスは無視して齧り付く。うめぇな。水も冷えてやがる。
「それをそんなに美味そうに食う奴初めて見たぜ。欠食児童か?」
「いや普通に美味いだろ。こういうプレーンなパンって憧れだったんだよな。何でもかんでもデコってなんか入ってるからな。いらねぇんだよな。ああいうの」
「デコ? お前何を食って生きて来たんだ?」
「この白パンがレアなんだよ。売ってねぇだろこういうの」
「なんでパンがレアなんだ。白パンだが生焼けじゃないだろ」
? 何か話が嚙み合わねぇな。生焼け白パンがレアなのか? 普通にハズレだろ。
「ごちそうさま!」
そうこうする内に食べ終わるが、足りねぇな。
「なあ、神の施しならワインが出てくるんじゃねぇのか?」
「あるぜ。そっちは立ったままでオーケーだ。胸に手を当てて、我らが父よ。血の猛りをわが手に与えたまえ」
ゼロスの前にワインの張ったグラスが現れる。それを手にすると手の中で揺らす。
「こっちは一日に一回だ。やってみろ」
俺も胸に手を当てる。
「南無妙法蓮華経!」
おお! 俺の前にもワイングラスが!
だがそれをひったくる手が現れた。
「おい! なにする・・・オーク!!!」
オークだ。フガフガ言いながら、いや、こいつ戦闘服を着ているぞ。
ゼロスが間髪入れずにアサルトの斉射でトドメを指す。
おいおいおい。まだ残ってるじゃねぇか!
床にぶちまけられたワインは残念だが俺の血がぶちまけられないだけマシか。
俺がアサルトを召喚して警戒するともう一匹銃を構えたオークが居る。こいつも戦闘服だ。だがそいつが銃を構えた途端銃が消える。よくわからないが殺意は本物だ。俺はアサルトで掃射する。
俺が更に警戒をしているとゼロスは落ち着いたものだった。
「おい! 第二陣じゃないのか」
「いや。もう終わりだ」
ゼロスの視線を辿ると銃声が轟く。他で片付けたみたいだな。
「あれが新人の末路だ。ほとんどはアレだ」
? 何の話だ?
「さっきのオークが元新人だ。さっきも言ったろ。俺達は神に監視されてる。犯罪を起こす前にああなるのさ」
「つまり・・・、どういうことだ?」
さっきの話は聞いていた。聞いていたが、嘘だろ?
「お前の想像通りだ。正確には形態進化らしいけどな。俺達とここの住人はその行動で種族変化が起こる。プラス方向は見たことないが、マイナス方向はああなるって事さ」
「奴らは何をしたんだ?」
「わかるだろ。女が居て酒を奪うんだ。そっちの方も奪う気だったんだろう。窃盗は分かり易く変わる。あの手の奴は死んでも治らないからな。判定も緩いんだろ」
「それだけでか」
「ああ。犯罪行為はかなり厳しいぞ。人のものは盗るな。こういう基本中の基本が出来ない奴は特に厳しい。新人が次々に死ぬわけさ」
「銃も出せずに死ぬってのはこういう事か」
「まあ、そんな顔をするなシコル。お前は大丈夫だ。初のワインだ。お前にやるよ」
ゼロスがワイン入りのグラスを俺に差し出す。
「これで窃盗判定のオーク行きはないだろうな」
「安心しろ。監視されてると言っただろ。これで窃盗なら薦めている俺がオーク行きだ」
俺はゼロスのワインを受け取ると飲み干す。
「美味い。これは気持ちよくシコれそうだ」
「そいつは良かった。明日になったら感想を聞かせてくれ。朝になったら食堂が開いてるからな。そこで会おう」
「ああって寝床は何処だよ」
「これから行くぞ。一応個室だ」
やっと憩いの時間か。長かったな。
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