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第四章 1th地下ダンジョン
第21話 1th地下ダンジョン
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俺達は1th地下ダンジョンに来ていた。
入口こそデカイ洞穴だが進んでいくと人工物が見えてくる。地下に埋もれた遺跡の入り口が洞窟の壁面に現れる。いくつかある入り口の一つだ。ここならば大型、いや、今や中型の魔物であるオーガやミノタウロスは入れない。
こちらのメンバーにもゼロスはいない。ゼロスの短期形態進化のオーガもそうだが、戦い方が屋外専門すぎて相性が悪すぎる。ギンガも同様だ。そこで俺、アレス、ギルドフォネティックの面々で調査中だ。
石を組んだいかにもなダンジョンを俺達は進んでいく。
俺も今はダンジョン用の特殊銃器を使っている。通称ハンドバッグ。肩から掛ける小型ガトリングガンだ。ゼロスオーガの使っていた対地対戦車ガトリングの超小型バージョンだ。砲身を切り詰め、俺の肘より前に銃身がでない。後ろのマガジン部分がデカくて邪魔だが排莢を行わないため安全だ。俺の右手は銃身を囲むレールに着いたハンドルを握っている。丁度肘の下に銃身が来る形だ。トリガーは左手、親指と人差し指の同時押しで発砲する。
これの利点は銃身が前に出ないため接近戦に強い。弾薬は.45のストッピング重視だ。取り合えずこれの弾幕で魔物を下がらせる。付与の消音とも相性がいい。
敵はオークやコボルトにゴブリンと言った人型だ。
これが敵の使徒なら人型以外は出なさそうだな。異形が出たらこっちで言うゴッドゴーギャンのようなギルド装備なのかもしれないな。それか形態進化できるほどの力を持った使徒だな。
俺達は危なげもなく進んでいく。
初回は酷かった。壁を爆破しようとしてスタンピードだったからな。1th地下ダンジョンは072と同じく神の人工物だろう。これを壊すにはイベントのような特殊な要素が必要になるな。
そして大きなフロア。所謂ボス部屋だ。
敵はミノタウロス3体。
俺はハンドバッグを背中に回すとライフリングレーザーを取り出す。こいつは屋内で最強だと思っていたが、接近戦で敵を止められない事の恐ろしさを身を持って知るいい機会になった。だが開けた場所ならこいつだな。
アレスがウォールを部屋の中央に設置するとドームとバリヤーで俺達を援護する。
ミノタウロスは斧を投げる中距離型だ。ウォールはそれを防ぎ、いざというときにこの上に逃げられる。味方の攻撃を遮るがその耐久力はピカ一だ。
左右に回り込んでくるミノタウロスを俺達は迎撃する。
これがオーガでなくてよかった。街ですら手の負えない超速近接型がフロアに出てきたら泣くぞ俺は。
俺達はアレスのドームを使いながらミノタウロスを片付けていく。
これは相性がいいな。中距離の打ち合いはソルジャーの得意とする間合いだ。そこに遮蔽物がある。負ける理由がないな。
そうは問屋が卸さない。騒ぎを聞きつけ人型の魔物がやってきた。
俺がミノタウロスを攻撃し、フォネティックは人型の対処。
薄々感じていたが、決め手がないな。何より爆発物が使えねぇ。
やっぱここはゲームみたいに魔法使いの一発火力でフロアの魔物を瞬殺できるジョブが必要だな。ソルジャーは中距離DPSでダンジョンはそもそも不向きなのかもしれないな。単純な瞬殺火力が足りねぇ。
「ここはもう下がるか」
「そうですね。もう集まってくるでしょう」
俺の言葉にアレスが頷く。フォネティックの面々も同意だ。
ミノタウロス3体を撃破して俺達は元来た道を引き返す。
ーーー
だが不味い事になった。
帰りの道が魔物で埋まっている。
アレスのバリアとドーム。ウォールで道を塞ぎ、時にはサンクチュアリで敵を吹き飛ばしながら来ているが、やはり瞬殺火力が足りてない。かといって爆発物は更なる敵の呼び込みになる。出口に近ければいいがまだ早い。
その焦りが俺のミスを誘う。
カラカラとなるハンドバッグ。弾切れだ。コイツの交換には時間がかかる。
その俺に突撃してくるオーク。
その斧が俺の左腕に突き刺さる前に、俺の左腕は消え失せた。
なんだ? 一瞬で呑まれた。
俺の左腕に巨大な機械アームが生えている。それに呼応するように右腕も巨大な機械アームに変化する。それが俺の背中側で繋がるのを感じる。
見た目は機械だが、これも俺の感覚から捉えると違う。
今回はただの金属の塊だ。錐になった鉄塊が俺の両脇に浮いている。それがブンブンと振り回され魔物を血の塊に変えていく。
俺はこの金属塊に持ち上げられ宙に浮く。そして嵐の様に振り続けられる鉄塊。
まるで何も怖くない。目の前でオークがアームに握りしめられ、雑巾絞りにされても心が動かない。ただ次の仕事に取りかかるだけだ。
遂に魔物が恐れ初め、逃げる者が出始める。
魔物って逃げるんだな。
ぼんやりとそんな事を考えていると、金属塊の背中側の繋がりがほどけ、鉄塊が回転を始める。俺はただ敵を見つめる。すると鉄塊の閉じられていた手が開き、獰猛な殺意が開いた掌から感じられる。鉄塊の上から更に高速回転を始める掌が歓喜とともに飛び出した。
「シコルさん!」
俺はアレスの声で意識が戻る。
浮いていた体が地に付き、ジョイント部だけの腕が見える。その先は俺から食らったMPの限り暴れ尽くし魔物を食い殺している。
「どぅおおお!? なんだコレ!?」
「聞きたいのはこっちですよ。聞こえていなかったんですか?」
「いや、聞こえていたというか、言葉として認識できなかった。悪ぃ。サイボーグ化すると意識があっても疎通が出来なくなるみてぇだ」
「それよりもその腕は大丈夫なんですか?」
「あ? ああ。これが俺の正常な姿だからな」
ゾクっと何かが俺の背筋を凍らす。
俺は今何と言った?
飛び出していった鉄塊が俺のMPを食らいに戻ってくる。
俺は強制的にサイボーグ化を解くと荒い息を付く。
「フィジカルアップスタミナ!」
アレスの声で呼吸が楽になる。
「や、やべぇ。助かったぜアレス。これはヤバいな」
「どうやら戻ったようですね。感情が動いてなかったんで心配しましたよ」
感情が動いてなかった。確かにそうだ。まるで冷徹な金属の様に心が硬くなっていた。
多分だがこれはあの巨大機械アームの仕様だろうな。近接型で恐れを抱けばその拳で自身を潰していたかもしれない。判断の遅れは近接型では致命的だろうからな。
「おいおいおい。それにしてもスゲェ光景だなシコルよ」
フォネティックの黒光り事ゴルフだ。周りを見ても魔物はいない。ほぼ消滅しているようだ。
「あれがヘカトンケイルの真の姿ってわけか」
「いや、違ぇよ。あれはサイボーグ化だ。ヘカトンケイルがあんな危険なものかよ。思い出したらチビりそうだぜ」
「お前がビビるなんてよっぽどだな。だが助かったぜ」
「ああ。結果は良いが、コイツはハプニングだな。俺の意思じゃねぇ。ヤベェな。ゴルフ、俺がおかしかったら近づかないでくれ。味方どころか自分ですらアブねぇ奴だ」
「それは俺達が一番よく知っているからな。サイボーグでシコル・ギウスは勘弁だぜ」
それを聞いて俺は笑いが込みあがる。思っていた以上に緊張していたみてぇだな。
この先は何事もなく帰れるといいがな。
ーーー
ギルド『フォネティック』
「・・・ヤベェな。サイボーグでシコル・ギウス」
「お、おう。しかもあれ自分で制御できねぇとか言ってたよな?」
「奴のシコル・ギウスは自動なのかよ!?」
「お鎮鎮で済んでたから良かった物の、襲っていたら雑巾絞りかよ」
「お鎮鎮の雑巾絞りでもキツイわ!」
「奴がいつもは敵意が無い事だけは確かになったな。お鎮鎮ですんでてよかったぜ」
「これは流石に共有しとかねぇとな」
「ああ。シコルを襲って雑巾絞りになる使徒は流石に見たくねぇしな」
「・・・俺も奴の事は認めてたんだよな。助けられたし今回は許してやるか」
「おいやめろよフォネティックで雑巾絞りなんて出したくねぇぞ」
▽
Tips
小形ガトリング『ハンドバッグ』
正直拳銃弾ガトリング薬莢回収とかありえないと思いましたがお馬鹿な作品なので採用。
入口こそデカイ洞穴だが進んでいくと人工物が見えてくる。地下に埋もれた遺跡の入り口が洞窟の壁面に現れる。いくつかある入り口の一つだ。ここならば大型、いや、今や中型の魔物であるオーガやミノタウロスは入れない。
こちらのメンバーにもゼロスはいない。ゼロスの短期形態進化のオーガもそうだが、戦い方が屋外専門すぎて相性が悪すぎる。ギンガも同様だ。そこで俺、アレス、ギルドフォネティックの面々で調査中だ。
石を組んだいかにもなダンジョンを俺達は進んでいく。
俺も今はダンジョン用の特殊銃器を使っている。通称ハンドバッグ。肩から掛ける小型ガトリングガンだ。ゼロスオーガの使っていた対地対戦車ガトリングの超小型バージョンだ。砲身を切り詰め、俺の肘より前に銃身がでない。後ろのマガジン部分がデカくて邪魔だが排莢を行わないため安全だ。俺の右手は銃身を囲むレールに着いたハンドルを握っている。丁度肘の下に銃身が来る形だ。トリガーは左手、親指と人差し指の同時押しで発砲する。
これの利点は銃身が前に出ないため接近戦に強い。弾薬は.45のストッピング重視だ。取り合えずこれの弾幕で魔物を下がらせる。付与の消音とも相性がいい。
敵はオークやコボルトにゴブリンと言った人型だ。
これが敵の使徒なら人型以外は出なさそうだな。異形が出たらこっちで言うゴッドゴーギャンのようなギルド装備なのかもしれないな。それか形態進化できるほどの力を持った使徒だな。
俺達は危なげもなく進んでいく。
初回は酷かった。壁を爆破しようとしてスタンピードだったからな。1th地下ダンジョンは072と同じく神の人工物だろう。これを壊すにはイベントのような特殊な要素が必要になるな。
そして大きなフロア。所謂ボス部屋だ。
敵はミノタウロス3体。
俺はハンドバッグを背中に回すとライフリングレーザーを取り出す。こいつは屋内で最強だと思っていたが、接近戦で敵を止められない事の恐ろしさを身を持って知るいい機会になった。だが開けた場所ならこいつだな。
アレスがウォールを部屋の中央に設置するとドームとバリヤーで俺達を援護する。
ミノタウロスは斧を投げる中距離型だ。ウォールはそれを防ぎ、いざというときにこの上に逃げられる。味方の攻撃を遮るがその耐久力はピカ一だ。
左右に回り込んでくるミノタウロスを俺達は迎撃する。
これがオーガでなくてよかった。街ですら手の負えない超速近接型がフロアに出てきたら泣くぞ俺は。
俺達はアレスのドームを使いながらミノタウロスを片付けていく。
これは相性がいいな。中距離の打ち合いはソルジャーの得意とする間合いだ。そこに遮蔽物がある。負ける理由がないな。
そうは問屋が卸さない。騒ぎを聞きつけ人型の魔物がやってきた。
俺がミノタウロスを攻撃し、フォネティックは人型の対処。
薄々感じていたが、決め手がないな。何より爆発物が使えねぇ。
やっぱここはゲームみたいに魔法使いの一発火力でフロアの魔物を瞬殺できるジョブが必要だな。ソルジャーは中距離DPSでダンジョンはそもそも不向きなのかもしれないな。単純な瞬殺火力が足りねぇ。
「ここはもう下がるか」
「そうですね。もう集まってくるでしょう」
俺の言葉にアレスが頷く。フォネティックの面々も同意だ。
ミノタウロス3体を撃破して俺達は元来た道を引き返す。
ーーー
だが不味い事になった。
帰りの道が魔物で埋まっている。
アレスのバリアとドーム。ウォールで道を塞ぎ、時にはサンクチュアリで敵を吹き飛ばしながら来ているが、やはり瞬殺火力が足りてない。かといって爆発物は更なる敵の呼び込みになる。出口に近ければいいがまだ早い。
その焦りが俺のミスを誘う。
カラカラとなるハンドバッグ。弾切れだ。コイツの交換には時間がかかる。
その俺に突撃してくるオーク。
その斧が俺の左腕に突き刺さる前に、俺の左腕は消え失せた。
なんだ? 一瞬で呑まれた。
俺の左腕に巨大な機械アームが生えている。それに呼応するように右腕も巨大な機械アームに変化する。それが俺の背中側で繋がるのを感じる。
見た目は機械だが、これも俺の感覚から捉えると違う。
今回はただの金属の塊だ。錐になった鉄塊が俺の両脇に浮いている。それがブンブンと振り回され魔物を血の塊に変えていく。
俺はこの金属塊に持ち上げられ宙に浮く。そして嵐の様に振り続けられる鉄塊。
まるで何も怖くない。目の前でオークがアームに握りしめられ、雑巾絞りにされても心が動かない。ただ次の仕事に取りかかるだけだ。
遂に魔物が恐れ初め、逃げる者が出始める。
魔物って逃げるんだな。
ぼんやりとそんな事を考えていると、金属塊の背中側の繋がりがほどけ、鉄塊が回転を始める。俺はただ敵を見つめる。すると鉄塊の閉じられていた手が開き、獰猛な殺意が開いた掌から感じられる。鉄塊の上から更に高速回転を始める掌が歓喜とともに飛び出した。
「シコルさん!」
俺はアレスの声で意識が戻る。
浮いていた体が地に付き、ジョイント部だけの腕が見える。その先は俺から食らったMPの限り暴れ尽くし魔物を食い殺している。
「どぅおおお!? なんだコレ!?」
「聞きたいのはこっちですよ。聞こえていなかったんですか?」
「いや、聞こえていたというか、言葉として認識できなかった。悪ぃ。サイボーグ化すると意識があっても疎通が出来なくなるみてぇだ」
「それよりもその腕は大丈夫なんですか?」
「あ? ああ。これが俺の正常な姿だからな」
ゾクっと何かが俺の背筋を凍らす。
俺は今何と言った?
飛び出していった鉄塊が俺のMPを食らいに戻ってくる。
俺は強制的にサイボーグ化を解くと荒い息を付く。
「フィジカルアップスタミナ!」
アレスの声で呼吸が楽になる。
「や、やべぇ。助かったぜアレス。これはヤバいな」
「どうやら戻ったようですね。感情が動いてなかったんで心配しましたよ」
感情が動いてなかった。確かにそうだ。まるで冷徹な金属の様に心が硬くなっていた。
多分だがこれはあの巨大機械アームの仕様だろうな。近接型で恐れを抱けばその拳で自身を潰していたかもしれない。判断の遅れは近接型では致命的だろうからな。
「おいおいおい。それにしてもスゲェ光景だなシコルよ」
フォネティックの黒光り事ゴルフだ。周りを見ても魔物はいない。ほぼ消滅しているようだ。
「あれがヘカトンケイルの真の姿ってわけか」
「いや、違ぇよ。あれはサイボーグ化だ。ヘカトンケイルがあんな危険なものかよ。思い出したらチビりそうだぜ」
「お前がビビるなんてよっぽどだな。だが助かったぜ」
「ああ。結果は良いが、コイツはハプニングだな。俺の意思じゃねぇ。ヤベェな。ゴルフ、俺がおかしかったら近づかないでくれ。味方どころか自分ですらアブねぇ奴だ」
「それは俺達が一番よく知っているからな。サイボーグでシコル・ギウスは勘弁だぜ」
それを聞いて俺は笑いが込みあがる。思っていた以上に緊張していたみてぇだな。
この先は何事もなく帰れるといいがな。
ーーー
ギルド『フォネティック』
「・・・ヤベェな。サイボーグでシコル・ギウス」
「お、おう。しかもあれ自分で制御できねぇとか言ってたよな?」
「奴のシコル・ギウスは自動なのかよ!?」
「お鎮鎮で済んでたから良かった物の、襲っていたら雑巾絞りかよ」
「お鎮鎮の雑巾絞りでもキツイわ!」
「奴がいつもは敵意が無い事だけは確かになったな。お鎮鎮ですんでてよかったぜ」
「これは流石に共有しとかねぇとな」
「ああ。シコルを襲って雑巾絞りになる使徒は流石に見たくねぇしな」
「・・・俺も奴の事は認めてたんだよな。助けられたし今回は許してやるか」
「おいやめろよフォネティックで雑巾絞りなんて出したくねぇぞ」
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