12 / 41
第一章
第12話 鬼切断(オニタチ)
しおりを挟む
「今日こそは死んでもらうぞ無頼の鬼め! この鬼切断が相手だ!」
その侍がやってきたのは俺が影潜りを解除してすぐだった。
その太刀が特徴的で黒塗りに赤の波紋。
それが飾りではないことは、切られて喚いている喚きの傷を見てもわかる。
そしてその取り巻きもただの雑兵ではないのだろう。
美人局が逆に釣られたようだ。
しかし俺を見ても逃げ出さないのは僥倖だ。
これから先はこのような罠を張らずとも向こうからやってくることだろう。
キンキンキンキン!
先に切ってきたのは雑兵たちだ。
俺の角でも金棒でもない。俺の体にすら傷がつけられないのか?
マズイ。これは非常にマズイ。
折角逃げない人間達が来たというのにこれではまた逃げられる!
俺は周囲を囲むように石壁を立てる。高く建てて逃げ出せないようにする。
キンキンキンキン!
雑兵の絶望の表情が見て取れる。
これは喚きの調理を試す機会か。
調理に興味はないが人間の味が変わるならそれは興味の対象だ。
俺は雑兵たちの体を水牢に捉え顔を出した状態にする。
そしてまず一人の首を飛ばす。
キィン!
俺は侍の太刀を金棒で受け止める。
ようやく侍が動き出した。今しがた首を撥ねた者の名を叫んでいる。
こいつは怒りだ。その怒りを存分に引き出そう。
キィン! ズバゥ!
俺が侍の太刀をいなすとそのまま金棒で左肩から先を抉り取る。
そしてその傷口に炎と雷で蓋をする。
悶え苦しむ侍を眺めた後雑兵たちを始末していく。
この程度の絶望で味が変わればいいが。
キン! キィン! キィン! ギィン!
再度立ち上がった侍が片手で太刀を構えて切りつけてくる。
腕は生えてこないがその体と右腕が異常に太い。
しかし刀で力任せとは。これも雑兵か。
だが最後のギィン! は侍の体を捉えた俺の金棒の音だ。
人間が金棒を食らって出す音じゃない。
「不味い! 大餓サマ! これ凄く不味いです!」
喚きが血塗れのまま切り飛ばした侍の腕に食いついている。
こいつはこっちが調理に四苦八苦しているというのに。
落ちた腕を食っている場合か。
「怒りを感じた人間の腕は不味くなるという事か?」
「違います! それ人間じゃないです! 鬼です! 混じっています!」
ギィン! ギィン! ギィィィン!
俺が本気で金棒を当ててもこんな音しか出ない。
顔面は完全に砕けている。
足も砕けて折れているのに歩いている。
右腕だけが形を保ち金棒の一撃でも形を変えない。
右腕が本体か。
後は繋がっているだけでほぼ浮いている。
そうか。これは太刀ではない。
鬼切断。この刀は鬼の角か。
その侍がやってきたのは俺が影潜りを解除してすぐだった。
その太刀が特徴的で黒塗りに赤の波紋。
それが飾りではないことは、切られて喚いている喚きの傷を見てもわかる。
そしてその取り巻きもただの雑兵ではないのだろう。
美人局が逆に釣られたようだ。
しかし俺を見ても逃げ出さないのは僥倖だ。
これから先はこのような罠を張らずとも向こうからやってくることだろう。
キンキンキンキン!
先に切ってきたのは雑兵たちだ。
俺の角でも金棒でもない。俺の体にすら傷がつけられないのか?
マズイ。これは非常にマズイ。
折角逃げない人間達が来たというのにこれではまた逃げられる!
俺は周囲を囲むように石壁を立てる。高く建てて逃げ出せないようにする。
キンキンキンキン!
雑兵の絶望の表情が見て取れる。
これは喚きの調理を試す機会か。
調理に興味はないが人間の味が変わるならそれは興味の対象だ。
俺は雑兵たちの体を水牢に捉え顔を出した状態にする。
そしてまず一人の首を飛ばす。
キィン!
俺は侍の太刀を金棒で受け止める。
ようやく侍が動き出した。今しがた首を撥ねた者の名を叫んでいる。
こいつは怒りだ。その怒りを存分に引き出そう。
キィン! ズバゥ!
俺が侍の太刀をいなすとそのまま金棒で左肩から先を抉り取る。
そしてその傷口に炎と雷で蓋をする。
悶え苦しむ侍を眺めた後雑兵たちを始末していく。
この程度の絶望で味が変わればいいが。
キン! キィン! キィン! ギィン!
再度立ち上がった侍が片手で太刀を構えて切りつけてくる。
腕は生えてこないがその体と右腕が異常に太い。
しかし刀で力任せとは。これも雑兵か。
だが最後のギィン! は侍の体を捉えた俺の金棒の音だ。
人間が金棒を食らって出す音じゃない。
「不味い! 大餓サマ! これ凄く不味いです!」
喚きが血塗れのまま切り飛ばした侍の腕に食いついている。
こいつはこっちが調理に四苦八苦しているというのに。
落ちた腕を食っている場合か。
「怒りを感じた人間の腕は不味くなるという事か?」
「違います! それ人間じゃないです! 鬼です! 混じっています!」
ギィン! ギィン! ギィィィン!
俺が本気で金棒を当ててもこんな音しか出ない。
顔面は完全に砕けている。
足も砕けて折れているのに歩いている。
右腕だけが形を保ち金棒の一撃でも形を変えない。
右腕が本体か。
後は繋がっているだけでほぼ浮いている。
そうか。これは太刀ではない。
鬼切断。この刀は鬼の角か。
10
あなたにおすすめの小説
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。
相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。
さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!?
「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」
星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。
「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」
「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」
ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や
帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……?
「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」
「お前のこと、誰にも渡したくない」
クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。
独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。
猫菜こん
児童書・童話
小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。
中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!
そう意気込んでいたのに……。
「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」
私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。
巻き込まれ体質の不憫な中学生
ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主
咲城和凜(さきしろかりん)
×
圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良
和凜以外に容赦がない
天狼絆那(てんろうきずな)
些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。
彼曰く、私に一目惚れしたらしく……?
「おい、俺の和凜に何しやがる。」
「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」
「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」
王道で溺愛、甘すぎる恋物語。
最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。
あだ名が242個ある男(実はこれ実話なんですよ25)
tomoharu
児童書・童話
え?こんな話絶対ありえない!作り話でしょと思うような話からあるある話まで幅広い範囲で物語を考えました!ぜひ読んでみてください!数年後には大ヒット間違いなし!!
作品情報【伝説の物語(都道府県問題)】【伝説の話題(あだ名とコミュニケーションアプリ)】【マーライオン】【愛学両道】【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】【トモレオ突破椿】など
・【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】とは、その話はさすがに言いすぎでしょと言われているほぼ実話ストーリーです。
小さい頃から今まで主人公である【紘】はどのような体験をしたのかがわかります。ぜひよんでくださいね!
・【トモレオ突破椿】は、公務員試験合格なおかつ様々な問題を解決させる話です。
頭の悪かった人でも公務員になれることを証明させる話でもあるので、ぜひ読んでみてください!
特別記念として実話を元に作った【呪われし◯◯シリーズ】も公開します!
トランプ男と呼ばれている切札勝が、トランプゲームに例えて次々と問題を解決していく【トランプ男】シリーズも大人気!
人気者になるために、ウソばかりついて周りの人を誘導し、すべて自分のものにしようとするウソヒコをガチヒコが止める【嘘つきは、嘘治の始まり】というホラーサスペンスミステリー小説
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
「いっすん坊」てなんなんだ
こいちろう
児童書・童話
ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。
自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・
異世界子供会:呪われたお母さんを助ける!
克全
児童書・童話
常に生死と隣り合わせの危険魔境内にある貧しい村に住む少年は、村人を助けるために邪神の呪いを受けた母親を助けるために戦う。村の子供会で共に学び育った同級生と一緒にお母さん助けるための冒険をする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる