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ゴブリン

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「ありました?」

「うん。鑑定があったから、薬草は簡単に見つけられると思う」

 足元を片っ端から鑑定して薬草を探していく。お、ヒール草みっけ、あっちにはキリラ草が。今までかなり見逃してたみたいだ。

「では、ゴブリンは俺に任せて下さい」

「んー、頼んだ」


 どのぐらい時間が経ったかわからない頃、耳障りな声を発して、ゴブリンが僕たちの前に現れた。

 緑の肌に痩せ細った体、尖った耳と敵意に満ちた目。それぞれ皮膚の色も暗い緑だったり、薄い緑だったり、武器を持っていたりと個体差があった。

 現れた6匹のゴブリンのうち5匹は僕と背が一緒か少し低いくらいだが、1匹だけ勇護よりも背が高く、2mはありそうだ。

 ボブゴブリン。魔物図鑑にはゴブリンの上位種として載っていた。通常のゴブリンより2倍大きくて、Dランク相当だったはず。

 Fランクのゴブリンが子供に倒せる程度なら、2つ上のランクであるボブゴブリンもそこまで強そうには聞こえない。勇護なら余裕で倒せそう。

「ギィギギギギィ」

 ボブゴブリンが周りのゴブリンに向かって何かを言い出した。こちらを指差しているから、大方行け、とかそんなこと言ってるんじゃないかな。

「「「「ギギッ」」」」
 
 案の定、ゴブリン達が武器を片手に勇護に襲いかかる。それに対して勇護は特に慌てることもなく、黙々と炎をゴブリン達に当てて、1匹、2匹、3匹、4匹と向かってきたゴブリンを全て倒した。

 ん、1匹足りなくない?……あぁ、こういう時って小説だと弱そうな人を狙って来るのが定番だよね。なんだか、図鑑に載っていたより、ゴブリンの知能が高い気がするな。ボブゴブリンがいるせい?

 子供程度の知能と書かいてあった割に、意外にも頭を使ってるなと思ったけど、そんなこともなかったみたいだ。背後から草を踏む小さな音が聞こえる。多分ゆっくり忍び寄ろうとしてたんだろうけど、足音を消さないと。

 目の前のボブゴブリンは、勇護があっという間にゴブリン達を倒したことで焦った様子だったが、作戦が上手くいったと思い込んでか、今はニヤニヤしているように見えなくもない顔をしてる。魔物の表情とかイマイチわからない。

 勇護は最初に倒した時以外、自分からは動こうとしない。ジッと目の前のボブゴブリンを見つめている。

「勇護?どうし」

 僕が口を開くや否や、ガサッという音と共にゴブリンが近づいて来たのがわかった。後を振り返った時には、僕に向かって武器を振り下ろすゴブリンが見えた。

 
 
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