悪役令嬢の私が聖女だなんて聞いてませんわ!

みや

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第3王子が起こした婚約破棄騒動の後始末は難航していた。
男爵令嬢リーナに貴女が聖女だと囁いたルーベ伯爵とその娘の主張は言っていないの一点張りで証拠の裏付けが取れずにいる。

第3王子は処罰として男爵令嬢リーナの元へと婿入りするか平民となるか選べという命令を国王陛下が下したが、王子は絶対に嫌だと抵抗していた。

国王陛下の命令に背くなど処刑されてもおかしくはないが、自身の息子である王子を婚約破棄騒動を引き起こしたという理由だけで処刑するのは諸外国への体面も悪く手をこまねいていた。

男爵令嬢については、王子が平民となった際には処刑される事が内々に決まっている。
王子も同じく平民となれば早々に暗殺される。

その事を2人は理解しているのかは分からないが、どうにか騒動を水に流そうとエリーシカの赦しを乞いに訪れる。
男爵令嬢は身分の違いから衛兵が止めているため会うことは無かったが、未だ王子の身分を持っている第3王子だけは警護をすり抜けて度々訪れてくる事にエリーシカは苛立ちを隠せずにいた。
 
王宮内のライアン殿下の執務室へ歩みを進めながら、エリーシカは先程の第3王子について考えていた。

勉強から逃げるために婚約破棄まで引き起こし、勉強するようにと常々咎めていたエリーシカは未だに悪役令嬢が聖女だなんておかしいと一部で噂されている。

聖女の発表の夜会でライアン殿下が先手を打ち、そのような噂が出ないようにと動いていた事は分かっているが、貴族の屋敷で開かれる夜会で噂されてしまうと王家が干渉できず火消しが難しい。

中には口さがない貴族達が第3王子から第2王子に乗り換えた令嬢とまで噂しはじめていた。

エリーシカ自身が社交界や夜会に出ずとも、家族や友人から噂について知らされている。

そのような不名誉な噂をエリーシカ自身がライアン殿下と夜会に出る事により払拭したかったが、国の問題を解決するのが先だった。
やっと地方の視察が終わり、王都に戻って来て早速、手を打とうとしたがそのような噂が流れているというのに、第3王子は毎日のごとく自身の結婚を取りやめるようエリーシカに嘆願タンガンへ来る。

会いたくもない第3王子と顔を合わせ、 自身と聖女を貶めるような噂エリーシカは辟易としてしまっていた。

これでは、真実が捻じ曲げられて第3王子が復縁を狙っていると噂されるのも時間の問題である。

エリーシカはため息をつきたくなったが、ライアン殿下の執務室前に到着した ため、ため息を堪え息を整えてからノックをした。

扉から侍従が顔を出し、取り次いで貰うと中の応接間へ通された。
どうやら執務が立て込んでいるようで、少し待つように言われ、ソファーに腰掛けると手早く紅茶が出される。
エリーシカは紅茶を飲みながら、ほっと一息ついた。

聖女になってから常に人々の目に晒され続け、王宮に住まい殆ど終わっている王子妃の教育をおさらいしながら日々の聖女の祈りも行う日々。
忙しく慌ただしい中で、エリーシカにとってライアン殿下の傍は安らぐ時間となっていた。
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