玉座の檻

萌於カク

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幻の慕情

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 次の日、アミーユは、王宮のパメラを訪問していた。もうとっくに日は沈んでいる。
 先触れなく私邸を訪れるとは、しかもこんな時間に訪れるとは、無礼だとわかっていたが、一刻でも早い方が良いに違いなかった。
 パメラもアミーユの訪問を予期していたはずだ。
 今日一日、パメラの目につく場所をうろついていたのだから。



 パメラの居間に通されたものの、パメラはなかなか現れなかった。途中で侍女が菓子を運んできたが、喉を通りそうになかった。
 やっと出てきたパメラはナイトドレスの肩にガウンをかけていた。
 髪はきちんと整えている。
 パメラは見るからに不機嫌を装っていた。

「こんな時間に何事ぞ」
「リチャード国王の遺言状は無効です」

 アミーユが口を開くと、パメラは怒りを爆発させた。

「何を申す! 見損なったぞ!」
「はばかりながら、事実です」
「真正は認められておるではないか!」

 アミーユはパメラに苦しげな顔を向けた。この方は間違ったことをしてしまった。愛する息子のためにしてはならないことをした。
 しかし、それが母親というものではないのか。
 その考えは、捨てられたアミーユは結局はつゆほども愛されてはいなかった、という事実をアミーユに突きつける。

 だが、そんなことを言っている場合ではない。
 ともかく、パメラ妃とジョージ王子を説得しなければならない。

 アミーユはパメラの足元にひざまずいた。

「パメラ陛下、お願いです。遺言状をお取り下げください。そして、ダニエル国王に王位を戻すのです。あとはひっそりとお過ごしください」

 アミーユにはそうするしか道はないように思われた。ダンはパメラに正義はないとして成敗するのだ。どこを動かして彼らを弑するのかはわからないが、ダンならやり遂げるだろう。ダンは必ずやパメラ妃とジョージ王子を殺しにくる。
 では不正を正させるしかない。そうすれば成敗の名目はなくなる。

 パメラはひざまずいたアミーユを蹴りつけた。

「どうしてだ! おのれ、これ以上言うと、いくらそなたでもただではおかぬ!」

 アミーユは声を張り上げた。

「リチャード国王のご遺体はどこにありましょうや!」

 その日、アミーユは朝から埋葬地にいた。数人の兵士とともに墓を掘り起こし、リチャード国王の棺の中に石しか入っていないのを確認していた。
 パメラの策謀の裏付けが取れたが、疑問は残る。
 では、ご遺体はどこにあるのか。

 兵士の数を増やして、墓地のあちこちを掘ったが、見つからなかった。ふと思いついて、王宮の居住棟の庭も掘り起こさせた。
 パメラがその光景を見れば、かんづくはずだ。アミーユは何を探して兵士らに庭を掘らせているのか。

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