バッファロー銀伝説

なつめたもる

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七手目

たもるの21手

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「待ったするとか、、
将棋指す資格無いって。」
ギャラリーの一人が、
誰にも聞こえないほどの溜息で、
そう煙した。


三林は△6五歩と、
飛車の逃げ道を確保する。

「どこまで読んでやがる、、」三林の顔が歪む。


(あと、、、21手で勝ち、なのか?)たもるが下唇を噛む。


たもる、▲同飛車。

たもるが21手で勝ちと踏んだのは、結果的には間違いである。

たもるの読みは甘すぎる。自分の思うことを実行してしまう。

自分の考えが全て正しいことなど、将棋に限らず、ほぼ無いことであろう。

よって、力が相手に劣っていれば、勝つことは容易く無い。


相手の立場に立って考えることが
将棋にも必要である。


相手は何をしたいか。
自分が相手の立場ならば、
この場面で何をしたいか。

そういったことを、
たもるは考えることが出来ていない。

三林、飛車を逃げる。
△4四飛車



たもる、三林の、飛車が
自分の陣地に成り込んでくるのを
防ぐ。▲3八金。


バジィイインン!!

「おりゃ!これはどうだ!」
三林が今日一番の駒音で、
持駒(自分の持っている駒)
の角将を打ち込んだ。
△8三角打!


「さぁ、どうやって受けてくれるんだい?たもる先生よ。」


(これは、、読んでいなかった。
だが、負けたくない!!考えろ、
ちゃんと考えるんだ!)

三林の気合のこもったこの△8三角打の一手は、
捨て身タックルのような派手な一手だ。

三林的には勝負手なのだ。

「ほれ、どうする!早く指してこいやあ!」たもるを挑発する三林。

三林の意図がイマイチ掴めていないことが、自分の思考に確信を持てなくなってきたたもる。


未来は、変えられる。

だが、その未来が現実に近づいたとき、後戻りも、やり直しも出来なくなる。

突き進むしか、なくなったとき、それは現実となる。

21手先の未来が、
7手先の未来に変わったとき、
たもる、イバラの道を前に悟る。

(あぁ、そうか、、、ここから、
6手後に、△5二歩があるのか。。

これは、俺の負けかもしれない。。三林さんそこまで読んでいるのか。くそぉ、勝てるなんて思ってはいけないんだ。
、、俺はまだまだ、甘すぎる。)


たもる、ここで、
まだ全くの互角であることに、
はっきりと気がつくのであった。


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