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砂漠の神殿編
04.モブ令嬢と招かれざる客
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今日は、楽しいだけの日にする予定だったのに。シルヴィは鼻の奥がツンっと痛む感覚に、自分は泣きそうなのだと理解する。
シルヴィのただならぬ雰囲気に、一変して場には静寂が落ちた。まさかここまでとは思っていなかったのだろう。ルノーも目を瞠った。
即答で了承されると思っていたシルヴィは、ルノーからの反応が返ってこないことに不安を募らせる。いつの間にか俯かせていた顔を上げようとした瞬間であった。
「シルヴィ!!」
「っ!?」
繋がれていた手が離れていき、変わりに体をルノーの方へと引き寄せられる。開いたままの日傘が地面に落ちていった。
ルノーのフィンガースナップが嫌に耳を打つ。目を開けたシルヴィの眼前で、ルノーの魔法防壁と真白に光り輝く攻撃魔法がぶつかった。
ルノーは無意識に闇の魔力を全ての魔法に混ぜてしまっている。そのため、元来光魔法との相性が良いとは言えない。その相性をものともしないのは、ルノーの、魔王の魔力量が単純に膨大だからである。それなのに、だ。
「破られる……?」
ここは聖国ではない。光の結界が張られている訳でもない。それなのに、どんどんと魔法防壁が不安定になっていく。その事実に、ルノーはただただ驚いたというような呟きを落とした。
相手の攻撃に押されている。それを証明するように、ルノーの魔法防壁にヒビが走った。
「っ跳べ!!」
防ぎきれないと判断したルノーが珍しく出した大きな声に、男性陣が即座に反応する。フレデリクがロラをアレクシがジャスミーヌを抱えて、その場から跳び退いた。
ルノーもシルヴィを抱えて、後退する。その瞬間、魔法防壁が粉々に砕け散った。陽光を反射して、欠片がキラキラと光る。
その向こう側に男が一人、佇んでいた。真白なキトンの上に着た紫のヒマティオンが艶やかに揺れている。キトンの裾にある金の飾り帯が見える度に煌めいた。
男の薄い桃色の瞳と目が合って、シルヴィは息を飲んだ。その瞳が夢と同じように、うっとりと弧を描いていく。
「なん、で……?」
夢だった。あれは、ただの夢であった筈なのに。触れ合っている部分から伝わるルノーのぬくもりが、ここを現実だとシルヴィに告げた。
男とは対照的に、ルノーの瞳が明確な怒気を宿して鋭く細まる。怯えた様子で震えるシルヴィを安心させるように抱き締める腕に力を込めた。
「ここは王宮だぞ!! どうやって侵入した!!」
「お下がりください、殿下! 危険です!」
「ルノー様の魔法防壁を砕くなんて!!」
「……嘘でしょ~。何で?」
全員無事であったようだ。その事実に、シルヴィは少し落ち着きを取り戻す。一人じゃない。ここには皆がいる、と。
「人間、ではないね」
ルノーの言葉に、シルヴィだけではなくフレデリクやアレクシ、ジャスミーヌが戸惑った顔になる。どこからどう見ても人間に見えたからだ。
「では、魔物なのか?」
「いいえ。あれは、おそらく――精霊」
耳馴染みのないそれを理解するのに一瞬、妙な間が空く。フレデリクの「精霊!?」という声は裏返っていた。
「何故、この国にそのような存在が!?」
「分かりませんよ、当人以外には」
嫌そうにルノーが眉根を寄せた。そのあからさまな嫌悪に、魔物と精霊は仲が悪いようだと周りは察する。
「初めて見ましたわ」
「あぁ、俺もだ。この国では精霊召喚師になれないからな」
「異国の地では、召喚した精霊で魔物を屠ると聞いたことがあります」
「わたくしもそう聞きました。しかし、人型の精霊がいるなどとは……」
「聞いたことがないな」
場に言い知れぬ緊張感が漂う。初撃以降、全く動かない男が不気味で堪らなかった。
男はルノーの殺気を特に気にした様子もなく、一心にシルヴィを見つめている。当のシルヴィは居心地の悪さに、眉を顰めた。
「あぁ……」
不意に、男が感極まったような吐息を溢した。次いで、片手で顔を覆うと「あぁっ! やっと、だ……。やっと!」などと絞り出すように言う。その様子は、狂喜に近かった。
シルヴィの足に、焦りにも似た不快な何かが纏わりつく。あぁ、不味い。直感がそう告げた。瞬間、指の間から覗いた男の不穏な瞳と目が合う。
「約束通り迎えに来たよ、愛しいナルジス」
まるで熟しすぎた果実のような。ドロドロとした甘ったる過ぎる声が耳元でした。
反射的に、シルヴィはルノーを力の限り突き飛ばす。ルノーの驚きに染まった顔スレスレを風の刃が掠めていった。
逃げる隙もなく、シルヴィの腹部に腕が回り後ろに強く引き寄せられる。ルノーの「シルヴィ!!」という必死な声が耳を打った。
シルヴィに向かって手を伸ばしたルノーの眼前で、忌々しいほどに美しい光が膨れ上がっていく。それが放たれる寸前、「風よ!!」というフレデリクの詠唱が響き渡った。
轟音と共に爆風が吹き荒れる。男はシルヴィを抱え、空中へと浮かび上がった。
「ルノーくん!!」
やっとの思いでシルヴィの口から出たのは、彼の名前だけであった。それに応えるように、爆煙が吹き抜けた風によって晴れる。
フレデリクの魔法が間に合ったようだ。全員がしっかりと立っている。しかし、跳ねた砂や石が掠ったようで所々血が滲んでいた。
「しぶといことだ」
背筋が凍るような声音が後ろから聞こえる。先程とは別人のようなそれに、シルヴィは身を固くした。何を勘違いしたのか「直ぐに済む。心配はいらない」と宥めるように言われる。
「何の騒ぎですか!?」
「みんな無事!?」
「シルヴィ嬢!? 誰だよ、あれ!」
薔薇のアーチを潜って、ガーランドにディディエ、トリスタンが走ってくる。
「ワラワラと……。煩わしい」
苛立たしげにそう吐き捨てた男が、三人に向け手を翳した。瞬きの間に、魔法が放たれる。それを防いだのは、ルノーの魔法防壁だった。
「走れ! 長くは持たない!!」
状況は全く分からなかったが、語気を強めるルノーの様子に異常事態であることだけは脳が理解する。“走れ”という指示に従って、三人は止まり掛けた足を無理やりに動かした。
「ルノー、落ち着けよ。早まるな」
ルノーの背後でバチバチと迸る紺色の魔力は、怒りか殺意か焦りか。再び砕かれた魔法防壁を見て、危険だと判断したのだろう。声を掛けてきたフレデリクに、ルノーは「ふぅー……」と深く息を吐き出す。
「分かっています。……アレクシ」
「っはい!」
「対魔の剣は所持しているね」
「無論です」
ルノーが貸せとばかりに手を出した。アレクシはフレデリクへと視線を遣って、指示を仰ぐ。フレデリクは判断に迷ったように一瞬、目を瞑ったが直ぐに一つ頷いた。
アレクシは鞘ごと剣をルノーへと手渡す。ルノーは受け取るとほぼ同時に、鞘から剣を引き抜いた。鞘をアレクシに向かって投げると、迷いなく男に向かって歩を進める。
「シルヴィに触れるな」
「貴様こそ。私の愛しいナルジスに穢らわしい手で触れてくれるな」
肌を刺すような殺気がぶつかり合う。誰も何も言えず、ただ固唾を呑んで見守ることしか出来なかった。
シルヴィのただならぬ雰囲気に、一変して場には静寂が落ちた。まさかここまでとは思っていなかったのだろう。ルノーも目を瞠った。
即答で了承されると思っていたシルヴィは、ルノーからの反応が返ってこないことに不安を募らせる。いつの間にか俯かせていた顔を上げようとした瞬間であった。
「シルヴィ!!」
「っ!?」
繋がれていた手が離れていき、変わりに体をルノーの方へと引き寄せられる。開いたままの日傘が地面に落ちていった。
ルノーのフィンガースナップが嫌に耳を打つ。目を開けたシルヴィの眼前で、ルノーの魔法防壁と真白に光り輝く攻撃魔法がぶつかった。
ルノーは無意識に闇の魔力を全ての魔法に混ぜてしまっている。そのため、元来光魔法との相性が良いとは言えない。その相性をものともしないのは、ルノーの、魔王の魔力量が単純に膨大だからである。それなのに、だ。
「破られる……?」
ここは聖国ではない。光の結界が張られている訳でもない。それなのに、どんどんと魔法防壁が不安定になっていく。その事実に、ルノーはただただ驚いたというような呟きを落とした。
相手の攻撃に押されている。それを証明するように、ルノーの魔法防壁にヒビが走った。
「っ跳べ!!」
防ぎきれないと判断したルノーが珍しく出した大きな声に、男性陣が即座に反応する。フレデリクがロラをアレクシがジャスミーヌを抱えて、その場から跳び退いた。
ルノーもシルヴィを抱えて、後退する。その瞬間、魔法防壁が粉々に砕け散った。陽光を反射して、欠片がキラキラと光る。
その向こう側に男が一人、佇んでいた。真白なキトンの上に着た紫のヒマティオンが艶やかに揺れている。キトンの裾にある金の飾り帯が見える度に煌めいた。
男の薄い桃色の瞳と目が合って、シルヴィは息を飲んだ。その瞳が夢と同じように、うっとりと弧を描いていく。
「なん、で……?」
夢だった。あれは、ただの夢であった筈なのに。触れ合っている部分から伝わるルノーのぬくもりが、ここを現実だとシルヴィに告げた。
男とは対照的に、ルノーの瞳が明確な怒気を宿して鋭く細まる。怯えた様子で震えるシルヴィを安心させるように抱き締める腕に力を込めた。
「ここは王宮だぞ!! どうやって侵入した!!」
「お下がりください、殿下! 危険です!」
「ルノー様の魔法防壁を砕くなんて!!」
「……嘘でしょ~。何で?」
全員無事であったようだ。その事実に、シルヴィは少し落ち着きを取り戻す。一人じゃない。ここには皆がいる、と。
「人間、ではないね」
ルノーの言葉に、シルヴィだけではなくフレデリクやアレクシ、ジャスミーヌが戸惑った顔になる。どこからどう見ても人間に見えたからだ。
「では、魔物なのか?」
「いいえ。あれは、おそらく――精霊」
耳馴染みのないそれを理解するのに一瞬、妙な間が空く。フレデリクの「精霊!?」という声は裏返っていた。
「何故、この国にそのような存在が!?」
「分かりませんよ、当人以外には」
嫌そうにルノーが眉根を寄せた。そのあからさまな嫌悪に、魔物と精霊は仲が悪いようだと周りは察する。
「初めて見ましたわ」
「あぁ、俺もだ。この国では精霊召喚師になれないからな」
「異国の地では、召喚した精霊で魔物を屠ると聞いたことがあります」
「わたくしもそう聞きました。しかし、人型の精霊がいるなどとは……」
「聞いたことがないな」
場に言い知れぬ緊張感が漂う。初撃以降、全く動かない男が不気味で堪らなかった。
男はルノーの殺気を特に気にした様子もなく、一心にシルヴィを見つめている。当のシルヴィは居心地の悪さに、眉を顰めた。
「あぁ……」
不意に、男が感極まったような吐息を溢した。次いで、片手で顔を覆うと「あぁっ! やっと、だ……。やっと!」などと絞り出すように言う。その様子は、狂喜に近かった。
シルヴィの足に、焦りにも似た不快な何かが纏わりつく。あぁ、不味い。直感がそう告げた。瞬間、指の間から覗いた男の不穏な瞳と目が合う。
「約束通り迎えに来たよ、愛しいナルジス」
まるで熟しすぎた果実のような。ドロドロとした甘ったる過ぎる声が耳元でした。
反射的に、シルヴィはルノーを力の限り突き飛ばす。ルノーの驚きに染まった顔スレスレを風の刃が掠めていった。
逃げる隙もなく、シルヴィの腹部に腕が回り後ろに強く引き寄せられる。ルノーの「シルヴィ!!」という必死な声が耳を打った。
シルヴィに向かって手を伸ばしたルノーの眼前で、忌々しいほどに美しい光が膨れ上がっていく。それが放たれる寸前、「風よ!!」というフレデリクの詠唱が響き渡った。
轟音と共に爆風が吹き荒れる。男はシルヴィを抱え、空中へと浮かび上がった。
「ルノーくん!!」
やっとの思いでシルヴィの口から出たのは、彼の名前だけであった。それに応えるように、爆煙が吹き抜けた風によって晴れる。
フレデリクの魔法が間に合ったようだ。全員がしっかりと立っている。しかし、跳ねた砂や石が掠ったようで所々血が滲んでいた。
「しぶといことだ」
背筋が凍るような声音が後ろから聞こえる。先程とは別人のようなそれに、シルヴィは身を固くした。何を勘違いしたのか「直ぐに済む。心配はいらない」と宥めるように言われる。
「何の騒ぎですか!?」
「みんな無事!?」
「シルヴィ嬢!? 誰だよ、あれ!」
薔薇のアーチを潜って、ガーランドにディディエ、トリスタンが走ってくる。
「ワラワラと……。煩わしい」
苛立たしげにそう吐き捨てた男が、三人に向け手を翳した。瞬きの間に、魔法が放たれる。それを防いだのは、ルノーの魔法防壁だった。
「走れ! 長くは持たない!!」
状況は全く分からなかったが、語気を強めるルノーの様子に異常事態であることだけは脳が理解する。“走れ”という指示に従って、三人は止まり掛けた足を無理やりに動かした。
「ルノー、落ち着けよ。早まるな」
ルノーの背後でバチバチと迸る紺色の魔力は、怒りか殺意か焦りか。再び砕かれた魔法防壁を見て、危険だと判断したのだろう。声を掛けてきたフレデリクに、ルノーは「ふぅー……」と深く息を吐き出す。
「分かっています。……アレクシ」
「っはい!」
「対魔の剣は所持しているね」
「無論です」
ルノーが貸せとばかりに手を出した。アレクシはフレデリクへと視線を遣って、指示を仰ぐ。フレデリクは判断に迷ったように一瞬、目を瞑ったが直ぐに一つ頷いた。
アレクシは鞘ごと剣をルノーへと手渡す。ルノーは受け取るとほぼ同時に、鞘から剣を引き抜いた。鞘をアレクシに向かって投げると、迷いなく男に向かって歩を進める。
「シルヴィに触れるな」
「貴様こそ。私の愛しいナルジスに穢らわしい手で触れてくれるな」
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