プラネット・アース 〜地球を守るために小学生に巻き戻った僕と、その仲間たちの記録〜

ガトー

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5年生 冬休み

自己紹介

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 急いで、ブルーの欠片かけらで出来た心臓を、女の子の傷口に押し込む。
 青く透き通った心臓に血液が満たされ、赤く脈打ち始めた。
 コブシ大の穴はみるみる塞がり、顔色が良くなっていく。

「……ナニ……を……シた……バ、カナ……?!」

 悪魔はもう動けない。信じられない光景を見せつけられ、ただ驚くだけだ。

「ブルー。成功したんだな?」

『うん。もう大丈夫。造血もうまく出来てるし、しばらくすれば血流が無くても直接欠片かけらから体中にエネルギーが届くようになるよ』

 女の子は助かった。良かった。本当に良かった。
 ……ただ、やはり気になるのは。

「で、この子、どうなるんだ?」

 ブルーの言っていた〝僕と同じ様な特性を得てしまう〟とは、どういう事だろう。

『この融合の感じだと、この少女が得るのは〝不老〟と〝超回復〟だ。あと、そこそこの〝耐久性〟かな』

「劣化版、僕?」

『そうだね。キミが今後得るであろう様々な特殊能力も、特定は出来ないが5~6%ぐらいは取得すると思う』

 やっぱりスゴいじゃん。ブルーの欠片、拾っといて良かった。

『……あ、それから、私を認識出来るようになるだろう』

 ブルーが見えるようになるのか?
 それはちょっと微妙だな。右手とか、自分で見ててもわりと気持ち悪いし。

『……気持ち悪くないよ? むしろキレイだし、カッコイイよ?』

 ブルーの自尊心を傷つけてしまったようだ。確かにもう少し見慣れればカッコイイかもね。

『キレイだしね?』

「はいはい。キレイだよ」

 どんだけ自分好きなんだよ。僕にキレイと言われて、ブルーは心なしか満足げだ。

『……ただ。不老は辛いぞ、タツヤ』

 と、急に暗い口調でつぶやくブルー。
 そういう話はよく聞く。
 例えば、周囲の人たちが、みんな年老いて逝ってしまう悲しみに耐えられなくなるとか。
 ……もしかしたら僕は、この子にとんでもない事をしてしまったのかもしれない。
 まぁ僕は、キツくなってから考えることにしようと思っているんだけど。

「私……どうなったの?」

 女の子が目を覚ました。服が破れているのに気付き、慌てて両手で隠す。
 そういえば胸部だった。僕も慌てて目をそらす。

「よ、良かった。痛い所は無い?」

「う、うん。大丈夫」

 それにしても……
 今まで気付かなかったが、とてもした服装だ。
 というか、上から下までブカブカじゃないか。まるで大人の服を着たような……
 そして、かなりの美少女だ。
 まあ、それに関しては初めて見た時に気付いていたが。
 肩まである長い髪にくりっと二重ふたえの瞳。大人になったら、絶対、美人になるぞ。

「……あ、そういえば〝不老〟って、まさか僕たちずっとこの歳のままなのか?」

 永遠に小学生? それはちょっと困るな。

『心配は要らない。肉体が完成するまでは普通に成長するよ。そこから老いなくなる。人間で言うと、20歳~24歳くらいかな』

 良かった。さすがにこの体のままだと色々と問題がある。
 ……この子が美人になるのも見てみたいし、ね。

「私、確か……奴に攻撃されて……」

 女の子は、服に空いた穴を確認してこちらを見た。

「あなた、これ、どうやったの? こんな強力な回復魔法、見た事無い」

 魔法……やっぱりそうか。さっきの悪魔も〝結界〟とか〝魔道士〟とか言ってたし。

「それは魔法じゃなくてね。えっと……何だっけ、ブルー?」

『自然の力、かな?』

「ふむ。やっぱ凄いな、自然の力って」

 不思議そうに、こちらを見ている女の子。
 そして思い出したように辺りを見回す。

「……奴はどこ?!」

 部屋の端に転がっている悪魔の存在に気付いて、立ち上がろうとする。

「多分もう動けないと思うから大丈夫」

「ダメ! 奴は油断ならない!」

 そう言うと女の子は小さい声で、聞いたことのない言葉を喋り始めた。

「HuLex UmThel FiR iL」

 突然、女の子の頭上に小さい火の玉が現れ、次の瞬間、悪魔に命中した。
 か細い断末魔と共に悪魔は炎に包まれ、やがて灰になった。
 ペタンと座り込む女の子。やはりまだ、体力は完全に回復していないみたいだ。

「すごい。火が出た!!」

『不思議な現象だ。何か特殊な方法で、自然界のエネルギーを操作しているのかな』

 かなり興味ありげなブルー。

「魔法の事、知らなかったのかブルー」

『私も〝全知全能〟というわけではない。この世には、私の意識が及ばない事象など、一杯あるんだよ』

「ふうん。そうなのか」

『そうだね。まあ地球は眠らないけど〝意識が向かない〟時とか場所はある』

「あ……貴方! その手は何なの?! 何で手と話してるの?!」

 女の子が、僕の顔と右手を交互に見て驚く。
 ブルーの声にも、透けて見える右手にも気付いているようだ。

『やはり私を認識できるようになったね』

「自己紹介しようか、ブルー」

 僕は右のてのひらを女の子に見せる。

『私はブルー。地球の意思であり、地球そのものだ』

「僕は、内海達也うつみたつや。地球の寿命を延ばすボランティアをしてる」

『アハハ。タツヤ、それは面白いね』

 女の子は、少しだけ不思議そうな表情で、可愛らしく首を傾げている。
 ……もっとキチンと説明しないと、分かる訳無いよね。

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