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5年生 冬休み
神の力
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『面白いね! 奇跡的だ!』
ブルーは、ひとしきり驚いたあと、とても嬉しそうにしている。
っていうか、テンション上げ上げ状態。
「救星特異点って、そんなに珍しいのか?」
『タツヤ、キミはもっと自覚を持って欲しい。ひとつの星に特異点が2人も居るなんて、まさにミラクルだ!』
ブルーが興奮を隠せない様子で続ける。
『〝歴史〟は極めて頑丈だ。それをねじ曲げられるというのは……そうだね。キミ達に分かりやすく例えるなら〝神〟だ』
「私にも、そんなスゴい力が……?」
彩歌が神妙な面持ちで呟いた。
『アヤカ。この星を守るためには、キミの助けが必要だ』
散々燥いでいたブルーが、急に落ち着いた口調で彩歌に問い掛ける。
『タツヤと共に、どうかこの星を救って貰えないだろうか』
ブルーは、星の終わりが近付いている事、15年後ではなく、至る所に分岐点があり、導き手の正しい選択によって星の破壊を回避できる事などを彩歌に説明した。
「でも、私なんかが、本当に役に立つのかしら……」
彩歌は、少し不安そうにしている。
そりゃ、いきなり〝地球が壊れるから救え〟とか言われても困るだろう。
……僕? えっと、僕は……何でだろう。〝壊れる所〟を見ちゃったから、かな。
『アヤカ。恐らくキミは、タツヤがここへ来なければ、悪魔に襲われ絶命していた筈だ』
「……あ!」
彩歌は、ハッとして息を呑む。
『キミの危機を察知できたのは〝キミを救う事で私の寿命が延びる〟と気付いたからなんだ。だからアヤカ。キミは間違い無く〝星を救う存在〟だよ』
ブルーが優しい口調で、ハッキリと言い切った。
それを聞いた彩歌は、決意を込めた表情で頷く。
「……私は、どうすればいいの?」
『星の運命には、大きく破滅へと向かう〝分岐点〟がある。余程の事がない限り、それまでは自由に過ごしていてくれて構わない。連絡手段を用意しよう。ちょっと待って欲しい』
数秒の沈黙。僕と彩歌は顔を見合わせる。
『……よし。これでいい。タツヤ、ちょっと手のひらに力を込めて、アヤカを思い浮かべてみてくれないか。あ、もちろん右手だよ?』
「力を込めるって……こうかな?」
僕は言われた通り、彩歌の顔を思い浮かべ、右手のひらにグッと意識を集中した。
『そのまま喋ってみて』
「えっと? あー、あー、あいうえおー!」
僕が喋ると、彩歌が急に、胸のあたりを押さえた。
「きゃあっ! な、何で?!」
「どうした、彩歌さん!?」
「体の中から、達也さんの声が聞こえる!」
スゴいなブルー! これは便利だ。
『うまく通じたようだね。逆もやってみよう。アヤカ。タツヤを思い浮かべて、心臓に力を込めてから喋るんだ』
「ブルー。心臓に力を込めるって、難しくないか?」
『そう? まあ、そこら辺は、適当でなんとかなると思うよ』
相変わらずアバウトだな。
「えーっと……達也さん、聞こえますかー?」
彩歌が喋ると、僕の右手のひら……ブルーから、彩歌の声が響いた。
「聞こえた! ナイス彩歌さん!」
『ちなみに、この会話は私が中継しているので普通の人間には認識する事が出来ない』
それはいい。ナイショ話も自由自在だ。あ、ブルーには聞かれてるのか……
『さて。タツヤはこのまま普通に生活を続けていく事になる』
そうだった。小学生をもう一度やり直すのか。
「彩歌さんはどうするの?」
「私は一度、魔界へ帰らなきゃ……」
『面白いね! アヤカ、私もお邪魔させて頂けないだろうか』
ブルーの興味が尽きないようだが、とりあえずスルーしておく。
というか……
「魔界?! 彩歌さん、魔界に住んでるの?!」
「魔界には、魔道士たちの町があるの。こちらの世界に悪魔が入ってこないように、魔界からの入り口に城塞都市を作って、大勢の魔道士が交代で見張っているのよ」
ファンタジーが止まらないな。魔界の城塞都市……! 僕も行ってみたい!
「私は丁度、非番でこちらに来ていたの。あの悪魔は見張りを上手くすり抜けて、私を追って来たみたいね」
そして、襲われたのか。
「皆が心配していると思うから、帰って事情を説明しなきゃ」
『アヤカ。分かっていると思うけど……』
「ええ。秘密は絶対に守るわ。口は堅いのよ、私」
彩歌は、拳で胸をポンと叩いて、ニッコリ笑う。
「さあ! それじゃ、魔法でこの部屋とオトナたちの記憶を、良い感じにイジっちゃいますか!」
そう言うと、彩歌は両手を高く振り上げて、呪文を唱え始めた。
ブルーは、ひとしきり驚いたあと、とても嬉しそうにしている。
っていうか、テンション上げ上げ状態。
「救星特異点って、そんなに珍しいのか?」
『タツヤ、キミはもっと自覚を持って欲しい。ひとつの星に特異点が2人も居るなんて、まさにミラクルだ!』
ブルーが興奮を隠せない様子で続ける。
『〝歴史〟は極めて頑丈だ。それをねじ曲げられるというのは……そうだね。キミ達に分かりやすく例えるなら〝神〟だ』
「私にも、そんなスゴい力が……?」
彩歌が神妙な面持ちで呟いた。
『アヤカ。この星を守るためには、キミの助けが必要だ』
散々燥いでいたブルーが、急に落ち着いた口調で彩歌に問い掛ける。
『タツヤと共に、どうかこの星を救って貰えないだろうか』
ブルーは、星の終わりが近付いている事、15年後ではなく、至る所に分岐点があり、導き手の正しい選択によって星の破壊を回避できる事などを彩歌に説明した。
「でも、私なんかが、本当に役に立つのかしら……」
彩歌は、少し不安そうにしている。
そりゃ、いきなり〝地球が壊れるから救え〟とか言われても困るだろう。
……僕? えっと、僕は……何でだろう。〝壊れる所〟を見ちゃったから、かな。
『アヤカ。恐らくキミは、タツヤがここへ来なければ、悪魔に襲われ絶命していた筈だ』
「……あ!」
彩歌は、ハッとして息を呑む。
『キミの危機を察知できたのは〝キミを救う事で私の寿命が延びる〟と気付いたからなんだ。だからアヤカ。キミは間違い無く〝星を救う存在〟だよ』
ブルーが優しい口調で、ハッキリと言い切った。
それを聞いた彩歌は、決意を込めた表情で頷く。
「……私は、どうすればいいの?」
『星の運命には、大きく破滅へと向かう〝分岐点〟がある。余程の事がない限り、それまでは自由に過ごしていてくれて構わない。連絡手段を用意しよう。ちょっと待って欲しい』
数秒の沈黙。僕と彩歌は顔を見合わせる。
『……よし。これでいい。タツヤ、ちょっと手のひらに力を込めて、アヤカを思い浮かべてみてくれないか。あ、もちろん右手だよ?』
「力を込めるって……こうかな?」
僕は言われた通り、彩歌の顔を思い浮かべ、右手のひらにグッと意識を集中した。
『そのまま喋ってみて』
「えっと? あー、あー、あいうえおー!」
僕が喋ると、彩歌が急に、胸のあたりを押さえた。
「きゃあっ! な、何で?!」
「どうした、彩歌さん!?」
「体の中から、達也さんの声が聞こえる!」
スゴいなブルー! これは便利だ。
『うまく通じたようだね。逆もやってみよう。アヤカ。タツヤを思い浮かべて、心臓に力を込めてから喋るんだ』
「ブルー。心臓に力を込めるって、難しくないか?」
『そう? まあ、そこら辺は、適当でなんとかなると思うよ』
相変わらずアバウトだな。
「えーっと……達也さん、聞こえますかー?」
彩歌が喋ると、僕の右手のひら……ブルーから、彩歌の声が響いた。
「聞こえた! ナイス彩歌さん!」
『ちなみに、この会話は私が中継しているので普通の人間には認識する事が出来ない』
それはいい。ナイショ話も自由自在だ。あ、ブルーには聞かれてるのか……
『さて。タツヤはこのまま普通に生活を続けていく事になる』
そうだった。小学生をもう一度やり直すのか。
「彩歌さんはどうするの?」
「私は一度、魔界へ帰らなきゃ……」
『面白いね! アヤカ、私もお邪魔させて頂けないだろうか』
ブルーの興味が尽きないようだが、とりあえずスルーしておく。
というか……
「魔界?! 彩歌さん、魔界に住んでるの?!」
「魔界には、魔道士たちの町があるの。こちらの世界に悪魔が入ってこないように、魔界からの入り口に城塞都市を作って、大勢の魔道士が交代で見張っているのよ」
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「私は丁度、非番でこちらに来ていたの。あの悪魔は見張りを上手くすり抜けて、私を追って来たみたいね」
そして、襲われたのか。
「皆が心配していると思うから、帰って事情を説明しなきゃ」
『アヤカ。分かっていると思うけど……』
「ええ。秘密は絶対に守るわ。口は堅いのよ、私」
彩歌は、拳で胸をポンと叩いて、ニッコリ笑う。
「さあ! それじゃ、魔法でこの部屋とオトナたちの記憶を、良い感じにイジっちゃいますか!」
そう言うと、彩歌は両手を高く振り上げて、呪文を唱え始めた。
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