14 / 264
5年生 冬休み
王子様
しおりを挟む
「さて、と。大変な事になっちゃったわね」
私は藤島彩歌。魔界の城塞都市から来た魔道士。
せっかくのお休みだったのに、まさか悪魔に襲われるなんて思わなかったわ。
……こんな事なら、恵理子の〝占い〟を信じていれば良かったのかも。
>>>
「今週のアヤは……うわ、何だろ。こんな色、見たことないし! 〝ピンク〟と〝灰色〟が、混ざり切らずにグチャグチャしてる……」
〝水晶玉〟をのぞき込んで半笑いのこの子は、木崎恵理子。小学校からの腐れ縁で、今現在も、城塞都市守備隊の同僚だ。
「何で? ここでどうやったら〝青〟が出てくるの? スゴいスゴい!」
恵理子は、ひとりで勝手にエキサイトしている。
ちょっと。人を勝手に占って、遊ばないでくれるかしら?
「恵理子ぉー。あなたの占いって的中率いくつだっけ?」
「えー? この夏に測った時で、たしか72.8かなー?」
「微妙なのよね。信じていいのか怪しんでいいのか。もうちょっと練習すればいいのに」
私から見れば、的中率72.8は驚異的な数値なんだけど。
「えへ。65超えれば、占い師で食べていけるから良いじゃん! ……で、続き聞く? 聞かない?」
恵理子が、ニヤリに近い笑みを浮かべる。
もう! 途中でやめられたら、余計に気になるじゃない。
「……聞かせて頂きます」
私の言葉に、恵理子は勝ち誇ったように笑って返してから、水晶玉に手をかざした。
施術者じゃない私には何も見えないけど、恵理子には水晶に映る様々な情報が見えており、それをじっくりと読み取っていく。
「うーん。とてつもなく悪い暗示を、それよりもっと良い暗示が打ち消しているみたいね。キーワードには〝心臓〟とか〝星〟あと……〝王子様〟?! ちょっと! アヤ、王子様だって!」
「〝タマゴ様〟とかの間違いじゃないの? で、それって結局、私、どうすれば良いのよ?」
とてつもなく悪い暗示なんて有り得ないのよね。
魔界に居るならまだしも、私このあとすぐ、超安全な〝アガルタ〟に行くんだけど?
……まあ良いわ。それは百歩譲って当たったとしても、何よ〝王子様〟って! 今回の占いは、悪いけど当たらないわね。
「アヤ、結果的には良い暗示になっているけど、その前に悪い要素が大き過ぎ。安全を重視するなら、家でジッとしていた方がいいと思うよ?」
>>>
「王子様……か」
内海達也さん。この星を救う人。
彼に出会えたのだから、こちらに来たのは大正解。子どもに戻っちゃったり、不老になっちゃたりしたけど、それも、前向きに考えよう。
「……んんん? ちょっと待って。良い事ばかりじゃない? 若返って、永遠の命と色々な能力を得るだなんて」
あれあれ? なんで達也さんは、あんなに謝っていたんだろう。
例えば、私がまだ〝不老〟を手に入れていないとして、ウチの家系に伝わる、いまだ完成していない〝不老長寿の秘術〟が、もし完成したら、私は真っ先に自分に使うわ。というか、魔界人なら、誰もが永遠の命を求めると思う。
「こっちの世界は、平和ね……」
トボトボと、海沿いの道を歩く。
ときどき通る〝自動車〟にさえ気を付ければ、命を落とす事などめったに無い世界。これが魔界なら、とっくに魔物に襲われているわ。
そんな危険な世界に住めば、命に貪欲になる。死にたくないから、強くならなければならない。だから、達也さんとブルーには、感謝しかない。
「次に会ったら、あらためてお礼を言わなくちゃね。王子様……か」
恵理子め。家でじっとしてろだなんて! 帰ったらもっと占いの練習をするように言ってやろう……
「……恵理子、驚くだろうなぁ」
恵理子だけじゃない。お父さんもお母さんも、同僚も、きっと驚くだろう。だっていきなりこんな姿だし。
……守備隊だって、子どもの体じゃ在籍出来るかどうか分からない。
いくらパワーアップしても、子どもの姿では色々と問題がある。
「ずっと歩いているけど、全然疲れないし、体が軽いわ! 魔法のレベル自体は下がっていたけど、魔力も勝手に回復するし、体は頑丈だし。弱体される前とは比べられない位、強くなっているわね、私」
かと言って、この力は誰にも見せられない。そういう約束だから。
つまり〝子どもにされた貧弱な魔道士〟を演じなければならないという事だ。
守備隊に、そんな人員は要らない。
「どうなっちゃうのかな。私」
海岸線の道は、無駄に真っ直ぐで、変化がない。そして、目的地の〝魔界の門〟は、まだまだ遠い。
〝たくしい〟という乗り物に乗れば、指定した場所まで、有料で移動できるはずだけど……
行き交う自動車が、とても少ない〝新年〟の〝早朝〟に、偶然〝たくしい〟が通り掛かる事も無いだろう。
「ど、ど、どうしたの?」
不意に、白い大きな車が私の横に停まり、運転席から見知らぬ男性が声を掛けてきた。
「お嬢さん、こんな時間にひ、ひとりで歩いてたら、あ、危ないよ? 車で送ってあ、あげようか?」
ええっ?! 見た所〝たくしい〟でもないのに、私を乗せてくれるの?
こっちの世界の人は、なんて親切なんだろう!
「ありがとうございます! でも、本当にいいのですか?」
男性は、よく分からないけど、スゴく嬉しそうに笑う。
「も、も、も、もちろんだよ! さ、さあさあ、乗って!」
男性の隣の席に乗せてもらい、言われるがままに〝シートベルト〟を締める。
そして、車はゆっくりと走り出した。
>>>
もうすぐ、魔界の門に到着する。
たしか、この先を右に……あれ? なんで真っ直ぐ行っちゃうの?
って、どうしたんだろう。スゴく呼吸が荒いわ、この人。
「あの、すみません。今の曲がり角を右に……」
「あ、ああ、ごめんね。ま、ま、間違えちゃったかな」
そっか。間違えちゃったか。
あるある、そういう事。ちょうど私も、そろそろかなと思っていたし、ね。
私は、信号で停まるのを待って、呪文を唱えた。
「HuLex UmThel PaRAlis iL」
>>>
魔法で男性を眠らせて、記憶を消した。
車を降りてパチンと指を鳴らし、解呪すると、男性は不思議そうな表情をしていたが、後ろから来た車のクラクションに急かされて、走り去っていった。
門の位置を知られるのはちょっと良くないのよね」
少し歩くと、見覚えのある場所にたどり着いた。良かった、間違えてなかった。
私は無骨なコンクリート製の建物に入り、着替えの呪文を唱える。
「HuLex Thel cloT Ne」
地味な色のローブに、とんがり帽子。
アガルタの服も好きだけど、やっぱり私はこっちの方が落ち着く。
それ以前に、城塞都市をあの格好で歩いてたら、ちょっと目立ってしまうわ。
目の前には、魔界へと繋がる門。
……さて、と。色々と忙しくなりそうだけど、さっさと片付けて来ましょうか。
「待っててね、王子様! ……ふふ。なんちゃって」
私は藤島彩歌。魔界の城塞都市から来た魔道士。
せっかくのお休みだったのに、まさか悪魔に襲われるなんて思わなかったわ。
……こんな事なら、恵理子の〝占い〟を信じていれば良かったのかも。
>>>
「今週のアヤは……うわ、何だろ。こんな色、見たことないし! 〝ピンク〟と〝灰色〟が、混ざり切らずにグチャグチャしてる……」
〝水晶玉〟をのぞき込んで半笑いのこの子は、木崎恵理子。小学校からの腐れ縁で、今現在も、城塞都市守備隊の同僚だ。
「何で? ここでどうやったら〝青〟が出てくるの? スゴいスゴい!」
恵理子は、ひとりで勝手にエキサイトしている。
ちょっと。人を勝手に占って、遊ばないでくれるかしら?
「恵理子ぉー。あなたの占いって的中率いくつだっけ?」
「えー? この夏に測った時で、たしか72.8かなー?」
「微妙なのよね。信じていいのか怪しんでいいのか。もうちょっと練習すればいいのに」
私から見れば、的中率72.8は驚異的な数値なんだけど。
「えへ。65超えれば、占い師で食べていけるから良いじゃん! ……で、続き聞く? 聞かない?」
恵理子が、ニヤリに近い笑みを浮かべる。
もう! 途中でやめられたら、余計に気になるじゃない。
「……聞かせて頂きます」
私の言葉に、恵理子は勝ち誇ったように笑って返してから、水晶玉に手をかざした。
施術者じゃない私には何も見えないけど、恵理子には水晶に映る様々な情報が見えており、それをじっくりと読み取っていく。
「うーん。とてつもなく悪い暗示を、それよりもっと良い暗示が打ち消しているみたいね。キーワードには〝心臓〟とか〝星〟あと……〝王子様〟?! ちょっと! アヤ、王子様だって!」
「〝タマゴ様〟とかの間違いじゃないの? で、それって結局、私、どうすれば良いのよ?」
とてつもなく悪い暗示なんて有り得ないのよね。
魔界に居るならまだしも、私このあとすぐ、超安全な〝アガルタ〟に行くんだけど?
……まあ良いわ。それは百歩譲って当たったとしても、何よ〝王子様〟って! 今回の占いは、悪いけど当たらないわね。
「アヤ、結果的には良い暗示になっているけど、その前に悪い要素が大き過ぎ。安全を重視するなら、家でジッとしていた方がいいと思うよ?」
>>>
「王子様……か」
内海達也さん。この星を救う人。
彼に出会えたのだから、こちらに来たのは大正解。子どもに戻っちゃったり、不老になっちゃたりしたけど、それも、前向きに考えよう。
「……んんん? ちょっと待って。良い事ばかりじゃない? 若返って、永遠の命と色々な能力を得るだなんて」
あれあれ? なんで達也さんは、あんなに謝っていたんだろう。
例えば、私がまだ〝不老〟を手に入れていないとして、ウチの家系に伝わる、いまだ完成していない〝不老長寿の秘術〟が、もし完成したら、私は真っ先に自分に使うわ。というか、魔界人なら、誰もが永遠の命を求めると思う。
「こっちの世界は、平和ね……」
トボトボと、海沿いの道を歩く。
ときどき通る〝自動車〟にさえ気を付ければ、命を落とす事などめったに無い世界。これが魔界なら、とっくに魔物に襲われているわ。
そんな危険な世界に住めば、命に貪欲になる。死にたくないから、強くならなければならない。だから、達也さんとブルーには、感謝しかない。
「次に会ったら、あらためてお礼を言わなくちゃね。王子様……か」
恵理子め。家でじっとしてろだなんて! 帰ったらもっと占いの練習をするように言ってやろう……
「……恵理子、驚くだろうなぁ」
恵理子だけじゃない。お父さんもお母さんも、同僚も、きっと驚くだろう。だっていきなりこんな姿だし。
……守備隊だって、子どもの体じゃ在籍出来るかどうか分からない。
いくらパワーアップしても、子どもの姿では色々と問題がある。
「ずっと歩いているけど、全然疲れないし、体が軽いわ! 魔法のレベル自体は下がっていたけど、魔力も勝手に回復するし、体は頑丈だし。弱体される前とは比べられない位、強くなっているわね、私」
かと言って、この力は誰にも見せられない。そういう約束だから。
つまり〝子どもにされた貧弱な魔道士〟を演じなければならないという事だ。
守備隊に、そんな人員は要らない。
「どうなっちゃうのかな。私」
海岸線の道は、無駄に真っ直ぐで、変化がない。そして、目的地の〝魔界の門〟は、まだまだ遠い。
〝たくしい〟という乗り物に乗れば、指定した場所まで、有料で移動できるはずだけど……
行き交う自動車が、とても少ない〝新年〟の〝早朝〟に、偶然〝たくしい〟が通り掛かる事も無いだろう。
「ど、ど、どうしたの?」
不意に、白い大きな車が私の横に停まり、運転席から見知らぬ男性が声を掛けてきた。
「お嬢さん、こんな時間にひ、ひとりで歩いてたら、あ、危ないよ? 車で送ってあ、あげようか?」
ええっ?! 見た所〝たくしい〟でもないのに、私を乗せてくれるの?
こっちの世界の人は、なんて親切なんだろう!
「ありがとうございます! でも、本当にいいのですか?」
男性は、よく分からないけど、スゴく嬉しそうに笑う。
「も、も、も、もちろんだよ! さ、さあさあ、乗って!」
男性の隣の席に乗せてもらい、言われるがままに〝シートベルト〟を締める。
そして、車はゆっくりと走り出した。
>>>
もうすぐ、魔界の門に到着する。
たしか、この先を右に……あれ? なんで真っ直ぐ行っちゃうの?
って、どうしたんだろう。スゴく呼吸が荒いわ、この人。
「あの、すみません。今の曲がり角を右に……」
「あ、ああ、ごめんね。ま、ま、間違えちゃったかな」
そっか。間違えちゃったか。
あるある、そういう事。ちょうど私も、そろそろかなと思っていたし、ね。
私は、信号で停まるのを待って、呪文を唱えた。
「HuLex UmThel PaRAlis iL」
>>>
魔法で男性を眠らせて、記憶を消した。
車を降りてパチンと指を鳴らし、解呪すると、男性は不思議そうな表情をしていたが、後ろから来た車のクラクションに急かされて、走り去っていった。
門の位置を知られるのはちょっと良くないのよね」
少し歩くと、見覚えのある場所にたどり着いた。良かった、間違えてなかった。
私は無骨なコンクリート製の建物に入り、着替えの呪文を唱える。
「HuLex Thel cloT Ne」
地味な色のローブに、とんがり帽子。
アガルタの服も好きだけど、やっぱり私はこっちの方が落ち着く。
それ以前に、城塞都市をあの格好で歩いてたら、ちょっと目立ってしまうわ。
目の前には、魔界へと繋がる門。
……さて、と。色々と忙しくなりそうだけど、さっさと片付けて来ましょうか。
「待っててね、王子様! ……ふふ。なんちゃって」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
