プラネット・アース 〜地球を守るために小学生に巻き戻った僕と、その仲間たちの記録〜

ガトー

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5年生 冬休み

まりも屋

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「おじさん、僕、カツ丼!」

 随分ずいぶん迷ったが、今日はやっぱり、オムライスよりカツ丼って気分だな。

「僕は、冷やしラーメンでお願いします」

 うわっ! 懐かしっ!

「この時期でも、やっぱりそれ頼むの?」

 栗っちは〝まりも屋〟に来ると、必ず〝冷やしラーメン〟を注文する。
 ここのオリジナルメニューで、冷やし中華ではなく、スープが冷たいだけで普通のラーメンという、掟破おきてやぶりな一品だ。

「だって、美味しいんだもん。たっちゃんも、試しに食べてみればいいのに」

「ん~、美味しいのは分かるんだけど、冬だぜ~?」

 それに、オムライスと、カツ丼の、ツートップをはじめとする強豪たちを差し置いて、他の物を注文するなんて、僕には出来ない。ちなみに、次点はカツカレーとなっている。

「お茶、冷たいのと暖かいの、どっちにする?」

 店員のおばちゃんが聞いてくれたので、僕たちは同時に「冷たいの!」と答える。

「ほら、たっちゃんだって、冬なのに冷たいのじゃない」

「僕、食事の時は、冷たい飲み物派だから」

「おんなじだよー! 僕だって、ラーメンは冷たい派なんだ」

「何だよ、その派閥。冷たいラーメンなんて、まりも屋だけだろー?」

 とか言っている内に、くだんの冷やしラーメンが運ばれてきて、テーブルに置かれた。スープには、氷が浮かべられている。この氷、やっぱオールシーズン入ってるんだ……

「冷めちゃうから、先にいただくね」

「あ、どうぞどうぞ……って、それ以上、冷めないだろ!?」

『あはは、面白いね』

「やった! ブルーさんにウケたー!」

 喜んで頂けて嬉しいが、何やってんだ〝地球の意思〟と〝救世主〟!
 ……厨房から、カツを揚げる音が聞こえているので、カツ丼は、もうちょっと後だな。

「まだみたいだから、先に食べててよ、栗っち」

「ううん。たっちゃんのが来てからにしよう」

 いや、見てるだけで寒いんだ、冷やしラーメン。
 ……でも、やっぱ優しいな、栗っちは。

「あ……見てるだけで寒いの? ごめん。すぐに食べちゃうから……」

 精神感応せいしんかんのうキターー! 心を読まないでえええ!

「いやいやいやいや! 一緒に食べよう! 食べたいなー! 一緒に!」

「そう? じゃ、待つね」

 微笑ほほえむ栗っち。無心だ。何も考えずに待つんだ! 無心無心無心……

「無心なの?」

 考えてたーーー! 無心のつもりが〝無心〟って、心でつぶやいてたーーー!!

「えへへ。なんてね……ごめん、なんとなく、わかっちゃうんだ」

『タツヤ。キミの思考は、私にもおおむね伝わっている。今更、恥ずかしがっても無意味だ』

 やっぱりか。たまに、僕の頭の中の言葉に返事してるもんな。

「栗っちの能力にあらがいようがないのは、よくわかったよ。思い出してみると、昔から、色々感づかれてた気がするもんなぁ」

「今まで気にしてなかったけど、これが僕の力なんだね……」

『そうだカズヤ。そのうちキミは、人間の思考だけでなく、万物の意志が、全て読み取れるようになるだろう』

「それ、超、救世主っぽいな! もう、ほぼ神様じゃん」

『タツヤ。救世主は〝神様候補〟だよ』

 マジか。そう言えばさっき、神化がどうとか言ってたな。

「はい、カツ丼お待たせ!」

 とか話している内に、来た来た! 愛しのカツ丼ちゃん! 待ってました~!

「いつ見ても、凄いボリュームだよね」

 栗っちの言うとおり、まりも屋の〝ご飯系メニュー〟は、どれも大盛りだ。

「うん、僕のラーメンは普通なのにねー」

 温度は氷点だけどな。
 ちなみに、まりも屋には、もちろん普通のラーメンとか、うどんもあるし、種類も豊富だ。

「あー、そういえば、前に一度、冷やしうどんを頼んだら、蒸籠せいろに乗った、ざるそばタイプのうどんが出てきて、そういえばそうだよねって思ったよ」

『アハハ、カズヤ、それは面白いね!』

 でも何故か、カレーも、オムライスも、チャーハンも、定食に付いてくるご飯も、とにかく米が絡むと、ビッグサイズなのだ。

「たっちゃんは昔から、たくさん食べる方だから、頼むのはご飯物だよね」

 このカツ丼も、フタをしてあるのが無意味なほどに、カツがハミ出している。
 というか、下手したら、フタの存在感が無さ過ぎて、気付かずフタから食べそうなぐらいだ。

「ははは! たっちゃん! それはさすがに無いでしょー!!」

『アハハ! 最高だ! タツヤ!』

「おーーい! ちょっと! 栗っち、ブルー!!」

「どうしたの?」

『何だい、タツヤ』

「なんでさっきから、僕の〝心の声〟と会話するんだ! 全く違和感がなくて、ツッコむのが遅くなったじゃないか!!」

「あ……あれ? いつの間に……」

『私は以前からこんな感じだろう? それが2人になったと思って欲しい』

 〝思って欲しい〟じゃないよ、まったく! 僕のプライバシー、侵害されまくりだな。

「ごめんよ、プライバシーの侵害はダメだよね」

『すまないタツヤ。キミのプライバシーは、極力、守って行きたいと思っている』

「はいはいはいはい! たった今、侵害してるから! 僕はひと言も〝プライバシー〟って言葉、声に出してないからな!」

「えっ?! 本当に?! ごめん、本当に自然にわかっちゃって……」

『私は、わざとだ。タツヤは面白いな!』

「ブルーはアウトだ。後で説教してやる!」

 僕は、巨大なカツの上に、ちょこんと乗っている、フタを取った。

「とにかく食べようか。栗っち、待ってくれて、ありがと!」

「いえいえ、どういたしましてー!」

 僕は久し振りに、まりも屋のカツ丼に舌鼓したつづみを打った。そして何より、友達と食べる食事の嬉しさが、心に染みた。次は、大ちゃんも誘おうかな。

「そうだね! 大ちゃんも誘えばよかったなー!」

『タツヤ……小学生は〝舌鼓〟などとはあまり言わないぞ。気をつけるといい』

 ほらああああ! もおおおおおっ!!!

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