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5年生 冬休み
パペットマスター
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両親にも、妹にも、ご飯を食べに来た大ちゃんにも気付かれずに、まる2日。
『もう完全に、ぎこちなさも無くなったね、タツヤ』
僕は土人形と入れ替わったまま過ごしている。
地下室に居る僕の心配はいらない。なぜなら、僕に食事は必要ないから。このまま潜っていろと言われれば、地球滅亡まで潜っていられるぞ?
『それは、そんな遠い未来じゃないよ』
「そうだった。地球を救わなきゃ、オチオチ地底で隠居生活も出来ないな」
土人形は食事や会話等、全ての事を僕のようにこなせるので、全く問題なかった。
「ちょっとだけ、コツを掴むのに苦労したな」
一日目は、喜怒哀楽を表現するのに手こずった。しゃべることは出来ても、咄嗟に笑ったり、怒ったりする時は、つい本体の方が動いてしまう。
『普通は出来ないんだよタツヤ。利き手とは逆の手で、普通に生活しているような物だ』
それは無理だ。中学時代に右手を骨折した時は、死ぬほど不便だった。
『学校へも、土人形に行かせるのかい?』
「いや、学校は僕が行くよ」
明日から新学期だ。人形での学校生活も練習しなければならないけど、しばらくは僕自身で登校したい。
「でもこれなら、夜の間は入れ替わって地下で色々と出来るよな」
『そうだね。今後習得するキミの能力には、練習が必要なものが多い。夜間はここでそれらを鍛えるといい』
もう少しで、自分自身と土人形、同時に動かせそうな気がする。
今、人形はリビングでテレビを見つつ、僕自身は地下室奥の練習場でバック転の練習をしている。
『タツヤ、土人形では出来ているのに、なぜ本体が出来ないんだ。キミは面白いな』
どうやら、僕の土人形の操作技術は天才的らしい。
「う~ん、人形を手に持って、その人形にバック転させてるみたいな感覚なんだよ。すごく簡単だったぞ?」
『〝自分の体〟の操作の方が、格段に簡単なはずなのだが……』
ちなみに僕は、人形の作成技術もスゴイらしい。そういえば、いきなり、彩歌人形を作ったっけ。
「なあ、ブルー、人形を2体以上作るのって難しいのか?」
『それは大変な技術だ。凄まじい集中力と、熟練度を要する』
んー。なんか、出来そうな気がするんだよな。
「ちょっとやってみていい?」
『待つんだタツヤ。失敗すれば、リビングの人形も、即、崩れるぞ?』
それはマズいな。夜中にやってみるか。
今はとりあえず、バック転の練習に集中しよう。気を抜くと人形がビクンとか動いて、家族に不審がられてしまう。
「それにしても便利だな。テレビを見ながらバック転の練習が出来るなんて」
『タツヤ、その域に達するのは、普通は数ヶ月先のはずなのだが……』
土人形が見ているのはお笑い番組だ。人気急上昇中のピン芸人が、鉄板のネタを披露している。僕としては懐かしの番組を見ている事になるのだが、やはり面白い。自然と笑いが出る。土人形から。
「出来た! バック転成功! この調子で行ってみよう!」
同時に、生まれて初めて、バック転に成功した。人形ではもう何度もやっているのだが。
『本当にすごいなタツヤ。感服したよ』
昼食の時間に差し掛かった。
昨晩、大ちゃんから、無事にご両親が帰宅したと連絡があったので、今日はもう来ないだろう。
食事の後ぐらいには、いつものように栗っちが来ると思う。
『カズヤも、力の使い方がわかってきたようだな』
「真面目で頑張り屋だからな」
栗っちは毎日、この地下室で〝精神感応〟の練習を続けている。
あと、〝念動力〟の練習も始めた。ブルーが作った的を、遠隔で攻撃するのだが、それが実にかっこいい。僕も早く何かそういう技を覚えたいものだ。素手とかじゃなくて。
「よし、バック転は覚えた。最終的には、体操選手みたいに動けるようになりたいな」
『それはいいね。体術を磨けば色々と役に立つ』
「不死身だから、失敗し放題だしな」
バック転の練習も、マット無し、補助なし、知識なしだもんな。普通の人間なら10回は死んでると思う。
「あ、食事が始まるから、ちょっと集中するよ、ブルー」
『そうだな。箸などを使うのは、さすがのキミでも注意が必要だろう』
「ん? いや、せっかくだから味わって食べたいじゃない」
『タツヤ?! まさか、もう味覚もあるのか、キミの土人形!』
「え? 初日の朝ごはんから、美味しく頂いてたんだけど……」
『味覚は、一番必要のない感覚だから、機能するのは本当に後期の筈なのだが』
「ただ単に、僕が食いしん坊ってだけなんじゃない?」
『あはは、それは面白いね、タツヤ』
そういえば、味覚は特に面白い。自分の舌で感じる味とは違って、別の部分で味を認識する感じだ。足の裏で重低音を感じる、みたいな。
『しかし、土人形の練度が急速に上がりすぎだぞタツヤ。ちょっとここに呼んで、調べてみたいね』
「そうなのか。じゃ、食事が終わったら一旦回収しよう」
呼ぶとか回収するとか言ってるけど、操ってるのが自分なんだから、ちょっと間違ってる気がする。表現が難しいな。
「あ、たっちゃん人形だ! 地下室に行くの?」
物置の前で、栗っちと出会った。
栗っちは僕と人形の区別が一瞬でつくようだ。まあ、人形は右手にブルーが居ないしな。
「おー、いらっしゃい!」
人形で挨拶した。
「えへへー。ちょっと待ってね、えい!」
栗っちが手をかざすと、物置が静かにせり上がり、地下室への扉が現れた。
「そういえばこの頃、静かに出てくるよね、扉」
「ああ、苦情が出たからな」
僕から。
「そうなの? あれはあれでかっこ良かったけどね」
栗っちは階段を少し降りると、振り向いて扉を閉めた。
「今日はね、念動力でたっちゃんを飛ばせないか、やってみたいんだけど」
「おお! それ面白そう! やろうやろう!」
「いいの? やったー!」
嬉しそうな栗っち。そういえば、栗っち自身は念動力で飛べないのかな。
『タツヤ、念動力は、自分が支点なので自分自身は動かせない。自分の襟首を掴んで、持ち上げるようなものだ』
ああ、マンガで似たような事を言ってた気がするな。確か、常春の国の王様は、それでも宙に浮いてたが。
『飛行は別の能力だ。キミもその内、使えるようになる』
じゃ、それまでは、栗っちにお願いしよう。
僕人形と栗っちは、練習場の引き戸を開けて中に入った。
「いらっしゃい! ってもう言ったか」
練習場で、僕と土人形が並び立つ。栗っちはそれをニコニコしながら面白そうに見ている。
『さて、タツヤ、ちょっと色々試してみようか』
「了解。何からやる?」
『キミも試したいようだから、2体目、作ってみる?』
「よーし! 見てろよ!」
「たっちゃん、ガンバ!」
僕は床に手を置いた。イメージは栗っちだ。床からもう一体の人形が現れた。
「原寸大栗っち 完成!」
出来上がった土人形は、細部まで栗っちにそっくりだった。
僕の土人形も、崩れずにいる。これは成功だろう。
「うわああ! 僕だ! 僕がいる!!」
大喜びする栗っち。
『本当に作れるとは! 凄いぞタツヤ! しかも2体目でいきなり他人を作るなんて!』
どうやらブルー的には、僕をもう一体、作るはずだったらしい。
「ブルーさん、この人形、僕が操作できるの?」
『変則的なやり方だが、私との通話回線を使ってタツヤとカズヤを繋ぎ、更にタツヤの人形とカズヤの人形を接続して、操作できるようにする』
「ややこしいな。子機に子機を繋ぐみたいな感じか?」
『一度繋いでしまえば、あとは簡単だよ。ただ、直列になるのでタツヤ人形が消えればカズヤ人形は動かせなくなる。あと、人形同士の接続は、かなりイレギュラーな方法なので、あまり距離を開けてはいけない。せいぜい1キロメートル位だろう』
「僕と栗っちの人形はセットなんだな。よくわかった」
学校からここまででも直線距離なら500メートルぐらいだし、1キロも離れられるなら問題はないだろうな。
『では、接続するよ?』
僕の人形から、栗っちの人形に、何かが繋がる感じがした。腕と言うよりは、糸のような。
『接続完了。これでタツヤと同じ条件で、カズヤも動かせるようになった』
「どれどれ? あ、本当だ、動かせる」
カズヤ人形で、ラジオ体操をしてみた。
「あははは! 凄い! 僕が動いてる!」
『タツヤ?! なんでカズヤ人形を操作できるんだ?!』
「なんでって……繋がってるから動かせるんじゃないの?」
細い糸の先に、自分の一部があるイメージだ。問題なく動かせる。僕の人形も並んで体操してみた。これは面白いな。
「あはははは! かわいいね!」
『凄まじい才能だな、タツヤ……。だが、さすがにカズヤ人形まで、キミが自由に出来るのは良くない。回線を秘匿するよ?』
そりゃそうだ。栗っち人形の視界とかも入ってきてるもんな。あ、操作出来なくなった。
『ではあらためて、カズヤ、やってみて』
「うん……えい! やー! それ!」
人形は動かない。
「栗っち、自分の体の一部だと思って動かしてみて」
「むずかしいねー。うー! やー! たー!」
やはり人形は動かない。
『カズヤ、それだ! 普通はそうなんだよ!』
「なんで嬉しそうなんだ、ブルー」
『キミがあまりにスムーズに土人形を習得してしまったからつい』
まあ、普通はそうなんだろうな。何でも飄々とやれてしまう、天才肌の栗っちがピクリとも動かせないんだから。
「確かに繋がってる感じはするんだけど。えい! えい! えい!」
『その感じが解るだけでも凄いことだよ、カズヤ』
「動け! 動け! えいやー!」
掛け声と同時に、人形の腕が上がった!
「おお! やったね栗っち!」
『カズヤ、力みすぎだぞ。今のは念動力だ』
「はは、わかるわかる。頑張れ栗っち!」
「うー。難しすぎるよー! たっちゃん、自由自在に動かせるって凄いね」
「うーん、アドバイスしてあげたいけど、こればかりはちょっと説明しづらいんだよな」
『よしよし、大丈夫だカズヤ。練習を続ければ、その内、動かせるようになる』
「だから、なんで嬉しそうなんだよ」
『言えなかったセリフをやっと言えたんだ。実に晴れ晴れしい』
ストレス解消に栗っちを使うなよな。
「でも、人形をここに置いておけば、僕の家からでも練習できるね」
「僕も夜はここに居るから、練習付き合うよ」
「えへへ、ありがとう! せめて普通に動かせるようにならなきゃね」
ここ数日、暇を持て余していた深夜の過ごし方が決まった。楽しくなりそうだ!
『もう完全に、ぎこちなさも無くなったね、タツヤ』
僕は土人形と入れ替わったまま過ごしている。
地下室に居る僕の心配はいらない。なぜなら、僕に食事は必要ないから。このまま潜っていろと言われれば、地球滅亡まで潜っていられるぞ?
『それは、そんな遠い未来じゃないよ』
「そうだった。地球を救わなきゃ、オチオチ地底で隠居生活も出来ないな」
土人形は食事や会話等、全ての事を僕のようにこなせるので、全く問題なかった。
「ちょっとだけ、コツを掴むのに苦労したな」
一日目は、喜怒哀楽を表現するのに手こずった。しゃべることは出来ても、咄嗟に笑ったり、怒ったりする時は、つい本体の方が動いてしまう。
『普通は出来ないんだよタツヤ。利き手とは逆の手で、普通に生活しているような物だ』
それは無理だ。中学時代に右手を骨折した時は、死ぬほど不便だった。
『学校へも、土人形に行かせるのかい?』
「いや、学校は僕が行くよ」
明日から新学期だ。人形での学校生活も練習しなければならないけど、しばらくは僕自身で登校したい。
「でもこれなら、夜の間は入れ替わって地下で色々と出来るよな」
『そうだね。今後習得するキミの能力には、練習が必要なものが多い。夜間はここでそれらを鍛えるといい』
もう少しで、自分自身と土人形、同時に動かせそうな気がする。
今、人形はリビングでテレビを見つつ、僕自身は地下室奥の練習場でバック転の練習をしている。
『タツヤ、土人形では出来ているのに、なぜ本体が出来ないんだ。キミは面白いな』
どうやら、僕の土人形の操作技術は天才的らしい。
「う~ん、人形を手に持って、その人形にバック転させてるみたいな感覚なんだよ。すごく簡単だったぞ?」
『〝自分の体〟の操作の方が、格段に簡単なはずなのだが……』
ちなみに僕は、人形の作成技術もスゴイらしい。そういえば、いきなり、彩歌人形を作ったっけ。
「なあ、ブルー、人形を2体以上作るのって難しいのか?」
『それは大変な技術だ。凄まじい集中力と、熟練度を要する』
んー。なんか、出来そうな気がするんだよな。
「ちょっとやってみていい?」
『待つんだタツヤ。失敗すれば、リビングの人形も、即、崩れるぞ?』
それはマズいな。夜中にやってみるか。
今はとりあえず、バック転の練習に集中しよう。気を抜くと人形がビクンとか動いて、家族に不審がられてしまう。
「それにしても便利だな。テレビを見ながらバック転の練習が出来るなんて」
『タツヤ、その域に達するのは、普通は数ヶ月先のはずなのだが……』
土人形が見ているのはお笑い番組だ。人気急上昇中のピン芸人が、鉄板のネタを披露している。僕としては懐かしの番組を見ている事になるのだが、やはり面白い。自然と笑いが出る。土人形から。
「出来た! バック転成功! この調子で行ってみよう!」
同時に、生まれて初めて、バック転に成功した。人形ではもう何度もやっているのだが。
『本当にすごいなタツヤ。感服したよ』
昼食の時間に差し掛かった。
昨晩、大ちゃんから、無事にご両親が帰宅したと連絡があったので、今日はもう来ないだろう。
食事の後ぐらいには、いつものように栗っちが来ると思う。
『カズヤも、力の使い方がわかってきたようだな』
「真面目で頑張り屋だからな」
栗っちは毎日、この地下室で〝精神感応〟の練習を続けている。
あと、〝念動力〟の練習も始めた。ブルーが作った的を、遠隔で攻撃するのだが、それが実にかっこいい。僕も早く何かそういう技を覚えたいものだ。素手とかじゃなくて。
「よし、バック転は覚えた。最終的には、体操選手みたいに動けるようになりたいな」
『それはいいね。体術を磨けば色々と役に立つ』
「不死身だから、失敗し放題だしな」
バック転の練習も、マット無し、補助なし、知識なしだもんな。普通の人間なら10回は死んでると思う。
「あ、食事が始まるから、ちょっと集中するよ、ブルー」
『そうだな。箸などを使うのは、さすがのキミでも注意が必要だろう』
「ん? いや、せっかくだから味わって食べたいじゃない」
『タツヤ?! まさか、もう味覚もあるのか、キミの土人形!』
「え? 初日の朝ごはんから、美味しく頂いてたんだけど……」
『味覚は、一番必要のない感覚だから、機能するのは本当に後期の筈なのだが』
「ただ単に、僕が食いしん坊ってだけなんじゃない?」
『あはは、それは面白いね、タツヤ』
そういえば、味覚は特に面白い。自分の舌で感じる味とは違って、別の部分で味を認識する感じだ。足の裏で重低音を感じる、みたいな。
『しかし、土人形の練度が急速に上がりすぎだぞタツヤ。ちょっとここに呼んで、調べてみたいね』
「そうなのか。じゃ、食事が終わったら一旦回収しよう」
呼ぶとか回収するとか言ってるけど、操ってるのが自分なんだから、ちょっと間違ってる気がする。表現が難しいな。
「あ、たっちゃん人形だ! 地下室に行くの?」
物置の前で、栗っちと出会った。
栗っちは僕と人形の区別が一瞬でつくようだ。まあ、人形は右手にブルーが居ないしな。
「おー、いらっしゃい!」
人形で挨拶した。
「えへへー。ちょっと待ってね、えい!」
栗っちが手をかざすと、物置が静かにせり上がり、地下室への扉が現れた。
「そういえばこの頃、静かに出てくるよね、扉」
「ああ、苦情が出たからな」
僕から。
「そうなの? あれはあれでかっこ良かったけどね」
栗っちは階段を少し降りると、振り向いて扉を閉めた。
「今日はね、念動力でたっちゃんを飛ばせないか、やってみたいんだけど」
「おお! それ面白そう! やろうやろう!」
「いいの? やったー!」
嬉しそうな栗っち。そういえば、栗っち自身は念動力で飛べないのかな。
『タツヤ、念動力は、自分が支点なので自分自身は動かせない。自分の襟首を掴んで、持ち上げるようなものだ』
ああ、マンガで似たような事を言ってた気がするな。確か、常春の国の王様は、それでも宙に浮いてたが。
『飛行は別の能力だ。キミもその内、使えるようになる』
じゃ、それまでは、栗っちにお願いしよう。
僕人形と栗っちは、練習場の引き戸を開けて中に入った。
「いらっしゃい! ってもう言ったか」
練習場で、僕と土人形が並び立つ。栗っちはそれをニコニコしながら面白そうに見ている。
『さて、タツヤ、ちょっと色々試してみようか』
「了解。何からやる?」
『キミも試したいようだから、2体目、作ってみる?』
「よーし! 見てろよ!」
「たっちゃん、ガンバ!」
僕は床に手を置いた。イメージは栗っちだ。床からもう一体の人形が現れた。
「原寸大栗っち 完成!」
出来上がった土人形は、細部まで栗っちにそっくりだった。
僕の土人形も、崩れずにいる。これは成功だろう。
「うわああ! 僕だ! 僕がいる!!」
大喜びする栗っち。
『本当に作れるとは! 凄いぞタツヤ! しかも2体目でいきなり他人を作るなんて!』
どうやらブルー的には、僕をもう一体、作るはずだったらしい。
「ブルーさん、この人形、僕が操作できるの?」
『変則的なやり方だが、私との通話回線を使ってタツヤとカズヤを繋ぎ、更にタツヤの人形とカズヤの人形を接続して、操作できるようにする』
「ややこしいな。子機に子機を繋ぐみたいな感じか?」
『一度繋いでしまえば、あとは簡単だよ。ただ、直列になるのでタツヤ人形が消えればカズヤ人形は動かせなくなる。あと、人形同士の接続は、かなりイレギュラーな方法なので、あまり距離を開けてはいけない。せいぜい1キロメートル位だろう』
「僕と栗っちの人形はセットなんだな。よくわかった」
学校からここまででも直線距離なら500メートルぐらいだし、1キロも離れられるなら問題はないだろうな。
『では、接続するよ?』
僕の人形から、栗っちの人形に、何かが繋がる感じがした。腕と言うよりは、糸のような。
『接続完了。これでタツヤと同じ条件で、カズヤも動かせるようになった』
「どれどれ? あ、本当だ、動かせる」
カズヤ人形で、ラジオ体操をしてみた。
「あははは! 凄い! 僕が動いてる!」
『タツヤ?! なんでカズヤ人形を操作できるんだ?!』
「なんでって……繋がってるから動かせるんじゃないの?」
細い糸の先に、自分の一部があるイメージだ。問題なく動かせる。僕の人形も並んで体操してみた。これは面白いな。
「あはははは! かわいいね!」
『凄まじい才能だな、タツヤ……。だが、さすがにカズヤ人形まで、キミが自由に出来るのは良くない。回線を秘匿するよ?』
そりゃそうだ。栗っち人形の視界とかも入ってきてるもんな。あ、操作出来なくなった。
『ではあらためて、カズヤ、やってみて』
「うん……えい! やー! それ!」
人形は動かない。
「栗っち、自分の体の一部だと思って動かしてみて」
「むずかしいねー。うー! やー! たー!」
やはり人形は動かない。
『カズヤ、それだ! 普通はそうなんだよ!』
「なんで嬉しそうなんだ、ブルー」
『キミがあまりにスムーズに土人形を習得してしまったからつい』
まあ、普通はそうなんだろうな。何でも飄々とやれてしまう、天才肌の栗っちがピクリとも動かせないんだから。
「確かに繋がってる感じはするんだけど。えい! えい! えい!」
『その感じが解るだけでも凄いことだよ、カズヤ』
「動け! 動け! えいやー!」
掛け声と同時に、人形の腕が上がった!
「おお! やったね栗っち!」
『カズヤ、力みすぎだぞ。今のは念動力だ』
「はは、わかるわかる。頑張れ栗っち!」
「うー。難しすぎるよー! たっちゃん、自由自在に動かせるって凄いね」
「うーん、アドバイスしてあげたいけど、こればかりはちょっと説明しづらいんだよな」
『よしよし、大丈夫だカズヤ。練習を続ければ、その内、動かせるようになる』
「だから、なんで嬉しそうなんだよ」
『言えなかったセリフをやっと言えたんだ。実に晴れ晴れしい』
ストレス解消に栗っちを使うなよな。
「でも、人形をここに置いておけば、僕の家からでも練習できるね」
「僕も夜はここに居るから、練習付き合うよ」
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