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5年生 3学期 2月
ふろむあなざわー
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……?
ここはどこだろ?
真っ暗で何も見えない。
『アー、アー、エリフェナ、オアロゴセス、テンベハミハミ?』
その上、なんかよく分からない声も聞こえてくる。
『メッセラス、ホワレ、ゴモデベンベレシ、チョス、グラニッシサ?』
あ、そうだ。確か私、大ちゃんと栗っちと一緒に、たっちゃんちに帰る途中で……
『ゲメレ、ト、メッセラス、ゴモデベンベ? エリフェナハミハミ?』
攫われた? このユーリちゃんが?
……うわ、やられたなー! 不覚不覚。
よっし、なんか知らないけど、この声の主をやっつけて、ちゃっちゃと帰りますかねー。
『オアロゴセス、テンベハミハミ?』
「えーっと……ちょす、ぐらにっしさ!」
『グラニッシサ! グラニ、メッセラス、エリフェナ、ゴモテベンベ?』
「げめれ、おあごろす、ちょす、てんべはみはみ」
『メッセラス、オアロ! オアロ! テンベハム、ムハラゾゲレサ!!』
やー、なんか怒ってる。
そりゃそうか。適当に喋ってるんだから。
「うっさいよ! 日本語でしゃべってよ! ユーリちゃん、さすがに怒っちゃうよ?」
こっちも怒ってみた。
……っていうか、なんだろね、この下り、要るんかね?
『テンベハミハミ? テルデバム、イッセンコレ、グラ…………ってないじゃないか! ちゃんと変換してくれないと、印象悪いだろ? なんの為に、お前を連れてきたと思ってるんだ……』
あれ? 急に言ってることが、分かるようになった。
「やー? ……もしもし? アンタ誰?」
『キミはちょっと黙っててくれないか! ……大体、お前はいつもそうやって適当な仕事をして、そのせいでワリを食うのは私たちなんだぞ? それを……』
「やー……あのー?」
『うるさいな! 今忙しいんだ、見てわからな……って通じてるうううううっ?!』
どうやら、気付いてくれたみたい。
「とりあえず、説明して欲しいな。ここはどこ? あなたは誰?」
『こほん。大変失礼しました。ここは、私が作った空間。あるはずのない、出入りの出来ない場所です』
出入り出来ないって……?
私、入ってきてるじゃん。何いってんのさー?
この手の話は、大ちゃんが居ないと、イマイチ理解に苦しむんだよー。
『私の名は、ノウナシ・ロクデナシ 以後お見知り……ん? 今、私の名前だけ、おかしくなかったか……? ああっ! さてはまた、妙な変換をしやがったな! こいつ!!』
なんか揉めてるよー。仲の良さそうなのはいいんだけど、早くしてくれないかなー?
『次にやったら、置いて帰るからな! ……あ、えっと、失礼。私の名前は、ノウマズ・ロクドナス。突然ここに引き込んでしまった事、どうかお許し願いたい』
「やー。まあ、いいけどね。とりあえず、姿は見せとかないとさー?」
『これは申し訳ない。重ね重ね、失礼しました』
暗闇の中に、スゥッと、人の形が浮かび上がる。
大人の……男性? ふぅん。ちょっとイケメンじゃんか。
『私は、ここではない、別の世界からやって参りました』
異世界から来た? あ、あれかな、アヤちゃんの居た〝魔界〟なのかな?
「別の世界から?」
『はい。信じられないかとは思いますが、私は貴方からすれば、異世界人という事になります』
信じるよ。
私だって宇宙人の子孫だし、アヤちゃんも魔界人? だし。
でも、この人が言ってる〝異世界〟は、魔界じゃないや。
魔界は日本語を使ってるって言ってたしね。
『私は、失われた〝勇者の証〟を探しております』
「勇者の証? それが失くなっちゃったのん?」
『はい。先日、突然の大地震と共に』
「地震に紛れて盗まれたのかなー? どんな物?」
『選ばれたものにしか扱えないとされ、邪竜の王を封印できる、世界に3振りしかない〝聖剣〟です』
3本もあるんだ。1本ぐらい減ってもいいんじゃない?
『私の世界では、永きに渡り、邪竜の王が悪逆の限りを尽くし、人々を苦めております。神はそれを見兼ねて、世界各地の隠された3箇所の〝勇者の神殿〟に〝審判の台座〟と〝聖剣〟を配されました』
台座と、剣?
あ、アレかな。
……選ばれし勇者なら、その剣を抜くことが出来るだろう! みたいな?
『神は、選ばれし勇者なら、その剣を抜くことが出来るだろう。と告げられました』
やはは! 当たっちゃった! 私ってやっぱ天才かなー!
『一振り目の〝聖剣〟を抜いた私に、神は告げました。〝この世界以外で、あと2人、剣を抜ける勇者を探せ〟と』
やー! あんたも持ってんのかい!
じゃあ、その腰に下げているのが〝聖剣〟なんだなー。
なんか、ゴテゴテと派手な剣だなー。
趣味悪い……ん? あれ? なんかその剣、見たことあるような……?
『私は、様々な世界を、この剣の力で渡り歩き〝勇者候補〟を探し出しては〝聖剣〟を抜けるか試させました。しかし、どうしてもあと一人、探し出すことが出来ず……』
「そうこうしている内に、剣が失くなっちゃった、と?」
『その通りです……私は、聖剣の気配を辿って、この世界にやって参りました。そしてとうとう昨日、間違いようのない反応がありました』
「反応?」
『はい。〝聖剣〟が、自身の持ち主を定めた後、もしも他の人間が触れようものなら、天罰が下り、その者は灰になって、命を落とします。昨日、その〝罰〟を〝執行〟した時の波動が感じられました』
「やーっ! 怖いよ、聖剣! 触ったら天罰で灰になるって、どんな剣……あ、あら? んー?」
『そして、天罰が執行された後の、亡骸に残る聖なる力を追っていた所、なぜか貴方から、その反応が多く出ておりまして……』
「えっと、な……なんでかなー? 私、なーんも知らないんだけどなー?」
『ははは。当然です。天罰を受けた本人が、こんなに元気なわけ、ありませんからね』
やっべーよー? この人が探してるのって、たっちゃんの拾ってきた、あの剣じゃない?
『念のため、お話だけでも聞こうと思いまして……何もご存知ないようですので、すぐに元の空間にお返し致します。失礼な事をしてしまい、大変申し訳ございませんでした』
「えっと、もしさ、もしもだよ? その剣を持ってっちゃった人を見つけたら、どうするの?」
『それは……言えません。それに貴方には関係のない事です』
うっわ、何されるの? たっちゃんと、もしかしたら私も犯人?
関係のない事っていうか、関係しかないんだよなー……
……とりあえず、内緒にしておこう! そうしよう!
『そうだ! これをお持ち下さい』
指輪を手渡された。
え? やだ! 私には大ちゃんという心に決めた人が!
『これを身につけて念じれば、私といつでも話をする事が出来ます。もしお近くで、〝聖剣〟と思しき物を見かけたり、噂を聞いた時は、お声をおかけ下さい。あ、剣には絶対、触らないで下さい。危険ですからね?』
なーんだ! そういう事か。びっくりしちったよー。
私は指輪を受け取った。ほえー! キラキラしてて、綺麗だなー。
「やー! 分かった! 連絡するよー!」
……みんなで会議した後でもいいよね?
『よろしくお願いします。一刻も早く、邪竜の王を倒さねばなりません』
「……あの、一刻も早くって、やっぱ、一刻も早く、だよね?」
『え? あ、はい。今は幸い、二人目の勇者が、聖剣の力をうまく使い、邪竜を押し留めております。しかし、持ち堪えられたとしても、こちらの世界でいうところの、200日ぐらいでしょうか』
……200日。早く剣を返してあげないと、申し訳ないことになるよー。
『それでは、元の世界にお戻しします。目を閉じて下さい』
ここはどこだろ?
真っ暗で何も見えない。
『アー、アー、エリフェナ、オアロゴセス、テンベハミハミ?』
その上、なんかよく分からない声も聞こえてくる。
『メッセラス、ホワレ、ゴモデベンベレシ、チョス、グラニッシサ?』
あ、そうだ。確か私、大ちゃんと栗っちと一緒に、たっちゃんちに帰る途中で……
『ゲメレ、ト、メッセラス、ゴモデベンベ? エリフェナハミハミ?』
攫われた? このユーリちゃんが?
……うわ、やられたなー! 不覚不覚。
よっし、なんか知らないけど、この声の主をやっつけて、ちゃっちゃと帰りますかねー。
『オアロゴセス、テンベハミハミ?』
「えーっと……ちょす、ぐらにっしさ!」
『グラニッシサ! グラニ、メッセラス、エリフェナ、ゴモテベンベ?』
「げめれ、おあごろす、ちょす、てんべはみはみ」
『メッセラス、オアロ! オアロ! テンベハム、ムハラゾゲレサ!!』
やー、なんか怒ってる。
そりゃそうか。適当に喋ってるんだから。
「うっさいよ! 日本語でしゃべってよ! ユーリちゃん、さすがに怒っちゃうよ?」
こっちも怒ってみた。
……っていうか、なんだろね、この下り、要るんかね?
『テンベハミハミ? テルデバム、イッセンコレ、グラ…………ってないじゃないか! ちゃんと変換してくれないと、印象悪いだろ? なんの為に、お前を連れてきたと思ってるんだ……』
あれ? 急に言ってることが、分かるようになった。
「やー? ……もしもし? アンタ誰?」
『キミはちょっと黙っててくれないか! ……大体、お前はいつもそうやって適当な仕事をして、そのせいでワリを食うのは私たちなんだぞ? それを……』
「やー……あのー?」
『うるさいな! 今忙しいんだ、見てわからな……って通じてるうううううっ?!』
どうやら、気付いてくれたみたい。
「とりあえず、説明して欲しいな。ここはどこ? あなたは誰?」
『こほん。大変失礼しました。ここは、私が作った空間。あるはずのない、出入りの出来ない場所です』
出入り出来ないって……?
私、入ってきてるじゃん。何いってんのさー?
この手の話は、大ちゃんが居ないと、イマイチ理解に苦しむんだよー。
『私の名は、ノウナシ・ロクデナシ 以後お見知り……ん? 今、私の名前だけ、おかしくなかったか……? ああっ! さてはまた、妙な変換をしやがったな! こいつ!!』
なんか揉めてるよー。仲の良さそうなのはいいんだけど、早くしてくれないかなー?
『次にやったら、置いて帰るからな! ……あ、えっと、失礼。私の名前は、ノウマズ・ロクドナス。突然ここに引き込んでしまった事、どうかお許し願いたい』
「やー。まあ、いいけどね。とりあえず、姿は見せとかないとさー?」
『これは申し訳ない。重ね重ね、失礼しました』
暗闇の中に、スゥッと、人の形が浮かび上がる。
大人の……男性? ふぅん。ちょっとイケメンじゃんか。
『私は、ここではない、別の世界からやって参りました』
異世界から来た? あ、あれかな、アヤちゃんの居た〝魔界〟なのかな?
「別の世界から?」
『はい。信じられないかとは思いますが、私は貴方からすれば、異世界人という事になります』
信じるよ。
私だって宇宙人の子孫だし、アヤちゃんも魔界人? だし。
でも、この人が言ってる〝異世界〟は、魔界じゃないや。
魔界は日本語を使ってるって言ってたしね。
『私は、失われた〝勇者の証〟を探しております』
「勇者の証? それが失くなっちゃったのん?」
『はい。先日、突然の大地震と共に』
「地震に紛れて盗まれたのかなー? どんな物?」
『選ばれたものにしか扱えないとされ、邪竜の王を封印できる、世界に3振りしかない〝聖剣〟です』
3本もあるんだ。1本ぐらい減ってもいいんじゃない?
『私の世界では、永きに渡り、邪竜の王が悪逆の限りを尽くし、人々を苦めております。神はそれを見兼ねて、世界各地の隠された3箇所の〝勇者の神殿〟に〝審判の台座〟と〝聖剣〟を配されました』
台座と、剣?
あ、アレかな。
……選ばれし勇者なら、その剣を抜くことが出来るだろう! みたいな?
『神は、選ばれし勇者なら、その剣を抜くことが出来るだろう。と告げられました』
やはは! 当たっちゃった! 私ってやっぱ天才かなー!
『一振り目の〝聖剣〟を抜いた私に、神は告げました。〝この世界以外で、あと2人、剣を抜ける勇者を探せ〟と』
やー! あんたも持ってんのかい!
じゃあ、その腰に下げているのが〝聖剣〟なんだなー。
なんか、ゴテゴテと派手な剣だなー。
趣味悪い……ん? あれ? なんかその剣、見たことあるような……?
『私は、様々な世界を、この剣の力で渡り歩き〝勇者候補〟を探し出しては〝聖剣〟を抜けるか試させました。しかし、どうしてもあと一人、探し出すことが出来ず……』
「そうこうしている内に、剣が失くなっちゃった、と?」
『その通りです……私は、聖剣の気配を辿って、この世界にやって参りました。そしてとうとう昨日、間違いようのない反応がありました』
「反応?」
『はい。〝聖剣〟が、自身の持ち主を定めた後、もしも他の人間が触れようものなら、天罰が下り、その者は灰になって、命を落とします。昨日、その〝罰〟を〝執行〟した時の波動が感じられました』
「やーっ! 怖いよ、聖剣! 触ったら天罰で灰になるって、どんな剣……あ、あら? んー?」
『そして、天罰が執行された後の、亡骸に残る聖なる力を追っていた所、なぜか貴方から、その反応が多く出ておりまして……』
「えっと、な……なんでかなー? 私、なーんも知らないんだけどなー?」
『ははは。当然です。天罰を受けた本人が、こんなに元気なわけ、ありませんからね』
やっべーよー? この人が探してるのって、たっちゃんの拾ってきた、あの剣じゃない?
『念のため、お話だけでも聞こうと思いまして……何もご存知ないようですので、すぐに元の空間にお返し致します。失礼な事をしてしまい、大変申し訳ございませんでした』
「えっと、もしさ、もしもだよ? その剣を持ってっちゃった人を見つけたら、どうするの?」
『それは……言えません。それに貴方には関係のない事です』
うっわ、何されるの? たっちゃんと、もしかしたら私も犯人?
関係のない事っていうか、関係しかないんだよなー……
……とりあえず、内緒にしておこう! そうしよう!
『そうだ! これをお持ち下さい』
指輪を手渡された。
え? やだ! 私には大ちゃんという心に決めた人が!
『これを身につけて念じれば、私といつでも話をする事が出来ます。もしお近くで、〝聖剣〟と思しき物を見かけたり、噂を聞いた時は、お声をおかけ下さい。あ、剣には絶対、触らないで下さい。危険ですからね?』
なーんだ! そういう事か。びっくりしちったよー。
私は指輪を受け取った。ほえー! キラキラしてて、綺麗だなー。
「やー! 分かった! 連絡するよー!」
……みんなで会議した後でもいいよね?
『よろしくお願いします。一刻も早く、邪竜の王を倒さねばなりません』
「……あの、一刻も早くって、やっぱ、一刻も早く、だよね?」
『え? あ、はい。今は幸い、二人目の勇者が、聖剣の力をうまく使い、邪竜を押し留めております。しかし、持ち堪えられたとしても、こちらの世界でいうところの、200日ぐらいでしょうか』
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