144 / 264
5年生 3学期 2月
魔法980円均一
しおりを挟む
「もう、出会った?!」
マスターが叫ぶ。
ちょっと! 声が大きいわ。
「ブルー、本当に話して良いの?」
『うん、構わないよアヤカ。さっきも言ったけど〝夢幻回廊〟という魔法は危険過ぎる。そんな物を誰かに使われてしまう事のほうが、問題だからね』
〝大地の王〟に会う魔法。
地球の意思〝ブルー〟に会いたいという思いで作られたであろう〝夢幻回廊〟は、大きなリスクを伴う危険な物よ。
「出会ったって! ど、どういう事なんだ?! 大地の王に会うには迷宮を」
「マスター。達也さんは、地球の危機を防ぐために〝地球の意思〟と一つになって〝不老〟と〝星と同じ強度〟を手に入れたわ」
笑顔なのか泣き顔なのか、なんとも言えない表情のマスター。
「は、ははは! まさか。嘘だろう? 彩歌ちゃん。もしキミの言っている事が本当なら、彼の……達也君の体には、ある特徴が……」
「地球の意思〝ブルー〟は、達也さんの右手に宿っているわ。普通の人には見えないし、彼らの会話を聞く事も出来ない。青く光っていて、向こう側が透けて見えるの」
「……古い伝承の通りだ。彩歌ちゃんがそれを知っているという事は、本当に達也君は〝大地の王〟に恩恵を与えられたんだろうね……なんて事だ」
肩を落として俯き、何かをブツブツと呟いているマスター。
『本来、星の意思と出会うなど不可能だ。それを可能にするような魔法なら、相当な無理を通すことになる。それこそ、命を削ってまで作られた恐ろしい迷宮を、残された僅かな生命力をかけて突破するぐらいの無理をね』
マスターは、呆然としてる。
代々受け継がれてきた、成功者のいない危険な究極魔法の特典を、既に得た者が現れたのだから当然よね。
「達也君!」
突然、すごい勢いで達也さんの肩を掴むマスター。え? 何?
「私は感動しているよ! 大地の王は、本当に居たんだね!!」
涙を流しながら、満面の笑みを浮かべるマスター。
……まさかさっきからずっと、喜んでいたの?!
「え、えっと。はい! 居ますよ! 見えないかもしれませんが、僕の右手に」
>>>
マスターは、店の奥から様々な魔法道具を持ち出して来て、達也さんの右手を散々調べていた。
けど、ついにというか、やっとと言うか諦めて、本来の業務に戻ってくれたわ。
「……いやあ、済まなかったね! それで、どんな魔法を買っていく? キミたちならギリギリまで安くしておくよ!」
達也さんが先ず欲しがったのは、回復魔法。彼は優しいから、傷ついた人を放っては置けないのよね。
「……彩歌さんだよ」
……えっ?
「僕が回復魔法を使えるようになると知って、真っ先に頭に浮かんだのは、彩歌さんだ」
「達也さん……!」
ああ、達也さん……私も達也さんの為なら、どんな事でもするわ!
「コホン! えーっと……そんな彼女思いのキミには2つの選択肢がある」
マスターが棚から取り出したのは、中央に水色の石が飾られた、2種類の巻物だった。
「厳密に言うと〝両方覚える〟というのもアリといえばアリだが、こっちの魔法は無駄になる」
なるほど。確かに両方覚えても意味がないわね。
マスターが差し出した右手にあるのは〝治癒〟の魔法。人間の体内にある、あらゆる水分を操作して、体の修復をする、一般的な回復魔法。そしてもう一つは……
「レア物だよ。昨日入荷したばかりだ」
左手の巻物は〝治癒連鎖〟の魔法ね。初めて見たわ……
〝治癒連鎖〟は、基本的には〝治癒〟と同じ仕組みで回復するのだけど、触れ合っている生物同士や、治癒の効果を受けた後、一定時間内に触れた生物にまで届くわ。しかも、消費する魔力は〝治癒〟と同じ。断然こっちの方が高性能だけど……
「今日は特別だ。今から私が言う価格は、全て、ギリギリのラインまで値引きした額だよ。〝治癒〟は15万円。〝治癒連鎖〟は150万円だ」
……やっぱり。希少な魔法は、かなり高価なのよね。
「そんなに差があるの?! どうしようかな……」
達也さんは、お金をいっぱい持っている。きっと買えない額じゃないけど、今回の持ち合わせは確か300万円ぐらいだったかしら。
「達也さん、他の魔法も見てから決めた方が良いかもね?」
「そうだね。じゃ、次は何にしようかな……」
達也さんが欲しい魔法は、呪いや魔法の効果を解く〝解呪〟、相手を眠らせる〝睡眠〟、相手の記憶を改竄する〝記憶操作〟、瞬時に衣装を変更する〝衣装箱〟。
相場が変動するから大体でしかわからないけど、どれもなかなか高価な魔法ばかりね。
「〝解呪〟と〝睡眠〟は、元々、人間なら必ず適性のある属性だから、達也君でも間違いなく使えると思うんだけど、〝記憶操作〟は……」
〝解呪〟は光属性、〝睡眠〟は闇属性。どちらも併せ持つのが、人間の特徴なの。そしてこの2つは、適性がほんの少しでも有れば、発動できるわ。
……でも確か〝記憶操作〟は、そこそこ強い闇属性の適性が要るはずよ。
「私の見立てでは、残念だが達也君の適性で、〝記憶操作〟は発動しないと思う」
「そうですか……まあ、仕方ないですね。」
大丈夫。達也さんが使えない魔法は、私がカバーするわ。
「あと〝衣装箱〟は、土属性だ。キミならもしかして、魔法に頼らず、出来るんじゃないかな?」
「……あ! なるほど、土人形も服を着た状態で作るもんな。あの要領でやればいいのか。どれどれ」
達也さんが両手をあげると、見る見るうちに、もともと着ていた〝学芸会用のローブ〟は、シマ模様でパステルカラーのローブに変わった。
「なるほどね。着ている服を再構築して、足りない物は呼び出して組み直すのか。楽勝だな」
うーん。魔法無しでそこまで簡単に再現されちゃうと、ちょっと嫉妬しちゃうかな。
……でも、それより問題なのが、そのローブのデザインよ。ハッキリ言ってダサいわ。まさか達也さん、ファッションセンスがちょっとアレな方向の人なのかしら?
「さて、元に戻すか。さすがにマズイよな!」
もう一度両手をあげて、元のローブに戻す達也さん。
ついでに、さっき水晶玉の爆発で、お腹部分に空いた大きな穴も、ちゃんと修復されている。
……良かった。さっきのデザインがちょっとアレなのは、わざとだったのね。
「これ、借り物だったんだ。ちゃんと元に戻して暁雄に返さなきゃならないからね!」
えええ! そっち……!? やっぱり達也さん、服装のセンスはイマイチなのなしら……?
『アヤカ。奥さんの頑張り次第で、夫のファッション意識は改善することが出来るという統計がある。試してみるといい』
「……え? ブルー、何だって?」
達也さん、私とブルーの会話が聞き取れなかったみたいね。
「ふふ。ありがとう、ブルー」
『いや。何でもない事だよ』
「……?」
巻物を手に、私の方を見て不思議そうな表情の達也さん。
「解呪が74万円、睡眠は68万円だ。入荷が少ない上に人気だからね。値段もそこそこするんだよ。ここだけの話、他の店ではどちらも100万はするよ?」
「そうよね。マスター今日は、すっごくディスカウントしてくれているわ。だって、私が買った時は、もうちょっとお高かったじゃない?」
ちょっと意地悪な感じで笑ってみせると。
マスターは頭をポリポリ掻きながら、バツが悪そうにしている。
「うーん。さっきの〝治癒連鎖〟と合わせても買えない金額じゃないんだけど、大ちゃんたちへのお土産とか、他にも色々欲しいものが出てくるだろうし、どうしようかな……」
明日からの探検の為にも、今日ここで魔法は覚えて行きたいわ。あいにく私は、分身魔法を買った上に、お給料日前だから、纏まったお金が無いし……
「……あれ? こちらのカゴに入ってるのは?」
達也さんが、たくさんの巻物が乱雑に入れられたカゴに気付いた。
「ああ。そこに入っているのは、役に立たない魔法ばかりなんだ。自分にもダメージが及んだり、魔力だけ消費して何も起きなかったり、無駄に光るだけとかいうのもあるな。まあ、そういうのを好んで集めているお客さんなんかも居るから、そうやって格安で売っているのさ」
カゴには〝SALE! 全品980円〟と書かれた黄色い紙が貼り付けてある。
「ふーん。安いけど、役に立たないんなら要らないかな……」
「そうね。わざわざマイナス効果の付いた魔法を使わなくても……って一応、物色はするのね、達也さん」
なんか、そういう所が可愛いのよね。
達也さんは、スクロールと、それに貼り付けられた効果の表を眺めて、時折クスクスと笑っている。
「これなんか傑作だな!! 〝共睡眠〟……効果は〝対象と共に、使用した術者も一緒に眠る〟だって!」
「ふふ。お笑い番組のコントみたいね!」
敵地なんかで唱えたら、一瞬にしてピンチになっちゃうわ。
「……こっちもすごいぞ。〝呪病変換……えっと〝対象者の呪いと魔法効果を、致死の病気に変換して術者が肩代わりする〟って死ぬじゃん!」
「すごい! 思いやりが、まさに病的で怖いわね」
どうしても解きたい呪いなら、この魔法で術者の死と引き換えに……って事もあるかしら。
「でも、魔法を掛けた本人が、寝たり、病気になったりしたら、本末転倒だよね!」
達也さんは〝共睡眠〟と〝呪病変換〟の、2本のスクロールを持ったまま、お腹を抱えて笑っている。
「そうね、よりによって術者が、寝たり、病気に……」
「寝たり? 病気に……?」
……次の瞬間、達也さんと私は、同時にマスターにこう言った。
「コレとコレ、買います!」
マスターが叫ぶ。
ちょっと! 声が大きいわ。
「ブルー、本当に話して良いの?」
『うん、構わないよアヤカ。さっきも言ったけど〝夢幻回廊〟という魔法は危険過ぎる。そんな物を誰かに使われてしまう事のほうが、問題だからね』
〝大地の王〟に会う魔法。
地球の意思〝ブルー〟に会いたいという思いで作られたであろう〝夢幻回廊〟は、大きなリスクを伴う危険な物よ。
「出会ったって! ど、どういう事なんだ?! 大地の王に会うには迷宮を」
「マスター。達也さんは、地球の危機を防ぐために〝地球の意思〟と一つになって〝不老〟と〝星と同じ強度〟を手に入れたわ」
笑顔なのか泣き顔なのか、なんとも言えない表情のマスター。
「は、ははは! まさか。嘘だろう? 彩歌ちゃん。もしキミの言っている事が本当なら、彼の……達也君の体には、ある特徴が……」
「地球の意思〝ブルー〟は、達也さんの右手に宿っているわ。普通の人には見えないし、彼らの会話を聞く事も出来ない。青く光っていて、向こう側が透けて見えるの」
「……古い伝承の通りだ。彩歌ちゃんがそれを知っているという事は、本当に達也君は〝大地の王〟に恩恵を与えられたんだろうね……なんて事だ」
肩を落として俯き、何かをブツブツと呟いているマスター。
『本来、星の意思と出会うなど不可能だ。それを可能にするような魔法なら、相当な無理を通すことになる。それこそ、命を削ってまで作られた恐ろしい迷宮を、残された僅かな生命力をかけて突破するぐらいの無理をね』
マスターは、呆然としてる。
代々受け継がれてきた、成功者のいない危険な究極魔法の特典を、既に得た者が現れたのだから当然よね。
「達也君!」
突然、すごい勢いで達也さんの肩を掴むマスター。え? 何?
「私は感動しているよ! 大地の王は、本当に居たんだね!!」
涙を流しながら、満面の笑みを浮かべるマスター。
……まさかさっきからずっと、喜んでいたの?!
「え、えっと。はい! 居ますよ! 見えないかもしれませんが、僕の右手に」
>>>
マスターは、店の奥から様々な魔法道具を持ち出して来て、達也さんの右手を散々調べていた。
けど、ついにというか、やっとと言うか諦めて、本来の業務に戻ってくれたわ。
「……いやあ、済まなかったね! それで、どんな魔法を買っていく? キミたちならギリギリまで安くしておくよ!」
達也さんが先ず欲しがったのは、回復魔法。彼は優しいから、傷ついた人を放っては置けないのよね。
「……彩歌さんだよ」
……えっ?
「僕が回復魔法を使えるようになると知って、真っ先に頭に浮かんだのは、彩歌さんだ」
「達也さん……!」
ああ、達也さん……私も達也さんの為なら、どんな事でもするわ!
「コホン! えーっと……そんな彼女思いのキミには2つの選択肢がある」
マスターが棚から取り出したのは、中央に水色の石が飾られた、2種類の巻物だった。
「厳密に言うと〝両方覚える〟というのもアリといえばアリだが、こっちの魔法は無駄になる」
なるほど。確かに両方覚えても意味がないわね。
マスターが差し出した右手にあるのは〝治癒〟の魔法。人間の体内にある、あらゆる水分を操作して、体の修復をする、一般的な回復魔法。そしてもう一つは……
「レア物だよ。昨日入荷したばかりだ」
左手の巻物は〝治癒連鎖〟の魔法ね。初めて見たわ……
〝治癒連鎖〟は、基本的には〝治癒〟と同じ仕組みで回復するのだけど、触れ合っている生物同士や、治癒の効果を受けた後、一定時間内に触れた生物にまで届くわ。しかも、消費する魔力は〝治癒〟と同じ。断然こっちの方が高性能だけど……
「今日は特別だ。今から私が言う価格は、全て、ギリギリのラインまで値引きした額だよ。〝治癒〟は15万円。〝治癒連鎖〟は150万円だ」
……やっぱり。希少な魔法は、かなり高価なのよね。
「そんなに差があるの?! どうしようかな……」
達也さんは、お金をいっぱい持っている。きっと買えない額じゃないけど、今回の持ち合わせは確か300万円ぐらいだったかしら。
「達也さん、他の魔法も見てから決めた方が良いかもね?」
「そうだね。じゃ、次は何にしようかな……」
達也さんが欲しい魔法は、呪いや魔法の効果を解く〝解呪〟、相手を眠らせる〝睡眠〟、相手の記憶を改竄する〝記憶操作〟、瞬時に衣装を変更する〝衣装箱〟。
相場が変動するから大体でしかわからないけど、どれもなかなか高価な魔法ばかりね。
「〝解呪〟と〝睡眠〟は、元々、人間なら必ず適性のある属性だから、達也君でも間違いなく使えると思うんだけど、〝記憶操作〟は……」
〝解呪〟は光属性、〝睡眠〟は闇属性。どちらも併せ持つのが、人間の特徴なの。そしてこの2つは、適性がほんの少しでも有れば、発動できるわ。
……でも確か〝記憶操作〟は、そこそこ強い闇属性の適性が要るはずよ。
「私の見立てでは、残念だが達也君の適性で、〝記憶操作〟は発動しないと思う」
「そうですか……まあ、仕方ないですね。」
大丈夫。達也さんが使えない魔法は、私がカバーするわ。
「あと〝衣装箱〟は、土属性だ。キミならもしかして、魔法に頼らず、出来るんじゃないかな?」
「……あ! なるほど、土人形も服を着た状態で作るもんな。あの要領でやればいいのか。どれどれ」
達也さんが両手をあげると、見る見るうちに、もともと着ていた〝学芸会用のローブ〟は、シマ模様でパステルカラーのローブに変わった。
「なるほどね。着ている服を再構築して、足りない物は呼び出して組み直すのか。楽勝だな」
うーん。魔法無しでそこまで簡単に再現されちゃうと、ちょっと嫉妬しちゃうかな。
……でも、それより問題なのが、そのローブのデザインよ。ハッキリ言ってダサいわ。まさか達也さん、ファッションセンスがちょっとアレな方向の人なのかしら?
「さて、元に戻すか。さすがにマズイよな!」
もう一度両手をあげて、元のローブに戻す達也さん。
ついでに、さっき水晶玉の爆発で、お腹部分に空いた大きな穴も、ちゃんと修復されている。
……良かった。さっきのデザインがちょっとアレなのは、わざとだったのね。
「これ、借り物だったんだ。ちゃんと元に戻して暁雄に返さなきゃならないからね!」
えええ! そっち……!? やっぱり達也さん、服装のセンスはイマイチなのなしら……?
『アヤカ。奥さんの頑張り次第で、夫のファッション意識は改善することが出来るという統計がある。試してみるといい』
「……え? ブルー、何だって?」
達也さん、私とブルーの会話が聞き取れなかったみたいね。
「ふふ。ありがとう、ブルー」
『いや。何でもない事だよ』
「……?」
巻物を手に、私の方を見て不思議そうな表情の達也さん。
「解呪が74万円、睡眠は68万円だ。入荷が少ない上に人気だからね。値段もそこそこするんだよ。ここだけの話、他の店ではどちらも100万はするよ?」
「そうよね。マスター今日は、すっごくディスカウントしてくれているわ。だって、私が買った時は、もうちょっとお高かったじゃない?」
ちょっと意地悪な感じで笑ってみせると。
マスターは頭をポリポリ掻きながら、バツが悪そうにしている。
「うーん。さっきの〝治癒連鎖〟と合わせても買えない金額じゃないんだけど、大ちゃんたちへのお土産とか、他にも色々欲しいものが出てくるだろうし、どうしようかな……」
明日からの探検の為にも、今日ここで魔法は覚えて行きたいわ。あいにく私は、分身魔法を買った上に、お給料日前だから、纏まったお金が無いし……
「……あれ? こちらのカゴに入ってるのは?」
達也さんが、たくさんの巻物が乱雑に入れられたカゴに気付いた。
「ああ。そこに入っているのは、役に立たない魔法ばかりなんだ。自分にもダメージが及んだり、魔力だけ消費して何も起きなかったり、無駄に光るだけとかいうのもあるな。まあ、そういうのを好んで集めているお客さんなんかも居るから、そうやって格安で売っているのさ」
カゴには〝SALE! 全品980円〟と書かれた黄色い紙が貼り付けてある。
「ふーん。安いけど、役に立たないんなら要らないかな……」
「そうね。わざわざマイナス効果の付いた魔法を使わなくても……って一応、物色はするのね、達也さん」
なんか、そういう所が可愛いのよね。
達也さんは、スクロールと、それに貼り付けられた効果の表を眺めて、時折クスクスと笑っている。
「これなんか傑作だな!! 〝共睡眠〟……効果は〝対象と共に、使用した術者も一緒に眠る〟だって!」
「ふふ。お笑い番組のコントみたいね!」
敵地なんかで唱えたら、一瞬にしてピンチになっちゃうわ。
「……こっちもすごいぞ。〝呪病変換……えっと〝対象者の呪いと魔法効果を、致死の病気に変換して術者が肩代わりする〟って死ぬじゃん!」
「すごい! 思いやりが、まさに病的で怖いわね」
どうしても解きたい呪いなら、この魔法で術者の死と引き換えに……って事もあるかしら。
「でも、魔法を掛けた本人が、寝たり、病気になったりしたら、本末転倒だよね!」
達也さんは〝共睡眠〟と〝呪病変換〟の、2本のスクロールを持ったまま、お腹を抱えて笑っている。
「そうね、よりによって術者が、寝たり、病気に……」
「寝たり? 病気に……?」
……次の瞬間、達也さんと私は、同時にマスターにこう言った。
「コレとコレ、買います!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
