プラネット・アース 〜地球を守るために小学生に巻き戻った僕と、その仲間たちの記録〜

ガトー

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6年生 1学期 4月

姉とロボ

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「それでは、まずメンバーの紹介をします……と言っても、ここには3人しか来ていませんが」

 僕の言葉に、校長先生と能勢のせ先生は、不思議そうな顔をする。

「まあ、残りのメンバーは、また後日……」

 本人が居ないのに、勝手に紹介しちゃダメだろう。とりあえず、次の機会でいいよね。
 と、思っていたら……

「ちょっと待ってくれ」

 校長先生が〝待った〟をかけた。
 ありゃりゃ? やっぱ説明しなきゃダメですか……

「3人って、どういう事だ?」

「5人居るじゃないですか」

 そうなんだよね。パッと見た感じ〝シギショアラ〟で目撃されてしまった5人全員が、ここに居るように見えるんだけど、実は3人しか居ない。

「それじゃあ、そちらの説明から先に。まずは大ちゃん……九条大作君ですが」

 僕は、ソファに座っている大ちゃんを指差して、説明を始める。

「ここに座っている彼は〝ロボット〟です」

「…………はあ?」

「なんですって?」

 先生たちは、2人ともいぶかしげな顔で聞き返してくる。
 やっぱりね。そう来ると思った。余りにも〝大ちゃんロボ〟の出来が良いんで、説明するのが面倒なんだ。

「ですから〝ロボット〟なんです」

「ちょっと、何をおっしゃってるのか、分からないんですが」

 無理もない。この人たちは〝悪魔〟とか〝魔法〟とか、そういう関係の事には慣れていても〝ヒーロー〟とか〝悪の秘密結社〟というジャンルは馴染みが薄いんだろう。

「ロボって、アレかい? 飛んだり、合体したりするヤツか?」

「あ、いえ。その機能は、たぶん付いてないかと」

 聞かなきゃ分かんないけど……
 いや、むしろ普通に〝変形〟とか〝合体〟しそうで怖い。
 さて、どうしようかな?

『タツヤ。ダイサクに相談してみてはどうだろう』

 ナイスアイデアだブルー!
 製作者本人なら〝ロボのあかし〟となる何かを、明示出来るかもしれない。

「ちょっと待ってください。本人に聞いてみます」

「……本人に?」

「……聞く?」

 2人とも、さらに首をかしげる。
 あ、でも、大ちゃんとユーリは、そろそろ岩手に着いた頃だ。大丈夫かな?

『大ちゃん。大ちゃん。聞こえる? ちょっと良いかな?』

『おー、たっちゃん。何かあったのか?』

 良かった。まだ通話出来るみたいだ。

『実は、なんだけどね。何か、ここに居る大ちゃんが〝ロボ〟だっていう……』

『なるほど〝証拠〟かー!』

 さすがは大ちゃん。説明が楽だ。

『分かったぜ。それじゃあ、これでどうかな』

 〝ピッ!〟という電子音が、向こう側と、こちら側で鳴った。
 ……ん? こちら側?
 と、今まで静かに座っていた大ちゃんロボが、突然立ち上がる。

「〝デキャピテーションモード〟発動!」

 そう言った直後。大ちゃんロボは、自分の〝ほほ〟に両手を添えて、首を真上に〝ポンッ!〟と引っこ抜いた。

「なあああああッ?!」

「うわああああ!!」

 先生たちは、目が飛び出るほど驚いている。
 で、大ちゃんロボの方は、本当に目玉が飛び出ているんだよなあ。バネがビヨヨーンって。

「うーん、分かりやすいけど、ちょっとやり過ぎだ」

『あはは。ダイサクは面白いな』

 両手で高々と〝頭部〟を持ち上げたままの大ちゃんロボを、先生たちは、口を開けたまま、呆然と見ている。
 ……っていうか、何のための機能だよ?

『タツヤ、きっと〝こういう時〟のための機能だろう』

 なるほどね。まあ、そういう意味ではこの機能……〝合体〟〝変形〟より、役に立っているのか。

「どうかな、たっちゃん」

『あっと……う、うん。ありがと。分かってもらえたと思う』

『ははは! よかったぜー! 先生たちに、よろしくなー!』

 嬉しそうな声と共に通信が切れる。
 大ちゃんロボは〝ガシャコン!〟と、頭を元に戻して、ソファに腰掛けた。
 〝ペショ、ペショ〟と、両手で目玉を押し込んで、すまし顔だ。

「そ、そうか……そういうロボか……」

 能勢のせ先生は、肩で息をしながら、ネクタイを締め直している。
 ごめんなさい。おどかすつもりは無かったんです。

「く、大作君は、確かあの〝九条博士〟の息子さんだったな。このロボットも、博士が作ったのか?」

 ……校長先生も、呼吸を整えている。
 さすがに、そこまで調べてあるか。でも、このロボは、大ちゃんのお父さんの作品ではない。

「いえ、大作君のオリジナルです」

 僕の言葉に、信じられないといった表情の2人。
 でも、さすがにもう、嘘だとは思わないらしい。

「な、なるほど。コホン……で、その大作くん〝本人〟はドコに居るんだ?」

「彼は、大波友里おおなみゆうりさんと一緒に、岩手県に行ってます」

 僕の言葉に、先生たちは〝ソファの端〟を見た。

「……もしや、も、ロボットなのか?」

 校長先生の言葉を聞いて、ニッコリ微笑んだのは、ロボットじゃなく、ご存知〝愛里あいりさん〟だ。

「ワタシ、ユーリ、ヨロシクネ」

 そのまま、不自然にパチパチまばたきしたあと、視線をカクカクと虚空に移して、ピタリと真顔でだまる。
 いやいやいや、ロボのフリはヤメて! ややこしくなるから!
 ……いいや。このまま説明しよう。

「こちら、友里さんの〝お姉さん〟で〝大波愛里おおなみあいりさんです」

「……お姉さん?」

 能勢のせ先生が、ポケットから手帳を取り出して、パラパラとめくる。

愛里あいりさんは確か……22歳では?」

「あー、えっと……」

 チラリと愛里を見ると、少し〝こまったかお〟をしている。
 もしかして〝ウォルナミス関連〟は、あまり喋らない方が良いのか?

『キミやアヤカ、カズヤ、ダイサクと違って、ユーリは〝最大戦力〟ではあるが〝トップ〟ではない。アイリは、その事を心配しているのだろう』

 なるほど。ウォルナミス最強の戦士はユーリだが、最高責任者は〝長老〟だからか。
 よし、それなら……

「そこら辺の事情は、家庭訪問の時にでも、直接聞いてみて下さい。僕の一存でお話する事は出来ません」

 ……と、これで良かったかな?
 さすがに、長老の許可が無ければ、おおやけには出来ないだろうし、一応、補足しておこうか。

「もし、大波家で〝説明〟を拒否された場合は、それ以上〝深入り〟しないで下さい。お願いします」

 先生たちは顔を見合わせて、静かにうなずき合っている。

「分かりました」

 良かった。それじゃ、大ちゃんとユーリの説明は後日という事で。

「有難うございます。それでは詳しい話を、ここに居るメンバーだけで……2人とも、まずは自己紹介でいいかな?」

「ふふ。もちろん」

「えへへ。ちょっとドキドキするよね!」





 >>>





 僕たち3人は、それぞれの置かれた立場、能力、そして、年明けからの大まかな活動を説明した。

「……ですので、僕たちは、今回の大作君や友里さんのように〝身代わり〟を立てて、世界中を飛び回っているんです」

 まあ、大体こんな感じかな?
 あとは、大ちゃんとユーリが帰ってからでいいだろう。

「いやはや。驚いたな!」

「まさか、そんな事になっていたとは……」

 先生たちは、終始、驚きっぱなしだった。
 特に、僕たちが魔界に行って、ひと暴れしていた事については、驚きを通り越して、あきれていたようだ。

「そうだ。ひとつ、質問があるんだが」

「……例の件ですね?」

 校長先生の言葉に続いて、能勢のせ先生も、ハッと、思い出したような顔をした。

「〝瀬之宮せのみやダム〟って知ってるか? 佐波川さなみがわの上流にあるんだが……」

「そのダムで、最近、魔界の悪魔が関わったとおぼしき、事件があったんです」

 瀬之宮せのみやダム? 聞いた事はあるけど……

「達也さん、ほら、私たちが魔界に行った日に、悪魔がこっちに来たって……」

「あ! そうか!」

 先生たちは、僕と彩歌の言葉に顔を見合わせる。

「やはり悪魔が?! なんて事だ!」

「いや、実は、ダムの職員が〝得体の知れない化け物〟に拘束されたとかで、魔特課まとっかの刑事が現場に行ったんだが……あろう事かダム湖の底の〝凶獣〟の封印が解かれていたんだと」

 〝凶獣〟か。魔界でも見たぞ。確か〝ヒポポタマス〟とか何とかいう……

『タツヤ、それは普通に〝河馬カバ〟だね。危険な生物ではあるが、ダム湖に封印する必要はない』

 あれ、違ったか? じゃあ何だっけ。

「目下、全力で捜索中ですが〝凶獣〟は、いまだ見つかっていません」

 〝凶獣〟は、魔界産の怪物だ。
 彩歌が〝ヒポポタマス〟の時に〝凶獣は魔道士100人掛かりでも勝てない〟とか言ってたっけ。

「封印を解いたのが悪魔なら、さらに危険な状態です」

「悪魔の目的は分からねぇが、とにかく〝凶獣〟はヤベぇ。ヘタをすりゃ、未曾有みぞうの大惨事だ」

「……えへへ。大丈夫だよ?」

「可能なら、君たちも〝凶獣〟の捜索に協力して……はい?」

「大丈夫って、どういう事だ?」

 相変わらず、ニコニコと笑顔の栗っち。
 そうだよな。確かダムの〝凶獣〟は……

「えっとね。僕と大ちゃんとユーリちゃんで、やっつけちゃった」

 そうそう。〝サクッと倒した〟って言ってた。

「いやいや、さすがにそれは!」

「お前さんたちが、いくら強いったって〝凶獣〟にゃ勝てんだろ?」

「ううん? 楽勝だったよ?」

 先生たちの言葉を聞いて、栗っちは、不思議そうに首をひねる。

「いや、まさか……しかし……」

「和也君。その〝凶獣〟は、どんなヤツだった?」

 恐る恐る、校長先生がたずねた。
 満面の笑みで、栗っちは、その質問に答える。

「頭が3つもあって、火を吐いて、大きかったよ! すっごく悪くて怖いよね!」

 それを聞いて、先生たちはガタガタと震え始める。

「そ、そ、そんな……有り得ない!」

「き、〝凶獣〟を、たった3人で?! 嘘だろう……?」

「うーん。本当なんだけど……? あ、そっか! ごめんなさい。〝クロ〟も一緒に戦ったよ。仲間外れにしたら、ねちゃうよね!」

 いや、栗っち。そういう問題じゃないと思うぞ?

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