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6年生 1学期 4月
学校の怪談
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僕、能勢圭司は、この小学校に赴任して3日目の放課後、ある生徒に呼び止められた。
「先生、ちょっといい?」
「……ん? 何だい、栗栖君」
この子は栗栖和也君。おとなしくて優しい生徒だ。
「えっとね。ちょっと〝良くない物〟が居るんだよ」
この子は何を言ってるんだ? そう思った方も居るんじゃないかな。うんうん。普通はそう思うだろう。
……だがしかし。実をいうと彼は、普通じゃない。
地球を守るために結成された〝救星戦隊プラネット・アース〟の一員なんだ。
「最近、その〝良くない物〟が、スゴく悪くて大きくなって来ているんだよ。恐いよね! だから、今夜ちょっと様子を見に行きたいんだけど……」
今夜って。そんなに急がなきゃマズいのか?
「ごめんね。明日には〝良くない物〟が出て来るよ。きっと手遅れになっちゃうから……」
ちょっとストップ。
……お気付きだろうか。さっきから、僕の〝思考〟に対して、ジャストミートな返事が返って来る。コレだよコレ。こういう所が普通じゃないんだ。
コホン。それで肝心な事なんだけど……〝良くない物〟って何なんだよ?!
「うーん。言葉とか絵では表現できない物だから……」
……って言うか、それ以前にどうして僕に言うんだ?
「えっと、それはね。旧校舎の中だからだよ? 先生が一緒じゃなきゃ、入っちゃダメなんでしょ?」
なるほど、そう言う事か……ん? おいおいおい! この学校の旧校舎って確かあの!
「さすが先生。やっぱり知ってたんだ! あの旧校舎は、夜になると〝良くない物〟が、ウロウロ動き回っているみたい。早くしないと、新校舎にまで来ちゃうかもしれないよ?」
この学校には、全国どこの学校でも聞く〝七不思議〟がある。
……ただ、ここの場合は少々、他とは毛色が違うんだよなあ。
「だよね! だって、七つの不思議がぜーんぶ、旧校舎の中だけの事だもん!」
そうそう。七つもある怪奇現象が、立入禁止になっている旧校舎での話なんだ。
どちらかと言うと、七不思議のせいで新校舎が建てられて、旧校舎が立入禁止になったって噂もある位だし。
「旧校舎は取り壊せないし、困っちゃうよね!」
取り壊せない? 旧校舎が? ……それで新校舎を不自然な感じに建ててあるのか。邪魔そうに旧校舎を避ける形で。
あらら? でも、何で壊せないんだ?
「たぶん、あの校舎をどうにかしようとすると、関わった人はみんな、とても恐い目に遭っちゃうから……」
ガチじゃないか! よくあるガチなパターンのヤツ!
え? え? もしかしてこの学校の〝七不思議〟って、結構ヤバいんじゃ……
「ちょっと恐いよね。本当は僕だけじゃなくて、たっちゃんと彩歌さんも一緒に行って欲しかったんだけど、急な用事が出来ちゃったみたいだから仕方ないよね」
まさか本物の〝学校の七不思議〟に関わることになるとは……
あ。さて置き、ここまで僕がほとんど喋っていないのも、この学校の不思議に追加していいかな?
「えへへ。ダ~メ!」
……だよね。
>>>
「……という事で田所さん。〝武器庫〟を開けて下さい」
「おいおい能勢。ここじゃ校長と呼べ、校長と!」
おっと、またやってしまった。気を付けないと。
生徒はもちろん他の先生方にも、僕と田所さんが刑事なのは秘密だからね。
「すみません……」
まあ念のため秘密裏に、この校長室と、僕の担任している6年3組は完全防音に改装して貰ったから、ある程度は平気だと思うんだけど。
「しっかし、七不思議なあ。そりゃお前、俺たちゃ管轄外じゃねえか?」
まあ実際〝魔界関連の何か〟が〝心霊スポット〟扱いされる事は多いけど、今回のは本当に〝心霊〟っぽい。そして〝魔界〟が関わらなければ、僕たち〝魔特課〟は動けない。そういう組織なんだ。だけど……
「今回の任務は〝魔界〟に深く関わってしまった河西千夏さんの警護です」
僕の言葉に、田所さんが少し考えてから頭をボリボリと掻く。
「なるほどなぁ。この学校に影響が出る事象には対処しなきゃあならんって事か……で? いつ行くんだ?」
「今夜です」
田所さんは、やれやれと首を横に振った後、ニッと笑った。
「……ったく、急な話だな」
そう言って、田所さんは懐から鍵を取り出す。
「ほらよ。上には言っといてやる」
「有難うございます! それではちょっと行ってきます!」
僕は、田所さんが放り投げた鍵を受け取り、ポケットに仕舞うと、敬礼してから校長室を出た。
「コラあ! 敬礼もダメだって言っただろ!」
背後から怒声が聞こえてきた。
あーあー。校長先生。廊下で大声もダメなんですよ。
>>>
通常の銃火器や近接戦闘用の武器では、魔界の事件に対応する事が難しい。だから〝魔特課〟の〝武器庫〟には、科学の粋を集めた〝退魔系〟や〝対霊系〟等の武器が用意されているんだ。
「……疑似エーテル弾120発と、六極共振拳銃が2丁。プラズマロッド2本。赤外線外線兼紫外線外線スコープ、電離柵生成籠手とバッテリーのLLを6本……?」
そして、もちろんその武器庫には専門の〝管理者〟が居て、僕の前で不思議そうに首を傾げている。
「能勢君。あなた確か、小学校で〝先生役〟してるのよね?」
白八滝甘夏巡査部長。超絶美人。
ちなみに甘夏という名前は、実家が熊本の甘夏みかん農家だからだとか。
「この量の〝対霊武器〟をどうするの? もしかして、幽霊と戦争でもするのかしら?」
さすが白八滝さん。鋭いなあ。
「はい、お察しの通りです。少なくとも、七体は居る筈ですので……」
僕の言葉に、驚いた様子の白八滝さん。
腕を組んで、少し考えてから言った。
「書類に記入しながら、ちょっと待っててね」
白八滝さんはフワリと立ち上がると、武器庫の奥へと入って行く。
とても良い香りがした。これは……シャンプーかな?
って、おっと。駄目だ駄目だ! 書類に記入しなきゃ! 記入!
「持って行きなさい」
うっわ!
いつの間にか目の前に居た白八滝さんは、僕に紙袋を手渡してくれた。
「えっと、これは何ですか?」
小さな茶色の紙袋だ。
昔、近所の肉屋さんで買ったコロッケを入れてくれた袋によく似ている。
少し重いけど、持ち運ぶには問題ない。
何気なく傾けると、袋の中身がサラリと音を立てた。
……あれ? これってもしかして。
「ふふ。お塩よ。こういう古典的なのが意外と効くんだから」
「先生、ちょっといい?」
「……ん? 何だい、栗栖君」
この子は栗栖和也君。おとなしくて優しい生徒だ。
「えっとね。ちょっと〝良くない物〟が居るんだよ」
この子は何を言ってるんだ? そう思った方も居るんじゃないかな。うんうん。普通はそう思うだろう。
……だがしかし。実をいうと彼は、普通じゃない。
地球を守るために結成された〝救星戦隊プラネット・アース〟の一員なんだ。
「最近、その〝良くない物〟が、スゴく悪くて大きくなって来ているんだよ。恐いよね! だから、今夜ちょっと様子を見に行きたいんだけど……」
今夜って。そんなに急がなきゃマズいのか?
「ごめんね。明日には〝良くない物〟が出て来るよ。きっと手遅れになっちゃうから……」
ちょっとストップ。
……お気付きだろうか。さっきから、僕の〝思考〟に対して、ジャストミートな返事が返って来る。コレだよコレ。こういう所が普通じゃないんだ。
コホン。それで肝心な事なんだけど……〝良くない物〟って何なんだよ?!
「うーん。言葉とか絵では表現できない物だから……」
……って言うか、それ以前にどうして僕に言うんだ?
「えっと、それはね。旧校舎の中だからだよ? 先生が一緒じゃなきゃ、入っちゃダメなんでしょ?」
なるほど、そう言う事か……ん? おいおいおい! この学校の旧校舎って確かあの!
「さすが先生。やっぱり知ってたんだ! あの旧校舎は、夜になると〝良くない物〟が、ウロウロ動き回っているみたい。早くしないと、新校舎にまで来ちゃうかもしれないよ?」
この学校には、全国どこの学校でも聞く〝七不思議〟がある。
……ただ、ここの場合は少々、他とは毛色が違うんだよなあ。
「だよね! だって、七つの不思議がぜーんぶ、旧校舎の中だけの事だもん!」
そうそう。七つもある怪奇現象が、立入禁止になっている旧校舎での話なんだ。
どちらかと言うと、七不思議のせいで新校舎が建てられて、旧校舎が立入禁止になったって噂もある位だし。
「旧校舎は取り壊せないし、困っちゃうよね!」
取り壊せない? 旧校舎が? ……それで新校舎を不自然な感じに建ててあるのか。邪魔そうに旧校舎を避ける形で。
あらら? でも、何で壊せないんだ?
「たぶん、あの校舎をどうにかしようとすると、関わった人はみんな、とても恐い目に遭っちゃうから……」
ガチじゃないか! よくあるガチなパターンのヤツ!
え? え? もしかしてこの学校の〝七不思議〟って、結構ヤバいんじゃ……
「ちょっと恐いよね。本当は僕だけじゃなくて、たっちゃんと彩歌さんも一緒に行って欲しかったんだけど、急な用事が出来ちゃったみたいだから仕方ないよね」
まさか本物の〝学校の七不思議〟に関わることになるとは……
あ。さて置き、ここまで僕がほとんど喋っていないのも、この学校の不思議に追加していいかな?
「えへへ。ダ~メ!」
……だよね。
>>>
「……という事で田所さん。〝武器庫〟を開けて下さい」
「おいおい能勢。ここじゃ校長と呼べ、校長と!」
おっと、またやってしまった。気を付けないと。
生徒はもちろん他の先生方にも、僕と田所さんが刑事なのは秘密だからね。
「すみません……」
まあ念のため秘密裏に、この校長室と、僕の担任している6年3組は完全防音に改装して貰ったから、ある程度は平気だと思うんだけど。
「しっかし、七不思議なあ。そりゃお前、俺たちゃ管轄外じゃねえか?」
まあ実際〝魔界関連の何か〟が〝心霊スポット〟扱いされる事は多いけど、今回のは本当に〝心霊〟っぽい。そして〝魔界〟が関わらなければ、僕たち〝魔特課〟は動けない。そういう組織なんだ。だけど……
「今回の任務は〝魔界〟に深く関わってしまった河西千夏さんの警護です」
僕の言葉に、田所さんが少し考えてから頭をボリボリと掻く。
「なるほどなぁ。この学校に影響が出る事象には対処しなきゃあならんって事か……で? いつ行くんだ?」
「今夜です」
田所さんは、やれやれと首を横に振った後、ニッと笑った。
「……ったく、急な話だな」
そう言って、田所さんは懐から鍵を取り出す。
「ほらよ。上には言っといてやる」
「有難うございます! それではちょっと行ってきます!」
僕は、田所さんが放り投げた鍵を受け取り、ポケットに仕舞うと、敬礼してから校長室を出た。
「コラあ! 敬礼もダメだって言っただろ!」
背後から怒声が聞こえてきた。
あーあー。校長先生。廊下で大声もダメなんですよ。
>>>
通常の銃火器や近接戦闘用の武器では、魔界の事件に対応する事が難しい。だから〝魔特課〟の〝武器庫〟には、科学の粋を集めた〝退魔系〟や〝対霊系〟等の武器が用意されているんだ。
「……疑似エーテル弾120発と、六極共振拳銃が2丁。プラズマロッド2本。赤外線外線兼紫外線外線スコープ、電離柵生成籠手とバッテリーのLLを6本……?」
そして、もちろんその武器庫には専門の〝管理者〟が居て、僕の前で不思議そうに首を傾げている。
「能勢君。あなた確か、小学校で〝先生役〟してるのよね?」
白八滝甘夏巡査部長。超絶美人。
ちなみに甘夏という名前は、実家が熊本の甘夏みかん農家だからだとか。
「この量の〝対霊武器〟をどうするの? もしかして、幽霊と戦争でもするのかしら?」
さすが白八滝さん。鋭いなあ。
「はい、お察しの通りです。少なくとも、七体は居る筈ですので……」
僕の言葉に、驚いた様子の白八滝さん。
腕を組んで、少し考えてから言った。
「書類に記入しながら、ちょっと待っててね」
白八滝さんはフワリと立ち上がると、武器庫の奥へと入って行く。
とても良い香りがした。これは……シャンプーかな?
って、おっと。駄目だ駄目だ! 書類に記入しなきゃ! 記入!
「持って行きなさい」
うっわ!
いつの間にか目の前に居た白八滝さんは、僕に紙袋を手渡してくれた。
「えっと、これは何ですか?」
小さな茶色の紙袋だ。
昔、近所の肉屋さんで買ったコロッケを入れてくれた袋によく似ている。
少し重いけど、持ち運ぶには問題ない。
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