天使様女神様歌姫様…? いいえただのコスプレイヤー(男)です

れのひと

文字の大きさ
4 / 6

城壁都市ですか?

しおりを挟む
 僕は今の状況になってしまったまでのことを簡単に説明する。自分の名前、年齢、そして気がついたら人々から拝まれるようになってシエル・ブランジットとともに馬車に乗っているところまで…

「ユウは15歳なのか…そうか日本人だから幼く見えるのだな」

 まるで懐かしむようにシエル・ブランジットは目を細めた。彼にとって日本人だった記憶はすでに薄れ始めていたのかもしれない。

「そしてこれはウィッグ…と」

 すっと右手を僕の髪…ウィッグへと伸ばす。その下からは黒髪のショートヘアが現れた。

「ああーこれはまずいな」
「まずい・・とは?」
「色だ。黒はめったにない色でかなり目立つ」
「わっ」

 外されたウィッグが再びかぶせられた。

「それは付けたままにしたほうがいいだろう」

 ちょっとまって…つまり僕はずっとこのウィッグを付けたまま過ごすことになるってこと?? え、うそだろう?

「さて、後は馬車でどこへいくのかだったかな」

 シエル・ブランジットは再び窓の外へと視線を向けた。それにつられて僕も恐る恐る視線を向けた。またさっきみたいに生き物を殺すのを見せられるのはいやだからね。

「ほら見えて来たぞ」

 馬車の前方にまだ少し遠いけれど塀…いや大きな壁? が見える。あの壁の向こうがどうやら目的地のようだ。僕が最初にいた場所からそれほど離れていなかったのか、馬車の移動が随分と早かったのか、長いこと会話をしていただけなのかもしれないけれど、僕はあそこに連れていかれるらしい。

「大きな壁だね…」
「城壁だな」
「じょう…え?」

 壁の向こうにはお城があるってこと…だよね? なんで僕はそんなところへ連れていかれるんだ??

「なんだまた金魚の物真似か?」
「ちが…っ いや、あの…」
「ああ、あそこは城壁都市シルクエンロードっていうんだ。まあ王城もあの都市のなかにあるのだけどね」

 そんなことは聞いていないっ なぜそんなところに僕を連れていくのかが問題なんだ! えーと…男爵ってあの都市に家でもあるのかな…もしそうならとても平和なんだけど。

「門が見えてきた。久しぶりに見るがやはり大きいな…」
「……」

 久しぶりって…住んでいないことが確定じゃないか!

「ははは、ユウは金魚の物真似が好きだな~」

 ち~が~う~~~っ 
 僕が一人で混乱している間に馬車は城門へとたどり着いていた。

 僕が馬車の隅で縮こまって震えている間にも馬車は門を越え都市の中を移動していた。これからどうなってしまうのかという不安と初めて見る異世界の街並み…興味はあるのだけど不安が強すぎてじっくりとは見ていられない。もしかしたら人買いとかに売られてしまうのかもしれないと思うと怖くて仕方がないのだ。

 とうとう馬車が足を止めた。目的地に着いたようだ。怖くて顔が上げられない…

 カチャリと音がして外から馬車の扉が開かれる。窓よりも大きな空間が外へと開かれると流石に眩しくて顔をしかめた。どうやらまだ外は明るい…この外へ出たら僕はきっと売られてしまう。

「お嬢様お手をどうぞ?」

 馬車の外へと出たシエル・ブランジットが僕へと手を差し出した。

「ようこそ僕の屋敷へ」
「え?」
「まあここはいわゆる別荘みたいなものなんだけど…ほら、助けがいるかって聞いただろう?」
「あ…」

 暖かいのもがこみあげてきた。ポロポロポロポロと涙があふれてくる。男なのにこんなに泣いてとはずかしくなり僕は両手で顔を隠した。よほど怖かったのだと実感してしまう。

「ほら泣いている暇はないよ? これからこの世界のことを学ばなければいけないんだ」

 あっさりと涙が引っこむ…わざとなのかわかってやっているのか本当によくわからない人だと再確認させられた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる―― ※他サイトでも掲載しています ※ちょいちょい手直ししていってます 2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~

枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。 同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。 仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。 ───────────── ※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。 ※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。 ※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

処理中です...