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平民の立場と契約
19. ルーは悪くない
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いやほんとどこの力持ちさんだよ。高身長ではないとはいえ16歳男子を軽がると抱えて運ぶってどうよ?
広場から少し離れた路地裏に着くと俺は降ろされそっと口に当てられいた手をどかしてもらえた。慌てて距離を取りつつその犯人の顔を見てやろうと振り返るとそこにいたのは…
「ヨルさん?」
昨日会ったヨルさんだった。意味がわからなくて言葉が出てこないんだが…
「リョータ…貴族に食ってかかるのはだめだ」
…ん? あれ? もしかしなくても助けてくれたのかな。でもそれならルーも助けて欲しかった。
「態度が悪いのはあっちだったが?」
「それでもだ」
いまいち納得できない。
「ルーはどうなるんだ?」
「彼女はあの店の店主だろう? 自分で決着をつけるさ。商品を放置して逃げるようならもう店を開かないほうがいい」
なんて厳しい世界なんだろう。商人は自分の店を守らなければならないそうだ。
「助けたらいけないのか?」
「問題はないが、さっきみたいなのはだめだ。あのままだったらどうなったと思う?」
えーと…俺が怒鳴りつけて相手を怒らせるだろうか? んで相手は貴族だから不敬罪だーーっ とかになる? 護衛に捕まる俺。抵抗する俺…ルーの店がぐちゃぐちゃに?
「………止めてくれてありがとう」
可能性の話だったが、そうなってたらルーに謝りきれない。ここは素直にお礼を言っておこう。
「ほら、いなくなったぞ」
ヨルさんがあごで方向をさす。ルーのいる場所だ。確かにさっきのやつの姿は見えなくなっていた。
「ルー…」
近くまで行き声をかけるとルーはビクリと肩を震わせた。
「リョータさん……あの」
何かを言おうと口籠るルー。何も出来なかった俺は謝るべき言葉が見つからなくってただルーを見つめた。次第にルーの目に涙が溜まっていき思わず…
「ご…っ」
「ごめんなさいっ 私守れませんでした。リョータさんのカップとコップだったのに…」
「え?」
謝ろうとした俺は逆に謝られ首を傾げる。
「どうせ盗んだ物なんだろうって…私が然るべき場所に直々に返してやるからありがたく思えって…リョータさんの物なのに取り上げられ…て」
ポロポロと涙をこぼしながらルーは何があったのか教えてくれた。売れなかったことはどうでもいい。だがこんな考えの奴がいるなんて思わなかった…そのせいでルーが泣いている。俺の考えが足りなくてルーを泣かせてしまった。
「ルーは悪くないよ。悪いのは貴族だっ」
「おいおい、貴族みんながああじゃないぞ?」
「ヨルさんは貴族の味方をするんですか?」
「そうじゃなくてたまたま貴族だっただけで貴族みんなが同じではないぞと。もちろん貴族が偉そうな態度する奴が多いが、平民だっていないわけじゃないだろう?」
…ヨルさんの言いたいこともわからないこともない。だが貴族に対して悪い印象を持ってしまったことはたしかだ。
泣き続けるルーの頭を撫でながらヨルさんをじっと見つめる。1つ気になっていたことを聞いてみた。
「はあ…ところでヨルさんはたまたまここに来たんですか?」
この世界に知り合いの少ない俺が偶然昨日知り合った人に助けられる。あまりにも出来過ぎだ。むしろあやしいとさえ感じている。
「ん? ああ、お前を探してたんだよ」
「俺を?」
「会ってもらいたい人がいてな」
ヨルさんは俺を探していて、それで中央広場なら来るかもしれないと思い見ていたんだそうだ。んで俺がルーと会話始めたから終わるのを待っていたら…ということだったらしい。
会ってもらいたい人? 一体誰なんだろう…
広場から少し離れた路地裏に着くと俺は降ろされそっと口に当てられいた手をどかしてもらえた。慌てて距離を取りつつその犯人の顔を見てやろうと振り返るとそこにいたのは…
「ヨルさん?」
昨日会ったヨルさんだった。意味がわからなくて言葉が出てこないんだが…
「リョータ…貴族に食ってかかるのはだめだ」
…ん? あれ? もしかしなくても助けてくれたのかな。でもそれならルーも助けて欲しかった。
「態度が悪いのはあっちだったが?」
「それでもだ」
いまいち納得できない。
「ルーはどうなるんだ?」
「彼女はあの店の店主だろう? 自分で決着をつけるさ。商品を放置して逃げるようならもう店を開かないほうがいい」
なんて厳しい世界なんだろう。商人は自分の店を守らなければならないそうだ。
「助けたらいけないのか?」
「問題はないが、さっきみたいなのはだめだ。あのままだったらどうなったと思う?」
えーと…俺が怒鳴りつけて相手を怒らせるだろうか? んで相手は貴族だから不敬罪だーーっ とかになる? 護衛に捕まる俺。抵抗する俺…ルーの店がぐちゃぐちゃに?
「………止めてくれてありがとう」
可能性の話だったが、そうなってたらルーに謝りきれない。ここは素直にお礼を言っておこう。
「ほら、いなくなったぞ」
ヨルさんがあごで方向をさす。ルーのいる場所だ。確かにさっきのやつの姿は見えなくなっていた。
「ルー…」
近くまで行き声をかけるとルーはビクリと肩を震わせた。
「リョータさん……あの」
何かを言おうと口籠るルー。何も出来なかった俺は謝るべき言葉が見つからなくってただルーを見つめた。次第にルーの目に涙が溜まっていき思わず…
「ご…っ」
「ごめんなさいっ 私守れませんでした。リョータさんのカップとコップだったのに…」
「え?」
謝ろうとした俺は逆に謝られ首を傾げる。
「どうせ盗んだ物なんだろうって…私が然るべき場所に直々に返してやるからありがたく思えって…リョータさんの物なのに取り上げられ…て」
ポロポロと涙をこぼしながらルーは何があったのか教えてくれた。売れなかったことはどうでもいい。だがこんな考えの奴がいるなんて思わなかった…そのせいでルーが泣いている。俺の考えが足りなくてルーを泣かせてしまった。
「ルーは悪くないよ。悪いのは貴族だっ」
「おいおい、貴族みんながああじゃないぞ?」
「ヨルさんは貴族の味方をするんですか?」
「そうじゃなくてたまたま貴族だっただけで貴族みんなが同じではないぞと。もちろん貴族が偉そうな態度する奴が多いが、平民だっていないわけじゃないだろう?」
…ヨルさんの言いたいこともわからないこともない。だが貴族に対して悪い印象を持ってしまったことはたしかだ。
泣き続けるルーの頭を撫でながらヨルさんをじっと見つめる。1つ気になっていたことを聞いてみた。
「はあ…ところでヨルさんはたまたまここに来たんですか?」
この世界に知り合いの少ない俺が偶然昨日知り合った人に助けられる。あまりにも出来過ぎだ。むしろあやしいとさえ感じている。
「ん? ああ、お前を探してたんだよ」
「俺を?」
「会ってもらいたい人がいてな」
ヨルさんは俺を探していて、それで中央広場なら来るかもしれないと思い見ていたんだそうだ。んで俺がルーと会話始めたから終わるのを待っていたら…ということだったらしい。
会ってもらいたい人? 一体誰なんだろう…
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