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平民の立場と契約
29. 契約
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「待たせてすまなかったね」
紅茶を楽しんでいるとジルベスターさんがソファーにやってきた。どうやら仕事のキリがついたようだ。ジルベスターさんが座るとお付きの人が紅茶の準備を始めている。それを横目で見ているとジルベスターさんが口を開いた。
「まずは簡単に今日呼んだ理由から話そうか」
うん、遠回しに言われるよりははっきり言ってくれた方が助かる。
「私と契約を結ばないか?」
「契約…?」
いきなり胡散臭い話なんだが…
「ああこちらはまだ君が勇者ではないと確信がもてていないからね。まあ保険みたいなものかな?」
ああ…まだ疑ってたのか。
「君だって慣れないこの世界で困るとこだってあるだろう? そんなときにこちらが手を貸そう。その代わりこちらが手を貸して欲しい時に協力をお願いしたいんだ」
「本当に勇者じゃないんですよ? それに弱いですし…」
「仮に勇者じゃないとしても異世界人なのは間違いないのだから大丈夫だ」
…なにがどう大丈夫なんだ? よくわからんのだが。
「ああその顔は知らないのだね」
「リョータ、異世界人はこの世界の人より優れた能力を持っていると言われているんだ」
「そういうことだ。君たちが手を貸してくれるだけで色々と助かることもあるだろう」
「うーん…契約しなくても出来ることだったら手伝いますけど?」
「それはありがたい申し入れだね~。だけども、それだと君からの場合問題ないんだろうが、こちらからは気軽に君に頼むことは出来ないのだよ」
うーんちょっとよくわからない。普通にお互い必要な時に助け合おうとするのがなんでだめなんだ? もちろん出来ないことはあるが手が空いてて相手が知り合いなら手伝うだろう?
「貴族が気軽に平民とかに頼み事をするとよからぬことをしようとしているように見られるのだよ。例えば犯罪に手を貸しているとかね」
「めんどくさいですね…」
「そうならないように第三者をはさみお互いが協力関係であるという契約を結ぶ必要があるわけだ。その契約書はお互い保管しその写しを第三者…今回は商業ギルドにでも頼もうと思っているが、そこに保管され、さらに王都にも保管される」
「商業ギルドですか?」
「ああ、君は変ったものの販売もしていただろう?」
いや、なんでそれ知ってるの…じゃなくてギルドって他にも種類があったんだ。冒険者ギルドしかしらなかったからギルドって言ったらそこだと思ってた。でも契約か…問題は文字が読めないことなんだよな…あっ!
「今その契約書ってありますか?」
俺の言葉にジルベスターさんはおつきの人をちらりを見る。おつきの人はさっきまでジルベスターさんが作業していた机に向かうとそこから1枚の紙を持ってきた。
「これが君と結ぼうと思っている契約書だよ」
テーブルの上に置かれた紙を眺めるがやっぱり文字は読めない。
「えーと俺この世界の文字が読めないんです。読んでもらえますか?」
「俺が読もう」
ヨルさんが読んでくれるらしい。紙を受け取り読み始めた。
「①は②が助けを求めてきた時①が不利益を被らない限り助けを受け入れる。②は①が助けを求めてきた時②の力が及ぶ限り助けを受け入れる。①と②同意のもと③が見届けこの契約を成立とする。この後に3人の名前を書く欄があるな」
なるほどね…さて。
(鑑定っと)
お、出来た出来た。声出さないでもスキルは使える。覚えたばかりのスキルを試しつつ丁度いい確認が出来てバンザイ。で、書かれている内容は…
名称:契約書
内容:①は②が助けを求めてきた時①が不利益を被らない限り助けを受け入れる。②は①が助けを求めてきた時②の力が及ぶ限り助けを受け入れる。①と②同意のもと③が見届けこの契約を成立とする。①___ ②___ ③___
うん。ヨルさんが言った通りの内容で合っているみたいだ。鑑定使えるな。紙に書かれた文字も表示してくれる。そしてこっちが文字を読めないと言った上で間違ったことを言わなかったんだ。この人達はある程度信用してもいいんだろうね。問題はこの契約内容だけど…
「①がジルベスターさんで②が俺なんですよね?」
「その通りだ。何か質問でも?」
「えーと、不利益というのがどのくらいのことなのかと、力が及ぶ限りってどこまでなのかと」
「不利益…そうだね。やはり貴族にも上下関係があってね、私の力が及ばない相手も結構いるんだ。そういった相手から助けろと言われたとき必ず助けられるというわけではない。力が及ぶ限りのほうは君が無理だと思ったことは断ってくれればいい」
それって俺が出来ないって言ったらなんでも断れるってことじゃないの? ちょっとこっちに都合がよすぎないか?
「まあ形だけの契約と思ってくれてもいい。契約を破っても罰則などもないし、ただこういった形を示すのが重要なんだよ?」
なるほど…口約束だけだと誰も信用しないぞってことかな。
紅茶を楽しんでいるとジルベスターさんがソファーにやってきた。どうやら仕事のキリがついたようだ。ジルベスターさんが座るとお付きの人が紅茶の準備を始めている。それを横目で見ているとジルベスターさんが口を開いた。
「まずは簡単に今日呼んだ理由から話そうか」
うん、遠回しに言われるよりははっきり言ってくれた方が助かる。
「私と契約を結ばないか?」
「契約…?」
いきなり胡散臭い話なんだが…
「ああこちらはまだ君が勇者ではないと確信がもてていないからね。まあ保険みたいなものかな?」
ああ…まだ疑ってたのか。
「君だって慣れないこの世界で困るとこだってあるだろう? そんなときにこちらが手を貸そう。その代わりこちらが手を貸して欲しい時に協力をお願いしたいんだ」
「本当に勇者じゃないんですよ? それに弱いですし…」
「仮に勇者じゃないとしても異世界人なのは間違いないのだから大丈夫だ」
…なにがどう大丈夫なんだ? よくわからんのだが。
「ああその顔は知らないのだね」
「リョータ、異世界人はこの世界の人より優れた能力を持っていると言われているんだ」
「そういうことだ。君たちが手を貸してくれるだけで色々と助かることもあるだろう」
「うーん…契約しなくても出来ることだったら手伝いますけど?」
「それはありがたい申し入れだね~。だけども、それだと君からの場合問題ないんだろうが、こちらからは気軽に君に頼むことは出来ないのだよ」
うーんちょっとよくわからない。普通にお互い必要な時に助け合おうとするのがなんでだめなんだ? もちろん出来ないことはあるが手が空いてて相手が知り合いなら手伝うだろう?
「貴族が気軽に平民とかに頼み事をするとよからぬことをしようとしているように見られるのだよ。例えば犯罪に手を貸しているとかね」
「めんどくさいですね…」
「そうならないように第三者をはさみお互いが協力関係であるという契約を結ぶ必要があるわけだ。その契約書はお互い保管しその写しを第三者…今回は商業ギルドにでも頼もうと思っているが、そこに保管され、さらに王都にも保管される」
「商業ギルドですか?」
「ああ、君は変ったものの販売もしていただろう?」
いや、なんでそれ知ってるの…じゃなくてギルドって他にも種類があったんだ。冒険者ギルドしかしらなかったからギルドって言ったらそこだと思ってた。でも契約か…問題は文字が読めないことなんだよな…あっ!
「今その契約書ってありますか?」
俺の言葉にジルベスターさんはおつきの人をちらりを見る。おつきの人はさっきまでジルベスターさんが作業していた机に向かうとそこから1枚の紙を持ってきた。
「これが君と結ぼうと思っている契約書だよ」
テーブルの上に置かれた紙を眺めるがやっぱり文字は読めない。
「えーと俺この世界の文字が読めないんです。読んでもらえますか?」
「俺が読もう」
ヨルさんが読んでくれるらしい。紙を受け取り読み始めた。
「①は②が助けを求めてきた時①が不利益を被らない限り助けを受け入れる。②は①が助けを求めてきた時②の力が及ぶ限り助けを受け入れる。①と②同意のもと③が見届けこの契約を成立とする。この後に3人の名前を書く欄があるな」
なるほどね…さて。
(鑑定っと)
お、出来た出来た。声出さないでもスキルは使える。覚えたばかりのスキルを試しつつ丁度いい確認が出来てバンザイ。で、書かれている内容は…
名称:契約書
内容:①は②が助けを求めてきた時①が不利益を被らない限り助けを受け入れる。②は①が助けを求めてきた時②の力が及ぶ限り助けを受け入れる。①と②同意のもと③が見届けこの契約を成立とする。①___ ②___ ③___
うん。ヨルさんが言った通りの内容で合っているみたいだ。鑑定使えるな。紙に書かれた文字も表示してくれる。そしてこっちが文字を読めないと言った上で間違ったことを言わなかったんだ。この人達はある程度信用してもいいんだろうね。問題はこの契約内容だけど…
「①がジルベスターさんで②が俺なんですよね?」
「その通りだ。何か質問でも?」
「えーと、不利益というのがどのくらいのことなのかと、力が及ぶ限りってどこまでなのかと」
「不利益…そうだね。やはり貴族にも上下関係があってね、私の力が及ばない相手も結構いるんだ。そういった相手から助けろと言われたとき必ず助けられるというわけではない。力が及ぶ限りのほうは君が無理だと思ったことは断ってくれればいい」
それって俺が出来ないって言ったらなんでも断れるってことじゃないの? ちょっとこっちに都合がよすぎないか?
「まあ形だけの契約と思ってくれてもいい。契約を破っても罰則などもないし、ただこういった形を示すのが重要なんだよ?」
なるほど…口約束だけだと誰も信用しないぞってことかな。
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