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王都までの旅路
73. 回復魔法
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少し小太りの男の人が俺たちが食事をしている席にやってきた。もちろん1人ではなく護衛らしき人を2人ほど引き連れて。このおっさん見たことある…昨日立ち往生していた馬車に乗っていた人だ。
「…これはこれはダルシア男爵。今食事中でしてこのような状態で申し訳ない」
「いえいえ、こちらこそ出来るだけ早く挨拶をと思いまして」
…うへい。気のせいじゃなければジルベスターさんちょっと怒っていませんか? まあ食事を邪魔されたくなかったんだろうけど、目つきが鋭くなってて怖い。
「それにしても…こんなところで温かい食事とは余裕がおありでうらやましい限りですな」
「ははは。今回はたまたまですよ。ちょっと優秀な料理人に来ていただくことが出来ましてね」
…このダルシア男爵ってのにまた俺睨まれたんだけどなんだ?
「ああそうでしたこんなことを言いたいわけじゃないんですよ。えーとどうでしょう行き先は同じでしょうしこの先一緒に行動してはと。まれに盗賊なども出ますし、手が多ければそれだけ安全だと思いませんか?」
「一緒に…ですか…そうですね、お互いの都合もあるでしょうから出発時間が合うようでしたら、といったところでどうでしょう」
「なるほど、そうですなっ これは失礼いたしました。ではそのようにいたしましょう」
頭を下げるとダルシア男爵は自分のテントへと戻っていった。うーんこのおっさんどこで会ったんだったかな…
「アルバトロス後で顔を出すように」
「はっ」
食事を終えノノさんに片付けを任せ今日の食後は緑茶を提供。少しするとアルバトロスがやって来てジルベスターさんとともに馬車の中へと消えた。お茶を飲み終わると俺は調理場へと引っ込み、明日の仕込み的なことをやる。まあまずはご飯を炊いておくことなんだけどね。これをやっておくだけで楽になるだろう。
「あ、ノノさんごめん俺ネコルー回収してくる」
「わかりました」
別にこの中で召喚してもいいんだけど、どうせ血だらけだろうから外で回収して洗い流してしまいたいからね。ん-…だいぶ暗くなって来たかな。うろうろしてる人がいないし。今外に出てるのは見張りとかする人なんだろう。さて、
「ルーーーーーーーッ」
あれ? ネコルーの声かな…結構近くで声がしたけど少し待てば戻ってくるかも??
「何をしている…っ 今のは白ネコの声ではないのか?」
「多分そうだと思うけど…」
「…普通じゃない鳴き方じゃないか。早く呼び戻したほうがいい…人は襲わないように言ってあるのだろう?」
「け…契約召喚!」
アルバトロスがやって来て早く呼び戻せと言う。確かに人は襲わないようにいってあるけど…それってどういう??
魔方陣が現れネコルーの姿が見えた。やっぱり相変わらずの血だらけだった。そしてガクンと倒れるようにその場に寝そべる。
「ネコルー?」
「ル~…」
「後ろ足の右側、怪我をしているように見えるが…ちょっと見せてもらおうか」
本当だすぐに洗い流そうと思ったけど先に治療してやらないといけないな。
「おやおや怪我をしているようじゃないか。よかったら私の連れている治療師に見せてみてはどうかね?」
えーと…ダルシア男爵だったっけ。なんでこんな時間にうろついているんだ…?
「お心遣い感謝いたします。ですがそれには及びません…治せるのだろう?」
「ん、ああ俺か」
ん-…薬も魔法もどっちも試したことがないんだけど、確か魔法は知力依存だったっけ? なら魔法のほうが確実に直せるか。
「…ヒール」
ネコルーの怪我に手を当て魔法を使用する。手の周りがぼんやりと黄色く光り温かく感じた。手当てって言うくらいだもんなこうやって手をあてて使うのがきっと正解だよね。
「お、治った」
「「………」」
あれ? ダルシア男爵はわかるけどなんでアルバトロスも驚いているんだよ…治せると思ったから言ったんじゃなかったのか??
「ご、ご覧のように…」
「ふんっ…ただの平民がくっついて来てたのかと思ったが、治療師だったのか…まあ治ってよかったな」
少し何か考えるそぶりをしてダルシア男爵は去っていった。
「…これはこれはダルシア男爵。今食事中でしてこのような状態で申し訳ない」
「いえいえ、こちらこそ出来るだけ早く挨拶をと思いまして」
…うへい。気のせいじゃなければジルベスターさんちょっと怒っていませんか? まあ食事を邪魔されたくなかったんだろうけど、目つきが鋭くなってて怖い。
「それにしても…こんなところで温かい食事とは余裕がおありでうらやましい限りですな」
「ははは。今回はたまたまですよ。ちょっと優秀な料理人に来ていただくことが出来ましてね」
…このダルシア男爵ってのにまた俺睨まれたんだけどなんだ?
「ああそうでしたこんなことを言いたいわけじゃないんですよ。えーとどうでしょう行き先は同じでしょうしこの先一緒に行動してはと。まれに盗賊なども出ますし、手が多ければそれだけ安全だと思いませんか?」
「一緒に…ですか…そうですね、お互いの都合もあるでしょうから出発時間が合うようでしたら、といったところでどうでしょう」
「なるほど、そうですなっ これは失礼いたしました。ではそのようにいたしましょう」
頭を下げるとダルシア男爵は自分のテントへと戻っていった。うーんこのおっさんどこで会ったんだったかな…
「アルバトロス後で顔を出すように」
「はっ」
食事を終えノノさんに片付けを任せ今日の食後は緑茶を提供。少しするとアルバトロスがやって来てジルベスターさんとともに馬車の中へと消えた。お茶を飲み終わると俺は調理場へと引っ込み、明日の仕込み的なことをやる。まあまずはご飯を炊いておくことなんだけどね。これをやっておくだけで楽になるだろう。
「あ、ノノさんごめん俺ネコルー回収してくる」
「わかりました」
別にこの中で召喚してもいいんだけど、どうせ血だらけだろうから外で回収して洗い流してしまいたいからね。ん-…だいぶ暗くなって来たかな。うろうろしてる人がいないし。今外に出てるのは見張りとかする人なんだろう。さて、
「ルーーーーーーーッ」
あれ? ネコルーの声かな…結構近くで声がしたけど少し待てば戻ってくるかも??
「何をしている…っ 今のは白ネコの声ではないのか?」
「多分そうだと思うけど…」
「…普通じゃない鳴き方じゃないか。早く呼び戻したほうがいい…人は襲わないように言ってあるのだろう?」
「け…契約召喚!」
アルバトロスがやって来て早く呼び戻せと言う。確かに人は襲わないようにいってあるけど…それってどういう??
魔方陣が現れネコルーの姿が見えた。やっぱり相変わらずの血だらけだった。そしてガクンと倒れるようにその場に寝そべる。
「ネコルー?」
「ル~…」
「後ろ足の右側、怪我をしているように見えるが…ちょっと見せてもらおうか」
本当だすぐに洗い流そうと思ったけど先に治療してやらないといけないな。
「おやおや怪我をしているようじゃないか。よかったら私の連れている治療師に見せてみてはどうかね?」
えーと…ダルシア男爵だったっけ。なんでこんな時間にうろついているんだ…?
「お心遣い感謝いたします。ですがそれには及びません…治せるのだろう?」
「ん、ああ俺か」
ん-…薬も魔法もどっちも試したことがないんだけど、確か魔法は知力依存だったっけ? なら魔法のほうが確実に直せるか。
「…ヒール」
ネコルーの怪我に手を当て魔法を使用する。手の周りがぼんやりと黄色く光り温かく感じた。手当てって言うくらいだもんなこうやって手をあてて使うのがきっと正解だよね。
「お、治った」
「「………」」
あれ? ダルシア男爵はわかるけどなんでアルバトロスも驚いているんだよ…治せると思ったから言ったんじゃなかったのか??
「ご、ご覧のように…」
「ふんっ…ただの平民がくっついて来てたのかと思ったが、治療師だったのか…まあ治ってよかったな」
少し何か考えるそぶりをしてダルシア男爵は去っていった。
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