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王都までの旅路

74. それぞれの思惑

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 狭い室内にジルベスターさん、ヨルさん、レアナさん、アルバトロスそして俺。ここはヨルさん達のテントの中だ。貴族だけあって俺よりも高いベッドが2つ入る寝室タイプだった。ちょっとうらやましい。それでもベッドが2つ入るだけで後は移動するためのスペースがある程度なので狭い。

「やはり怪しいところが多すぎます」

 先ほどのことを報告したアルバトロス。なんで俺まで連れてきたのかはよくわからない…状況を見ていたから連れてこられたんだろうか?

「ちゃんと話しておくべきだったか…」

 俺だけ置いてけぼりで話が進んでいる。ほんと何のために俺はここにいるんだ…

「説明してやってくれ」
「リョータ、今から話すことは確定じゃないからそのことをわかったうえで聞いて欲しいんだが」
「ん? ああ」
「まずリョータは忘れているようだがダルシア男爵は以前リョータの売り物を取り上げた人物だ。まあこれは直接関係ないとは思っている。次に…」

 んん? 売り物を取りあげたって…あの時の! どおりで見たことがあるはずだわっ ちょっとしか顔を見なかったから全然気がつかなかった。

「おい、リョータ聞いているか? お前は狙われているかもしれないんだぞ」
「へ?」
「はあ…だからダルシア男爵は前取り下げられたお前が受けていた依頼主だ。正確には依頼したのは婦人のようだが、取り下げたのがダルシア男爵な。それでどうもあの殺された人と何かあったようなんだがまだ詳しくはわかっていない。つまりそれにかかわっているリョータとネコルーは何か見てはいけないものでも見てしまったか知ってしまったか…」
「え、じゃあネコルーが怪我したのって…」
「ああ、あれは刃物で切られたあとだたみたいだな。どう見ても魔物や獣の仕業ではないだろう?」

 …ってことは、よくわからんがそれが解決する、もしくはダルシア男爵が諦めるか捕まるとかない限り狙われ続けるってことか?? 俺もネコルーも…

「まあそれは証拠がそろわないとなんとも出来ないわけだが…リョータお前かなり大きな回復量を持ったヒールがつかえるそうじゃないか?」
「初めて使ったから大きいかわからないけど」
「実はなレアナを回復して欲しいんだ」
「どこか怪我でもした?」
「リョータも気がついているだろう? レアナは喋れないんだ。正確には喋れなくなった、のだけど」

 そういえば俺一度もレアナさんの声聞いたことがない気がする。

「試してみるか…多分無理だと思うけど」
「ああすまんな」
「ヒール」

 レアナさんに向き合い喉のあたりに手を当て魔法を使用する。ほんのりと黄色い光が灯り消えた。ただの体力回復用の魔法だから無理だと思うんだよね…状態異常用nキュアがあるけどまだレベルが1だから毒しか回復出来ないし。

「……」
「やっぱりだめですね…」
「ふむ…予定通り聖女様に頼むのがよさそうだな」
「聖女様?」
「ああ、勇者が召喚されたって前話しただろう? その時に勇者、大賢者、聖女の3人が呼び出せれたんだよ。今回その勇者たちに会うのが目的なんだよって初めから言わなかったか?」
「勇者の顔見せに呼ばれたとしか聞いてないよ」
「まあなんだあれだよリョータがいればついでに回復も頼みやすいだろう?」

 いやいやいや…え? 俺が勇者かもしれないと疑っていたのは嘘!? むしろ勇者たちに会いやすくなるかもしれないから連れて来たってこと??

「リョータと知り合いだといいな?」
「まあそうだね…」

 くそうっ にやにやしやがって! 俺のことからかって遊んでたなっ ほんと貴族って意味がわからねぇ…
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