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西側の大陸
174. シズクの探しもの
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「………」
なにしてんのあんたたちっていってそうな顔でジエルがこっちを見ている。そんな顔をされてもこっちは必死だったんだよね…結界を張るのを忘れていたくらいだ。そのせいでネコルーに少し怪我をさせてしまった。せめて後でおいしいものを食べさせてあげようか。
「ところでここはどこだ~? 見たことないと思うんだよな」
キョロキョロとシズクがあたりを見まわす。そりゃー見たことないだろう。俺が適当に森とか山とかを配置した箱庭だからな。
「ルーどのくらい時間開けてからなら外出て大丈夫だと思う?」
「そうですね…なんとも言えませんけど、日が落ちるまでは見張られている可能性はあるかもです。もちろん日が落ちてからなら絶対大丈夫だとは言えませんけども…」
だよな~…となると最低でもここで一晩過ごさないといけないわけだよな。
「ジエル、アスが嫌がらない程度なら一緒に遊んでいいぞ」
「…あそぶ!」
「ネコルーも自由にしてていいからな。後でご飯の時呼ぶから」
「ル~」
まあ夕食の時間まで各自自由にさせておこうってことだ。若干アスが警戒していたが一緒にご飯を食べ多分、怖い人ではないと思ってくれたと思う。
「シズクはどうする? しばらく馬車で進めないと思うんだが」
「あのさ、俺何が起こってるんだかまったくわからんのだが? さっきも聞いたけど、ここはどこだよ」
「うーん…俺のスキルの中なんだけど、簡単に言うと別の世界かな? すごく狭いが」
「別の世界…? もしかしてここにかくしてんじゃないだろうな!」
急にシズクは俺の襟首をつかみ上げ怒鳴る。前と同じだ何かを隠していると言い出した。
「あの…シズクさんは何を探しているんです?」
「…・者だ」
よく聞き取れなかった。ルーと顔を見合わせ首を傾げる。
「だから、俺は勇者を探してるんだ!」
「ああー勇者だったら…」
「やっぱりお前が犯人か!!」
「ちょっ…あいつなら、多分…まだ王都に…っ」
首がしまって苦しい。頭がよく回らない…犯人ってどういうことだ…
「シズクさんあなた勘違いしています! 貴方が探している勇者はリョータさんが言っている勇者じゃないですっ」
「さてはお前もグルだな!!」
「とにかく落ち着いてくださいっ 王都にいる勇者は10代でリョータ様と年が同じなんです!」
「なに…? そんなに若いのかっ」
やっと手の力が緩んだ…
「ゲホッ ゲホッ…ゆ、勇者っていうのは何人も…いるのか?」
「いえ…そうじゃないのですが…」
ん?? 何人もいるわけじゃないのに俺が言った勇者とシズクが言っている勇者が違う?? ちょっと意味が分からないな。
「正確な情報を伝えるためにもやはり私達の里にまでいらしてください…」
「言われなくても俺はついていくぜっ まあまだしばらく出発しないんだよな?」
「ああ」
「じゃあちょっと周辺うろついてくるわ」
シズクはさっさとどこかへと行ってしまった。残された俺とルーはひとまず家の中へと入っていった。
紅茶を入れテーブルに並べた。まずはお茶でも飲んで落ち着くべきだよな。ついでにクッキーも出しておいた。ルーと向き合って座り紅茶を口に運ぶ。ちょっと火傷しそうになったがそんなそぶりは見せない。
「リョータさんのお友達の勇者の人は…無事ダンジョンを攻略出来たのでしょうか?」
ん? なんでたけがダンジョンを攻略出来たかどうかなんていいだした…
「さあな~ 最後に会ったときはまたダンジョンに向かうところだったし」
「そうですか…」
「……?」
コップを持つルーの手が震えている。
「一つだけ…」
「ん?」
「この世界で勇者として存在出来るのは一人だけなのです」
「それってどういう…」
…ひょっこりとジエルがテーブルの端から顔を出した。どうやらジエルとアスは家の中で遊んでいたみたいだ。
「甘いの…」
「キュ?」
「…食べていいよ」
「アスも食べる?」
「キュ~」
ジエルとアスがクッキーを食べ始め、続きを聞ける雰囲気ではなくなってしまった。もしかして…わざとか? こう見えてジエルはルーより年上で、次にエルフをまとめる予定の人だ。見た目や行動で油断させておいて本当は…とか?
「バナナジュース」
「いや、また飲むの?」
「問題が?」
「飲みすぎると太る」
「……!! お茶にする」
まあさすがにそれは気のせいだろうね。
なにしてんのあんたたちっていってそうな顔でジエルがこっちを見ている。そんな顔をされてもこっちは必死だったんだよね…結界を張るのを忘れていたくらいだ。そのせいでネコルーに少し怪我をさせてしまった。せめて後でおいしいものを食べさせてあげようか。
「ところでここはどこだ~? 見たことないと思うんだよな」
キョロキョロとシズクがあたりを見まわす。そりゃー見たことないだろう。俺が適当に森とか山とかを配置した箱庭だからな。
「ルーどのくらい時間開けてからなら外出て大丈夫だと思う?」
「そうですね…なんとも言えませんけど、日が落ちるまでは見張られている可能性はあるかもです。もちろん日が落ちてからなら絶対大丈夫だとは言えませんけども…」
だよな~…となると最低でもここで一晩過ごさないといけないわけだよな。
「ジエル、アスが嫌がらない程度なら一緒に遊んでいいぞ」
「…あそぶ!」
「ネコルーも自由にしてていいからな。後でご飯の時呼ぶから」
「ル~」
まあ夕食の時間まで各自自由にさせておこうってことだ。若干アスが警戒していたが一緒にご飯を食べ多分、怖い人ではないと思ってくれたと思う。
「シズクはどうする? しばらく馬車で進めないと思うんだが」
「あのさ、俺何が起こってるんだかまったくわからんのだが? さっきも聞いたけど、ここはどこだよ」
「うーん…俺のスキルの中なんだけど、簡単に言うと別の世界かな? すごく狭いが」
「別の世界…? もしかしてここにかくしてんじゃないだろうな!」
急にシズクは俺の襟首をつかみ上げ怒鳴る。前と同じだ何かを隠していると言い出した。
「あの…シズクさんは何を探しているんです?」
「…・者だ」
よく聞き取れなかった。ルーと顔を見合わせ首を傾げる。
「だから、俺は勇者を探してるんだ!」
「ああー勇者だったら…」
「やっぱりお前が犯人か!!」
「ちょっ…あいつなら、多分…まだ王都に…っ」
首がしまって苦しい。頭がよく回らない…犯人ってどういうことだ…
「シズクさんあなた勘違いしています! 貴方が探している勇者はリョータさんが言っている勇者じゃないですっ」
「さてはお前もグルだな!!」
「とにかく落ち着いてくださいっ 王都にいる勇者は10代でリョータ様と年が同じなんです!」
「なに…? そんなに若いのかっ」
やっと手の力が緩んだ…
「ゲホッ ゲホッ…ゆ、勇者っていうのは何人も…いるのか?」
「いえ…そうじゃないのですが…」
ん?? 何人もいるわけじゃないのに俺が言った勇者とシズクが言っている勇者が違う?? ちょっと意味が分からないな。
「正確な情報を伝えるためにもやはり私達の里にまでいらしてください…」
「言われなくても俺はついていくぜっ まあまだしばらく出発しないんだよな?」
「ああ」
「じゃあちょっと周辺うろついてくるわ」
シズクはさっさとどこかへと行ってしまった。残された俺とルーはひとまず家の中へと入っていった。
紅茶を入れテーブルに並べた。まずはお茶でも飲んで落ち着くべきだよな。ついでにクッキーも出しておいた。ルーと向き合って座り紅茶を口に運ぶ。ちょっと火傷しそうになったがそんなそぶりは見せない。
「リョータさんのお友達の勇者の人は…無事ダンジョンを攻略出来たのでしょうか?」
ん? なんでたけがダンジョンを攻略出来たかどうかなんていいだした…
「さあな~ 最後に会ったときはまたダンジョンに向かうところだったし」
「そうですか…」
「……?」
コップを持つルーの手が震えている。
「一つだけ…」
「ん?」
「この世界で勇者として存在出来るのは一人だけなのです」
「それってどういう…」
…ひょっこりとジエルがテーブルの端から顔を出した。どうやらジエルとアスは家の中で遊んでいたみたいだ。
「甘いの…」
「キュ?」
「…食べていいよ」
「アスも食べる?」
「キュ~」
ジエルとアスがクッキーを食べ始め、続きを聞ける雰囲気ではなくなってしまった。もしかして…わざとか? こう見えてジエルはルーより年上で、次にエルフをまとめる予定の人だ。見た目や行動で油断させておいて本当は…とか?
「バナナジュース」
「いや、また飲むの?」
「問題が?」
「飲みすぎると太る」
「……!! お茶にする」
まあさすがにそれは気のせいだろうね。
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