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マリジアナの町
189. 決まり事
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ガタゴトと馬車が進む中ゆっくりとルーが口を開いた。
「で…シズクさんさっきの人たちは何なんですか?」
「うーん…あれだよ、周りで盗賊だと思われているやつらの一部」
「盗賊なんですか? なんでそんな人たちと仲良さそうにしているのですか」
「あーもうっ そうじゃなくて! 実際に盗賊は別にいるんだって、それであいつらはたまに盗賊に間違われるけど、そうじゃないんだ」
ちょっとシズクの説明がわかりにくくて俺もルーをも首を傾げてしまう。
「盗賊じゃない…つまり何者なんだ?」
「ざっくりいうとただの平民」
「シズクさんそれは流石にざっくりしすぎでしょう?」
「えーと…あれだ。普通に町に住むことが出来ないやつら」
「ということはあの林で生活しているんですか?」
「まあそういうこと」
シズクの話によるとちょっと分かりにくかったがどうやら町で暮らすことが出来ない人達が住んでいて、周辺でとれた鉱石や薬草などを通りがかった商人と交渉して食料や日用品と交換して生活をしているんだそうだ。その手助けをしているのがシズクらしい。
「ぽんっと物をやるのは簡単だけどよ、それだとあいつらのためにならないだろう?」
「まあそうだな」
それが当たり前になってしまったら自分たちで頑張ろうとしなくなるだろうね。
「だから出来るだけ自分たちでやらせてんだよ。まあ俺が通る時はどんなものでも交換してやるけどな」
「それはわかったんだけど、なんで怪我してたんだ?」
「多分…その盗賊か、ほらすぐそばに洞窟があっただろう? あそこがダンジョンの入り口だからさ、そこを利用してる冒険者にやられたか…」
理由はわからないが何かもめたのだろうということか。どっちが相手にしてもあまりいいことではないな。
「でもまいったな…あいつら町に入れないからさ」
「なあシズクどんな理由で町に住めないんだ?」
「異種族婚ってやつだよ。俺たち獣人族は基本獣人族だけで婚姻を結ぶんだ。もちろん異種族婚でも子供さえ生まなければ問題はない…だけど」
そういえば小さな子供が2人いたな。つまり…
「気がついたか? 子供がいるんだ殺されるようなことはないが町には住まわせてくれない」
流石にそれは難しい問題なのかもな。異種族婚にすべての人が反対しているわけじゃないだろうけど、今までそうやってきたものをなしにしろと言われても誰も納得しないだろう。
「ルーお前らエルフにだって何かしら決まり事はあるだろう?」
「確かにありますが…」
「まあそういうこった」
「理由はわかったけど、だったらなんでシズクはそんなに協力をしているんだ?」
「ん-…まあ、異種族婚はどちらかと言えば賛成だから」
賛成だからってだけで手を貸すものなのか? なんか他にも理由がありそうだけど、今は話してくれそうにないみたいだ。
「リョータさんそろそろ結界をお願いします」
「ん、ああ」
そろそろ木々の切れ目で外に出るようだ。結界を張るということはこっち側にさっき話していた盗賊が出没するってことかな。
「結界」
「走り抜けます」
結界を張ったと同時に馬車の速度が上がった。それとほぼ同時にカツンカツンと結界に矢が辺り跳ね返る音や男達の声が聞こえてくる。どうやら盗賊が出たようだ。
「すげぇなこの魔法…これなら放置でいけそうじゃないか」
「もう少しでダンジョンの影響下から抜けますよ」
木々がなくなり視界が開けさっきより明るくなった。男たちの声も遠のき揺れる馬車の音だけが聞こえている。
「ふぅ…多分これでしばらくは平和だと思います」
結界が張ってあるとはいえやはりあの状況は多少なりに緊張したのかな。
「よかった誰も馬車で轢かなくて…」
…馬車で轢く? たしかに…うん。轢かなくてよかったね? もし一人でも轢いていたらと想像すると寒気がするわ。
「で…シズクさんさっきの人たちは何なんですか?」
「うーん…あれだよ、周りで盗賊だと思われているやつらの一部」
「盗賊なんですか? なんでそんな人たちと仲良さそうにしているのですか」
「あーもうっ そうじゃなくて! 実際に盗賊は別にいるんだって、それであいつらはたまに盗賊に間違われるけど、そうじゃないんだ」
ちょっとシズクの説明がわかりにくくて俺もルーをも首を傾げてしまう。
「盗賊じゃない…つまり何者なんだ?」
「ざっくりいうとただの平民」
「シズクさんそれは流石にざっくりしすぎでしょう?」
「えーと…あれだ。普通に町に住むことが出来ないやつら」
「ということはあの林で生活しているんですか?」
「まあそういうこと」
シズクの話によるとちょっと分かりにくかったがどうやら町で暮らすことが出来ない人達が住んでいて、周辺でとれた鉱石や薬草などを通りがかった商人と交渉して食料や日用品と交換して生活をしているんだそうだ。その手助けをしているのがシズクらしい。
「ぽんっと物をやるのは簡単だけどよ、それだとあいつらのためにならないだろう?」
「まあそうだな」
それが当たり前になってしまったら自分たちで頑張ろうとしなくなるだろうね。
「だから出来るだけ自分たちでやらせてんだよ。まあ俺が通る時はどんなものでも交換してやるけどな」
「それはわかったんだけど、なんで怪我してたんだ?」
「多分…その盗賊か、ほらすぐそばに洞窟があっただろう? あそこがダンジョンの入り口だからさ、そこを利用してる冒険者にやられたか…」
理由はわからないが何かもめたのだろうということか。どっちが相手にしてもあまりいいことではないな。
「でもまいったな…あいつら町に入れないからさ」
「なあシズクどんな理由で町に住めないんだ?」
「異種族婚ってやつだよ。俺たち獣人族は基本獣人族だけで婚姻を結ぶんだ。もちろん異種族婚でも子供さえ生まなければ問題はない…だけど」
そういえば小さな子供が2人いたな。つまり…
「気がついたか? 子供がいるんだ殺されるようなことはないが町には住まわせてくれない」
流石にそれは難しい問題なのかもな。異種族婚にすべての人が反対しているわけじゃないだろうけど、今までそうやってきたものをなしにしろと言われても誰も納得しないだろう。
「ルーお前らエルフにだって何かしら決まり事はあるだろう?」
「確かにありますが…」
「まあそういうこった」
「理由はわかったけど、だったらなんでシズクはそんなに協力をしているんだ?」
「ん-…まあ、異種族婚はどちらかと言えば賛成だから」
賛成だからってだけで手を貸すものなのか? なんか他にも理由がありそうだけど、今は話してくれそうにないみたいだ。
「リョータさんそろそろ結界をお願いします」
「ん、ああ」
そろそろ木々の切れ目で外に出るようだ。結界を張るということはこっち側にさっき話していた盗賊が出没するってことかな。
「結界」
「走り抜けます」
結界を張ったと同時に馬車の速度が上がった。それとほぼ同時にカツンカツンと結界に矢が辺り跳ね返る音や男達の声が聞こえてくる。どうやら盗賊が出たようだ。
「すげぇなこの魔法…これなら放置でいけそうじゃないか」
「もう少しでダンジョンの影響下から抜けますよ」
木々がなくなり視界が開けさっきより明るくなった。男たちの声も遠のき揺れる馬車の音だけが聞こえている。
「ふぅ…多分これでしばらくは平和だと思います」
結界が張ってあるとはいえやはりあの状況は多少なりに緊張したのかな。
「よかった誰も馬車で轢かなくて…」
…馬車で轢く? たしかに…うん。轢かなくてよかったね? もし一人でも轢いていたらと想像すると寒気がするわ。
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