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いいことと悪いこと
287. 再会の2人
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とても静かな朝だった。昨日のことはまるで夢だったかのように感じられるくらいに。体を起こしベッドに腰掛けると俺は窓の外を眺めた。
ここはエルフの里のルリアーナさんの家。昨日ここへ逃げ込んだ俺たちはそのルリアーナさんも交えことのいきさつを説明した。一緒にいたために巻き込まれたカルガードにも説明をし、これも何かの縁ということで色々と手を貸してくれるようだ。彼がどのようなことに手を貸してくれるのかはわからないが…
コンコン
「どうぞ」
扉を叩く音がしたので入室を許可するための返事を返す。すると部屋にやってきたのはルリアーナさんだった。何かを言いたそうな顔をしながら後ろ手に扉を閉めじっとこちらを見ている。
「えーと…何か用でしょうか?」
何も用がないのに俺のところへ来ることはない。だから俺は用件をきいてみた。
「あまり意味のあることではないと思っているのですが、どうしても一度顔をあわせておきたいのです」
「顔をあわす…」
俺が一緒に行動をしている人でルリアーナさんと顔をあわせていない人は、獣人の子供であるエルナとミイそれと…人族だけだ。獣人の子供に会う意味はないことを考えると、ヨルさんはまったく関係ないしここはやっぱりたけに会いたいということなのだろう。
「たけ…勇者ですか?」
ルリアーナさんは嬉しそうでもあり悲しそうな顔を浮かべ頷いた。
「こんなことになったしまった原因の一人である私なんかに会いたいとは思わないかもしれません。ですが、やはり一度は直接会ってあやまりたいのです」
「たけはそんなこと覚えてもいませんよ?」
「わかっています。もちろんただの自己満足だということも…」
「…聞いてみます。ちょっとここで待っててください」
そういうと俺は箱庭を開き中へ入るとすぐに扉を閉じた。
「あれ、どうした良太? 変な顔してるぞ??」
「たけ…」
なんて間の悪いご本人登場だ。ごちゃごちゃと考える時間や探す手間が省けたとも言えるか…
「あのさ、たけは覚えていないけどこの世界で妻とした相手に会いたいか?」
この間はつい丁度いたから何も考えずルーとジエルを会わせてしまったが、ルリアーナさんと顔を会わせるのはちゃんと本人の許可がいると思う。会わせてあげたいとは思っていたけど、よく考えたらすでに忘れられた存在でもあるのだから。いや違うか、今のたけにとってはあったこともない人なんだ。
「…会ってみたいかな。だってさ、俺が自分で選んだ相手には違いないんだろう? 覚えていないのは残念だが、俺のことを好きでいてくれた相手が今のこの状況に苦しんでいるかもしれないじゃないか。せめて話だけでも聞いてやるべきなんじゃないかな~とさ」
「なるほどね…俺わかった気がするわ。たけが勇者として呼ばれたわけが」
たけは突然なんだ? って言うような顔をして首を傾げている。まあ本人が一番わからないことなんだろうね。もしかするとただの無自覚かもしれないが。
「まあいいや」
「はあ? 意味わからんぞ」
俺はそんなたけを無視して扉を繋いだ。その先にはルリアーナさんが立っていた。俺はルリアーナさんがいる方へ向かうと背後に周り軽く背中を押した。
「自分の扉繋いであるでしょう? 話が終わったら勝手に戻って来てください」
「そ、そうね…」
お互い視線を交わしたまま固まっていたのでね。このままじゃ邪魔で仕方がない。まあ2人のことは2人で何とかしてもらうとして俺はこれからどうするか考えないと…
ここはエルフの里のルリアーナさんの家。昨日ここへ逃げ込んだ俺たちはそのルリアーナさんも交えことのいきさつを説明した。一緒にいたために巻き込まれたカルガードにも説明をし、これも何かの縁ということで色々と手を貸してくれるようだ。彼がどのようなことに手を貸してくれるのかはわからないが…
コンコン
「どうぞ」
扉を叩く音がしたので入室を許可するための返事を返す。すると部屋にやってきたのはルリアーナさんだった。何かを言いたそうな顔をしながら後ろ手に扉を閉めじっとこちらを見ている。
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何も用がないのに俺のところへ来ることはない。だから俺は用件をきいてみた。
「あまり意味のあることではないと思っているのですが、どうしても一度顔をあわせておきたいのです」
「顔をあわす…」
俺が一緒に行動をしている人でルリアーナさんと顔をあわせていない人は、獣人の子供であるエルナとミイそれと…人族だけだ。獣人の子供に会う意味はないことを考えると、ヨルさんはまったく関係ないしここはやっぱりたけに会いたいということなのだろう。
「たけ…勇者ですか?」
ルリアーナさんは嬉しそうでもあり悲しそうな顔を浮かべ頷いた。
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「たけはそんなこと覚えてもいませんよ?」
「わかっています。もちろんただの自己満足だということも…」
「…聞いてみます。ちょっとここで待っててください」
そういうと俺は箱庭を開き中へ入るとすぐに扉を閉じた。
「あれ、どうした良太? 変な顔してるぞ??」
「たけ…」
なんて間の悪いご本人登場だ。ごちゃごちゃと考える時間や探す手間が省けたとも言えるか…
「あのさ、たけは覚えていないけどこの世界で妻とした相手に会いたいか?」
この間はつい丁度いたから何も考えずルーとジエルを会わせてしまったが、ルリアーナさんと顔を会わせるのはちゃんと本人の許可がいると思う。会わせてあげたいとは思っていたけど、よく考えたらすでに忘れられた存在でもあるのだから。いや違うか、今のたけにとってはあったこともない人なんだ。
「…会ってみたいかな。だってさ、俺が自分で選んだ相手には違いないんだろう? 覚えていないのは残念だが、俺のことを好きでいてくれた相手が今のこの状況に苦しんでいるかもしれないじゃないか。せめて話だけでも聞いてやるべきなんじゃないかな~とさ」
「なるほどね…俺わかった気がするわ。たけが勇者として呼ばれたわけが」
たけは突然なんだ? って言うような顔をして首を傾げている。まあ本人が一番わからないことなんだろうね。もしかするとただの無自覚かもしれないが。
「まあいいや」
「はあ? 意味わからんぞ」
俺はそんなたけを無視して扉を繋いだ。その先にはルリアーナさんが立っていた。俺はルリアーナさんがいる方へ向かうと背後に周り軽く背中を押した。
「自分の扉繋いであるでしょう? 話が終わったら勝手に戻って来てください」
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