304 / 356
いいことと悪いこと
288. 量と人手
しおりを挟む
たけはルリアーナさんとお話し中。ジエル、ルー、響子は御神木様の下でお祈り中だ。カルガードとシズクは一度自分の家へと戻っている。ということで俺は一人ブンナーへと様子を見に向かうことにした。もちろんちゃんとフードを被り顔を隠して。
王都でも騒ぎ起こしちゃったしブンナーでも気軽に歩けなくなるとは思わなかった。それにフィレーネはきっと足を踏み入れることも今は出来ないだろう。一人でならこっそりいけないこともないかもしれないが…
「うーん…やっぱりか」
軽くブンナーを歩いてみたところ、今までいなかった見回りをする人がちらほらといた。そのせいか治安はよさそうに見えるがどこか住人は居心地が悪そうにも見える。そして一番見たい場所である御神木様を植える予定の場所はそこまでの道を封鎖されており入ることも出来ないみたいだ。俺たちが入り込み御神木を植えてしまわないようにだよねこれは。まあ土をなんとかしないと植えることは出来ないんだが、こいつらはそんなことは気がついていなんだろう。
エルフの里に戻ってくるとお祈りが終わったのか響子が丁度通りかかる。どうやら御神木は御神木のもとに置いてきたようだ。まあそこが一番安全だし、周りは魔力であふれているからな。
「あ、りょーちゃんさがしたんだよぉ~? 見つからないからイヤリングで連絡とろうとしてたとこだったしっ」
「なんだ?」
「ほらえっと…カルガード? が呼んでたよ」
なんだろう? よくわからないが俺に用があるみたいだし一度箱庭へ戻ろうか。
箱庭に入り地図でカルガードがどこにいるか確認すると、どうやらケーキ屋にいるみたいだ。
「あ、リョータさん助けてくださいっ」
店の中に入るとエルナがそう言いながら俺の方に駆け寄ってきた。エルナが向かってきた先を見るとそこにいるのはカルガードとミイ。どうやらお菓子を食べていたみたいだ。
「どうしたの?」
「カルガードさんがしつこいんです!」
「何してんだカルガード…」
テーブルに近づくと何やらお菓子をばらまきそのこまごましたものを少しづつ口に運びながら何やらぶつぶつと言っている。
「ん? あーリョータこれなんだけどさ、材料何で出来ているんだ? 作り方は?? それと保存方法と…」
目の前で騒いでいるカルガードがぐちゃぐちゃにしていたのはプリンだった。まさかこれを聞くために俺を呼んだんじゃないよな?
「お前…用事はそれなのか?」
「…そうだった。違う違うこれはリョータを待っている間に気になって調べていただけなんだ。ほら…初めて食べてうまくてさ、つい作り方とかいろいろ知りたくなっちまって」
なるほど、流石商人ってところか。売れる物には敏感なんだな。面倒だから外で売る気はないが。
「それで?」
「ああ用件ってのはあれだ。土の復活剤は間違いなくあの土にも効果がありそうだぞ」
そういえば昨日のあの状況の中でもちゃっかりとカルガードは土を採取していたんだったな。持ち帰ってきた土をちゃんと調べていてくれたらしい。
「でだ、あの範囲だろう? 復活剤の量もかなりいるが、それを混ぜる作業をする人手も結構いるんじゃないか?」
「量は何とでも出来るが、人手か」
「量は何とかなるんだ…むしろ人手の方が問題ないだろう?」
…あれ? お互い認識が違ったみたいだ。つまりこれは何とかなるってことなんじゃ…あくまでも土に関してだけはだけど。
王都でも騒ぎ起こしちゃったしブンナーでも気軽に歩けなくなるとは思わなかった。それにフィレーネはきっと足を踏み入れることも今は出来ないだろう。一人でならこっそりいけないこともないかもしれないが…
「うーん…やっぱりか」
軽くブンナーを歩いてみたところ、今までいなかった見回りをする人がちらほらといた。そのせいか治安はよさそうに見えるがどこか住人は居心地が悪そうにも見える。そして一番見たい場所である御神木様を植える予定の場所はそこまでの道を封鎖されており入ることも出来ないみたいだ。俺たちが入り込み御神木を植えてしまわないようにだよねこれは。まあ土をなんとかしないと植えることは出来ないんだが、こいつらはそんなことは気がついていなんだろう。
エルフの里に戻ってくるとお祈りが終わったのか響子が丁度通りかかる。どうやら御神木は御神木のもとに置いてきたようだ。まあそこが一番安全だし、周りは魔力であふれているからな。
「あ、りょーちゃんさがしたんだよぉ~? 見つからないからイヤリングで連絡とろうとしてたとこだったしっ」
「なんだ?」
「ほらえっと…カルガード? が呼んでたよ」
なんだろう? よくわからないが俺に用があるみたいだし一度箱庭へ戻ろうか。
箱庭に入り地図でカルガードがどこにいるか確認すると、どうやらケーキ屋にいるみたいだ。
「あ、リョータさん助けてくださいっ」
店の中に入るとエルナがそう言いながら俺の方に駆け寄ってきた。エルナが向かってきた先を見るとそこにいるのはカルガードとミイ。どうやらお菓子を食べていたみたいだ。
「どうしたの?」
「カルガードさんがしつこいんです!」
「何してんだカルガード…」
テーブルに近づくと何やらお菓子をばらまきそのこまごましたものを少しづつ口に運びながら何やらぶつぶつと言っている。
「ん? あーリョータこれなんだけどさ、材料何で出来ているんだ? 作り方は?? それと保存方法と…」
目の前で騒いでいるカルガードがぐちゃぐちゃにしていたのはプリンだった。まさかこれを聞くために俺を呼んだんじゃないよな?
「お前…用事はそれなのか?」
「…そうだった。違う違うこれはリョータを待っている間に気になって調べていただけなんだ。ほら…初めて食べてうまくてさ、つい作り方とかいろいろ知りたくなっちまって」
なるほど、流石商人ってところか。売れる物には敏感なんだな。面倒だから外で売る気はないが。
「それで?」
「ああ用件ってのはあれだ。土の復活剤は間違いなくあの土にも効果がありそうだぞ」
そういえば昨日のあの状況の中でもちゃっかりとカルガードは土を採取していたんだったな。持ち帰ってきた土をちゃんと調べていてくれたらしい。
「でだ、あの範囲だろう? 復活剤の量もかなりいるが、それを混ぜる作業をする人手も結構いるんじゃないか?」
「量は何とでも出来るが、人手か」
「量は何とかなるんだ…むしろ人手の方が問題ないだろう?」
…あれ? お互い認識が違ったみたいだ。つまりこれは何とかなるってことなんじゃ…あくまでも土に関してだけはだけど。
3
あなたにおすすめの小説
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。
億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。
彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。
四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?
道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!
気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?
※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる