僕のためにひと肌脱いで

問題とは？

「兄上に、協力して欲しい事があるのです。」

半分泣き出してしまいそうな、申し訳なさそうな顔でユーグが切り出した。

何故、こんな姿で話を聞かなければならないのか？
と、問い詰めたい所だが頭は少しボンヤリしたままだ。
とりあえず、話を進めろと目線で先を促す。

「兄上が家を出て、私がグランツ家を継ぐ事になりました。しかし、私には大きな問題があるのです。」

「問題が？学力も魔力量も申し分ないと聞いているが、、、」
実際、学院の成績も義弟の方がいいし、計測された魔力量も比べ物にならない程だ。

「実務に関して、言っているわけでなはいのです。
問題は、、、　世継ぎに関する事で、、、」

ユーグは言い難い。と言った感じで段々声が小さくなっていく。

「世継ぎ？　婚約者が見つからないのか？
　侯爵家なのに？」

まさか、そんな筈はないだろう。
私が言うのもあれだが、グランツ家は世間的にも評価は低くなく、領地経営も順調。
資金繰りも悪く無かった筈である。

ましてや上位貴族。
ユーグの見た目は悪くない。むしろ、金髪碧眼の見た目は人形の様に整っている程だ。
何より、成人後には家を継ぐ事も決まっている。
成人まで後2年程。
16歳の今、婚約者が決まっていないなら、確かに問題ではある。

しかし、婚約者であればそこは父親に相談するべき事では無いのか？
何故、俺に？