ざまあ~が終ったその後で BY王子 (俺たちの戦いはこれからだ)

mizumori

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6話 角うさぎよ、待っていろ 

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 馬車に乗って3時間、畑が延々と続き、ニルベの街が見えてきた。
この世界は城塞都市が多いようだ。といってもファンタジー業界のなかではそれ程高いとはいえない、3メートル程の石垣が取り囲んでいる。しかし現実的に考えればものすごい労力だ、魔法がなければとてもできない技だ。

 この世界にステータスはない。ついでにスキルもない。普通に努力して出来ることを増やしていく。
ただし魔法は別だ。教会に行って可能性を教えてもらい、才能があれば弟子入りなり、教師に教えてもらうなりして魔法の才を伸ばす。十人に一人はロウソクで灯っているくらいの火を出せたり、コップ一杯の水を出したりと生活魔法が使える。百人に一人は野球ボール大のファイアボールが飛ばせる。千人に一人は2,3メートルのファイアウォールが出せる。これは火魔法を例にとればということだ。そして魔法には火、水、風、土、光、闇の6種類がある。
魔法使いも魔物も普通にいる。

  ただ庶民として生活していると魔法が身近にあるとはあまり言えない。強い魔法使いは貴族の血を引くものが多いし、あとは冒険者になるものも多いからだ。魔石も高いので獣脂のろうそくを使う。城壁の中で暮らしていると我々がジビエを食べるように、魔物の肉を食べるのがせいぜいだ。

 なにはともあれファンタジーだ。俺は馬車の中で冒険者ルックに着替え、髪と目の色を魔法で茶色に変えた。
このためにニルベの街に来たと言っても過言ではない。白金の髪に紫に灰色の混じった薄い色の瞳。神秘的だといわれた時も多々あるらしいが、こんな目立ちまくりの色で過ごせるか。僕は王族ですと立て看板を下げているようなものじゃないか。

 そして姿を変えた俺が、馬車から降りると護衛の連中が目を丸くしている。くちびるに指を1本立て、にっこりと笑う。彼等がこくこくと頷いてくれたのでよしとしよう。この件はこれまでだ。

 門は冒険者証を提示すると簡単に通れた。そこから程近いところにあるギルドに案内してもらい彼らとはお別れだ。初めて自分で行く冒険者ギルドにわくわくする。石造りの体育館ぐらいの2階建てのごつい建物だ。
横長のカウンターには受付が8個ある、前半分はロビー、後ろ半分は事務所になっている。そのまた後ろ、建物の半分は倉庫だ。カウンターの左手には酒場があり、冒険者のグループがいくつかたむろしている。俺はあまりその手の本を読む時間がなかったので詳しくないのだが、それでも何冊か読んだ本のとおりの光景が広がっていて、感激した。この世界に来てよかった、神様ありがとう!

 掲示板はと・・・酒場との仕切りの前にある。
何にしようかな。記念すべき初仕事だ、ここは薬草採取か角うさきの討伐をしたい。

 でもなー、でもしかし問題がある。足が止まる。ファンタジーに浮かれてばかりはいられないよね。
ちょっと待ってプレイバック、プレイバック。

 男爵令嬢に会ったその日から、アホの花が咲きました、といわんばかりにこいつは鍛錬も勉強もさぼっていたんだ。約2年間、その内最後の1年は全く剣を握っていないというていたらく・・・ていたらく・・・・・それを思い出した。

 だめだ、俺はまだ死にたくない。受付に直行した俺は訓練所での指導をお願いした。ついでにそこそこの宿も教えてもらった。ちくせう!王子のばかやろー!


 そして、とぼとぼとギルドの裏にある訓練所(物置つきの空き地だな)に向かった俺は再度驚いた。教官と称する中年男、あいつは父上の護衛の近衛騎士じゃないか。
へなへなとくずおれそうだ。ORZをしそうだ。なんという過保護なんだ。

 まあ、知らん顔をするのが吉だな。
そして教官の鬼、強いのなんの・・・・・素振りから始めますと言った俺は悪くない。
一ヶ月間、午前中の指導をお願いした俺はふらふらになりながら宿に向かった。
 
 ”ねこじゃらし亭”一日朝晩の食事つきで銀貨1枚。風呂はないが水のシャワーが奥にあり、一回銅貨5枚(5百円相当)で使える。部屋は6畳ぐらいでベッドと小机がある。
スタートとしては上々ではないか。銀貨1枚が1万円相当。中堅冒険者の宿だ。もっと安いところもあるが、がらが悪そうなので遠慮したい。ついでに虫も遠慮したい。日本で育った人間にダニと暮らせる奴がいるとは思わない。

 俺のスケジュールはこうだ。
朝起きたら、ランニングを2時間予定(今は半分歩いている)朝食の後は訓練所へ。
昼食を食べたら、自分探しの旅・・・・・冗談です、どの魔法が使えるかの確認と魔法知識獲得のための図書館通い。夕食を終えたら、宿の裏で素振り。俺ってえらい!

 
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