ざまあ~が終ったその後で BY王子 (俺たちの戦いはこれからだ)

mizumori

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39話 夜会へGO 

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 夏の間は王都から連れてきた職人たちと秘密の実験をした。そこそこ上手くいったといっておこう。(骨を焼いて出来た灰を使ったとある製品ね)
そして9月半ばから寒村、また南の王領ボルダに戻って石鹸作り、そして販売。フィーゲル侯爵はあまり値を下げなかったので、何時も以上に儲かった。

 ただ、襲撃はされた。・・・護衛を増やして良かったよ。

 5月には王都に戻り、兄上たちと再会した。母上はもちろん、父上にまでハグされたのには吃驚した。兄上にこつんと、頭を叩かれ「15歳からジルはいなくなっていたから」と言われた。反省。でも、ほのぼのとした雰囲気で終れたのでよかった。

 王宮の俺の宮は家具も備品も出て行ったときと変わらず、売却代金とか言って渡された金は兄上のポケットマネーだったようだ。お世話になりました。

 俺は石鹸のことがあるので王宮と屋敷を行き来している。といってもほぼ王都の屋敷にいる。だって商人たちはそう気軽には王宮の奥の俺の宮には入ってこれない。ついでに下級官吏を10名引き抜いた。これで少しは仕事が俺の手を離れて回ってくれるとよいのだが。


 そして、いよいよ夜会だ。陛下たち、王太子、俺、反対側には第3王子、第4,5王子そして側室たちと王女がひな壇のような場所に並んでいる。

 なお、そこにいる俺を目の敵にしている、第3王子21歳、マコーニックは俺の半年、年上の弟である。変ではない、偶にあることだ。
 彼の母親である側室マデリーン様が第3王子を生む前に王妃の妊娠が分かったのだ。子供の生まれる順番は大事だ。特に2番目は、王の補佐をすることも多い。直系が優先されるので、どちらにしろ俺になっただろうが、そういう訳で彼は俺の5歳のお披露目の時に弟としてついでに発表されたわけである。そのころはまだフィーゲル侯爵の力は今ほど強くなかったのだろう。それで強権が通ったのだが、彼はきっと俺を忌々しく思っているはずだ。妾腹の彼は叔父、叔父の息子に次いで王位継承権は5位である。 
 
 ついでに、王宮で一番もてるイケメンということで、興味満々で観察したが、彼はエリオンレベルのイケメンではあるが、言ってしまえば十数人はいるイケメンの一人でしかない。がっかりだ、がっかりしたよ。そして付加価値として〇〇王子とつくとモテルのだと再確認した。俺はそんな勘違い野郎にはならないぞ。(彼は女神が気に入るほどの超絶美青年ではあるが、王子の立場が女性を引きつけると思っているので、自分のイケメン度を把握できていない)

 しかし、さー、王子はそんなにありがたいものかな。それは今は王の威光で威張っていられるかもしれないが、最終的には王都に屋敷を与えられ年金で暮らす身分だ。それも妾腹だから子供の代で終る。王宮で発言権はあっても微妙だ。常々思っているのだが、本人は良くとも将来性を考えたら伯爵の跡継ぎのほうがよくはないか?それとも今偉そうにできる方がいいのか?どちらにしろ王子とは厄介な存在だと思う。

 そして同じく側室の息子である、4男と5男のエーベルとイグナーツ。側室3人は全員王子を産んでいる。彼らの年は、18歳と17歳である。父上、なんでこんなに年が近いのですか?揉め事の原因になりそうです。もう少し考えて欲しかった。彼らもエリオンには劣るがイケメンである。

 あとは妾腹の王女が3人、18歳のシャルロッテと16歳のフレーゲル、2人はお嫁にいき、残る一人のマレーネ14歳がここにいるが3人とも美人である。これで紹介は終わり。

 さて、昨日お茶の時間に兄上に言われたんだよね。

「ジル、このシーズンで婚約者を見つけておいで」

「えっ、兄上を差し置いて私が決めることはできません」

 と言っておこう。いまは忙しいから、ちょっとめんどうかな。


「心配しなくても大丈夫だよ、私はとある国の姫と内々で話がある。
だから君は国内で決めなくてはね」

 そんなニコニコしながら言われても、簡単にはいきませんよ。
それとも立場の強化が必要なんだろうか?

「気に入った令嬢を見つけておいで、大抵のことは通してあげるから、あまりあれこれ考えなくてもいいからね」

・・・ではなかった。それでも3ヶ月弱でなんて、無理ゲーだ!

 俺は次から次へと挨拶のために訪れる貴族たちににこやかに返事をしていく。
そして兄上の言いつけを守ろうと、俺の前を通り過ぎていく令嬢たちをさりげなく見ていく。ここで観察をしてどうこう思うのはだめだ。女は勘が鋭いから、気づく。
ただ、何も考えずにさりげなく見るだけ、後で批評をする。これで俺はいままで乗り切ってきた。俺なりの女性対策だ。

 俺は笑顔のバリアが薄いので気づかれやすい。極端な例だが、自分をブスだと思っている男に、女性は好意を持たないだろう。

 そういうわけで・・・・・あっ、あの公爵家令嬢、すっごい綺麗じゃないか。ハーフアップにした豊かな金髪が波打ってばら色のほおを縁取り・・・目が大きくて、くちびるがつやつやしているな・・・っと、これ以上見るのは不味い。彼女を気に入ったと思われるとやっかいだ。美人にはトラブルがつき物だからな。

 美女と美少女が続いていく。はるか昔のコマーシャルを思い出す。美人はより美しく、それなりの人はそれなりに写ります BY   フィルム会社・・・多分こんな言葉だった。皆着飾ってそれなりに美しい。較べるべくもない、うん、うん。

 みんなが散々あれこれ言っていたのでドレスも気をつけて見てみた。こうしてみると確かに違いはある、着ているドレスで派閥が分かるって、どんな罰ゲームだよ。皆が好き勝手に服を着ていた現代人を見ていたからそう思うのだろうか。侯爵令嬢セリーヌと取り巻きは同じようなドレスで布とスカートの膨らみが少ないもので全員揃えている。確かに前より軽そうだけれど、フリルもすっきりとしてなくて、ごてごてしているし、リボンも全体を見たときのバランスが悪い。特に動いた時の布のゆれを計算していないように思う。いまいちの気がするが、俺は黙っていよう。褒める時は一部分だけにしておく。うそは良くないし、紳士がドレスに口出しをするのは火薬に火をぶち込むようなものだからな(そしてダサいとは決して言うまい)

 そして兄上ご推薦の5人の美少女と踊る。皆口数が少なくておしとやかだ。
そんな彼女たちを大き目のステップで大胆に動かしてあげると、慌ててくれて、可愛い。
俺がくすくす笑うと、睨んだり、つんとしたり、頬を膨らませたりする。お互いに微笑み合うと親しくなったような心持がして、ぎごちなさが消えてくる。彼女たちと他愛ない言葉を交わし、2人の距離が気にならなくなるころには曲が終る。ちょっと名残惜しいけれど、無難にダンスを終えられて良かった。

 でも、最後は侯爵令嬢セリーヌ、彼女とは微笑みながら、礼儀正しく踊った。弟の婚約者になれなれしくはできない。婚約破棄をしたけれど、今は特に仲たがいしていませんよアピールだ。

「婚約おめでとう。随分と美しくなったね」

 彼女は警戒してます感が一杯の態度で、こちらに向ける笑顔がこわばっている。

「貴方にだけは言われたくありませんわ」

 そして、じっと俺の顔をみて。

「何故、そう平然としていられますの。お逃げになったくせに」

 ありゃりゃ、きついことを言う。ここはにっこりと笑って答えよう。

「2年もたてば、すべて過去です。違いますか?」

「あれほどお慕いしていたわたくしを、蔑ろになさったくせに」
  
 これはこれは、あの男爵令嬢のお仲間か?俺たちと男爵令嬢だけの物語を知っているとは・・・

 それに、なんでいきなりこんなことを言い出した?理由がわからない。特に侯爵令嬢の得になることがない話だ。俺のことをなじってどうしようというんだ。ざまあ~返しをして、とっとと婚約した女にそんなことを言われる筋合いはないぞ。いまさら恋人のような台詞をはく、こういうところが女は不可解だよな。

 シナリオ以外の侯爵令嬢を知らないので、真意がわからない。もうサイは投げられて、俺のやることに変わりはないけれど・・・ じっと彼女の目を見ると、瞳を伏せ、心なしかほおが赤らんでいる。恋人でも婚約者でもないのだが?

 とりあえず、君がシナリオを知っていることは、保留事項にしておこう。

「曲が終りました。第3王子のところへお連れしましょう」

 第3王子のいる一角は令嬢たちが集まって、にぎやかだった。俺の顔をみた彼には無表情で、

「私の婚約者をたぶらかすなよ」

 と文句を言われた、さっきのを見られたな。事実はもっと殺伐としたものなのだが。相変わらず、俺のことが気に喰わないんだな。でもここは大人になろうぜ。

「マコーニック、久しぶりですね。そろそろ結婚式の日取りがきまるころではないのですか?」

「私が軽々と日取りを決められるとでも。私の結婚式です。準備が大変なのです。それに一目ぼれで結婚相手を決めようとした兄上ほど簡素にはできません」

 なに言っちゃってんの。その自分の結婚式は俺のより重要視されて当然という発言は誤解を・・・いやいや問題発言だからね。その勝ち誇った顔がその未来が来ると疑っていないことを示している。

 ありゃりゃ・・・

「あのときのことは若気のいたりです。そういうこともありましたね」

「兄上はそれで済まされるおつもりですか」

「事実をいっているだけなのですが。それより花のような令嬢がたに囲まれて無粋な話は止めませんか」

 俺は周りの令嬢がたに微笑む。きらきら目を輝かして・・・ダンスに誘ってみようかな・・・

「ねえ、そのドレスのリボンは今の流行なの、夜会は久しぶりなので教えて欲しいな」

「ジルベスター様はリボンがお気に召しまして?」

「そうですね、色とりどりで君たちが蝶々みたいです」

「まあ!」「そう思われますの」「うふふ・・・」

「ダンスに誘ったら、リボンが揺れて可愛らしいだろうな」

「あら」「まあ」

「ジルベスター様は何色がお気に召しまして?」

「抜け駆けはずるいわよ」「そんな、お聞きしただけじゃない」

 どれにしようかな、神様の言うとおりと・・・ん?マコーニックが睨んでる。

「いつも兄上には回りが甘くて・・・それで済む時ばかりではないと知っていただきたいですね」

「私がここにいると面白くない人がいるようなので残念ですが、また今度にいたしましょう」

「そんな」「気になさらないで宜しいのに」「もう少し・・・」

 色々と話しかけてくるご令嬢方、ごめんね、また今度。

 とっとと逃げ出して兄上のところに行く。途中でゴードンも捕まえてきた、こいつは婚約者がいないので俺のお供にちょうどいい。兄上はおじさんたち数人とお話中だ。他愛ない話をしながら顔つなぎをしているとそばにビンセントが来ている。君の魂胆は分かっている、アルバトロス商会の裏の会長は俺だと言いたいんだな。いいけどさ。もうばればれなので、おじさんたちが俺たち2人を見て、さもありなんという風なのは仕方がない。でも言葉に出されたらすっとぼけよう。なんだか面倒な気がする。

 こうして一回目の夜会は過ぎていった。



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