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ヒロインたち
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エルフリーデ・フロイデンベルグ公爵令嬢
わたくしはエルフリーデ・フロイデンベルグ公爵令嬢、金の髪は背に美しく流れ、濃いまつげに縁取られた青い目、つややかなくちびる・・・・わたくしはわたくしより美しい令嬢を見たことがございません。
でも14歳の時にデビューして、さまざまな殿方に褒め称えられたわたくしも、もう18歳。婚約をして、結婚相手を婿に迎える時期になっています。わたくしのお母様はすでに亡くなっておりますので、頼りないお父様でなくわたくしががんばらねばなりません。
それなのに今までにお約束した公爵家の3男、侯爵家の次男、そして3男の方、皆様、親の反対でお話が進まず婚約にこぎつけることも出来ませんでした。
妾腹の妹は子爵の3男と結婚して出て行きましたが、わたくしはそのような安易な結婚はできません。
わたくしに悪いところなど1つもないというのに、神様は随分とむごい運命をわたくしに課せられたものです。それでも思い当たる節がないわけではありません。
それは・・・我が領は人口3,000人、まるで男爵領のような狭さなのです。
本来は1万人が住む土地がありました。でもお父様の弟、叔父様がギャンブル好きで、それを清算する為に土地を売り払ったそうです。納得はいきませんが、公爵家の体面の為にはしかたがありません。叔父様は幽閉され、今は亡くなっておりますが、ひどい迷惑をかけられたものです。
そもそも人口1万人というのが公爵領としてはありえないのです。でも公爵家を新たに立ち上げることがあまりなく、かつ一代限りが多い中で新たな公爵家を立てられたのは、幸いだとは思っております。公爵家は公爵家ですものね。先々代の公爵、わたくしの曽祖父がとても美しい人であったそうで、父の国王に愛され、弟5王子だというのに異例で許されたそうです。
その当時は良かったのです。王の庇護もあり、領地は狭いながらも、公爵位にも価値があります。そのため曽祖父も祖父も侯爵家令嬢を娶ることができ、莫大な持参金で、王子であった当時と変わらぬ生活を送っていたそうです。でも当時から収入に見合った暮らしをしていなかった我が家は、叔父様がギャンブルで借金を作ったときには、かつかつで、借金もしていたらしいのです。
貴族の暮らしはお金がかかります。前は人も50人ぐらいは雇っておりましたのに、今ではたったの10人に減りました。季節ごとの家具の入れ替え、壁紙とカーテンも変えます。2,3年もすれば、新しい流行の家具が必要です。
毎年作りなおすドレスに新しい宝飾品。庭も季節によって植え替えの必要があります。だって花が咲かない草木をいつまでも庭に植えていては、美しくないでしょう。
それも叔父様のことがあってから滞りがちになりました。
私も18歳、婚約者を決めなくてはなりません。例え領地が狭くとも公爵家です。公爵になれるならと貴族の次男以下は喜んで持参金とともに婿入りすると思っております。
それでも、いままでのようにえり好みしないで、少しは妥協が必要かもしれません。
今度のシーズンでは第2王子が戻ってくるとの噂もあります。
とても美しい方でした。・・・・今は婚約者もおられないし、直系の王族です。最後にねらってみてもいいかもしれません。いままで社交界に姿を現さなかった方です。わたくしの美貌をご覧になってどう思われるでしょうか。ウフフフフ・・・なんだか楽しくなってきましたわ。
新しいドレスを誂えなくては。
オフィーリア・コンラーディ侯爵令嬢
わたくしは侯爵令嬢、オフィーリア・コンラーディ、親しい人は私のことをフィリアと呼ぶわ。
婚約者はフィーゲル侯爵嫡男、アントニオ、でも、あまりお話をしたことはありません。
婚約した8歳のころは月に一度はお見えになったのですけれど、そのころから乱暴でわたくしのように大人しい女性は好みではないようでした。
彼は外で剣術をしたり、馬に乗られるのがお好きらしく、いらした時もお茶を一杯飲まれると外に一人で出て行くのが常でした。
その後フィーゲル侯爵領は農作物の収穫がとても多くなり、そして石鹸を発明して売り出したのです。金回りの良い侯爵家はだんだんと派手になり、わたくしの家と差が開いていきました。
こうなったら婚約の取りやめもあるかもしれません。
でも、お父様の財務大臣補佐と言うお役目は重要なのでしょうか、そのようなお話がきません。
わたくしが美しければ、そのようなことは考えなかったかもしれません。家の力が開いたとは言っても、我が家も侯爵家としてきちんとした立場を保っております。
わたくしの髪は茶色、ただの茶色の髪だし、金髪が尊ばれるこの国ではあまり喜ばれません。緑に良く見ると金が混じった瞳だけは自慢ですが、賢いと言われて本が好きなのも、女性としては好まれない原因かもしれません。
17歳になったのでそろそろ結婚式の話がでてもよいはずなのに、まるでその話はでてきません、生殺しのような今の状態にいつまで耐えればいいのでしょうか。お父様にお聞きして、覚悟をしなくてはと思う今日この頃です。
修道院に入るのと、わたくしを省みない夫と暮らすのとではどちらがましなのでしょう。
ベアトリーチェ・ダナー子爵婦人
わたくしはベアトリーチェ・ダナー子爵婦人、王太子殿下の愛妾ですわ。
まあ、皆様わたくしのことを心配くださっているの、お優しいのね。
でも大丈夫。王太子殿下がすべて采配してくださるそうなので、心配は要りません。それに、今わたくしは満ち足りておりますの。この国でそのように思える貴族の女性はどのくらいいるのでしょうね。それを考えたら、この時間がもう何年も続いているわたくしは幸せだと思います。
わたくしが殿下と初めてお目通りさせていただいたのは、御歳14歳の砌、わたくしが人生で一番に不幸な時でした。
わたくしはとある伯爵家に生を受けました。幸せな日々でした。でもそれは長くは続きませんでした。母が亡くなったのです。そして後妻に来たのは同じ伯爵家の令嬢でした。そして母は男爵令嬢、何故、男爵令嬢の母が伯爵家嫡男と結婚できたのかは存じませんが、義理の母は男爵家の母を蔑み、わたくしのことを下賤のなり上がりものの娘として扱いました。
特に虐げられたわけではありませんが、必要最低限の物しか与えられずに育ち、13歳の時には60歳近い老男爵の下に行かされました。多分お金で売られたのだと思います。そして7年後には主人が亡くなり、世話係兼妾のような生活も終わりをつげました。
ただ、そこの跡取り息子は、追い出すだけではなく、仕事も見つけてくれました。それが殿下に女性を教えることです。勿論男爵家などが、そのような雲の上の方の元には参れません。でもここでわたくしの元伯爵令嬢という出自が役に立ちました。
3人の未亡人が並んだ中で殿下がわたくしを選んでくださったときはとても嬉しかったものです。
これで安楽な生活ができる、いままではどこにいても最低限の物しか与えられなかったのです。
女として一度ぐらいは華やかな生活をしてみたいと思いましたの。
さっそくにわたくしは書類上、会ったこともない子爵と結婚しました。跡取りもいる方です。
そうそう、殿下はとても美しくて、大人びた方でした。前の髪の薄い、太った夫とは全然違います。
いまでは美しい青年になられた殿下が求められる時、わたくしは、これは夢ではないかと思うこともあります。
きっと貴族の婦人で一度でも殿下に求められたいと思わない方はいないでしょう。
あの女に、成上がりの男爵の娘といわれたわたくしが、すべての女性の憧れである殿下に求められる、女と生まれてこれ程の喜びはないと思います。
たまに私室のソファーでわたくしに膝枕をさせるときもあり、そういう時にこそ重責を和らげる為に、愚痴でもお話くださるとよろしいのにと思いますが、そのようなことは一切ございません。
寂しくもありますが、王となられる方はこうでなくてはいけないのかと、その厳しさに切ない思いがいたします。
それでも、今一番お側にいるのはわたくしです。もうしばらくはこの立場を堪能させていただこうと考えています。
わたくしはエルフリーデ・フロイデンベルグ公爵令嬢、金の髪は背に美しく流れ、濃いまつげに縁取られた青い目、つややかなくちびる・・・・わたくしはわたくしより美しい令嬢を見たことがございません。
でも14歳の時にデビューして、さまざまな殿方に褒め称えられたわたくしも、もう18歳。婚約をして、結婚相手を婿に迎える時期になっています。わたくしのお母様はすでに亡くなっておりますので、頼りないお父様でなくわたくしががんばらねばなりません。
それなのに今までにお約束した公爵家の3男、侯爵家の次男、そして3男の方、皆様、親の反対でお話が進まず婚約にこぎつけることも出来ませんでした。
妾腹の妹は子爵の3男と結婚して出て行きましたが、わたくしはそのような安易な結婚はできません。
わたくしに悪いところなど1つもないというのに、神様は随分とむごい運命をわたくしに課せられたものです。それでも思い当たる節がないわけではありません。
それは・・・我が領は人口3,000人、まるで男爵領のような狭さなのです。
本来は1万人が住む土地がありました。でもお父様の弟、叔父様がギャンブル好きで、それを清算する為に土地を売り払ったそうです。納得はいきませんが、公爵家の体面の為にはしかたがありません。叔父様は幽閉され、今は亡くなっておりますが、ひどい迷惑をかけられたものです。
そもそも人口1万人というのが公爵領としてはありえないのです。でも公爵家を新たに立ち上げることがあまりなく、かつ一代限りが多い中で新たな公爵家を立てられたのは、幸いだとは思っております。公爵家は公爵家ですものね。先々代の公爵、わたくしの曽祖父がとても美しい人であったそうで、父の国王に愛され、弟5王子だというのに異例で許されたそうです。
その当時は良かったのです。王の庇護もあり、領地は狭いながらも、公爵位にも価値があります。そのため曽祖父も祖父も侯爵家令嬢を娶ることができ、莫大な持参金で、王子であった当時と変わらぬ生活を送っていたそうです。でも当時から収入に見合った暮らしをしていなかった我が家は、叔父様がギャンブルで借金を作ったときには、かつかつで、借金もしていたらしいのです。
貴族の暮らしはお金がかかります。前は人も50人ぐらいは雇っておりましたのに、今ではたったの10人に減りました。季節ごとの家具の入れ替え、壁紙とカーテンも変えます。2,3年もすれば、新しい流行の家具が必要です。
毎年作りなおすドレスに新しい宝飾品。庭も季節によって植え替えの必要があります。だって花が咲かない草木をいつまでも庭に植えていては、美しくないでしょう。
それも叔父様のことがあってから滞りがちになりました。
私も18歳、婚約者を決めなくてはなりません。例え領地が狭くとも公爵家です。公爵になれるならと貴族の次男以下は喜んで持参金とともに婿入りすると思っております。
それでも、いままでのようにえり好みしないで、少しは妥協が必要かもしれません。
今度のシーズンでは第2王子が戻ってくるとの噂もあります。
とても美しい方でした。・・・・今は婚約者もおられないし、直系の王族です。最後にねらってみてもいいかもしれません。いままで社交界に姿を現さなかった方です。わたくしの美貌をご覧になってどう思われるでしょうか。ウフフフフ・・・なんだか楽しくなってきましたわ。
新しいドレスを誂えなくては。
オフィーリア・コンラーディ侯爵令嬢
わたくしは侯爵令嬢、オフィーリア・コンラーディ、親しい人は私のことをフィリアと呼ぶわ。
婚約者はフィーゲル侯爵嫡男、アントニオ、でも、あまりお話をしたことはありません。
婚約した8歳のころは月に一度はお見えになったのですけれど、そのころから乱暴でわたくしのように大人しい女性は好みではないようでした。
彼は外で剣術をしたり、馬に乗られるのがお好きらしく、いらした時もお茶を一杯飲まれると外に一人で出て行くのが常でした。
その後フィーゲル侯爵領は農作物の収穫がとても多くなり、そして石鹸を発明して売り出したのです。金回りの良い侯爵家はだんだんと派手になり、わたくしの家と差が開いていきました。
こうなったら婚約の取りやめもあるかもしれません。
でも、お父様の財務大臣補佐と言うお役目は重要なのでしょうか、そのようなお話がきません。
わたくしが美しければ、そのようなことは考えなかったかもしれません。家の力が開いたとは言っても、我が家も侯爵家としてきちんとした立場を保っております。
わたくしの髪は茶色、ただの茶色の髪だし、金髪が尊ばれるこの国ではあまり喜ばれません。緑に良く見ると金が混じった瞳だけは自慢ですが、賢いと言われて本が好きなのも、女性としては好まれない原因かもしれません。
17歳になったのでそろそろ結婚式の話がでてもよいはずなのに、まるでその話はでてきません、生殺しのような今の状態にいつまで耐えればいいのでしょうか。お父様にお聞きして、覚悟をしなくてはと思う今日この頃です。
修道院に入るのと、わたくしを省みない夫と暮らすのとではどちらがましなのでしょう。
ベアトリーチェ・ダナー子爵婦人
わたくしはベアトリーチェ・ダナー子爵婦人、王太子殿下の愛妾ですわ。
まあ、皆様わたくしのことを心配くださっているの、お優しいのね。
でも大丈夫。王太子殿下がすべて采配してくださるそうなので、心配は要りません。それに、今わたくしは満ち足りておりますの。この国でそのように思える貴族の女性はどのくらいいるのでしょうね。それを考えたら、この時間がもう何年も続いているわたくしは幸せだと思います。
わたくしが殿下と初めてお目通りさせていただいたのは、御歳14歳の砌、わたくしが人生で一番に不幸な時でした。
わたくしはとある伯爵家に生を受けました。幸せな日々でした。でもそれは長くは続きませんでした。母が亡くなったのです。そして後妻に来たのは同じ伯爵家の令嬢でした。そして母は男爵令嬢、何故、男爵令嬢の母が伯爵家嫡男と結婚できたのかは存じませんが、義理の母は男爵家の母を蔑み、わたくしのことを下賤のなり上がりものの娘として扱いました。
特に虐げられたわけではありませんが、必要最低限の物しか与えられずに育ち、13歳の時には60歳近い老男爵の下に行かされました。多分お金で売られたのだと思います。そして7年後には主人が亡くなり、世話係兼妾のような生活も終わりをつげました。
ただ、そこの跡取り息子は、追い出すだけではなく、仕事も見つけてくれました。それが殿下に女性を教えることです。勿論男爵家などが、そのような雲の上の方の元には参れません。でもここでわたくしの元伯爵令嬢という出自が役に立ちました。
3人の未亡人が並んだ中で殿下がわたくしを選んでくださったときはとても嬉しかったものです。
これで安楽な生活ができる、いままではどこにいても最低限の物しか与えられなかったのです。
女として一度ぐらいは華やかな生活をしてみたいと思いましたの。
さっそくにわたくしは書類上、会ったこともない子爵と結婚しました。跡取りもいる方です。
そうそう、殿下はとても美しくて、大人びた方でした。前の髪の薄い、太った夫とは全然違います。
いまでは美しい青年になられた殿下が求められる時、わたくしは、これは夢ではないかと思うこともあります。
きっと貴族の婦人で一度でも殿下に求められたいと思わない方はいないでしょう。
あの女に、成上がりの男爵の娘といわれたわたくしが、すべての女性の憧れである殿下に求められる、女と生まれてこれ程の喜びはないと思います。
たまに私室のソファーでわたくしに膝枕をさせるときもあり、そういう時にこそ重責を和らげる為に、愚痴でもお話くださるとよろしいのにと思いますが、そのようなことは一切ございません。
寂しくもありますが、王となられる方はこうでなくてはいけないのかと、その厳しさに切ない思いがいたします。
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