ざまあ~が終ったその後で BY王子 (俺たちの戦いはこれからだ)

mizumori

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40話 夜会へGO 2

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 夜会の翌日は兄上とお茶をして、まったりした時間を過ごす。

「どなたか、気になるご令嬢はいましたか」

 兄上ってば、気が早すぎる。俺が首を横に振ると一束の招待状を渡された。
部屋に帰ってみると夜会の招待状だ。俺はスケジュール帳を取り出す。スケジュール帳?俺が作成した。これがないと予定がたてられない。

 だけどさ、この間の夜会で踊った令嬢方は17,8歳だったよな・・・婚約者がいるのではないか?
俺は婚約者のいる令嬢と親しくするのはどうかと思うんだ。
大体、婚約者持ちではない令嬢は何人残っているんだ?
う~ん、あの年で婚約者がいないのは、問題ありの令嬢か?そうしたら問題なし、婚約者無しの令嬢の年齢はいくつなんだ?これは困った時の教官頼みだな。

 そうそう、教官は俺の護衛騎士になっている。サガードさんも士爵になって今は俺の私兵だ。
貴族年鑑を広げて、教官にかたっぱしから婚約関係の男女を教えてもらう。
うわ~あ、16歳過ぎだと、2/3は婚約者持ちだ。

 よし、婚約者のことはいったん置いて考えよう。俺は紙をだして、あれこれ思い付きを書き出す。現代人は何かと考える時には紙に書いて整理するよな。よし、プライオリティーを親の地位とこの先の状況に決めよう。令嬢の年齢は最低16歳は過ぎていて欲しい。

 そして書き出した20人ほどの令嬢、案の定、ほとんど3,4人を除いて婚約していた。まいったな、俺は髪をくしゃりとかき回す。
俺は精神年齢30過ぎの男としてだな、子供は勘弁して欲しい。

 兄上も婚約者のあるなしを気にして候補を選んでいないようだ。証拠に昨晩のダンスの相手はほとんど婚約者持ちだった。弟の為なら、気に入った相手の婚約者をどうにかするつもりなのかもしれない?兄上は穏やかでいつも微笑んでいるが、平気で過激な手段を取りそうで、ひやひやする。それに俺だって自分で何とかできるのだから、推定3歳児、但し異様に賢い・・・のイメージを持って過保護にするのは止めて欲しい。

 再度、招待状を調べる。えぇっ、兄上ひどい、ダブルブッキングが幾つもあるじゃないか、断りの返事は大変なんだぞ。そうだ、こういう時の側近頼みだ。ゴードン頼んだ。その中の一人は君に譲るから。

 とりあえず夜会に通おう。お茶会はもう少し絞ってからでないと、距離が近すぎて避けたい案件だ。

 
 そして3回目の夜会、ここクルマン伯爵邸で俺は踊っている。
 
 俺は今のところ、令嬢方に囲まれる時が多いので順番どおりに踊っている。これは俺が前世で編み出した方法で、親の地位、今後の状況、申し込まれた順番、プライドの高さ等を勘案してだな、なるべく不満のないように踊る順番を決める方法だ。ハハハハハ、これが全く上手くいかない。だって数が多すぎる。そして前世でも俺のバランス感覚ではお嬢様方に不満が残ることが多々あった。すんご~くむずかしいんだ!

 そして、ランニングで鍛えておいてよかったよ。持久力はこういうときにこそ役に立つ。だってもう、ひい、ふう、えっと11人目だ。そろそろいいかな。最後にあれ・・・例の金髪の公爵令嬢が来た。


 相変わらず綺麗だなー。彼女とは一度は踊ってみたかったんだ、最後は彼女にしよう、そろそろ時間だ。俺はフロイデンベルグ公爵令嬢が差し伸べた手をとった。さて、いきますか、お美しい公爵令嬢。

「フロイデンベルグ嬢、ピンクがお好きなんですか?今日もよくお似合いです」

「まぁ、嬉しいですわ。わたくしピンクが一番好きなんですの、ジルベスター様」

「ええ、貴方のために用意された色のようですね」

「用意と言えば、ここのところこのアイセン(例のドレスメーカー)のドレスが流行っておりますのよ。
ご覧になって。裾の広がりが綺麗で、ダンスを踊るのが楽しくなりますの」

「私は不調法なもので良くわからないのですが、最近はドレスの流行が変わったとか」

「えぇ、みなさま、新しいドレスに夢中で、でも、手に入れるのがとても大変なんですの・・・」

 彼女がうつむく。きれいな項のラインがこちらによく見える。
おねだりされているのかな。可愛いけれど、俺はまだ選べないんだ。ごめんね。

「王妃殿下がお召しになっているドレスと似ているような気がします」

「えぇ、昨年、殿下がお召しになってダンスをされて・・・とても美しくて、若い女性は夢中になって真似をいたしましたのよ。妃殿下の美しさの一欠けらでも身に付けたいと思いますもの」

「それはそれは・・・曲が終ってしまいました。もし宜しければ私の仲間のところでお話をなさいませんか」

 俺はこうしてタイミングが合えば、ダンスの相手を側近たちのところへ連れて行く。
エメルダ嬢たちの仲間作りだ。いままでも気の合う友人はいただろうが、ここからは知り合いを増やして欲しい。6月に結婚式だというのに、夜会の出席が多くて申し訳ない。
 そして俺たちを迎えたエメルダ嬢たちは、うまくフロイデンベルグ嬢を囲んでお話を始める。心得ているよね、彼女たちは良いお嫁さんになれる。

 俺はそっと抜け出し、おじさんたちのところへいく、もうおじさんタイムだ。ビンセントはこういうときには必ず側にいる。思惑以外にも、教官に何か言われてるのかな?

 途中でウェイターからグラスを1つ受け取る。残念そうな顔をしている令嬢もいるが、こうしておじさんたちのいる方へ歩いていると、ダンスのお誘いはほとんどないんだよね。

 主催者のクルマン伯爵は3人の男たちと話していた。入れてもらおう。珍しくもオフィーリア・コンラーディ侯爵令嬢の父親がいる、彼とは話してみたかったんだ、この機会に財務大臣補佐の彼とはお近づきになりたい。娘がフィーゲル侯爵嫡男アントニオの婚約者だから侯爵の派閥だとは思うが、日本でいえば国家公務員で次官である彼は是非押さえておきたい人物だ。実務に携わっている有能な人は大事だよね。
世間話をしていると、いつのまにか石鹸の話になった。まあ、皆気になるよね、聞かれないことがないほどにはその話題を振ってくる。

 俺は知らない振りをして、フィーゲルの話を聞き・・・・・そんなまねが俺に出来るか、だってばればれなんだぞ。最後に・・・・・と聞いていますが、とつけるのがせいぜいで、おじさんたちの失笑をかっている。でも親切にもぼつりぼつりとフィーゲルの話をしてくれる。あとは俺の婚約者の話だな。俺は金を持っていると目されているので探りを入れてくるわけだ。俺に付いてくる石鹸事業は魅力的だろう。利益のある人間に乗り換えるのはないことではない。

 コンラーディ侯爵はなかなか気のいいおじさんで、令嬢が8歳の時にフィーゲルと婚約を結んだと話してくれた。いまはどうなんだろう。彼女は俺のリスト20撰に入っているのだけれど。


 そしてお茶会の出席を兄上から伝えられた。

「ジル、母上からそろそろお茶会に出て欲しいと、言われてます」

「まだ、令嬢たちとは今の距離感のままでいたいので・・・」

 そういうと俺はお茶を一口飲む。2,3日に一回、こうやって兄上とお茶をしている。

「心配しなくてもジルを自慢するのが目的だから、人数は多いと思いますよ」

「朝食をご一緒できるときが、少ないし、たまのご希望を無碍にするわけにもいきませんね。承知いたしました」

 兄上は真面目な顔になる。

「ジル、朝食を一緒に出来ないことは、君が忙しいのを知っているので、気にしなくてかまいません。
それより、無理をしていないのですか。金もあんなに渡されたし。私をあまり心配させないでくれませんか」

 兄上ったら、心配性なんだから。

「兄上こそ、あれ程の大金を寄越されたし、近衛騎士に商人に地所と随分と融通していただきました。

アルバトロス商会は実質2人の共同経営です。
兄上との初めての共同作業ですね。楽しんでやっています」

 兄上の顔がほころぶ。

「兄上の紹介状のおかげもあって、今年も国外の石鹸の売り上げは増える予定です」

 俺の顔もにやけていることだろう。

「兄上が国軍に石鹸を受注させた手腕もおみごとでした」

 そう、驚くべきことに予想より抵抗が少なかった。しぶしぶと賄賂の石鹸を受け取るというポーズをとられるかと思ったのだが、好意的な人が多くて驚いたんだ。

「ジルのフィーゲルを押し込めたやり口も見事でしたよ」

 俺たちは顔を見合わせて、にっこりする。世は事も無しだ。

 
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