ざまあ~が終ったその後で BY王子 (俺たちの戦いはこれからだ)

mizumori

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45話 今夜も夜会へGO 2 

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!!!!!俺は気が付いたらピンクのバラの花束を持って、侯爵邸のドアの前に立たされていた。
侯爵はすっきりしたような顔で俺を迎えてくれた。早速に執務室でお互いにサインを交わし、書類はセバスチャンに渡した。

 これからは長い付き合いだ。あいつ、アントニオのせいで気苦労をした彼を安心させてあげよう。
俺の義父になるんだし、これから言うことはうそではないからな。

 少しくたびれた様子の侯爵に俺は話しかける。

「コンラーディ侯爵閣下、貴方にとっては突然のことかもしれませんが、昨年の5月に王宮の図書室でお話をしたときから私は彼女に決めていました。
婚約者がいたので、意思表示はできず、近寄ることも出来ませんでしたが・・・この機会を待っていたのです」

 侯爵は俺の顔をじっと見る。

「私は王太子殿下のご指示による政略結婚だと思っておりました。
それにジルベスター様のお振る舞いも昨年、今年と華やかだったように記憶いたしておりますが」

 侯爵の言葉に俺は頷く、普通はそう思うよね。なかなか信じられないのは当然だ。

 では、まずは兄上のことからお話しよう。

「それは違います。昨年、私が王宮に戻ったときに言われたのです。好ましい令嬢がいたら教えて欲しいと。兄として話を通してあげるからと。

私が久しぶりの夜会で5人の令嬢と踊ったのを覚えておられますか?」

「えぇ、その中に私の娘も入っておりましたので」

「彼女たちは兄上が選ばれた令嬢たちだったのですが、婚約者のいる方が5人中4人もいらしたので・・・その後、思惑を知りたくなかったので、その話は兄上とはしていませんが。多分そういうことだと思います」

 侯爵は首を振って、

「殿下がジルベスター様を慈しんでおられるのは聞いておりましたが、随分と過激なことを・・・」

 俺はくすくすと笑った。

「兄上を頼りたくなかったのです。
自分の大事な女性は自分で手に入れなければ、男として情けないでしょう」

「それであれですか」

「えぇ、恋の鞘当を仕掛けました。第3王子が参戦してきたのも良かったです。
人が欲しがるものは、素敵に見えるものです」

「でも、娘は誤解していると思います」

 俺は肩をすくめた。

「そのことは考えないでもなかったのですが、まずは婚約破棄をさせなければ話になりません。それに・・・あせっていたのです。彼らの年を考えると、結婚が秒読みでもおかしくはありませんでしたから」

 なんだかコンラーディ侯爵が呆れているような気がするが、事実だから仕方がない。

「アントニオ・フィーゲルを散々煽ったのに・・・なかなか婚約破棄をしないので、思惑が外れたかと思いました。」

 侯爵は頷いて言う。

「フィーゲル侯爵の意向があったので婚約破棄をご子息から言い出すのは難しかったでしょう。彼の派閥にとって私は手頃な駒だったので。

ジルベスター様の思惑とは違いますが、アントニオ殿の昨年と今年の社交界での派手な・・・そうとても派手な行動のおかげで陛下の執務室で場を整えることができました。
そこまですれば、陛下の「無理はない」とのお言葉であっさり婚約無効が決まりました」

 侯爵は満足げな様子だ。あの不実な元婚約者にざまあ~だな。

「それはお役に立ってよかったです。目的が達成できれば、経過は問題ではありません。恋の鞘当に見せかけて、公爵令嬢にのめり込ませる作戦は成功したのですね」


「えぇ、やり方はどうかと思いますが、婚約無効にできたのは幸いでした。しかし、何故アントニオ殿が公爵令嬢に夢中だと知れたのですか?」

「昨年、母上のお茶会のあとで庭園を散策して、たまたま聞いてしまったのです」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 夜会にGO 3の一幕


 護衛騎士を2人連れて、前庭から奥へとどんどん歩いていく。う~む、これってあの花びらの元かな~。まさか木に咲いているとは思わなかった。木に咲いている花が多いのは母上の趣味だろうか。あそこの水色の花びらは・・・と。


ぼそぼそと声が聞こえる。俺は護衛を制して一人で進んでいく。

 「貴方を愛しています。どうか・・・」

 「でも・・・でも・・」

  生垣の向こうから声がする。ジャストタイミングで来たようだ、ぬき足、差し足、忍び足。そっと陰から覗いてみる。これはあの公爵令嬢だ、金髪でよくわかる。男は背中しか見えないので分からない。2人は話に夢中だ。

 「貴方の望むままにドレスも宝石もお贈りしました。私の気持ちを受け取ってください」

  令嬢に近づく男。

 「でも、アイセンのドレスは贈っていただけませんでしたわ」

  そっと一歩引く令嬢。

 「私も贈る気持ちはありました。予約が一杯で無理だったのです」

 「貴方の誠意を疑いますわ」

 「そんな・・・必ずお気持ちに沿うようにいたしますから」

  肩に手を置く男。

 「それに・・・それに、婚約者のいる方とは・・・」

 「父上を必ず説得いたします。どうかエルフリーデ、私を受け入れてください」

  令嬢を抱きしめる男。

 「そ、そんな・・・」

  上目づかいの令嬢。相手は誰だろう?

 「あの、アントニオ様」

  そういいつつ2人は奥の茂みに入っていった。

  俺は振り返ると近衛騎士2人に確認した。

 「あれはアントニオ・フィーゲルですか?」

  頷く2人。面白そうな話だ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「というわけです。そのころご令嬢と出会ったので、これを利用できないものかと。
端的に言ってオフィーリア嬢が欲しかったのです。
彼女と一緒にお茶を飲んで午後をほっこりとすごしたり、お互いに図書室で本を読んでいて、疲れたと顔を上げると目があったり、楽しそうな生活だと思われませんか。

ちょっと意地悪をすると、睨んでくる顔がまた可愛くて・・・」

 侯爵が手を振った。

「もういいです。ジルベスター様のお心が誠実ならば娘も幸せになれることでしょう・・・期待しております。

しかし、1,2回しか会っていないのによく意地悪を仕掛けられましたね」

 俺はにっこり笑う。

「何をいわれます。ダンスの時に大きく振り回したり・・・そうやって反応をみるのは男の性ではありませんか」

「それは男の子の性です。王子は本当に王太子殿下の言われる昔の姿に戻られたのですね。嬉しく思いますが、身内になられるかと思うと・・・複雑です」

 何を言っている!

「私はご令嬢を大事にする自信があります!」

「それを疑っているわけではありません。それは今後追々と。それよりも貴方方ご兄弟の破天荒さに慄いているだけなのです。
娘が応接室で待っておりますので、お行き下さい。娘には婚約としか話しておりません。王子も手を出されないで下さい」

そういってコンラーディ侯爵は俺を執務室から追い出した。ちぇ、珍しくも本音を話したというのに、雑に扱われるってどうよ?まあ、義父になるんだから気楽でいいけどさ。
とりあえずオフィーリア嬢に頷いてもらわなくては!


 案内の従僕がドアをノックして問いかける。
令嬢の返事を待って中に入ると、やつれた令嬢がぽつねんと座っていた。

「コンラーディ嬢、今日はご挨拶にまいりました」

 驚いた様子の令嬢の前に俺は跪くと、

「コンラーディ嬢、初めのダンス、そして王宮の図書室でお会いした時から貴方を忘れたことはありません。
貴女とお話して、心癒される貴女とともにいたいと・・・貴女と暮らせたらどれほど心豊かに過ごせるでしょうか。
でも、貴女には婚約者がいました。私は貴女と親しくする資格もなく、悔し涙を飲みました。
今、晴れて自由の身になった貴女を見て、嬉しく思います。

どうか私の妻となって一生を過ごしてくださると、おっしゃっていただけませんか。2人で幸せになりたいのです」

 俺の伸ばした手に彼女はためらいながらもそっと触れて、こくんと頷いた。そして俺の顔を見てかすかに微笑んだ。まるで怯えている猫のようだ。アントニオのやつめ!でも俺が彼女を日向ぼっこをしている猫のような笑顔に変えてあげる。これからの彼女は俺のものだ。
みていろよアントニオと思いながら、俺は彼女の手にキスをすると、立ち上がり花束を渡して、そのまま抱きしめた。思ったよりやわらかくて、すっぽりと俺の腕に収まる。温かい気持ちが俺の中に広がっていく。俺は・・

「ごほん!」

 振り返ると侯爵が後ろに立っていた。なんでいるんだよ、今いいところなのに。しぶしぶ彼女から手を離す。

「ジルベスター様、今は時期が悪うございます。せめて半年はお会いにならない方がいいと存じます」

「えぇー!」

 セバスチャンひどい・・・

「王子のお気持ちは私からも説明しておきますので、ここはお引取り頂いた方が宜しいかと思います。
それに、お気持ちは今、娘に説明したもので充分かと思いますが」

 そ、そんな・・・これからがいいところなのに。仕方がない。

「これをオフィーリア嬢に」

 もう承諾してもらったから、名前呼びでいいよね。
赤い宝飾品の入った平たい箱を開けて、俺は侯爵に差し出した。

「この状況でつけるのは何かと不味いので役立たずの品ですが、私がオフィーリア嬢のために作ったものなのです。せめて受け取るだけはしていただけませんか。」

 侯爵は眉をしかめたが、どこか嬉しそうだった。照れているのかな?

「そうですか、娘のために・・・このように立派なものならいずれ使うときもあるでしょう。それまで私が預かっておきます」

 俺はもう1つの箱を取り出し、蓋を開ける。中にはオープンハートにルビーが埋め込まれた金のペンダントトップがついたネックレスが入っている。

「これは来年、私が流行らせようとしているオープンハートのネックレスです。これなら気楽に使えるので家にいるときにでもお使いください」

 目を丸くしているオフィーリア嬢につけてあげる。これくらいはいいだろう?
よく似合っていて、嬉しい。


「ジルベスター様、御用がお済みでしたら戻りましょう」

 セバスチャン、なんて君は情緒がないんだ・・・

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