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侯爵令嬢
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子供のころから一方的に嫌われていた元婚約者。彼に乱暴に、そして無いものの様に扱われて、わたくしは自分が無価値な人間だと段々と思うようになりました。そんなことはないとあがきたい気持ちはありましたが、わたくしはアントニオ様と結婚を義務付けられています。どうやっても暗い未来しか思い浮かびません。特に、ここ2年ほどは美しい公爵令嬢と較べて、何を着ても、不細工は不細工なんだとやる気を失っていました。
家族はわたくしのことを可愛いと褒めてくれますが、客観的に見てわたくしは普通です。
それでもとうとうお父様が、なんであんな男と婚約させたのだろうとわたくしに申し訳なさそうにしていらしたお父様が婚約無効を勝ち取ってこられました。
婚約破棄でなく無効を勝ち取ったのは大きいとお父様は言われますが、わたくしの立場がそれでどう変わるというのでしょうか。傷物になったという評判は変わりません。と思っていたのはわたくしばかりで、なんと婚約無効を勝ち取った翌日には次の婚約者が屋敷に来られるそうです。あまりの早業に言葉がありません。
でも、どなたでもアントニオ様よりはましな気がします。もし耐えられそうにない相手だったら修道院に逃げてもいいかなと考えましたが、アントニオ様を嫌っていたお父様が、それ以上に酷い相手をわたくしに勧めるとも思いません。期待しないで待っていましょう。
それなのに新たな婚約者としてわたくしの前に現れたのは第2王子でした。お父様が心配しないでもいいのだと言って下さった意味が分かりました。彼はわたくしを欲しいと言ってくださり、手を差し伸べられ、わたくしは彼が相手だということにいまだ信じられない気持ちで一杯でしたが、ついふらふらと彼の手を取ってしまいました。だって、あの方に希われて断れる令嬢がいるのでしょうか。そして・・・男の方に抱きしめられたのは初めてです。
わたくしは部屋に戻ってから、そっとペンダントに触れます。あの方が付けてくださったのです。今日の出来事は夢の中のようでした。でもわたくしの胸元にあるこれがあれは夢でないと教えてくれます。
今度こそ、仲良くできるようにがんばってみましょう。アントニオ様のときは最初から上手くいきませんでしたから。でも金髪がお好きだと言われたアントニオ様にわたくしはどうすればよかったのでしょうか?わたくしは自分の茶色の髪を手に取り、眺めます。
「日の光に当てれば、少しは色が薄くなる?」
そんなわたくしの前に紅茶が置かれます。
「そんな馬鹿げたことをなさったら、そばかすができて、奥様に嘆かれます。つまらないことをお考えになるのはおやめください。さあ、今日はオレンジの香りのするお茶です。これでも召し上がって、少し落ち着かれませ、お嬢様」
侍女のケイティです。幼いころからの側付きなので、ずばずばとものを言うところがありますが、気心が知れて、こういうときは側にいてくれると安心します。そしてペンダントを褒めてくれました。
「とても丁寧な細工ですわね。石も綺麗です」
そうでしょうとも、今日ジルベスター様が手づから付けてくださったのです。
「でも、せっかくですから全部金でお作りくだされば宜しかったのに」
「これは普段使いでと言われたのよ。それに全部金にすると柔らかくて、うっかりするとゆがむこともあるし」
この一言多いのもケイティの特徴です。いいですけれどね。
この日はペンダントをつけたまま寝ました。
翌日は直系が2センチ(一円玉)もない、ちいさなイヤリングが届きました。お手紙には<貴女のおいしそうなキャラメル色(キャラメルもあることにしてください)の髪に似合うものを選びました。気軽に使ってください>
とありました。
「キャラメル色ですって。ジルベスター様はこの色がお好きなのかしら」
髪を指でくるくる巻いて、わたくしは気分良くお茶をいただきます。
「日光浴は止めました」
そういうとケイティは安心したようにうなずきます。そして両サイドを編みこんで耳朶を出した髪形にしたわたくしの耳にはトパーズで花びらを象ったイヤリングが飾られています。家族はとても可愛いとほめてくれました。
翌々日はブレスレットでした。三連の細い金の輪が一箇所で留めてあります。留め金は胸に顔をうずめた、ふくらすずめをかたどってあります。目は黄色い石で、嘴に赤い石でさくらんぼを模したものを咥えています。
そしてケイティが、
「何故、金の混じり物?(十八金)」
と言っています。いいじゃないの、可愛いデザインなんだから。わたくしはときどき腕をうごかしてリングがぶつかってしゃらしゃらと音を立てるのを聞いています。子供っぽいけれど、楽しいんですもの。
その次の日は4センチ(一円玉2枚を並べた長さ)ほどのふくらすずめの髪飾り。小さくて軽いので、前髪を横に流して、そこに付けました。
その次は最初の日のイヤリングと対になる髪飾り。お花が2つ並んでいます。
その次はまたしても三連のブレスレット、今度の留め金は金のお花です。真ん中の花芯はピンクの石。
わたくしは両親にはとても心配をかけたのでいつもお食事の時にいただいたものをお見せします。御二人はわたくしがだんだんと元気になっていくのをみて喜んでくれました。
わたくしも我ながらちょろいとは思いますが、嬉しくてたまりません。8歳のときから婚約していたので、男の人から心のこもった贈り物をいただくのは初めてなのです。アントニオ様?きっと従僕にでも選ばせたのでしょう。ありきたりのものをほんのたまに下さるだけでした。それでも昔はうれしかったのですが、このような贈り物をいただくとあれが義理で贈られたものだと良くわかります。わたくしはもうあれらを見たくないので、ケイティにお願いすることにしました。そうやってメイドの子達に渡せば、きっと有効活用をしてくれるに違いありません。物はいいのですから。
それで今日も食事が終ってお茶をいただいているときに、金の花がついた三連のブレスレットをお見せしました。そうしたらお父様が、むすっとしたお顔で談話室に来なさいと言われます。訳が分かりません。お礼の返事を出さなかったのが、いけなかったのでしょうか。でも、今の情勢で王子と関係があると知れるのはまずいので、返事を出してはいけないことになっています。わたくしも3日後には領地に出発します。
談話室に入っていくと両親とお兄様、侍女長、家令が揃っています。わたくしが座り、ドアが閉められるとケイティが今まで王子にいただいた宝飾品をテーブルに並べます。何が始まるのでしょう?
「オフィーリア、そのネックレスもはずしなさい」
ケイティがわたくしのネックレスをはずしてくれました。
「これを見てどう思う?ケイティ答えなさい」
「あの・・・可愛らしくてオフィーリア様に良く似合うお品だと思います」
「オフィーリアは?」
ケイティは金の混じり物ではなんとかかんとか、は言いませんでした。わたくしも、
「ジルベスター様が普段使いにして欲しいと言われたので・・・気軽に使わせていただこうかと」
お父様は渋いお顔をされています。そして、
「お前たちはどう思う」
と家令と侍女長に声をかけました。
「一度近くで拝見させていただいても」
お父様の了承を得て、2人は新しい手袋を嵌めると、手にとって調べ始めました。
10分ほどたち家令が、
「かなりな品物だと」
と言い出しました。わたくしとケイティは顔を見合わせます。そうなのですか?わたくしだって宝石の種類はわかります。でもジルベスター様が、普段使いでといわれたので、綺麗な石だとは思いましたがたいして高価なものだとは思っていませんでした。先入観とは恐ろしいものですわね。
お父様はうなずいて、
「だから頭のいい〇〇は・・・」とつぶやき・・・えっ、良く聞こえなかったのですが?
「これはオフィーリアが気軽に使えるようにと作られている。台座は金の混じり物だし。だが・・・
最初にいただいたイヤリングは花びらはトパーズだが、真ん中の石はピジョンブラッドだ。小さいので一つ白金貨1枚(一千万)合わせて2枚程度だ。
次のこれはブレスレットについている鳥の目がイエローダイアモンドで、さくらんぼがピジョンブラッド多分白金貨4枚。
次は鳥の髪飾り、同じくイエローダイアモンドとピジョンブラッドで白金貨6枚。
この花の髪飾りは白金貨3枚。最後のこれが問題だ。ブレスレットの金の花の真ん中にあるのはピンクダイアモンドだ。白金貨10枚だ」
白金貨が飛び交うさまに、わたくしは卒倒しそうです。
「小さくて可愛らしいのに・・・」
「だから、そう思わせるように作られているのだろう。でも価値を分からないままにつけているのはまずい」
お母様がうなずいておられます。
「いままでは同じ侯爵家に嫁ぐと思っていたので甘やかしていましたが、王子妃になるのです。色々とお勉強しなくてはね」
お母様・・・あぁ、なんでわたくしは王子などに嫁ぐことになってしまったのでしょう。彼は超絶美形だし、優しいし文句のつけようがないけれど、王子様でないほうがよかったです。
わたくしは怖いのでいただいた宝飾品を預かっていただこうとしたのですが、それぐらいは自分で管理しなさいといわれ、すごすごと部屋に帰りました。
「ケイティ、どうしましょう」
ケイティの顔色もあまりよくありません。彼女も明日から一緒に宝石の勉強をするのです。
「オフィーリア様は白金貨10枚をつけておられるのですね」
彼女の視線の先にはオープンハートのペンダント。これについている石もピジョンブラッドだそうです。なにが普段に使ってくださいなのよ。数日前のアンニュイなわたくしも自己卑下して閉じこもってしまおうかと思ったわたくしも、もういません。高価な贈り物の嵐でわたくしの中の眠っていた何かが目覚めました。えぇ、負けません。わたくしは貴方にふさわしくなってみますわ。
でも翌日に送られたお花と葉っぱのイヤリング、グリーンダイヤモンドとパパラチアサファイアでした。また白金貨10枚です。
最後の日には親指と中指で円を作ったぐらいの大きさのピンクのブローチ。大きさはさほどでもないし、石もピンクトパーズでお安いものです。付いてたカードに書かれていた<貴女だけのピンクのバラを贈ります>の言葉も嬉しかったのですが・・・金に縁取られた満開のバラの花びらが風にそよぐように動くのです。そしてしゃらしゃらと透けるように薄い花びらの形の石どうしがぶつかり、涼しげな音をたてます。素敵です、素敵ですが・・・箱から出したブローチの花びらが揺れるさまに家族が固まりました。ジルベスター様はなんでもおできになりすぎます。このようなものまで作り出すなんて。いままで面白そうにしていたお兄様もやっとジルベスター様のすごさに気がつかれ、不味いと思われたようです。あのかたの義理でも兄になるのは一般人にはきついですものね。
お父様が重々しく言われます。
「オフィーリアが結婚したら、王子と親しくお付き合いするのは義理の兄であるお前だからな。がんばれよ」
お兄様はいやそうな顔をして、
「私は常識人ですから、父上が・・・」
いさぎよくないですわよ、お兄様。わたくしが宝石のことで困っていた時に笑っていたくせに!
できすぎの王子に慄いているお兄様、彼に嫁ぐのはわたくしですわよ。でも、ここまで何でも出来て、美しい方だと、もういいやという気になってきました。わたくしはわたくしらしくいたします。それに無視されるよりは、ちょっと意地悪でも構ってくださる方のほうが断然良いですわ。
ただ、バラのブローチはお父様に預けました。壊しそうでとても持ち歩けません。そして翌日わたくしは領地に出発いたしました。
きっと王子は原石を持っているから安く出来たんだよと弁解しますが・・・彼女が納得するかは分かりません。
家族はわたくしのことを可愛いと褒めてくれますが、客観的に見てわたくしは普通です。
それでもとうとうお父様が、なんであんな男と婚約させたのだろうとわたくしに申し訳なさそうにしていらしたお父様が婚約無効を勝ち取ってこられました。
婚約破棄でなく無効を勝ち取ったのは大きいとお父様は言われますが、わたくしの立場がそれでどう変わるというのでしょうか。傷物になったという評判は変わりません。と思っていたのはわたくしばかりで、なんと婚約無効を勝ち取った翌日には次の婚約者が屋敷に来られるそうです。あまりの早業に言葉がありません。
でも、どなたでもアントニオ様よりはましな気がします。もし耐えられそうにない相手だったら修道院に逃げてもいいかなと考えましたが、アントニオ様を嫌っていたお父様が、それ以上に酷い相手をわたくしに勧めるとも思いません。期待しないで待っていましょう。
それなのに新たな婚約者としてわたくしの前に現れたのは第2王子でした。お父様が心配しないでもいいのだと言って下さった意味が分かりました。彼はわたくしを欲しいと言ってくださり、手を差し伸べられ、わたくしは彼が相手だということにいまだ信じられない気持ちで一杯でしたが、ついふらふらと彼の手を取ってしまいました。だって、あの方に希われて断れる令嬢がいるのでしょうか。そして・・・男の方に抱きしめられたのは初めてです。
わたくしは部屋に戻ってから、そっとペンダントに触れます。あの方が付けてくださったのです。今日の出来事は夢の中のようでした。でもわたくしの胸元にあるこれがあれは夢でないと教えてくれます。
今度こそ、仲良くできるようにがんばってみましょう。アントニオ様のときは最初から上手くいきませんでしたから。でも金髪がお好きだと言われたアントニオ様にわたくしはどうすればよかったのでしょうか?わたくしは自分の茶色の髪を手に取り、眺めます。
「日の光に当てれば、少しは色が薄くなる?」
そんなわたくしの前に紅茶が置かれます。
「そんな馬鹿げたことをなさったら、そばかすができて、奥様に嘆かれます。つまらないことをお考えになるのはおやめください。さあ、今日はオレンジの香りのするお茶です。これでも召し上がって、少し落ち着かれませ、お嬢様」
侍女のケイティです。幼いころからの側付きなので、ずばずばとものを言うところがありますが、気心が知れて、こういうときは側にいてくれると安心します。そしてペンダントを褒めてくれました。
「とても丁寧な細工ですわね。石も綺麗です」
そうでしょうとも、今日ジルベスター様が手づから付けてくださったのです。
「でも、せっかくですから全部金でお作りくだされば宜しかったのに」
「これは普段使いでと言われたのよ。それに全部金にすると柔らかくて、うっかりするとゆがむこともあるし」
この一言多いのもケイティの特徴です。いいですけれどね。
この日はペンダントをつけたまま寝ました。
翌日は直系が2センチ(一円玉)もない、ちいさなイヤリングが届きました。お手紙には<貴女のおいしそうなキャラメル色(キャラメルもあることにしてください)の髪に似合うものを選びました。気軽に使ってください>
とありました。
「キャラメル色ですって。ジルベスター様はこの色がお好きなのかしら」
髪を指でくるくる巻いて、わたくしは気分良くお茶をいただきます。
「日光浴は止めました」
そういうとケイティは安心したようにうなずきます。そして両サイドを編みこんで耳朶を出した髪形にしたわたくしの耳にはトパーズで花びらを象ったイヤリングが飾られています。家族はとても可愛いとほめてくれました。
翌々日はブレスレットでした。三連の細い金の輪が一箇所で留めてあります。留め金は胸に顔をうずめた、ふくらすずめをかたどってあります。目は黄色い石で、嘴に赤い石でさくらんぼを模したものを咥えています。
そしてケイティが、
「何故、金の混じり物?(十八金)」
と言っています。いいじゃないの、可愛いデザインなんだから。わたくしはときどき腕をうごかしてリングがぶつかってしゃらしゃらと音を立てるのを聞いています。子供っぽいけれど、楽しいんですもの。
その次の日は4センチ(一円玉2枚を並べた長さ)ほどのふくらすずめの髪飾り。小さくて軽いので、前髪を横に流して、そこに付けました。
その次は最初の日のイヤリングと対になる髪飾り。お花が2つ並んでいます。
その次はまたしても三連のブレスレット、今度の留め金は金のお花です。真ん中の花芯はピンクの石。
わたくしは両親にはとても心配をかけたのでいつもお食事の時にいただいたものをお見せします。御二人はわたくしがだんだんと元気になっていくのをみて喜んでくれました。
わたくしも我ながらちょろいとは思いますが、嬉しくてたまりません。8歳のときから婚約していたので、男の人から心のこもった贈り物をいただくのは初めてなのです。アントニオ様?きっと従僕にでも選ばせたのでしょう。ありきたりのものをほんのたまに下さるだけでした。それでも昔はうれしかったのですが、このような贈り物をいただくとあれが義理で贈られたものだと良くわかります。わたくしはもうあれらを見たくないので、ケイティにお願いすることにしました。そうやってメイドの子達に渡せば、きっと有効活用をしてくれるに違いありません。物はいいのですから。
それで今日も食事が終ってお茶をいただいているときに、金の花がついた三連のブレスレットをお見せしました。そうしたらお父様が、むすっとしたお顔で談話室に来なさいと言われます。訳が分かりません。お礼の返事を出さなかったのが、いけなかったのでしょうか。でも、今の情勢で王子と関係があると知れるのはまずいので、返事を出してはいけないことになっています。わたくしも3日後には領地に出発します。
談話室に入っていくと両親とお兄様、侍女長、家令が揃っています。わたくしが座り、ドアが閉められるとケイティが今まで王子にいただいた宝飾品をテーブルに並べます。何が始まるのでしょう?
「オフィーリア、そのネックレスもはずしなさい」
ケイティがわたくしのネックレスをはずしてくれました。
「これを見てどう思う?ケイティ答えなさい」
「あの・・・可愛らしくてオフィーリア様に良く似合うお品だと思います」
「オフィーリアは?」
ケイティは金の混じり物ではなんとかかんとか、は言いませんでした。わたくしも、
「ジルベスター様が普段使いにして欲しいと言われたので・・・気軽に使わせていただこうかと」
お父様は渋いお顔をされています。そして、
「お前たちはどう思う」
と家令と侍女長に声をかけました。
「一度近くで拝見させていただいても」
お父様の了承を得て、2人は新しい手袋を嵌めると、手にとって調べ始めました。
10分ほどたち家令が、
「かなりな品物だと」
と言い出しました。わたくしとケイティは顔を見合わせます。そうなのですか?わたくしだって宝石の種類はわかります。でもジルベスター様が、普段使いでといわれたので、綺麗な石だとは思いましたがたいして高価なものだとは思っていませんでした。先入観とは恐ろしいものですわね。
お父様はうなずいて、
「だから頭のいい〇〇は・・・」とつぶやき・・・えっ、良く聞こえなかったのですが?
「これはオフィーリアが気軽に使えるようにと作られている。台座は金の混じり物だし。だが・・・
最初にいただいたイヤリングは花びらはトパーズだが、真ん中の石はピジョンブラッドだ。小さいので一つ白金貨1枚(一千万)合わせて2枚程度だ。
次のこれはブレスレットについている鳥の目がイエローダイアモンドで、さくらんぼがピジョンブラッド多分白金貨4枚。
次は鳥の髪飾り、同じくイエローダイアモンドとピジョンブラッドで白金貨6枚。
この花の髪飾りは白金貨3枚。最後のこれが問題だ。ブレスレットの金の花の真ん中にあるのはピンクダイアモンドだ。白金貨10枚だ」
白金貨が飛び交うさまに、わたくしは卒倒しそうです。
「小さくて可愛らしいのに・・・」
「だから、そう思わせるように作られているのだろう。でも価値を分からないままにつけているのはまずい」
お母様がうなずいておられます。
「いままでは同じ侯爵家に嫁ぐと思っていたので甘やかしていましたが、王子妃になるのです。色々とお勉強しなくてはね」
お母様・・・あぁ、なんでわたくしは王子などに嫁ぐことになってしまったのでしょう。彼は超絶美形だし、優しいし文句のつけようがないけれど、王子様でないほうがよかったです。
わたくしは怖いのでいただいた宝飾品を預かっていただこうとしたのですが、それぐらいは自分で管理しなさいといわれ、すごすごと部屋に帰りました。
「ケイティ、どうしましょう」
ケイティの顔色もあまりよくありません。彼女も明日から一緒に宝石の勉強をするのです。
「オフィーリア様は白金貨10枚をつけておられるのですね」
彼女の視線の先にはオープンハートのペンダント。これについている石もピジョンブラッドだそうです。なにが普段に使ってくださいなのよ。数日前のアンニュイなわたくしも自己卑下して閉じこもってしまおうかと思ったわたくしも、もういません。高価な贈り物の嵐でわたくしの中の眠っていた何かが目覚めました。えぇ、負けません。わたくしは貴方にふさわしくなってみますわ。
でも翌日に送られたお花と葉っぱのイヤリング、グリーンダイヤモンドとパパラチアサファイアでした。また白金貨10枚です。
最後の日には親指と中指で円を作ったぐらいの大きさのピンクのブローチ。大きさはさほどでもないし、石もピンクトパーズでお安いものです。付いてたカードに書かれていた<貴女だけのピンクのバラを贈ります>の言葉も嬉しかったのですが・・・金に縁取られた満開のバラの花びらが風にそよぐように動くのです。そしてしゃらしゃらと透けるように薄い花びらの形の石どうしがぶつかり、涼しげな音をたてます。素敵です、素敵ですが・・・箱から出したブローチの花びらが揺れるさまに家族が固まりました。ジルベスター様はなんでもおできになりすぎます。このようなものまで作り出すなんて。いままで面白そうにしていたお兄様もやっとジルベスター様のすごさに気がつかれ、不味いと思われたようです。あのかたの義理でも兄になるのは一般人にはきついですものね。
お父様が重々しく言われます。
「オフィーリアが結婚したら、王子と親しくお付き合いするのは義理の兄であるお前だからな。がんばれよ」
お兄様はいやそうな顔をして、
「私は常識人ですから、父上が・・・」
いさぎよくないですわよ、お兄様。わたくしが宝石のことで困っていた時に笑っていたくせに!
できすぎの王子に慄いているお兄様、彼に嫁ぐのはわたくしですわよ。でも、ここまで何でも出来て、美しい方だと、もういいやという気になってきました。わたくしはわたくしらしくいたします。それに無視されるよりは、ちょっと意地悪でも構ってくださる方のほうが断然良いですわ。
ただ、バラのブローチはお父様に預けました。壊しそうでとても持ち歩けません。そして翌日わたくしは領地に出発いたしました。
きっと王子は原石を持っているから安く出来たんだよと弁解しますが・・・彼女が納得するかは分かりません。
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