3 / 114
起の星
風死す
しおりを挟む
「ほぅ……。それが蒼龍の子か」
「は。既に確認済みでございます」
自分より年若いながらも威厳のある低い声を発する主に向かって、男は頭を垂れたまま報告を続ける。
「この少女は、我々が掛けた術を一人で破り、今はこの姿のまま、眠りについております」
言いながら、縄で縛られぐったりと横たわる少女を横目に見る。
風の王国を襲撃した際、己を竜に喰われそうになりながらも人の形を留め、火の帝国ポエニーキスの帝都フォボスに連行されるまで、一度も目を醒ます事なく未だ眠り続けているグルミウム王家の王女。
「生きているのだろうな?」
皇帝の質問に、少し眉根を寄せる。
どんな人物であろうと、死ねばその肉体は母国の源である元素に還る。
もしこの少女が死んでいるのであれば、とうに風に還っているはずだ。
疑問に答えかねて、男は初めて顔を上げた。
数歩先の―過去、現在、未来の全てを制した者が登る事を許された―十二段ある階段の上に設置された玉座に座る主、皇帝フラームを仰ぎ見る。
一方の肘掛けに頬杖、もう一方には片足を掛け、その裸足の裏を刀身が剥き出しのまま立てかけた剣の柄に乗せて、ゆらゆらと揺らして遊んでいる。
気怠げなその態度からは、先程の質問の答えは得られそうも無い。
この質問は、遊びなのか?それとも、龍として?
「……まだ息はあります。ですが、帝都へ帰還するまでの数日間、一度も目覚める事はなく、水すら受け付けておりません。幼い身の上、精神状態を考慮しますと、放置すればそう、長くは保たないかと思われます」
逡巡した挙げ句、男は思っていた事を素直に話した。
それを聞いたフラームは態度を崩す事なく、短く息をつき、考えるそぶりを見せる。
「顔を見せろ」
「はっ」
命じられるままに少女を抱き起こし、フラームに顔が見えるよう顎を持ち上げる。
「う……」
微かに呻きはするものの、目を覚ます気配はいっこうに無い。
やはりダメージは相当なものだ。むしろ、生きている方が不思議なくらい……。
青白く、生気を無くした顔を観察していると、突如その頬に、細長く紅い華が咲いた。
「……!?」
何事か理解するより早く、耳元に金属のような堅い物がぶつかる音が届く。
後ろを振り返ると、銀細工の懐刀が一振り転がっており、その刃先には血が付着していた。
「……」
あまりの出来事に呆気に取られていると、今度は前方からフラームの愉悦が漏れる。
「くくく。なるほど。確かに、紛いなりにも蒼龍として覚醒してはいるようだな」
それを聞いて再び少女を見やる。
痛みに顔を歪める少女の頬についた切り傷は、常人にしては早く、しかし転生式を終えている者よりは遅い速度で、ゆっくりと癒えつつあった。
それを確認したフラームは、玩具を見つけた子供のように笑った。
「ふん。蒼龍といえど、このような幼子に術を破られるとは。アンタレス家も堕ちたものだな。なあ?タウケティ。その者の柔らかな喉元に牙を立てながらも引きちぎる事叶わず、咥えて巣穴に持ち帰ったというわけか。あまりにも情けない」
皇帝のなじりに弁解する余地は無く、ただ下を見つめうなだれる。
そんな折に、自身の腕にも少女と同じ切り傷が付いている事に気付き、小さな痛みに襲われた。
フラームは気が済んだのか、視線を再び少女に向け、呟くように言った。
「……それだけ、その者の器が偉大か、もしくは別の何かに護られていたか。ともあれ、大したやつだ」
「恥ずかしながら、私めでは対処の術が浮かばず、こうして陛下の御意向を伺いに参りました。どうか、お力添えを」
自分の能力の至らなさを恥じると、フラームは鼻で一蹴し、弄んでいた剣を手に取り玉座に座り直した。
そして剣を掲げ、刀身の輝きを見つめながらタウケティを見据える。
「俺は強い者は好きだ。だが、俺に刃向かう者は許さん。……確か、我が帝国の勝利を、まだ祝っていなかったな」
フラームの声が一層低くなり、ぞわりと寒気を覚え、タウケティは恐る恐る顔を上げた。
皇帝は、くつくつと笑いを漏らし、呟く。
「良い余興を思いついたぞ。我等の祝賀会を開こうか」
†
……暑い。
生暖かい風が頬に付きまとうのを感じ、アウラはうっすらと目を開けた。
自国の暖かくも清々しい風とは違い、雨の日よりも多く湿気を含んだ、べたつく気持ちの悪い風だ。
温度もそれなりにあるようで、汗で髪が頬に、衣服が全身の肌に張り付いているのが分かる。
しかし、その気持ちの悪さが、まだ自分が生きているという証でもあった。
例えそれが、風前の灯火だったとしても。
「……」
見覚えのない広場で、見慣れない赤の衣を纏った者達から、好奇な視線を注がれる。
アウラが見慣れている緑や青は、何処にも無い。
頭上から、火の帝国の勝利の証として、風の王国王家の生き残りの公開処刑を行う旨が、反響して流れている。
雷の帝国が発明した、拡声器という物を使っているのだろう。
すぐ近くで、拡声器を持った男が、自分の処遇について何か言っているようだが、遠くで話しているかのように、上手く耳に入ってこない。
気温が高いせいだろうか。
身体が重く、自分の物ではないかのようだ。
喉はカラカラで、頭の中に霞がかかっているかのように、まともに物を考える事も出来ない。
民衆に晒され野次を飛ばされながら、呆然と、目の前に設置されている、小さく粗末な断頭台を眺める。
頭上から刃が振り下ろされ、胴体と首を切断する、グルミウム王国では最も罪の重い者を裁く方法。
それを、自分が他国で受けるなど、これ以上の侮辱は無い。
しかし抵抗する力が残っていないアウラの身体は易々と引きずられ、その首は意図も容易く断頭台に設置させられてしまう。
すると、ちょうど正面に、一際目立つ紅が目に飛び込んできた。
ポエニーキス皇帝、フラームだ。
コイツ……!
憎き仇が満足げな笑みを浮かべたその瞬間、怒りの感情が一気に吹き出し、胸が燃えるように熱く昂る。
ヤツはゆっくりと立ち上がり、こちらを見据え、嘲笑うように問うた。
「グルミウム王国国王ヴァーユが嫡子、アウラ・ディー・グルミウム。吹きすさんだ風の子よ。最期に、言い残す事はあるか?」
最期?ふざけるな!
あまりの悔しさに、歯が軋む。
「……なない」
未来永劫、この悔しさを忘れないよう、脳に、身体に、敵の顔を焼き付けるよう、最期の最期まで瞳を逸らす事なく、力の限り、精一杯叫ぶ。
「―風は、不滅だっ!」
†
星歴九百九十八年。
グルミウム王家最期の生き残り、王女アウラの死を持って、風の王国は火の帝国に敗北、消滅した。
しかし、王女の処刑が行われた直後、グルミウム王国領土を巨大な嵐が覆い、誰も立ち入る事が出来ず、ポエニーキス帝国の領土拡大には至らなかった。
この事件をきっかけに邪竜の数が一段と増え、また世界の均衡に亀裂が産まれた事は云うまでもない。
「は。既に確認済みでございます」
自分より年若いながらも威厳のある低い声を発する主に向かって、男は頭を垂れたまま報告を続ける。
「この少女は、我々が掛けた術を一人で破り、今はこの姿のまま、眠りについております」
言いながら、縄で縛られぐったりと横たわる少女を横目に見る。
風の王国を襲撃した際、己を竜に喰われそうになりながらも人の形を留め、火の帝国ポエニーキスの帝都フォボスに連行されるまで、一度も目を醒ます事なく未だ眠り続けているグルミウム王家の王女。
「生きているのだろうな?」
皇帝の質問に、少し眉根を寄せる。
どんな人物であろうと、死ねばその肉体は母国の源である元素に還る。
もしこの少女が死んでいるのであれば、とうに風に還っているはずだ。
疑問に答えかねて、男は初めて顔を上げた。
数歩先の―過去、現在、未来の全てを制した者が登る事を許された―十二段ある階段の上に設置された玉座に座る主、皇帝フラームを仰ぎ見る。
一方の肘掛けに頬杖、もう一方には片足を掛け、その裸足の裏を刀身が剥き出しのまま立てかけた剣の柄に乗せて、ゆらゆらと揺らして遊んでいる。
気怠げなその態度からは、先程の質問の答えは得られそうも無い。
この質問は、遊びなのか?それとも、龍として?
「……まだ息はあります。ですが、帝都へ帰還するまでの数日間、一度も目覚める事はなく、水すら受け付けておりません。幼い身の上、精神状態を考慮しますと、放置すればそう、長くは保たないかと思われます」
逡巡した挙げ句、男は思っていた事を素直に話した。
それを聞いたフラームは態度を崩す事なく、短く息をつき、考えるそぶりを見せる。
「顔を見せろ」
「はっ」
命じられるままに少女を抱き起こし、フラームに顔が見えるよう顎を持ち上げる。
「う……」
微かに呻きはするものの、目を覚ます気配はいっこうに無い。
やはりダメージは相当なものだ。むしろ、生きている方が不思議なくらい……。
青白く、生気を無くした顔を観察していると、突如その頬に、細長く紅い華が咲いた。
「……!?」
何事か理解するより早く、耳元に金属のような堅い物がぶつかる音が届く。
後ろを振り返ると、銀細工の懐刀が一振り転がっており、その刃先には血が付着していた。
「……」
あまりの出来事に呆気に取られていると、今度は前方からフラームの愉悦が漏れる。
「くくく。なるほど。確かに、紛いなりにも蒼龍として覚醒してはいるようだな」
それを聞いて再び少女を見やる。
痛みに顔を歪める少女の頬についた切り傷は、常人にしては早く、しかし転生式を終えている者よりは遅い速度で、ゆっくりと癒えつつあった。
それを確認したフラームは、玩具を見つけた子供のように笑った。
「ふん。蒼龍といえど、このような幼子に術を破られるとは。アンタレス家も堕ちたものだな。なあ?タウケティ。その者の柔らかな喉元に牙を立てながらも引きちぎる事叶わず、咥えて巣穴に持ち帰ったというわけか。あまりにも情けない」
皇帝のなじりに弁解する余地は無く、ただ下を見つめうなだれる。
そんな折に、自身の腕にも少女と同じ切り傷が付いている事に気付き、小さな痛みに襲われた。
フラームは気が済んだのか、視線を再び少女に向け、呟くように言った。
「……それだけ、その者の器が偉大か、もしくは別の何かに護られていたか。ともあれ、大したやつだ」
「恥ずかしながら、私めでは対処の術が浮かばず、こうして陛下の御意向を伺いに参りました。どうか、お力添えを」
自分の能力の至らなさを恥じると、フラームは鼻で一蹴し、弄んでいた剣を手に取り玉座に座り直した。
そして剣を掲げ、刀身の輝きを見つめながらタウケティを見据える。
「俺は強い者は好きだ。だが、俺に刃向かう者は許さん。……確か、我が帝国の勝利を、まだ祝っていなかったな」
フラームの声が一層低くなり、ぞわりと寒気を覚え、タウケティは恐る恐る顔を上げた。
皇帝は、くつくつと笑いを漏らし、呟く。
「良い余興を思いついたぞ。我等の祝賀会を開こうか」
†
……暑い。
生暖かい風が頬に付きまとうのを感じ、アウラはうっすらと目を開けた。
自国の暖かくも清々しい風とは違い、雨の日よりも多く湿気を含んだ、べたつく気持ちの悪い風だ。
温度もそれなりにあるようで、汗で髪が頬に、衣服が全身の肌に張り付いているのが分かる。
しかし、その気持ちの悪さが、まだ自分が生きているという証でもあった。
例えそれが、風前の灯火だったとしても。
「……」
見覚えのない広場で、見慣れない赤の衣を纏った者達から、好奇な視線を注がれる。
アウラが見慣れている緑や青は、何処にも無い。
頭上から、火の帝国の勝利の証として、風の王国王家の生き残りの公開処刑を行う旨が、反響して流れている。
雷の帝国が発明した、拡声器という物を使っているのだろう。
すぐ近くで、拡声器を持った男が、自分の処遇について何か言っているようだが、遠くで話しているかのように、上手く耳に入ってこない。
気温が高いせいだろうか。
身体が重く、自分の物ではないかのようだ。
喉はカラカラで、頭の中に霞がかかっているかのように、まともに物を考える事も出来ない。
民衆に晒され野次を飛ばされながら、呆然と、目の前に設置されている、小さく粗末な断頭台を眺める。
頭上から刃が振り下ろされ、胴体と首を切断する、グルミウム王国では最も罪の重い者を裁く方法。
それを、自分が他国で受けるなど、これ以上の侮辱は無い。
しかし抵抗する力が残っていないアウラの身体は易々と引きずられ、その首は意図も容易く断頭台に設置させられてしまう。
すると、ちょうど正面に、一際目立つ紅が目に飛び込んできた。
ポエニーキス皇帝、フラームだ。
コイツ……!
憎き仇が満足げな笑みを浮かべたその瞬間、怒りの感情が一気に吹き出し、胸が燃えるように熱く昂る。
ヤツはゆっくりと立ち上がり、こちらを見据え、嘲笑うように問うた。
「グルミウム王国国王ヴァーユが嫡子、アウラ・ディー・グルミウム。吹きすさんだ風の子よ。最期に、言い残す事はあるか?」
最期?ふざけるな!
あまりの悔しさに、歯が軋む。
「……なない」
未来永劫、この悔しさを忘れないよう、脳に、身体に、敵の顔を焼き付けるよう、最期の最期まで瞳を逸らす事なく、力の限り、精一杯叫ぶ。
「―風は、不滅だっ!」
†
星歴九百九十八年。
グルミウム王家最期の生き残り、王女アウラの死を持って、風の王国は火の帝国に敗北、消滅した。
しかし、王女の処刑が行われた直後、グルミウム王国領土を巨大な嵐が覆い、誰も立ち入る事が出来ず、ポエニーキス帝国の領土拡大には至らなかった。
この事件をきっかけに邪竜の数が一段と増え、また世界の均衡に亀裂が産まれた事は云うまでもない。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる