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017 ブギー
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「満足のいく結末に辿り着ければいいね」
「先輩はどんな結末を想像してるんですか?」
「んー……」
俺の場合は、漠然とだが考えていたのは……異能教を壊滅させて、ヒロインと結ばれるような、なんとも味付けが薄い終わり方。
能力ものって大体敵の組織を倒したら終わりって感じじゃない?
「ひみつ」
悪戯な感情のこもった口調だった。
結末に辿り着いてからのお楽しみってとこか。
「文弥くん、佐久間文弥くん。ちょっと主人公らしい事しようよ」
「主人公らしい事ですか?」
「うん、実は原稿を配置しておいててさ」
「えっ……」
「後ろを見てくれ」
自転車を停めて、振り返ってみる。
――後方の街灯数個分先に人影が見えた。
遠くからでも分かるその巨漢の人影。
何か、ああ――原稿を手に持って、こちらを見つめている。
「これを君に渡そう」
「これは……」
------------------------------
原稿が、目の前にあった。
ラトタタからは、原稿の異能者がいると聞いてはいたが、まさかその数分後に原稿を見つけるとは、予想外だった。
彼――ブギーは原稿を拾い上げて、書いている内容を見てはまた驚愕する。
自身の目的はラトタタの手助け、特異の確保であるが――その特異が、この原稿の書いてある通りに行動すれば出会えるという。
ラトタタ曰く、原稿に書いてある内容は信用していいと言っていた。罠でないのならば、行動あるのみ。
それに特異を捕まえればラトタタに褒めてもらえる。その感情が、ブギーの心を燃やしていく。
いつもの仮面をつけ、フードを深くかぶって彼は走り出す。
ラトタタにこの原稿について報告はしておくべきだったのかもしれないが、彼女はやる事が多く、何より火傷を負っていたので少し休ませてやりたかった。
彼女の喜ぶ顔を想像して、原稿に書いてある通りの道順で向かう。
視界に入る大橋、そこに特異適合者がいるらしい――
------------------------------
「ブギー……だって?」
「そう、ブギー」
「こいつは……こんなに早くは出る予定じゃあなかった奴ですよね?」
「予定変更だよ」
そんなにぽんぽん展開を変えられると、今後の展開が予測できなくなってしまう。
作者として一言物申したいが今の俺は主人公なんだよな、と俺は言葉にならない声を漏らすのみだった。
「ラトタタもブギーもパーカー着てるよね。中二病ってよくパーカーを好むと思うんだけど、何か関係ある?」
「……当時はがっつり中二病大好きっ子だったんで、そのせいですね」
そんな話をしている場合ではない。
ブギーはゆっくりと歩き出している、街灯に照らされて不気味なピエロの仮面が見えた。
「オオオォォォォォォォォオ――!」
咆哮をあげている、空気を震わせるほどの咆哮を。
怖い、普通に怖い。
「さあ、主人公っ。全てを知る原稿の異能者という貴重な人物を守るために、愛車を走らせるのだ!」
「愛車って、ただの自転車ですが!」
ペダルを踏み、自転車を走らせた。
同時に、ブギーも徒歩から走行へと移行する。
横を過ぎていく車両に助けを求める? いや、巻き込むだけだ、やめておこう。であれば、懸命に今はペダルを回していくしかなかろうか。
坂道に入るので速さは出せる、後はブギーの身体能力を勝るかどうか。
奴の設定は……ええっと、どうだったかな。
そもそもこんな早い場面で登場なんかしないんだ、眠っていた設定を記憶から掘り起こすのは困難だ。
「ブギー、速いね。もっと急がないと追いつかれちゃうよ?」
「頑張ります!」
腰を上げて、思い切り漕ぐ。
後ろを一瞥してみると、ブギーは無言で只管に追いかけてくる。あまりにも、恐ろしい。
ホラー映画のワンシーンそのものじゃないか。
横を過ぎていく車両――ブギーはその車両の扉を、通り過ぎ際に引っぺがした。
「おおっ、いいぞブギー」
「応援しないでくださいよ!」
車両はバランスを崩して横回転し、中央分離帯に乗り上げて停車。
運転手は無事のようだが動けまい。俺のせいで巻き込んでしまって、申し訳ない……。
「捕まってください!」
車両の扉が投げつけられる。
体を傾けて、歩道の端へと寄ると、俺のいた場所には車両の扉がガードレールを削りながら過ぎていった。
こんなの……直撃したらおしまいだ。
こちら側の歩道に歩行者がいなくてよかった。これは偶然なのか、それとも物語によるものなのかは定かではない。後ろの作者に聞けば済む話ではあるが、それは今ではないだろう。
「すごいねえ……!」
「ええ、本当に!」
「こういう人生も、悪くはないよ。誰かに追われるというのは、少なくとも私達は誰かに必要されているのと同じなのだからね」
「必要とされるのは嬉しいですけど、理由が……!」
「ははっ、確かにそうだね。ほら、頑張れっ頑張れっ。あと少しだから」
「あ、あと少し?」
橋もそろそろ下り終えそうだ、自転車はかなりのスピードが出ている。
ブギーは距離を縮められないから、撒けるって事だろうか。
「橋を下りた先の信号はぎりぎり間に合うよ、そういう展開だから。さあ、力いっぱい、漕いで漕いで」
「は、はいっ!」
思い切り、ペダルを漕ぐ。
歩行者用信号機はチカチカしている。赤になるまでもうすぐ。
先輩の言う通り、ギリギリのところで横断歩道を渡り切った。
このあたりは少しばかり交通量が多い。車両も走り始め、ほっとしたのもつかの間――後方では激しい衝撃音。
「うわっ……」
「やったね、派手にやった」
思わず自転車を停めて、後ろを見る。
軽自動車は無残にもフロントガラスが砕けており、ボンネットはべっこりとへこんでいた。
ブギーはうつ伏せに倒れている、跳ね飛ばされた距離はおよそ三メートル。
それでも顔だけがぐいっとこちらを向いた。
「おおー、一定のダメージは受けずに蓄積させる異能……流石だね。攻撃時に蓄積したダメージを乗せられるとなると、車両に激突された分が乗るわけだ。いいねえ」
「感心してる場合じゃないですよ!」
「ああ、そうだね。さあ、行こう行こう」
道路は混乱が生じ、ブギーの前には阻むように車両が停まったおかげですぐには追ってはこれない状況になった。
騒がしくなる後方にはもはや構わず、その場から離れるとした。
どれくらい走っただろう。少なくとも、十年後じゃあ考えられないくらいに、走ったと思う。
街中を抜けて、住宅街に入って、普段は来ない地区であるためにうろうろして数分。
少しばかり休憩して、ようやく激しい呼吸もゆるやかに。
「楽しかったね」
「楽しかったのは先輩だけだと思いますが……」
「ブギーはひと暴れして、美耶子さんが駆けつける前にその場から離れました、と。こうして裏で物語が展開されていくんだねえ」
そんな事をどこかしみじみと先輩は語っていた。
「敵の中に、ブギーが追加……か」
「まあいいじゃない、まだ君は本文を書いていなかったけれど、結局登場する予定だったんだし」
「いやでも展開的にですね、後半に敵が増えるというのはちょっと……」
「君と治世ならやれるさ。主人公補正と不死身のヒロイン、うーん敵無しだね」
「後半は確か……俺がピンチになる展開が待ってるんですよね、主人公補正があればまあ大丈夫か……」
「悪いが、その辺もまた変更があるかもしれない」
「えぇ……?」
「そう心配しなくてもいい。君は主人公なんだよ、物語での主人公補正ほど安心できるものはないだろう?」
「それはそうですけど……」
けれども、全体的に考えれば不安になものは不安なわけでして。
何も自分の事だけではないのもある。
今日だって、車の運転手を巻き込んでしまった。今後とも、俺の書いた物語が続いていく限り、関係のない誰かが巻き込まれる機会は必ず訪れるだろう。
その度に、俺の心には棘が刺さっていく。
先輩は、どう?
……ああ、駄目だ。先輩の微笑を見ていると、どうしてもそんな質問は、引っ込んでしまう。
「そろそろ帰るとしようか」
「先輩、送っていきますよ」
体力の回復も早い、若いって最高。
ゆっくりとペダルを踏みこみ、目的地が未定なためにトロトロとした走行をする。この余裕も、敵に襲われないと分かっているからこそだ。
「ありがとう、でも大丈夫だよ。そもそも送るといっても私の家はないしね」
そうだった。
あの空き地に戻っても仕方がないな。
となれば、ここで浮かぶ疑問――先輩は今どこで生活をしているのだろうか。
「そのうちまた君に会いに行くかも。久しぶりに会えてよかったよ。またね」
「え、あっ、せんぱ――」
とんっと自転車から飛び降りた音はした。
けれど、後ろを振り向くと既に先輩の姿はなく。まるで幽霊のような人だ。……本当に、幽霊じゃあないだろうな。
「先輩はどんな結末を想像してるんですか?」
「んー……」
俺の場合は、漠然とだが考えていたのは……異能教を壊滅させて、ヒロインと結ばれるような、なんとも味付けが薄い終わり方。
能力ものって大体敵の組織を倒したら終わりって感じじゃない?
「ひみつ」
悪戯な感情のこもった口調だった。
結末に辿り着いてからのお楽しみってとこか。
「文弥くん、佐久間文弥くん。ちょっと主人公らしい事しようよ」
「主人公らしい事ですか?」
「うん、実は原稿を配置しておいててさ」
「えっ……」
「後ろを見てくれ」
自転車を停めて、振り返ってみる。
――後方の街灯数個分先に人影が見えた。
遠くからでも分かるその巨漢の人影。
何か、ああ――原稿を手に持って、こちらを見つめている。
「これを君に渡そう」
「これは……」
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原稿が、目の前にあった。
ラトタタからは、原稿の異能者がいると聞いてはいたが、まさかその数分後に原稿を見つけるとは、予想外だった。
彼――ブギーは原稿を拾い上げて、書いている内容を見てはまた驚愕する。
自身の目的はラトタタの手助け、特異の確保であるが――その特異が、この原稿の書いてある通りに行動すれば出会えるという。
ラトタタ曰く、原稿に書いてある内容は信用していいと言っていた。罠でないのならば、行動あるのみ。
それに特異を捕まえればラトタタに褒めてもらえる。その感情が、ブギーの心を燃やしていく。
いつもの仮面をつけ、フードを深くかぶって彼は走り出す。
ラトタタにこの原稿について報告はしておくべきだったのかもしれないが、彼女はやる事が多く、何より火傷を負っていたので少し休ませてやりたかった。
彼女の喜ぶ顔を想像して、原稿に書いてある通りの道順で向かう。
視界に入る大橋、そこに特異適合者がいるらしい――
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「ブギー……だって?」
「そう、ブギー」
「こいつは……こんなに早くは出る予定じゃあなかった奴ですよね?」
「予定変更だよ」
そんなにぽんぽん展開を変えられると、今後の展開が予測できなくなってしまう。
作者として一言物申したいが今の俺は主人公なんだよな、と俺は言葉にならない声を漏らすのみだった。
「ラトタタもブギーもパーカー着てるよね。中二病ってよくパーカーを好むと思うんだけど、何か関係ある?」
「……当時はがっつり中二病大好きっ子だったんで、そのせいですね」
そんな話をしている場合ではない。
ブギーはゆっくりと歩き出している、街灯に照らされて不気味なピエロの仮面が見えた。
「オオオォォォォォォォォオ――!」
咆哮をあげている、空気を震わせるほどの咆哮を。
怖い、普通に怖い。
「さあ、主人公っ。全てを知る原稿の異能者という貴重な人物を守るために、愛車を走らせるのだ!」
「愛車って、ただの自転車ですが!」
ペダルを踏み、自転車を走らせた。
同時に、ブギーも徒歩から走行へと移行する。
横を過ぎていく車両に助けを求める? いや、巻き込むだけだ、やめておこう。であれば、懸命に今はペダルを回していくしかなかろうか。
坂道に入るので速さは出せる、後はブギーの身体能力を勝るかどうか。
奴の設定は……ええっと、どうだったかな。
そもそもこんな早い場面で登場なんかしないんだ、眠っていた設定を記憶から掘り起こすのは困難だ。
「ブギー、速いね。もっと急がないと追いつかれちゃうよ?」
「頑張ります!」
腰を上げて、思い切り漕ぐ。
後ろを一瞥してみると、ブギーは無言で只管に追いかけてくる。あまりにも、恐ろしい。
ホラー映画のワンシーンそのものじゃないか。
横を過ぎていく車両――ブギーはその車両の扉を、通り過ぎ際に引っぺがした。
「おおっ、いいぞブギー」
「応援しないでくださいよ!」
車両はバランスを崩して横回転し、中央分離帯に乗り上げて停車。
運転手は無事のようだが動けまい。俺のせいで巻き込んでしまって、申し訳ない……。
「捕まってください!」
車両の扉が投げつけられる。
体を傾けて、歩道の端へと寄ると、俺のいた場所には車両の扉がガードレールを削りながら過ぎていった。
こんなの……直撃したらおしまいだ。
こちら側の歩道に歩行者がいなくてよかった。これは偶然なのか、それとも物語によるものなのかは定かではない。後ろの作者に聞けば済む話ではあるが、それは今ではないだろう。
「すごいねえ……!」
「ええ、本当に!」
「こういう人生も、悪くはないよ。誰かに追われるというのは、少なくとも私達は誰かに必要されているのと同じなのだからね」
「必要とされるのは嬉しいですけど、理由が……!」
「ははっ、確かにそうだね。ほら、頑張れっ頑張れっ。あと少しだから」
「あ、あと少し?」
橋もそろそろ下り終えそうだ、自転車はかなりのスピードが出ている。
ブギーは距離を縮められないから、撒けるって事だろうか。
「橋を下りた先の信号はぎりぎり間に合うよ、そういう展開だから。さあ、力いっぱい、漕いで漕いで」
「は、はいっ!」
思い切り、ペダルを漕ぐ。
歩行者用信号機はチカチカしている。赤になるまでもうすぐ。
先輩の言う通り、ギリギリのところで横断歩道を渡り切った。
このあたりは少しばかり交通量が多い。車両も走り始め、ほっとしたのもつかの間――後方では激しい衝撃音。
「うわっ……」
「やったね、派手にやった」
思わず自転車を停めて、後ろを見る。
軽自動車は無残にもフロントガラスが砕けており、ボンネットはべっこりとへこんでいた。
ブギーはうつ伏せに倒れている、跳ね飛ばされた距離はおよそ三メートル。
それでも顔だけがぐいっとこちらを向いた。
「おおー、一定のダメージは受けずに蓄積させる異能……流石だね。攻撃時に蓄積したダメージを乗せられるとなると、車両に激突された分が乗るわけだ。いいねえ」
「感心してる場合じゃないですよ!」
「ああ、そうだね。さあ、行こう行こう」
道路は混乱が生じ、ブギーの前には阻むように車両が停まったおかげですぐには追ってはこれない状況になった。
騒がしくなる後方にはもはや構わず、その場から離れるとした。
どれくらい走っただろう。少なくとも、十年後じゃあ考えられないくらいに、走ったと思う。
街中を抜けて、住宅街に入って、普段は来ない地区であるためにうろうろして数分。
少しばかり休憩して、ようやく激しい呼吸もゆるやかに。
「楽しかったね」
「楽しかったのは先輩だけだと思いますが……」
「ブギーはひと暴れして、美耶子さんが駆けつける前にその場から離れました、と。こうして裏で物語が展開されていくんだねえ」
そんな事をどこかしみじみと先輩は語っていた。
「敵の中に、ブギーが追加……か」
「まあいいじゃない、まだ君は本文を書いていなかったけれど、結局登場する予定だったんだし」
「いやでも展開的にですね、後半に敵が増えるというのはちょっと……」
「君と治世ならやれるさ。主人公補正と不死身のヒロイン、うーん敵無しだね」
「後半は確か……俺がピンチになる展開が待ってるんですよね、主人公補正があればまあ大丈夫か……」
「悪いが、その辺もまた変更があるかもしれない」
「えぇ……?」
「そう心配しなくてもいい。君は主人公なんだよ、物語での主人公補正ほど安心できるものはないだろう?」
「それはそうですけど……」
けれども、全体的に考えれば不安になものは不安なわけでして。
何も自分の事だけではないのもある。
今日だって、車の運転手を巻き込んでしまった。今後とも、俺の書いた物語が続いていく限り、関係のない誰かが巻き込まれる機会は必ず訪れるだろう。
その度に、俺の心には棘が刺さっていく。
先輩は、どう?
……ああ、駄目だ。先輩の微笑を見ていると、どうしてもそんな質問は、引っ込んでしまう。
「そろそろ帰るとしようか」
「先輩、送っていきますよ」
体力の回復も早い、若いって最高。
ゆっくりとペダルを踏みこみ、目的地が未定なためにトロトロとした走行をする。この余裕も、敵に襲われないと分かっているからこそだ。
「ありがとう、でも大丈夫だよ。そもそも送るといっても私の家はないしね」
そうだった。
あの空き地に戻っても仕方がないな。
となれば、ここで浮かぶ疑問――先輩は今どこで生活をしているのだろうか。
「そのうちまた君に会いに行くかも。久しぶりに会えてよかったよ。またね」
「え、あっ、せんぱ――」
とんっと自転車から飛び降りた音はした。
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