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第四章
karte.031 情報屋
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レイコは二人に任せて、俺はルォウと外出をするとした。
こいつと一緒に行動するのはいつ以来だろうか。
気がついたらよく話すようになったんだよなあ。
見返りも求めず情報をくれるし、なんだかんだいって世話になりがちだ。
「調べるといっても調査員が現場を仕切ってて入れないし、大した事はできないんだけど、彼らが詳しくは聞き込みしない場所からは意外と情報が転がってるものさね」
「聞き込みしない場所?」
「酒場とかね」
ルォウの上体が左右に揺れてる事からして、そのまま酒でも飲もうといった思考が漏れているような。
「何も情報はギルドだけに集まるわけじゃないさね。昼間から開いてる酒場は情報のたまり場よ、覚えておきなさい」
「へいへい」
ルォウ曰く。
ラハルェさんが住んでいたのは中央区、ギルド職員の寮に住んでいたようだ。
最寄の酒場は当然ない、そりゃあ中央区に酒場なんて置けるわけないのだ。寮や研究施設が多いし、役人だって多く行き来する。
じゃあどこの酒場に行くのかと思ったら、街外れの酒場だった。
小道を入って奥に、ひっそりと身を隠すかのように開いている店。
「あたしのよく行く酒場さね」
カラン、と鐘の音が店内に響き渡った。
他の酒場と違いここは煙草のにおいも目立ち、薄暗い。
魔力石を使用して動いているシリンダーオルゴールの心地良い柔らかな音もこの店内のどこか重々しさある雰囲気は払拭しきれていない。
それでも無いよりはマシだ。
「ここ、大丈夫なのか?」
「勿論♪ お酒も美味しいわよう?」
昼間から酒を飲む気分でもないんだが。
酒場の連中もルォウは見慣れているからか、特に視線を向けはせず、むしろ皆が見ていたのは俺のほうだった。
訝しく見る者もいれば、ただじっと表情を変えずに見てくる奴もいたり。
……やりづらいな、とても。
カウンターに座り、ルォウは「いつもの」と店主に一言。
俺はどうしようか……ここのお勧めとか何も分からんし、「ルォウと同じのを」と言っておくとした。
こういう時は選ぶより真似たほうが無難かな。
「あんたがここに来るのは久しぶりだな。そっちのほうは……」
ルォウの隣に男が座った。
無精髭に服装もしわが目立ち、不衛生さを感じる。
「あたしと同じ治療士さね。今後もここに来る機会が増えるかも――って、あんたなら知ってるでしょ?」
「やっぱりそうか。ルヴィン・ミカド、次元病を処置した男だろ?」
ルォウ越しに、視線は合わせずに彼は俺をちらちらと見てくる。
「ああ、知ってるのか」
「そりゃあな。あんた結構有名人だぞ」
俺に一瞥をくれる治療士は多くなったのは実感している。
しかし自分の知名度は広まっているのかどうかはあまり実感できてはいなかった。治療士ではない彼でも俺の事を知っているとなると、これは相当広まってやがるな……。
「情報でももらいにきたか」
「ま、そうさね。マスター、彼にもいつもの一杯」
このやり取りも慣れているのか、マスターはこくりと頷いて男に酒の注がれたグラスを差し出した。
「ルヴィン、紹介するわ。彼はペルセル・ペイジ。情報屋のぺぺって言われてる」
「俺が認めた奴以外がぺぺと馴れ馴れしく呼んだら打ち殺すがな」
「ど、どうも、ペルセルさん」
グラスの中で氷を躍らせて彼は挨拶を返した。
ルォウの紹介を挟んだからか、あからさまな拒否感はないが、お互いに距離を縮めるには時間と交流が必要そうだ。
「それで、今日はなんだ? 最近はあんまりいいネタはないぞ? お前の大好きなライザックに関しての情報もないぜ」
「えっ?」
「――ちょ、ちょっと何を言ってるのさねえ!」
ルォウの六つの腕がわしゃわしゃと動き出した。
「昔からライザック追っかけまわしてたけど、今度はライザックの近い奴から懐柔して彼に近づくつもんぐぐぐぐぐ」
「ルォウ! ペルセルさんの関節が全部逆になるからやめてさしあげろ!」
ルォウが治療以外であれほど六つの腕を駆使したところを見たのは初めてかもしれない。
彼女は落ち着こうとしたのか、酒を喉へ流し込んで、その後にペルセルさんを一瞥がてら睨んでようやく六つの腕も動きは止まった。
頬はまだ朱に染まってはいるが。
「死ぬかと思った……」
「死ねばよかったのに」
とはいえ。
ルォウがライザックさんに何度か意味深な視線を投げていたのは俺も見ていた。
何か彼女が彼に対してライバル的な感情を向けていたのかとは思っていたが、よくよく考えてみればこうして俺やレイコにべったりと交流してくるのは、ライザックさんと会う口実を作っていたようにも感じられる。
「あんたは情報屋としてはセルヴェハルで一番だけど、好きになれない奴としてもセルヴェハルで一番さね」
「ん、んー。ありがとうさねえ~」
「次真似したら放り出す!」
あえてルォウさんの口調を真似た結果、彼の関節はまたもや逆方向に追いやられそうになり、酒場にいた連中には良い酒のつまみとなった。
周りの笑いも収まった頃、ようやく話は本題へ。
「ところで、あの爆発事故の話は何かない?」
「残念だが大した情報はないぜ。なんといっても亡くなったのはギルド職員だし情報が漏れづらいんだよなあ」
彼は煙草に火をつけ、グラスの氷を鳴らす。
酒のペースが早い男だ、もう二杯目を要求し、酒が注がれるや半分ほどすぐに喉へと流されていく。
「あるとすればそうだな。ラハルェは南区ギルド支部長と何度か会っていたとか」
「南区……ジアフと?」
「そうそう、あのいけ好かねえ野郎と。ラハルェは金に困ってたって話で――っと、まあ出すもん出してからじゃないとここからは、な?」
小さな溜息をついてルォウは懐から小袋を取り出して彼に手渡した。
ジャラっとした音、中には金が入っているのであろう。
ペルセルさんは嬉しそうに口端を吊り上げていた。
「ラハルェの母親は難病に侵されていてな、莫大な治療費が必要だった。ジアフはそこにつけこんで金を出す代わりに情報を流してもらっていたんだろう」
「情報って、何の?」
「特殊な病魔についてか、それか……」
「それか?」
彼はグラスを二度、軽くテーブルへ叩いた。
彼の仲間であろうか、影からすっと現れて彼の後ろにつく。
にしても、背が低い。
深く被ったフードは表情を隠し、その者はまるでここには人を寄せ付けまいと護衛をしているかのよう。
「セルヴェハルの内部情報全般」
「なんかやばそうな話になってきたな」
「そのやばそうな話を聞くためにここに来たのさね」
ルォウは小袋を更に二つ取り出し、彼へと手渡す。
もっと情報をと、催促しているかのように。
「ラハルェは体調不良の後、自室で爆発事故により死亡――口封じともとれる。その当日は現場近くでジアフの秘書を目撃したという話もあるし、爆発事故とジアフは何か関係があるぜ」
「ラハルェを殺した犯人と思っていいんじゃないの?」
「どうだろうな、動機が分からんしまだ断定はできねえが」
「でもジアフが何か企んでいるのは確かでしょう?」
「おそらくはね」
「なあ、それをギルド本部に伝えればジアフに調査が入るんじゃねえのか?」
裏で情報交換より、ギルドにこの情報を教えてやればギルドが動いてくれると思うんだが。
「ジアフの秘書が爆発事故の現場近くにいたという情報を教えても、爆発事故の当日は交流会があったんだからいて当然とみられて重要視はされねえさ」
それもそうか……。
「あいつらはおそらく疑われないよう手を回してる、情報提供なんてしに行って目をつけられたらこっちが危ねえ。お前らがギルド本部に駆け込むのはいいが俺の名前は出すなよ」
「あたしらが騒いだところで何も起きないさね。こうして裏からじっくり調べていくわ」
「そうしてくれるとありがたいね。俺も儲かる」
あの小袋の中身、みっちりと金が入ってたようだがそれが三つとなれば俺が普段こなしてる依頼を三日分ほどはやらなきゃ手に入らない金額であろう。
「……ルヴィン、ジアフがお前に近づいたのは勧誘以外の目的があるかもしれんぜ。警戒しとけ、ジアフは敵と認識しておいたほうが身のためだぞ」
「敵……か」
そういった意識を一個人に向けるのは、今までなかった。
あのジアフが敵――実感が沸かないが話を聞いている限りは、そう認識しておいたほうがいいのかもしれない。
「狙いはレイコちゃんかもしれないさね」
「レイコ? なんでだ?」
「目的は分からないけど……レイコちゃん、交流会が終わってから体調を崩したでしょう?」
「ああ、それが?」
「あの子と交流会で一番話していた人は?」
思い返してみる。
……思い当たる人物は一人。
「ジアフ、だな」
「毒を盛られた、と考えて……動けないようにしてからジアフは何かするつもりなのかもしれないさね」
「けどギルドの医師はただの風邪って――」
「決め付けってのは、怖いものだぜ? 警戒なんてものはな、しておいて損はないんだ。だったらしとくだけ得ってやつさ」
警戒すべき要素は並べられた。
警戒せざるをえないものの、しかしジアフの目的が不明瞭だ。
「ジアフの出身は知ってるか?」
「さあ、知らないさね。どこかの貴族というのは聞いたけど」
「あいつは帝国出身だよ」
「帝国……? 本当に?」
何か、繋がりそうな。
そんな気がする。
「ジアフに関しては調べるだけ調べた。間違いない情報だ、巧妙に経歴詐称しているがね」
「帝国が絡んでいる可能性が一気に高まったさね」
「俺も相当危ない橋を渡ったんだ、動くならあんたらだけにしといてくれよな。ジアフならまだしも帝国に目をつけられちゃ敵わん。あと数分したら念のためにここから離れるからな、お前らは俺に合わせず時間を置いて店を出ろよ」
ペルセルさんはフードの男? に目線を投げるや、こくりと彼は頷いて店を出た。
店を出るや足音は止んだ、店前で待機しているのだろう。
ペルセルさんの用心棒ってとこか。
こいつと一緒に行動するのはいつ以来だろうか。
気がついたらよく話すようになったんだよなあ。
見返りも求めず情報をくれるし、なんだかんだいって世話になりがちだ。
「調べるといっても調査員が現場を仕切ってて入れないし、大した事はできないんだけど、彼らが詳しくは聞き込みしない場所からは意外と情報が転がってるものさね」
「聞き込みしない場所?」
「酒場とかね」
ルォウの上体が左右に揺れてる事からして、そのまま酒でも飲もうといった思考が漏れているような。
「何も情報はギルドだけに集まるわけじゃないさね。昼間から開いてる酒場は情報のたまり場よ、覚えておきなさい」
「へいへい」
ルォウ曰く。
ラハルェさんが住んでいたのは中央区、ギルド職員の寮に住んでいたようだ。
最寄の酒場は当然ない、そりゃあ中央区に酒場なんて置けるわけないのだ。寮や研究施設が多いし、役人だって多く行き来する。
じゃあどこの酒場に行くのかと思ったら、街外れの酒場だった。
小道を入って奥に、ひっそりと身を隠すかのように開いている店。
「あたしのよく行く酒場さね」
カラン、と鐘の音が店内に響き渡った。
他の酒場と違いここは煙草のにおいも目立ち、薄暗い。
魔力石を使用して動いているシリンダーオルゴールの心地良い柔らかな音もこの店内のどこか重々しさある雰囲気は払拭しきれていない。
それでも無いよりはマシだ。
「ここ、大丈夫なのか?」
「勿論♪ お酒も美味しいわよう?」
昼間から酒を飲む気分でもないんだが。
酒場の連中もルォウは見慣れているからか、特に視線を向けはせず、むしろ皆が見ていたのは俺のほうだった。
訝しく見る者もいれば、ただじっと表情を変えずに見てくる奴もいたり。
……やりづらいな、とても。
カウンターに座り、ルォウは「いつもの」と店主に一言。
俺はどうしようか……ここのお勧めとか何も分からんし、「ルォウと同じのを」と言っておくとした。
こういう時は選ぶより真似たほうが無難かな。
「あんたがここに来るのは久しぶりだな。そっちのほうは……」
ルォウの隣に男が座った。
無精髭に服装もしわが目立ち、不衛生さを感じる。
「あたしと同じ治療士さね。今後もここに来る機会が増えるかも――って、あんたなら知ってるでしょ?」
「やっぱりそうか。ルヴィン・ミカド、次元病を処置した男だろ?」
ルォウ越しに、視線は合わせずに彼は俺をちらちらと見てくる。
「ああ、知ってるのか」
「そりゃあな。あんた結構有名人だぞ」
俺に一瞥をくれる治療士は多くなったのは実感している。
しかし自分の知名度は広まっているのかどうかはあまり実感できてはいなかった。治療士ではない彼でも俺の事を知っているとなると、これは相当広まってやがるな……。
「情報でももらいにきたか」
「ま、そうさね。マスター、彼にもいつもの一杯」
このやり取りも慣れているのか、マスターはこくりと頷いて男に酒の注がれたグラスを差し出した。
「ルヴィン、紹介するわ。彼はペルセル・ペイジ。情報屋のぺぺって言われてる」
「俺が認めた奴以外がぺぺと馴れ馴れしく呼んだら打ち殺すがな」
「ど、どうも、ペルセルさん」
グラスの中で氷を躍らせて彼は挨拶を返した。
ルォウの紹介を挟んだからか、あからさまな拒否感はないが、お互いに距離を縮めるには時間と交流が必要そうだ。
「それで、今日はなんだ? 最近はあんまりいいネタはないぞ? お前の大好きなライザックに関しての情報もないぜ」
「えっ?」
「――ちょ、ちょっと何を言ってるのさねえ!」
ルォウの六つの腕がわしゃわしゃと動き出した。
「昔からライザック追っかけまわしてたけど、今度はライザックの近い奴から懐柔して彼に近づくつもんぐぐぐぐぐ」
「ルォウ! ペルセルさんの関節が全部逆になるからやめてさしあげろ!」
ルォウが治療以外であれほど六つの腕を駆使したところを見たのは初めてかもしれない。
彼女は落ち着こうとしたのか、酒を喉へ流し込んで、その後にペルセルさんを一瞥がてら睨んでようやく六つの腕も動きは止まった。
頬はまだ朱に染まってはいるが。
「死ぬかと思った……」
「死ねばよかったのに」
とはいえ。
ルォウがライザックさんに何度か意味深な視線を投げていたのは俺も見ていた。
何か彼女が彼に対してライバル的な感情を向けていたのかとは思っていたが、よくよく考えてみればこうして俺やレイコにべったりと交流してくるのは、ライザックさんと会う口実を作っていたようにも感じられる。
「あんたは情報屋としてはセルヴェハルで一番だけど、好きになれない奴としてもセルヴェハルで一番さね」
「ん、んー。ありがとうさねえ~」
「次真似したら放り出す!」
あえてルォウさんの口調を真似た結果、彼の関節はまたもや逆方向に追いやられそうになり、酒場にいた連中には良い酒のつまみとなった。
周りの笑いも収まった頃、ようやく話は本題へ。
「ところで、あの爆発事故の話は何かない?」
「残念だが大した情報はないぜ。なんといっても亡くなったのはギルド職員だし情報が漏れづらいんだよなあ」
彼は煙草に火をつけ、グラスの氷を鳴らす。
酒のペースが早い男だ、もう二杯目を要求し、酒が注がれるや半分ほどすぐに喉へと流されていく。
「あるとすればそうだな。ラハルェは南区ギルド支部長と何度か会っていたとか」
「南区……ジアフと?」
「そうそう、あのいけ好かねえ野郎と。ラハルェは金に困ってたって話で――っと、まあ出すもん出してからじゃないとここからは、な?」
小さな溜息をついてルォウは懐から小袋を取り出して彼に手渡した。
ジャラっとした音、中には金が入っているのであろう。
ペルセルさんは嬉しそうに口端を吊り上げていた。
「ラハルェの母親は難病に侵されていてな、莫大な治療費が必要だった。ジアフはそこにつけこんで金を出す代わりに情報を流してもらっていたんだろう」
「情報って、何の?」
「特殊な病魔についてか、それか……」
「それか?」
彼はグラスを二度、軽くテーブルへ叩いた。
彼の仲間であろうか、影からすっと現れて彼の後ろにつく。
にしても、背が低い。
深く被ったフードは表情を隠し、その者はまるでここには人を寄せ付けまいと護衛をしているかのよう。
「セルヴェハルの内部情報全般」
「なんかやばそうな話になってきたな」
「そのやばそうな話を聞くためにここに来たのさね」
ルォウは小袋を更に二つ取り出し、彼へと手渡す。
もっと情報をと、催促しているかのように。
「ラハルェは体調不良の後、自室で爆発事故により死亡――口封じともとれる。その当日は現場近くでジアフの秘書を目撃したという話もあるし、爆発事故とジアフは何か関係があるぜ」
「ラハルェを殺した犯人と思っていいんじゃないの?」
「どうだろうな、動機が分からんしまだ断定はできねえが」
「でもジアフが何か企んでいるのは確かでしょう?」
「おそらくはね」
「なあ、それをギルド本部に伝えればジアフに調査が入るんじゃねえのか?」
裏で情報交換より、ギルドにこの情報を教えてやればギルドが動いてくれると思うんだが。
「ジアフの秘書が爆発事故の現場近くにいたという情報を教えても、爆発事故の当日は交流会があったんだからいて当然とみられて重要視はされねえさ」
それもそうか……。
「あいつらはおそらく疑われないよう手を回してる、情報提供なんてしに行って目をつけられたらこっちが危ねえ。お前らがギルド本部に駆け込むのはいいが俺の名前は出すなよ」
「あたしらが騒いだところで何も起きないさね。こうして裏からじっくり調べていくわ」
「そうしてくれるとありがたいね。俺も儲かる」
あの小袋の中身、みっちりと金が入ってたようだがそれが三つとなれば俺が普段こなしてる依頼を三日分ほどはやらなきゃ手に入らない金額であろう。
「……ルヴィン、ジアフがお前に近づいたのは勧誘以外の目的があるかもしれんぜ。警戒しとけ、ジアフは敵と認識しておいたほうが身のためだぞ」
「敵……か」
そういった意識を一個人に向けるのは、今までなかった。
あのジアフが敵――実感が沸かないが話を聞いている限りは、そう認識しておいたほうがいいのかもしれない。
「狙いはレイコちゃんかもしれないさね」
「レイコ? なんでだ?」
「目的は分からないけど……レイコちゃん、交流会が終わってから体調を崩したでしょう?」
「ああ、それが?」
「あの子と交流会で一番話していた人は?」
思い返してみる。
……思い当たる人物は一人。
「ジアフ、だな」
「毒を盛られた、と考えて……動けないようにしてからジアフは何かするつもりなのかもしれないさね」
「けどギルドの医師はただの風邪って――」
「決め付けってのは、怖いものだぜ? 警戒なんてものはな、しておいて損はないんだ。だったらしとくだけ得ってやつさ」
警戒すべき要素は並べられた。
警戒せざるをえないものの、しかしジアフの目的が不明瞭だ。
「ジアフの出身は知ってるか?」
「さあ、知らないさね。どこかの貴族というのは聞いたけど」
「あいつは帝国出身だよ」
「帝国……? 本当に?」
何か、繋がりそうな。
そんな気がする。
「ジアフに関しては調べるだけ調べた。間違いない情報だ、巧妙に経歴詐称しているがね」
「帝国が絡んでいる可能性が一気に高まったさね」
「俺も相当危ない橋を渡ったんだ、動くならあんたらだけにしといてくれよな。ジアフならまだしも帝国に目をつけられちゃ敵わん。あと数分したら念のためにここから離れるからな、お前らは俺に合わせず時間を置いて店を出ろよ」
ペルセルさんはフードの男? に目線を投げるや、こくりと彼は頷いて店を出た。
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