とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第123話 遭遇

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「洞窟に入ったはいいが、何も気配を感じないな……」
「油断はするなよ。俺が見た残留思念では、ここに確実に奴らが入って行ってるんだ」

 ルーク、トウマ、ヒビキの3人は警戒しながらも発見した洞窟内へと足を既に踏み入れていた。
 薄暗い道を進んで行くと、ある所から地面を照らすように明りが設置されている場所へと出るが、そこからは道が3つに枝分かれしていた。

「道が分かれてる。どうしますか、ヒビキ先輩?」
「一度この場の残留思念を見てみる。その間、周囲の警戒を頼むぞ」

 ヒビキの言葉に、ルークとトウマは頷き返すとヒビキはその場で片膝を付き目を瞑った。
 2人はヒビキを囲う様に立ちつつ、周囲を警戒していると自分たちが歩いて来た方を含め4方向から、黒いローブを来た奴らが現れたのだった。
 急に追いつめられた状況になり、トウマがまだその状況に気付いていないヒビキに教えようと手を伸ばした直後、トウマの正面にいた黒いローブを来た奴が一瞬でトウマとの距離を詰めて来た。
 そしてトウマの伸ばした手を黒いローブを来た奴がヒビキに届く前に掴むと、そのままトウマを投げ飛ばした。

「っ! トウマ!」

 ルークが声を上げた事でヒビキも異変に気付き目を開くが、既に2人の黒いローブを来た奴が迫って来ていた。
 またルークに対しても、1人が距離を詰めて来ておりトウマを投げ飛ばした奴も、ルークへと手を伸ばして来ていた。
 ルークはすぐさま自分の周囲に風の盾を作り出し、黒いローブを来た奴らから身を守った。
 更には近くにいたヒビキをも囲う様に展開したので、ヒビキも同時に守っていた。
 そしてルークは守りとして展開した風を使い、周囲の相手を吹き飛ばした。

「トウマ!」
「大丈夫だ……」

 トウマは壁に打ち付けられ、少しふらつく様に立ち上がり直ぐにルークたちの方へと向かおうとするが、そこを黒いローブを来た奴2人が挟み撃ちをする形でトウマへと襲い掛かる。

「トウマ! 左手の方をやれ!」

 ルークの声にすぐさま反応したトウマは、動きつつ『バースト』の魔法を唱え放った。
 そしてルークはトウマを背後から襲う相手目掛け、『ガスト』の魔法を放ち直後に『アイス』の魔法で動きを封じた。

「2人共! 正面の道に進むぞ!」

 そうヒビキが言い切ると自身の右側に居た相手に向かい、地面へと手を付け魔力創造で自分たちとの間に壁を造り出した。
 そして正面に立ちはだかる黒いローブを来た奴を、ルークが片手に魔力を集中させ『サンダーストライク』の魔法を鋭く槍の様に形状を変化させ放った。
 ルークが放った魔法は相手の両足を貫き、そのまま黒いローブを来た奴は地面へと倒れる。
 その隙に3人は正面の道へと走って行き、立ち止まることなく今は追手に追いつかれない事だけを考え、いくつもの分岐路を直感のまま進み扉が取り付けられた場所へと迷い込んだ。
 そして一旦目についた扉を開け、中に誰も居ない事を確認しそこで息を潜めつつ、乱れた呼吸を整える事にした。
 数分後、数人の足音が迫って来るのが聞こえたがそのまま通り過ぎて行くのを確認し、それ以降は誰かが近付いてくる様子はないと思い3人は緊張の糸が切れたように体から力が抜ける。

「はぁ……はぁ……あ~何してるんだ俺は……」

 ふとヒビキは、今の現状を振り返り何故自分がこんな目に遭っているのか、何故こんな事をする必要があるのかと思っていた。

「普通なら今頃収穫祭を楽しんでいただけなのに、お前らの言葉を聞いてオービンに借りを作れれば、あいつは嫌がるだろうと思ったが、こんな事までしてやる様な事じゃねぇ」
「(あ~やっぱり、まともな理由で手を貸してた訳じゃなかったんだな、ヒビキ先輩……)」

 トウマはヒビキの言葉を聞きそんな事を思いつつ見ていると、ルークが声を掛けた。

「今更後悔しても意味ないですよ、ヒビキ先輩。決めたのは貴方なんですから」
「分かってる! 引き返す機会は何度もあったが、あそこまでやって引き返したらメイナさんがもう会ってくれなくなるだろ。それだけは絶対にダメだ。だから、真面目に手を貸したらこのざまだ。何なんだよ、あいつらは! 異様な雰囲気と言うか、気持ち悪い感じだ」
「(判断基準はそこなんですね)」

 するとルークがヒビキに対し、学院内で黒いローブを来た奴らとの戦闘を改めて具体的に伝え出す。
 そしてタツミ先生の偽物もいた事も共有した。
 それを聞いたヒビキは暫く考える体勢をとった後、ルークに問いかけた。

「おい、何かあいつらのマークの様な物を見たりしてないか?」

 ルークは首を横に振り、トウマも同じ反応を返した。

「オービンを攫う時点でまともな奴らではないと思っていたが、あの戦闘員的な奴らやこのアジトの入り組んだ状態を含め、あいつら相当な犯罪組織なんじゃないか?」

 ヒビキの言葉に2人は唾を飲み込む。
 一度現状を考えてヒビキは2人にこのまま進むべきではないと言い始める。
 先程の戦闘で、かなりの魔力を使いヒビキに関してはここまで何度も残留思念魔法を使用している為、魔力消費が激しくもうほとんど残っていない状況であった。
 また、この先も戦闘がないとは考えられず相手の人数も、攫われた人物もどこにいるか不明のまま進めば確実にこちらがやられると伝える。
 その意見にルークは反論する意見は出ずに黙っており、トウマもヒビキの言っている事は何も間違っていないと思っていた。

「何よりも今が一番やばい状況だ。現在地も不明、来た道も戻ろうにも確実に元に戻れる訳じゃないし、奴らだってうろついている」
「た、確かに。ここまでとりあえず走って来てひとまず隠れているだけですし」
「今は魔力を温存し、体力と出来れば魔力回復するのを待つべきだ。そこから動けばまだ何とかなるし、オービンが絡んだ事件だ。必ず王国軍も動いているはずだ」

 ヒビキの考えとしては、必ずどこかで戦闘が起こるはずだと考えており、それに便乗し出来るだけ来た道を戻りつつ出来れば王国軍と合流し、保護してもらうと言うものだった。
 トウマは頷いていたがルークは小さく「王国軍」と呟いていた。
 そしてヒビキはもう一度ルークの意思を確認する為、「これでいいかと」問いかける。
 ルークはすぐに返事はせず、暫く考えた後渋々と言った感じで「分かりました」と頷いて答えた。
 それにはトウマも反論して1人でも行くとか言い出すのではないかと、少しひやひやしていたがそうならず安堵の息を吐いた。
 その後3人はその場でじっとし続け、体力と魔力回復を待ち続けていると、突然大きな衝撃音が響き渡って来た。

「何だ!?」

 3人はすぐさま動ける体勢をとる。
 その直後、再び大きな衝撃音が響き渡って来たのだった。

「(何が起こってるんだ? 王国軍か? それともまた別の何かか?)」

 ヒビキは何が起こり始めたのかと考えつつ、一度扉を開けてみる事を考えルークとトウマにその事を伝える。
 それに2人も反論はなく、この場に居続けるより外へ出るべきだと考えていたらしくすぐに頷いて返事をした。
 そしてヒビキが警戒しながらゆっくりと扉を開いて行き、外に誰も居ないと判断し一気に扉を開けた直後だった。
 その扉に誰かがぶつかり、倒れる音がしたのだった。

「!?」

 すぐに気付いたヒビキが扉の後ろを覗き込み言葉を失った。
 ルークとトウマもその事に気付き、遅れて覗き込み目を疑った。

「いっててて……何で急に扉が……」
「なっ……」
「オ、オービン先輩!?」
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