とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第186話 良き信頼関係

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 試合終了の合図が鳴り終わると、リーベストは魔法を解除した。

「いや~なかなかに楽しかったぞ、坊ちゃん。まぁ、オービンと比べたらまだまだだけどな」
「はぁ~……最後のアレ何ですか?」

 ゼオンはリーベストに率直に疑問をぶつけると、リーベストは何も隠す事無く話し始めた。

「あれは、魔法の武器に魔力を覆っただけさ」
「え? それだけ?」
「あぁ、それだけだぞ」
「いや普通に凄いけど、それだけであんな紙の様に、僕の武装したゴーレムを斬られるなんて」

 するとリーベストはゼオンの肩に片手をポンと置いた。

「まぁ、俺が坊ちゃんより凄かったて事だな。まだまだ頑張りましょうだな、坊ちゃん。にしても、あのゴーレムの数はいつ見ても凄いな。俺には出来んぞ。それにあの砲台も凄いな、あのまま魔法を放つと今までの坊ちゃんが放っていた魔法よりも、威力が上がってるんだな。あれが今回だと一番驚いたな」

 リーベストは腕を組みながらゼオンの戦い方に感心し、頷いていた。

「(うぅ……本当にこの人は、どうしていつも急に感心しだすかな。調子が狂うんだよな……)」

 そしてシニアランク男子第3試合は、シリウス魔法学院のリーベストの勝利で終了となり両者が互いに通路へと戻り始め、会場もアナウンスによって女子の試合開始まで暫く休憩時間とした。
 ゼオンは通路へと戻るとそこには婚約者でもあるリオナと、妹のシルビィ、そして従者でもあるラウォルツが待っていた。

「お疲れ様、ゼオン」
「リオナ、シルビィ、ラウォルツ。どうしてここに?」
「どうしてって、そんなのゼオンが落ち込み過ぎない様にリオナ姉様とラウォルツと一緒に声を掛けに来たのよ」

 シルビィの言葉にラウォルツは頷く。

「心配してくれてありがとう、皆。まさかあんな風に簡単に突破されるとは思わなくてさ、リーベストはやっぱり強いよ」
「そうね、リーベストは強いわ。でも、貴方も同等よゼオン。終わってからのリーベストはいつもの様に、少しおしゃべりな感じだったけども、戦いでは貴方との戦いを楽しんでいたわ。それに、彼も余裕で勝ったとも思っていないでしょうね」
「そうかな? あのリーベストだよ。……でも、僕もリーベストとの戦いは全力を出し切ったし、ほんの少しだけど楽しかったよ」

 ゼオンは後半の方をボソッと呟くように言うと、リオナは笑顔で微笑みかけた。
 それを見たゼオンは急に恥ずかしくなったのか顔をそむけた。

「あ~ゼオン。何恥ずかしがってんの?」
「べ、別に恥ずかしがってないっての! ニヤニヤして覗き込んで来るなよ、シルビィ」
「え~本当に? リオナ姉様はどう思います?」
「ゼオンが顔をそむける時は大抵、嘘を付く時か、恥ずかしい時だからどっちかね」
「リ、リオナ!?」

 ゼオンはリオナの返答に動揺してしまうと、リオナは動揺するゼオンの顔を見てクスッと笑ってしまう。

「シルビィ様、あまりゼオン様をからかわないで下さい。ゼオン様が物凄く動揺していますから」
「は~い。分かったよラウォルツ。だってさ、ゼオン」
「ラウォルツ! お前も余計なこと言わなくていいって」
「よ、余計でしたかゼオン様?」

 その後ゼオンたちは、暫し賑やかな雰囲気で控室へと戻って行った。
 一方でリーベストは通路に入ると、直ぐに壁に寄りかかりそのまま座り込んでしまう。

「はぁ……はぁ……いや、少し魔力を使い過ぎたな……やっぱり、魔法を武器の形に維持しつつ魔力を纏わせるとかきついな……」

 リーベストはゼオンとの戦いの最後に行った、魔法を武器としそこに魔力を纏わせた事で異常なまでの魔力消費により、少し動けなくなっていた。
 あの時魔力を纏わせた事により、魔法の武器の切れ味が上がり威力が増したため、ゼオンの武装ゴーレムを簡単に倒せていたのだ。
 これはラーウェンの魔力の剣からの発想で、魔法の武器に対して魔力を覆う事で魔法の効果を増幅、そして威力アップに成功した結果であった。

「まだまだ完璧なものではなかったが、実践で使える事は分かったから良しとするか……だが、長時間使った際のこの反動は考慮してなかったな。どうするか」

 そう言ってラーウェンが天井を見上げていると、ある人物が声を掛けて来る。

「さっきまでかっこよかったお前はどこいったんだよ、リーベスト」
「いや~参ったよ。想像以上に魔力を使ってしまって立つのも出来ないと来た。だから手を貸してくれよ、二コル」

 そこに現れたのは、同じ学院で同級生でもありパートナー的な存在でもある、二コル・ノーザンであった。
 二コルは軽くため息をついた後、座り込んでしまったリーベストに手を差し伸べて引っ張り上げる。
 そのまま肩を貸して、歩き始める。

「俺がここに来なかったら、どうしてたんだよリーベスト」
「いや~とりあえず動けるようになるまであそこで座ってたかな~。まぁ、誰からしら来るんじゃないかとは思ってから、そこまで心配はしてなかったぞ。現に二コルが来てくれたしな」
「のんきに言うなお前は。一応、今のお前は魔力欠乏状態だからな。分かってるのか?」
「分かってるよ。頭ガンガンだし、体が怠いし、動けないしな」
「だったら、もう少し危機感を出せ。全くお前は、最高学年なんだから後輩の様な面倒を俺に見させるなよ」
「いつも悪いね、二コル。感謝しているよ。ありがとう」
「そう言う事を素直に言えるのは、お前の良い所だよリーベスト」
「そうか? サンキュー!」

 リーベストの笑顔での返しに二コルは小さくため息を付くが、そのままリーベストの話に付き合いながら二コルは医務室へ向かって行った。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 シニアランク男子の全試合が終了し、休憩時間を経て、会場には残り3試合を観ようと観客たちが大勢押し掛けて来ていた。
 会場ではアナウンスによって、シニアランク女子の3試合の対戦表が流され観客たちのボルテージを上げていた。
 そして会場が最高潮に達した時に、シニアランク女子第1試合の代表選手たちの名前が呼ばれ、会場へと入場して来た。
 先に名前を呼ばれたのは、クレイス魔法学院のマーガレット・バレルであった。
 マーガレットは観客たちの声援に答えながら入場して来て、相手の入場を待つために立ち止まる。
 そして対戦相手の、王都メルト魔法学院のエリス・クリセントが入場して来て、マーガレットと同様にある程度の位置で立ち止まる。

「エリス。準備は出来ていますか?」
「誰に言っているんだマーガレット? お前こそ、緊張してるんじゃないのか?」
「そんな事ありませんわ。なんせ、ミカロスさんがかかっていますからね」
「……」

 マーガレットの発言に対し、エリスは黙ったままマーガレットを見つめた後、ニコッと笑いかける。

「ボコボコに潰してあげるわ」
「上等ですわ。返り討ちにして、ミカロスさんに現彼女より良い所を見せつけるいい機会ですから!」

 直後、女子第1試合開始の合図が鳴り響く。
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