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第286話 モランの宣言
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私はモランが頬にキスして来た事に気付き、軽く頬を片手で覆う様にして直ぐにモランの方へと視線を向けた。
「っ……モ、モラン……」
モランは頬と耳を赤らめたまま、ゆっくりと体を戻しそっと顔を私から逸らした。
私は未だに動揺しており、どうしていいのか分からずにいた。
え、えっ! えーー!? いい、今のってききき、キスだよね? 頬だけど、キスされたよね私?
未だに頬へキスされた感触が残っており、徐々に私も何故だか恥ずかしくなってくる。
何で急にキスなんて……て言うか、今のを誰かに見られたりしないよね?
私は直ぐに辺りを見回して、他に誰も居ない事を確認し安堵の息をつく。
キスされた事が恥ずかしくて確認したのではなく、頬にだろうが女性が男性にキスをするという事は婚約すると言う宣言であるのだ。
その為、今のを誰かに見られてしまったらどんな関係だろうが、私とモランは婚約しなければいけないという事である。
もし仮に事故だったとしても、基本的にそれは認められず破棄する場合は、罰金を支払い更には家の名前に傷もつく事になる。
そんな事をモランが知らないはずがないが、どうしてそんな事をしたのか私は分からずにいた。
だが、もしかしたらそこまでするほど私を、いやクリスの事が好きなのではと思ってしまう。
私はそれを確かめる為にモランに訊ねようとすると、モランが先に謝って来た。
「ごめんなさい。あんな事をする意味は知っているし、冗談でしていいものじゃないって事も分かっている。でも、あれはいたずらでも事故でもなくて、私なりの宣言なの」
「宣言?」
私は直ぐにでもキスをすると言う行為をしてまでする事なのか、と訊ねたかったが、そこをぐっとこらえてモランの話を聞く事にした。
モランもその行為自体は理解している上での行動であり、一応誰にも見られていないので事態が大きくなる事はないと判断したためでもある。
「私がクリス君が何者であろうと、貴方をクリス君を好きと言う気持ちは諦めないって言う宣言」
「っ……それはどう言う事なんだ?」
この瞬間、私はもしかしたらモランに正体がバレたのではないかと感じていた。
「あの日、クリス君からあんな事を言われて考えたの。どうして、自分の事を居てはいけない存在なんて言うんだろうって。結局は分からないままだけど、何か言えない秘密があるんだろうと思うの」
「それは」
「ああいいの! それを知りたい訳じゃないし、教えて欲しい訳じゃない。例えクリス君がどんな人であろうと、今まで私に接して来てくれたクリス君が、私が好きになったクリス君なの」
私はそんなモランの言葉から視線をそっと逸らした。
「その、さっきの行動は今思うと少しやり過ぎだったかもしれないけど、後悔はしてない。それに、ここには私たち以外来ないように協力してもらったし」
「え、協力?」
「そう。誰かは言えないけど、協力してもらったの。まぁ、シルマの後押しもあったけど」
「じゃ、誰も来ないと分かった上であんな事をしたのか?」
「うん。驚かせてごめんね。心配して周囲を見てくれたんだよね」
「そうだったのかよ。はぁ~良かった……いや、良くないんだけど」
「うふふふ。私はそう言うクリス君が好きになったのよ」
その時のモランの少し頬を赤らめながら微笑む表情に、私は本当にクリスが好きなんだなと実感する。
……でも、その気持ちには答えられない。
私はそう思いつつも、それを改めて口から言う勇気がなく、ただモランの事を見ているだけしか出来なかった。
だけども伝えなければ、言わなければと思い私は口を少し震わせながら動かそうとした時だった。
突然モランが、私の口に人差し指を近付けて来た。
「言わなくても分かってる。分かってるから、そんな苦しそうな表情をしないで。これは私なりの宣言なの」
そう言ってモランは私の口に近付けていた人差し指を下ろした。
「貴方がこの学院に居る間は、私のこの恋も続けて終わらせないって言う宣言……変、だけどさ。これが今の私が出した答えなの。だから、潔く受け入れなさいってね」
その後モランは恥ずかしそうに自身の眼鏡を触りながら、私から視線を逸らし真正面を向いた。
そっか、これがモランが考えて出した答えなのか。
もしかしたら違うのかもしれないけど、たぶんすっごく悩んだり考えた末に出した答えなんだろうな。
私は自分も似たようにルークからの告白の返事を考えていた時の事を思い出し、勝手に共感していた。
そしてモランの答えを私はしっかりと受け止めて口を開く。
「分かった。潔く受け入れるよ」
「ありがとう、クリス君」
「モランがあそこまでして宣言してくれたから、俺からも伝えておきたい事がある」
するとモランは私の方に顔を向けてくれた。
「もし、俺が学院からいなくなる時が来たら、全てをモランには伝えると約束するよ」
「……分かった。約束だよ」
「あぁ、約束だ」
そこで私はモランと小指を結び、改めて約束をした。
その後、モランは大きく座りながら背伸びをした。
「あ~何だかやっと、第二期が終わって冬休みが始まった気がする~」
私もモランの言葉に第二期の出来事を思い返し、色々あったなと思い出す。
そんな事をしていると、モランは立ち上がり私に声を掛けて来た。
「それじゃ私は行くね。帰省の準備を今のうちにしておかないと行けないからさ」
「そうだったのか。忙しい時に悪かったな、時間とらせて」
「ううん。私も伝えられてし、クリス君の気持ちも改めてしてたし良かったよ」
「それなら良かった。俺もモランとこうやって、また話せる様になれて良かったよ」
「じゃ、またね。クリス君」
「あぁ、また」
そしてモランは少し急ぎ足でその場から立ち去った。
モランはその時耳を赤くしており、自分の行動や発言を思い返して「はっちゃけて言い過ぎたし、大胆な事し過ぎたー!」と恥ずかしさに耐え切れずにいたのだった。
しかし、そんな事は私には分からずそのままベンチに座ったまま暫くボーっと空を見上げ続けたのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「えっと、それだけですかジュリル様?」
「えぇ、それだけよ。ありがとうシルマ」
「あ、は、はい。それじゃ、失礼します」
シルマはジュリルに軽く頭を下げてその場を立ち去るが、軽く首を傾げていた。
そしてジュリルは近くのベンチへと座り、持っていた手帳にシルマからの回答を簡単に書きだした。
「シルマから見てクリスは、特に違和感を感じないか。まぁ、あまり接点も少ないしそこまで疑問に持つことはないか……」
そのジュリルの手帳には、クリスに関する事がいくつかまとめられていた。
ただしクリスと名前は書いておらず匿名的な感じで書かれていたのだった。
「(モランからさっき聞いた時も、似たような答えだったけど、何か知っている様な表情だったわね。でも、言いたくない事を強引に聞き出す程、私は嫌な奴ではありませんわ)」
ジュリルは手帳を改めて見返し始める。
そこには、ゴーレム武装についての事も記載されていた。
「(元々あの力は、アリスが対抗戦で使用していた。あの後慰労会で直接聞いた際には、クリスが創り上げていた物を教えてもらったと言っていたけど、あんな短期間で教えられるものなのかしら? もしかしたら、手紙とかのやり取りをしていたかもしれないですけど)」
ジュリルはクリスのゴーレム武装がアリスとほぼ同じような力の使い方に少し疑問を感じていた。
他の者は、クリス本人が自分が教えた事や創り出したものであると明かしている為、そこまで疑問に思っている者はいなかった。
「(にしても、こう振り返ると彼への疑問が深まるばかりね)」
するとそこへ、レオンがやって来る。
「こちらにいましたか、ジュリル様」
「どうしたの、レオン?」
レオンに声を掛けられた事で、ジュリルは直ぐに手帳をしまい立ち上がる。
「今日届きました手紙の件でお話を、と思いまして」
「お父様からの手紙の件ね。分かったわ。それじゃ、場所を変えましょう」
そのままジュリルはレオンと共にその場から立ち去るのだった。
「っ……モ、モラン……」
モランは頬と耳を赤らめたまま、ゆっくりと体を戻しそっと顔を私から逸らした。
私は未だに動揺しており、どうしていいのか分からずにいた。
え、えっ! えーー!? いい、今のってききき、キスだよね? 頬だけど、キスされたよね私?
未だに頬へキスされた感触が残っており、徐々に私も何故だか恥ずかしくなってくる。
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キスされた事が恥ずかしくて確認したのではなく、頬にだろうが女性が男性にキスをするという事は婚約すると言う宣言であるのだ。
その為、今のを誰かに見られてしまったらどんな関係だろうが、私とモランは婚約しなければいけないという事である。
もし仮に事故だったとしても、基本的にそれは認められず破棄する場合は、罰金を支払い更には家の名前に傷もつく事になる。
そんな事をモランが知らないはずがないが、どうしてそんな事をしたのか私は分からずにいた。
だが、もしかしたらそこまでするほど私を、いやクリスの事が好きなのではと思ってしまう。
私はそれを確かめる為にモランに訊ねようとすると、モランが先に謝って来た。
「ごめんなさい。あんな事をする意味は知っているし、冗談でしていいものじゃないって事も分かっている。でも、あれはいたずらでも事故でもなくて、私なりの宣言なの」
「宣言?」
私は直ぐにでもキスをすると言う行為をしてまでする事なのか、と訊ねたかったが、そこをぐっとこらえてモランの話を聞く事にした。
モランもその行為自体は理解している上での行動であり、一応誰にも見られていないので事態が大きくなる事はないと判断したためでもある。
「私がクリス君が何者であろうと、貴方をクリス君を好きと言う気持ちは諦めないって言う宣言」
「っ……それはどう言う事なんだ?」
この瞬間、私はもしかしたらモランに正体がバレたのではないかと感じていた。
「あの日、クリス君からあんな事を言われて考えたの。どうして、自分の事を居てはいけない存在なんて言うんだろうって。結局は分からないままだけど、何か言えない秘密があるんだろうと思うの」
「それは」
「ああいいの! それを知りたい訳じゃないし、教えて欲しい訳じゃない。例えクリス君がどんな人であろうと、今まで私に接して来てくれたクリス君が、私が好きになったクリス君なの」
私はそんなモランの言葉から視線をそっと逸らした。
「その、さっきの行動は今思うと少しやり過ぎだったかもしれないけど、後悔はしてない。それに、ここには私たち以外来ないように協力してもらったし」
「え、協力?」
「そう。誰かは言えないけど、協力してもらったの。まぁ、シルマの後押しもあったけど」
「じゃ、誰も来ないと分かった上であんな事をしたのか?」
「うん。驚かせてごめんね。心配して周囲を見てくれたんだよね」
「そうだったのかよ。はぁ~良かった……いや、良くないんだけど」
「うふふふ。私はそう言うクリス君が好きになったのよ」
その時のモランの少し頬を赤らめながら微笑む表情に、私は本当にクリスが好きなんだなと実感する。
……でも、その気持ちには答えられない。
私はそう思いつつも、それを改めて口から言う勇気がなく、ただモランの事を見ているだけしか出来なかった。
だけども伝えなければ、言わなければと思い私は口を少し震わせながら動かそうとした時だった。
突然モランが、私の口に人差し指を近付けて来た。
「言わなくても分かってる。分かってるから、そんな苦しそうな表情をしないで。これは私なりの宣言なの」
そう言ってモランは私の口に近付けていた人差し指を下ろした。
「貴方がこの学院に居る間は、私のこの恋も続けて終わらせないって言う宣言……変、だけどさ。これが今の私が出した答えなの。だから、潔く受け入れなさいってね」
その後モランは恥ずかしそうに自身の眼鏡を触りながら、私から視線を逸らし真正面を向いた。
そっか、これがモランが考えて出した答えなのか。
もしかしたら違うのかもしれないけど、たぶんすっごく悩んだり考えた末に出した答えなんだろうな。
私は自分も似たようにルークからの告白の返事を考えていた時の事を思い出し、勝手に共感していた。
そしてモランの答えを私はしっかりと受け止めて口を開く。
「分かった。潔く受け入れるよ」
「ありがとう、クリス君」
「モランがあそこまでして宣言してくれたから、俺からも伝えておきたい事がある」
するとモランは私の方に顔を向けてくれた。
「もし、俺が学院からいなくなる時が来たら、全てをモランには伝えると約束するよ」
「……分かった。約束だよ」
「あぁ、約束だ」
そこで私はモランと小指を結び、改めて約束をした。
その後、モランは大きく座りながら背伸びをした。
「あ~何だかやっと、第二期が終わって冬休みが始まった気がする~」
私もモランの言葉に第二期の出来事を思い返し、色々あったなと思い出す。
そんな事をしていると、モランは立ち上がり私に声を掛けて来た。
「それじゃ私は行くね。帰省の準備を今のうちにしておかないと行けないからさ」
「そうだったのか。忙しい時に悪かったな、時間とらせて」
「ううん。私も伝えられてし、クリス君の気持ちも改めてしてたし良かったよ」
「それなら良かった。俺もモランとこうやって、また話せる様になれて良かったよ」
「じゃ、またね。クリス君」
「あぁ、また」
そしてモランは少し急ぎ足でその場から立ち去った。
モランはその時耳を赤くしており、自分の行動や発言を思い返して「はっちゃけて言い過ぎたし、大胆な事し過ぎたー!」と恥ずかしさに耐え切れずにいたのだった。
しかし、そんな事は私には分からずそのままベンチに座ったまま暫くボーっと空を見上げ続けたのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「えっと、それだけですかジュリル様?」
「えぇ、それだけよ。ありがとうシルマ」
「あ、は、はい。それじゃ、失礼します」
シルマはジュリルに軽く頭を下げてその場を立ち去るが、軽く首を傾げていた。
そしてジュリルは近くのベンチへと座り、持っていた手帳にシルマからの回答を簡単に書きだした。
「シルマから見てクリスは、特に違和感を感じないか。まぁ、あまり接点も少ないしそこまで疑問に持つことはないか……」
そのジュリルの手帳には、クリスに関する事がいくつかまとめられていた。
ただしクリスと名前は書いておらず匿名的な感じで書かれていたのだった。
「(モランからさっき聞いた時も、似たような答えだったけど、何か知っている様な表情だったわね。でも、言いたくない事を強引に聞き出す程、私は嫌な奴ではありませんわ)」
ジュリルは手帳を改めて見返し始める。
そこには、ゴーレム武装についての事も記載されていた。
「(元々あの力は、アリスが対抗戦で使用していた。あの後慰労会で直接聞いた際には、クリスが創り上げていた物を教えてもらったと言っていたけど、あんな短期間で教えられるものなのかしら? もしかしたら、手紙とかのやり取りをしていたかもしれないですけど)」
ジュリルはクリスのゴーレム武装がアリスとほぼ同じような力の使い方に少し疑問を感じていた。
他の者は、クリス本人が自分が教えた事や創り出したものであると明かしている為、そこまで疑問に思っている者はいなかった。
「(にしても、こう振り返ると彼への疑問が深まるばかりね)」
するとそこへ、レオンがやって来る。
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レオンに声を掛けられた事で、ジュリルは直ぐに手帳をしまい立ち上がる。
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