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第294話 どっちもどっち
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「で、お母様。これはいったいどう言う事か説明していただけるんですよね?」
私は実家にて机に2日前に届いた手紙をテーブルに突きだし、お母様に追求した。
するとリーリアは優雅に紅茶を呑んだ後、カップを置き口を開いた。
「あ~その事ね。内容としては嘘は言ってないでしょ」
「いいえ! この書き方では、お父様が病気になって倒れたと思います! ですが、現にお父様はお母様のお隣で元気にしてるじゃないですか!」
「アリス少し落ち着いて」
「お父様も共犯だったんですね!」
そこには机を挟み、母親であるリーリアと病気などしておらず軽い捻挫をしてしまった父親のエリックが座っていた。
そもそも、どうして私が実家に帰省しているかと言うのは、2日前に遡る。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――2日前、王都メルト魔法学院オービン寮自室。
そこで私はお母様から届いた手紙を読み、立ち上がってしまい暫くその場で棒立ち状態になってしまう。
お母様からの手紙には、お父様が病に倒れてしまったと書かれており、直ぐに帰って来て話したい事があると簡易的に書かれていたのだ。
私は直ぐには信じられずにいたが、この場で呆然と立ち尽くしている場合でないと思い、直ぐに帰省提出用紙を貰いに担当教員の元へと向かった。
しかし、担当教員はタイミング悪く休暇をとっており、提出責任者がタツミであると教えて貰い、用紙を記載してそのままタツミのいる医務室へと走る。
そして医務室に辿り着き、その勢いで扉を開ける。
「っ!? ビックリするな……もう少し優しく開けろ、クリス」
「タツミ先生、これ承認お願いします」
私はタツミの注意も聞かずに、そのままグイグイと近付いてタツミの目の前の机に帰省提出者用紙を叩きつけた。
「何だ急に入って来て、ふてぶてしい顔で紙なんて叩きつけて来て」
「聞きました。タツミ先生が今日の、提出責任者だって。いいから早く承認してください!」
「クリス、何焦ってるんだ? とりあえず深呼吸して落ち着け。その態度見てると、こっちがイライラする」
「……すーはー、すーはー」
私はタツミに言われた通りに一度何度か深呼吸して、自分を落ち着かせた。
そしてタツミは私の帰省提出用紙をとって、さっきまでの態度の理由を問われたので、事情を全て話した。
「なるほど。父親が倒れて帰って来いと言われてると」
「はい……」
先程までパニック状態であったが、タツミに話した事で私は少し落ち着いた状態になっていた。
そして手紙を読んだ勢いで飛び出して来ていたので、手紙を持って来ていた事に今気付く。
「まぁ、気持ちは分かるし承認してやりたいが、ダメだ」
「な、何ですか!? こんな時に意地悪ですか! ふざけないでください!」
「意地悪じゃねぇよ。仮に俺が今承認したら、お前どうやって帰るんだ?」
「そ、それは荷物まとめて魔道車とか馬車捕まえて帰りますよ」
「おいおい、お前今がどう言う時期が分かってるのかよ? この時期馬車なんて空きはねぇし、魔道車はまだ出始めで数も少ない。それに基本予約で席は空いてねぇ。学院の分ももう出発して、次は来週だ」
「だったら、歩い――」
「それこそ却下だ。こっから一体何キロあると思ってるんだ? その間お前は野宿でもするんのか? そもそも歩ける距離じゃねぇんだよ」
「っ……でも、でも!」
するとタツミは用紙を裏にして机に置いた。
「分かってくれ、俺も教員だ。生徒をむやみに送り出す事は出来ない。だが、何とか手段は探してやる。だから、お前は部屋で荷造りしてろ」
私はタツミなりの責任もあると分かりつつ、下唇を噛み「分かりました……」と返事をした。
そして私が振り返った時だった。
「何を騒いでいるの?」
「学院長」
「マイナ学院長?」
医務室に現れたのは何故かマイナであった。
「どうして学院長が?」
「少しタツミ先生に話があったのだけど、クリスさん何かあったの?」
私は少し震えながら話そうとすると、タツミがそんな私を見て代わりにマイナに説明をするのだった。
するとマイナは私が手紙を握り締めている事に気付き、それを見せて欲しいと言われたので、それを渡した。
マイナはお母様からの手紙をじっと見つめた後「なるほど」と小さく呟いた。
「分かりました。ではクリスさん、貴方の事は私がお送りしましょう」
「え!?」
「学院長!?」
私とタツミはまさかの返答に驚いていると、マイナは「一大事なのでしょ?」と優しい顔で訊ねて来た。
「……いいんですか? マイナ学院長」
「もちろんよ。貴方がよければだけど」
「はい! ぜひお願いします!」
私はマイナに頭を下げて感謝をした。
そしてマイナに「それじゃ、荷物をまとめてきなさい」と言われたので、私は「はい!」を返しそのまま走って自室へと向かった。
その後医務室に残ったタツミがマイナに問いかける。
「どうしてあんな事を言ったんですか、学院長。貴方にそんな時間はないのでは?」
「えぇ、確かにそうですけど、今回はタイミングが良かったのですよ。ちょうどこれから、実家に少し顔を出しに行く予定ですの。それで貴方に出発する前にそれを言いに来たのですよ」
「え、そんな予定でしたっけ?」
「いえ。たまたま物凄く偶然にスケジュールが空いたので、隙間時間を使って行く事にしたんですよ」
「たまたま物凄く偶然ですか……」
「はい。たまたま物凄く偶然ですよ」
タツミは少し疑った目でマイナを見るが、屈託のない笑顔で返されたのでタツミは小さくため息をつく。
するとマイナはタツミに「手紙は読んだ?」と問いかける。
タツミは首を横に振ると、マイナはタツミに手紙を渡して読ませた。
「!? どう言う事ですかこれ? 全然クリスが言ってる内容が書いてないんですけど? いや、あいつが嘘付くような奴じゃ」
「たぶん嘘じゃないんだと思うわ。それにうっすらとそう言う文章が見えるもの」
マイナの言葉の意味が分からず、タツミは首を傾げる。
その姿にマイナは小さく笑い説明しだす。
「この手紙に使われてる紙は、昔私やリーリアたちがある教員に貰った物なの。これはね、本当に伝えたい内容を隠し、偽の文言を上に重ねられる魔道具なの。原理としては、対象者の魔力が触れてから数分後に、本当の文章が浮き上がる仕組みね」
「そんなほど。でも、今までそんな魔道具聞いた事ありませんね」
「そりゃそうよ、なんたってこれはあの先生が作った物だし、世には出てないわ」
「あの先生?」
「凄い先生よ。まぁ何にしろ、こんな物まだ持ってたのねリーリア。にしても、意地悪ね。でもこれ見る限り仕方ないとも思えちゃうのよね」
「でも、これはどっちもどっちですよ。俺ならこんなの知られたら恥ずかしですけど」
と、タツミとマイナが談笑しているとマイナのお付きの人がやって来て準備が整った事を告げる。
マイナは「分かったわ」と返事をするとお付きの人は一礼して、先に言ってしまう。
「クリスには教えるんですか?」
「う~ん、これはリーリア親子の問題だし手紙は元の文章に戻しとくわ。いずれクリスさんも気付くでしょ」
「気付かなったら?」
「それはそれで仕方ないわ。元々リーリアがやっている事だし。こっちは無関係よ」
「そうですか。分かりました、では書類の方は俺の方で処理しておくんで、気を付けて行ってきて下さい。学院の方はお任せ下さい」
「明日には戻って来ますので、それまで副学院長たちとよろしくお願いしますね。元傭兵さん」
「誰も居ないからって、遥か昔の事を引っ張り出さないでください、学院長」
マイナは少し悪びれた表情で「ごめんなさい」とお茶目に謝ると、医務室を後にするのだった。
その後私は学院長の魔道車の乗せて頂き、実家のフォークロス領地近くまで送って貰い、そこから先には学院長が手配してくれた馬車に乗って実家に辿り着いたのだ。
私は実家にて机に2日前に届いた手紙をテーブルに突きだし、お母様に追求した。
するとリーリアは優雅に紅茶を呑んだ後、カップを置き口を開いた。
「あ~その事ね。内容としては嘘は言ってないでしょ」
「いいえ! この書き方では、お父様が病気になって倒れたと思います! ですが、現にお父様はお母様のお隣で元気にしてるじゃないですか!」
「アリス少し落ち着いて」
「お父様も共犯だったんですね!」
そこには机を挟み、母親であるリーリアと病気などしておらず軽い捻挫をしてしまった父親のエリックが座っていた。
そもそも、どうして私が実家に帰省しているかと言うのは、2日前に遡る。
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――2日前、王都メルト魔法学院オービン寮自室。
そこで私はお母様から届いた手紙を読み、立ち上がってしまい暫くその場で棒立ち状態になってしまう。
お母様からの手紙には、お父様が病に倒れてしまったと書かれており、直ぐに帰って来て話したい事があると簡易的に書かれていたのだ。
私は直ぐには信じられずにいたが、この場で呆然と立ち尽くしている場合でないと思い、直ぐに帰省提出用紙を貰いに担当教員の元へと向かった。
しかし、担当教員はタイミング悪く休暇をとっており、提出責任者がタツミであると教えて貰い、用紙を記載してそのままタツミのいる医務室へと走る。
そして医務室に辿り着き、その勢いで扉を開ける。
「っ!? ビックリするな……もう少し優しく開けろ、クリス」
「タツミ先生、これ承認お願いします」
私はタツミの注意も聞かずに、そのままグイグイと近付いてタツミの目の前の机に帰省提出者用紙を叩きつけた。
「何だ急に入って来て、ふてぶてしい顔で紙なんて叩きつけて来て」
「聞きました。タツミ先生が今日の、提出責任者だって。いいから早く承認してください!」
「クリス、何焦ってるんだ? とりあえず深呼吸して落ち着け。その態度見てると、こっちがイライラする」
「……すーはー、すーはー」
私はタツミに言われた通りに一度何度か深呼吸して、自分を落ち着かせた。
そしてタツミは私の帰省提出用紙をとって、さっきまでの態度の理由を問われたので、事情を全て話した。
「なるほど。父親が倒れて帰って来いと言われてると」
「はい……」
先程までパニック状態であったが、タツミに話した事で私は少し落ち着いた状態になっていた。
そして手紙を読んだ勢いで飛び出して来ていたので、手紙を持って来ていた事に今気付く。
「まぁ、気持ちは分かるし承認してやりたいが、ダメだ」
「な、何ですか!? こんな時に意地悪ですか! ふざけないでください!」
「意地悪じゃねぇよ。仮に俺が今承認したら、お前どうやって帰るんだ?」
「そ、それは荷物まとめて魔道車とか馬車捕まえて帰りますよ」
「おいおい、お前今がどう言う時期が分かってるのかよ? この時期馬車なんて空きはねぇし、魔道車はまだ出始めで数も少ない。それに基本予約で席は空いてねぇ。学院の分ももう出発して、次は来週だ」
「だったら、歩い――」
「それこそ却下だ。こっから一体何キロあると思ってるんだ? その間お前は野宿でもするんのか? そもそも歩ける距離じゃねぇんだよ」
「っ……でも、でも!」
するとタツミは用紙を裏にして机に置いた。
「分かってくれ、俺も教員だ。生徒をむやみに送り出す事は出来ない。だが、何とか手段は探してやる。だから、お前は部屋で荷造りしてろ」
私はタツミなりの責任もあると分かりつつ、下唇を噛み「分かりました……」と返事をした。
そして私が振り返った時だった。
「何を騒いでいるの?」
「学院長」
「マイナ学院長?」
医務室に現れたのは何故かマイナであった。
「どうして学院長が?」
「少しタツミ先生に話があったのだけど、クリスさん何かあったの?」
私は少し震えながら話そうとすると、タツミがそんな私を見て代わりにマイナに説明をするのだった。
するとマイナは私が手紙を握り締めている事に気付き、それを見せて欲しいと言われたので、それを渡した。
マイナはお母様からの手紙をじっと見つめた後「なるほど」と小さく呟いた。
「分かりました。ではクリスさん、貴方の事は私がお送りしましょう」
「え!?」
「学院長!?」
私とタツミはまさかの返答に驚いていると、マイナは「一大事なのでしょ?」と優しい顔で訊ねて来た。
「……いいんですか? マイナ学院長」
「もちろんよ。貴方がよければだけど」
「はい! ぜひお願いします!」
私はマイナに頭を下げて感謝をした。
そしてマイナに「それじゃ、荷物をまとめてきなさい」と言われたので、私は「はい!」を返しそのまま走って自室へと向かった。
その後医務室に残ったタツミがマイナに問いかける。
「どうしてあんな事を言ったんですか、学院長。貴方にそんな時間はないのでは?」
「えぇ、確かにそうですけど、今回はタイミングが良かったのですよ。ちょうどこれから、実家に少し顔を出しに行く予定ですの。それで貴方に出発する前にそれを言いに来たのですよ」
「え、そんな予定でしたっけ?」
「いえ。たまたま物凄く偶然にスケジュールが空いたので、隙間時間を使って行く事にしたんですよ」
「たまたま物凄く偶然ですか……」
「はい。たまたま物凄く偶然ですよ」
タツミは少し疑った目でマイナを見るが、屈託のない笑顔で返されたのでタツミは小さくため息をつく。
するとマイナはタツミに「手紙は読んだ?」と問いかける。
タツミは首を横に振ると、マイナはタツミに手紙を渡して読ませた。
「!? どう言う事ですかこれ? 全然クリスが言ってる内容が書いてないんですけど? いや、あいつが嘘付くような奴じゃ」
「たぶん嘘じゃないんだと思うわ。それにうっすらとそう言う文章が見えるもの」
マイナの言葉の意味が分からず、タツミは首を傾げる。
その姿にマイナは小さく笑い説明しだす。
「この手紙に使われてる紙は、昔私やリーリアたちがある教員に貰った物なの。これはね、本当に伝えたい内容を隠し、偽の文言を上に重ねられる魔道具なの。原理としては、対象者の魔力が触れてから数分後に、本当の文章が浮き上がる仕組みね」
「そんなほど。でも、今までそんな魔道具聞いた事ありませんね」
「そりゃそうよ、なんたってこれはあの先生が作った物だし、世には出てないわ」
「あの先生?」
「凄い先生よ。まぁ何にしろ、こんな物まだ持ってたのねリーリア。にしても、意地悪ね。でもこれ見る限り仕方ないとも思えちゃうのよね」
「でも、これはどっちもどっちですよ。俺ならこんなの知られたら恥ずかしですけど」
と、タツミとマイナが談笑しているとマイナのお付きの人がやって来て準備が整った事を告げる。
マイナは「分かったわ」と返事をするとお付きの人は一礼して、先に言ってしまう。
「クリスには教えるんですか?」
「う~ん、これはリーリア親子の問題だし手紙は元の文章に戻しとくわ。いずれクリスさんも気付くでしょ」
「気付かなったら?」
「それはそれで仕方ないわ。元々リーリアがやっている事だし。こっちは無関係よ」
「そうですか。分かりました、では書類の方は俺の方で処理しておくんで、気を付けて行ってきて下さい。学院の方はお任せ下さい」
「明日には戻って来ますので、それまで副学院長たちとよろしくお願いしますね。元傭兵さん」
「誰も居ないからって、遥か昔の事を引っ張り出さないでください、学院長」
マイナは少し悪びれた表情で「ごめんなさい」とお茶目に謝ると、医務室を後にするのだった。
その後私は学院長の魔道車の乗せて頂き、実家のフォークロス領地近くまで送って貰い、そこから先には学院長が手配してくれた馬車に乗って実家に辿り着いたのだ。
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