とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第293話 二度あることは三度ある?

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「ルーク!?」
「よ、クリス」
「何しに来たの?」
「何って決まってんだろ。挨拶だよ。俺も今年は用事があって帰省するから、声を掛けてから行こうと思ってな」
「帰省?」
「帰省って言っても、ここから見える城に戻るだけだからちょっと他の奴とは違うかもしれないけどな」

 私は一瞬帰省と聞き、ルークからの答えを聞き納得した。
 その時何しに帰るのかと訊こうと思ったが、訊いたら訊いたらで面倒な絡まれ方されると思い言うのを止めた。

「そうなんだ。それじゃ、また来年。よいお年を~」
「何かあさっりし過ぎじゃないか? もう少し別れを惜しむとかないのかよ?」
「ないね」
「そこは嘘でもいいから言ってくれよ。軽く傷つくな」

 嘘でもいいからって言われても、別に言う事思い付かないんですけど。
 て言うか、挨拶なんだしこんな感じでしょ? 何をお求めてるのよ。
 私はルークが少し元気がない表情をしていた事に気付いてしまい、小さくため息をついた。

「……分かったよ。嘘でもいいなら、お前が求める事言ってやるよ」
「本当か?」

 そして私は軽く深呼吸してから、ルークに人差し指を突きつけた。

「第二期は負けたけど、第三期は覚悟しとけよルーク。その伸びきった鼻、バッキボギにへし折ってやるからな。鼻でも磨いてろ」

 そう言い放つと、ルークはポカーンとしていたが急に笑い始めた。

「な、何で笑うんだよ!」
「ははは、わ、悪い。だって、急にそんな事言うからよ。あはははは!」
「お前が言えって言うから、言ってやったのに笑うなら言わなきゃよかった」

 ルークはその後笑い終えると、私の言葉に返事をして来た。

「あぁ、どんとふんぞり返る様に見下ろして待っててやるから、しっかり登って来いクリス。後、鼻より首の方が良かったと思うぞ」
「っ!! う、うるさい! ほら、さっさと帰れ! 帰れ! どっか行け~」
「あははは! じゃな、クリス。よいお年を……ぷっ、鼻を磨けってあいつ」
「いつまでも笑ってんじゃねぇー!」

 私はルークが立ち去りながら、笑いを堪えながら肩を揺らして小さく笑っている姿を怒鳴った後、直ぐに部屋の扉を閉めた。

「あんなに笑う事ないのに。ルークの奴が言えって言うから、やったのに。あんな事するなら、もう絶対にやらない!」

 私は耳を真っ赤にしながら、少し大股に机へと向かい椅子に座った直後だった。
 再び、扉をノックする音に私は動きが止まる。
 何!? あいつ戻って来たの? 何しに来たんだよ。
 私はてっきりルークが戻って来たのかと思い、怒りつつ扉を勢いよく開けた。

「何だよ! また笑いに来たのか――って、トウマ?」
「お、おう……何で怒ってるんだ?」
「ごめん。ちょっと前にルークの奴が」

 と、私がルークの名を出すとトウマは急にそっぽを向き小さく呟いた。

「あいつ、俺より先に来たのかよ。くっそ~」
「どうした、トウマ?」
「いや何でもない。で、ルークの奴に何かされたって事か?」
「あ、うん。まぁ、そんな所かな」

 するとトウマは呆れた顔をしつつ、何か呟いていたが、小さすぎて私には聞き取れなかった。
 何をぶつぶつと言ってるんだろ?

「それで、トウマは俺に何か用があって来たんだろ?」
「あぁ。帰省する前にクリスに挨拶でもと思ってよ」

 お~ぅ……え、こんな事あるの? 連続で挨拶に来るとか。
 しかも、凄いすれ違いじゃない?
 私は一瞬だけ「また?」と思ってしまうが、それはトウマには関係ない事だし、そんな顔したら失礼だと思い咄嗟に表情を引き締める。
 が、その違和感はトウマに伝わっていた。

「え、今何かまたかよって顔しなかったか?」
「してない」
「いやいたろ」
「し・て・な・い」
「何で嘘付くんだよ。絶対してた」
「だから、してないって!」

 私は威嚇する猫の様にトウマを睨むと、トウマは小声で話し掛けて来た。

「お~い、素が出てるんじゃないのか~」
「っう!? で、出てねわ! トウマがしつこいのがいけないんだろうが! 全く……」

 私は口をへの字に曲げ、腕を組んで直ぐにトウマから顔を逸らした。

「教えてやっただけで、そう不機嫌になるなよ。俺が悪かったからさ。なぁ、機嫌直してくれよ」
「……別に機嫌悪くなってないし」
「あ~そう、だな。そうだよな、俺の勘違いだわ」

 その後トウマは苦笑いをして、話ずらそうにしていたが気を取り直して話を戻した。

「その、話が脱線したが、一応俺も帰省前の挨拶って事で。よいお年を、そんでまた来年な」

 トウマは少し肩を落とした感じで立ち去って行くのを見て、私は自分が悪い事をしてしまったかなと思い廊下に出てトウマを呼び止めた。
 するとトウマは足を止めて、振り返って来た。

「その、元ルームメイトとして色々と世話になった。トウマが最初のルームメイトで良かったよ……」
「クリス」
「あ~もう! よいお年を! 来年もよろしく!」

 私は言うつもりもなかった事が、つい口から出てしまった事が恥ずかしくなり、粗く挨拶の返事をした後部屋に急いで入り込み扉を閉めた。
 その後廊下のトウマは、私からの言葉を噛みしめた後、小さくガッツポーズをする。

「(よかっっった~! 嫌われてなかった。さっきのはやっちまったと思ったが、最後にあんな事を言ってくれるとは思ってなかったわ。いや~これは俺に流れが来てるんじゃねぇか? よっしゃ! 帰省中に修学旅行での作戦考えとくかな~)」

 トウマは小さくスキップしながら鼻歌交じりに寮の廊下を進んでいくのだった。
 その頃私は、部屋の扉の前でため息をつき、少しうなだれた。
 あんな事まで言うつもりじゃなかったんだけど、何となく言っちゃったんだよな……嘘じゃないし、色々と面倒見てもらってたから本音ではあるんだけど、別に言う必要なかったじゃん私~!
 言ってしまい恥ずかしくなり、ちょびっとだけ後悔したが、もう言ってしまったし終わった事なので忘れる事にした。
 うん、考えてるから恥ずかしくなるし、顔も熱くなるんだ! そうに違いない。
 私はそう思い込んで、意識を切り替える為に両頬を軽く叩き机へと向かった。
 が、そこで再び扉がノックされ、私は軽くこけそうになる。
 何!? また!? ……もしかして、ルークやトウマと同じで帰省するから挨拶的な人か?
 そう疑って私はゆっくりと様子を見ながら扉に近付くと、せっかちな性格なのか再び扉をノックして来た。
 誰だ? アルジュ? いや、フェルトだったりするかも……まさかのレオンとか。
 いや、さすがにないか。
 とりあえずどうせ同じ挨拶なんだろうから、三度目はこっちから先に言ってやるか。
 私は小さな悪だくみをしてから扉を開け、直ぐに実行した。

「はい。帰省の挨拶だよね。言わなくても分かるよ~よいお年を、また来年!」
「はぁ? 何言ってんだ、お前」
「え? ……ニック?」
「別に俺は今日帰省しねぇぞ。てか、帰省するとしてもお前に挨拶には来ねえよ」
「だ、だよな……あははは。ちょっとした勘違いってやつだ」

 私は呆れた様な顔で見て来るニックに、苦笑いして間違えてしまい恥ずかしい事を隠しているとニックは手紙を渡して来た。

「手紙?」
「あぁ。たまたまポスト見に行ったら、配達に来て渡されたんだよ。そのままポストに入れても良かったんだが、重要って書かれてるのが目に入っちまったからわざわざ持って来たんだ。だけど、当の本人からは分けわかん事言われて、少し持ってきた事を後悔してる」
「ご、ごめんて! わざとじゃないんだ。ちょっとニックが来る前に色々あってさ」
「別に本気で言ってねぇよ。用件はそれだけだ。じゃあな」
「手紙ありがとう、ニック」

 私はお礼を言うと、ニックは歩きながら軽く手を上げ返事をしてくれ、そのまま自室へと戻って行った。
 その後ろ姿を見て私は「何だかんだ言って面倒見良い所あるよな」と思い、部屋へと戻った。
 そしてその場で一度足を止め、また扉がノックされるんじゃないかと警戒していたが、扉がノックされる事はなかった。
 さすがにこれ以上はないよね。
 さてと、貰った手紙でも見るかな。本当に重要って書いてある。てか、誰かだろう。
 私はそう思い、椅子に座り手紙の差出人を見て驚く。

「お母様!? 何かあったのかしら?」

 急いで私は手紙を開き、本文を読み目を疑った。

「嘘でしょ……お父様が倒れた!?」
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