とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第315話 フードを被った人物の正体

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「っ!」

 廃鉱内で小規模ながらも魔法同士がぶつかり合い、大きな音が周囲に響き渡った。
 マリアはフードを被った人物をあと一歩攻めきれずにいた。
 現在は互いに距離をとり、次にとる行動を互いに警戒していた。

「(状況的には私の方が押してはいる。が、決め手にかけている。あの雷の護りが厄介だ、背後をとって攻撃したとしてもそれに阻まれる)」

 そう考えていると、フード被った人物が遠距離で魔法の攻撃を放ってきた。
 マリアはその魔法をかわすが、連続で相手はマリアを追うように放ち続ける。

「(軌道が見ずらい『インパクト』か。が、打つ方向さえ分かれば避けるのは簡単)」

 そのままマリアは真横に逃げ続け、相手の魔法は全てマリアから遅れて壁へと直撃していく。

「っ!」

 すると突然マリアは、その場で急ブレーキをし真後ろへと飛び上がった。
 相手は想像もしていなかった行動に、反応が遅れてしまう。

「(周囲を雷が覆っていたとしても、器用に攻撃をする時はそこは解除している。なら、そこを目掛けて放つ)」

 マリアは右手で『ガスト』を細い枝状に形状維持させ、人差し指と中指に乗せる様にすると、狙いを定めて宙から右腕を振り抜く。
 放たれた攻撃は一直線にフードを被った人物が突きだした手元へと向かって行く。
 そして、フードを被った人物を円形状に護っていた雷を超え、更には突き出していた手元を抜けると、腹部に投げ抜いた『ガスト』が直撃する。

「ぐっ!?」

 そのままフードを被った人物は、耐える事が出来ずに後方へと吹き飛んで行き壁に打ち付けられる。
 マリアはすかさずに、吹き飛んで行った方へと向けて追撃の『ガスト』を弾丸の様に打ち込む。
 が、相手は攻撃を防ぐために咄嗟にゴーレムを創り出しマリアの攻撃を防いだ。
 するとフードを被った人物は、周囲の煙とゴーレムを出現させたことですぐさまその場から離れ、マリアへと不意打ちの様に攻撃しようとする。
 フードを被った人物は真横へと走り煙から出て、同時に発動させていた魔法を放とうとしたが、狙いを定めた所に既にマリアはいなかった。
 更に周囲を直ぐに確認してもマリアを見つけることが出来ずにいたが、ふと上に視線を向けると宙にマリアが飛び上がっていたのだった。

「(やはり不意打ちと来たか)」

 マリアの手には風で形状を維持させていた槍が握られていた。
 そしてマリアは宙から落下しながら、槍から手を離すとフードを被った人物目掛けて槍を蹴り飛ばした。
 蹴り飛ばした槍はフードを被った人物の胸に直撃すると、弾けるようにフードを被った人物を吹き飛ばす。
 再び壁へと打ち付けられたフードを被った人物が、マリアの方へと視線を向けるとマリアは周囲に風の槍が何本も浮いていた。
 マリアはそのまま黙って、軽く上げた腕を下ろすと一斉に風の槍がフードを被った人物に飛んで行き、身動きが出来ない様に突き刺さった。

「っ!」
「(勝負ありね……とりあえず、フードの下の顔だけでも見ておこう。もし私の考えが正しければ)」

 そう思い、フードをめくる様に小さい『ガスト』を放つと、相手が被っていたフードがめくれ顔が露わになる。
 マリアはその顔を見たとたんに、アリスの元へ向かい始めるが相手はそうはさせないと思ったのか最後のあがきとして、背を向けたマリア目掛けて全身から雷を放つのだった。
 直後、マリアは反応するも避ける事が出来ずに雷に飲み込まれてしまう。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 一方で私は、もう一人のフードを被った人物と戦闘状態であった。
 しかも相手に押され気味の状況であった。
 相手はゴーレムを創り出し、ゴーレムを俊敏に動かし私の行動や攻撃を予測し事前に潰して行ったのだ。
 くっ……ダメだ、完全に攻撃が読まれてる。
 しかも反応が早すぎる、あのゴーレム。
 必ず使用者の意思が反映するには遅延が発生するはずだけど、それが発生してない、いやほぼない様に私の動きにすぐさま反応している。
 と、考えていると相手のゴーレムが拳を振り下ろして来た。
 私は咄嗟に後方へと避けつつ、ゴーレムを突破しフードを被った人物への攻撃を考えだす。
 反応も早く、その上パワーもあるか……まだ完成はしてないけど、数秒間だけなら持つはず。ゴーレム武装の特化状態。

 私は迷っている暇はないと、直ぐにゴーレム武装をし、成功した時の形状へと腕と脚の形を変える。
 そして腕の装備は太くなり、脚の装備は軽量化され、全体としてはいびつな形ながらも突貫ではあるが特化状態の同時展開を行う。
 持ってくれよ!
 直後、私は足に力を入れ一瞬でゴーレムの懐に入り込み、核があると思われる胸目掛けてその勢いのまま叩き込んだ。
 するとゴーレムの上半身がごっそりと吹き飛ぶ。
 が、核は未だ壊れておらずヒビが入っただけであった。

「まだ、もう一発ある!」

 私はそう言ってもう一方の拳を宙を舞う核目掛けて振り抜くと、核が粉々になって消える。
 それと同時に両腕の装備も崩れ落ちて行くが、脚の装備も少し崩れてはいたがまだ残っていた。
 そして私は最後の力を使い、フードを被った人物へと迫り脚を振り抜き、蹴り飛ばそうとした。
 完全に相手の不意を突いたと思っていたが、次の瞬間真下から氷の柱が現れ蹴りが防がれてしまう。
 更に次々にと氷の柱が地面から出て来たため、私は再び距離をとった。
 そこで完全に脚の装備もくず落ちてしまうのだった。
 あんな魔法を隠し持っていたの……まずい、かなり強引にゴーレム武装を特化させたから魔力が残り少ない。
 さっきの決めるつもりだったのに。

「『ブリザードスコール』」
「っ!?」

 直後、私の頭上から氷の雨が降り注いで来たが、その場から咄嗟に飛んで回避しフードを被った人物の方に視線を向けた。
 今の魔法、それに今の声……
 私がそんな事はあり得ないとフードを被った人物を見つめていると、相手は自らフードをとり顔を見せたのだ。
 その顔を見て私は目を疑った。

「これまでの戦いでやっと確信したわ、クリス」
「っ……何で、どうして……」
「いえ、アリス・フォークロス」

 今まで私が戦っていたフードを被った人物の正体はジュリルだったのだ。
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