とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第373話 思わぬ遭遇

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「それじゃ、各自荷物を部屋に置いた後十五分後にはロビーに再度集合する様に」
「「はーい」」

 ホテルに到着し、各寮ごとに連絡事項などが伝えられる中、私たちの寮は一度荷物を部屋に置いてから細かい今後の話をする事になった。
 このホテルでの部屋割りは基本的に、寮同じ二人部屋であるので寮と同様の割り振りがされた。
 私はシンと共に荷物を持ち、自分たちの部屋へと向かった。
 部屋は寮の部屋よりもさすがに広くはないが、ベッドが二つしっかりと用意されており外の景色も綺麗に見える部屋であった。。
 洗面所やトイレはあるが、シャワー室などはなくお風呂に関しては大浴場を使用する様になっていた。
 エリス先輩から聞いていた通り、このホテルはシャワー室がないパターンか。少しだけもしかしたらあるかもと、希望を持っていたがこれはこれで仕方ないね。
 私は事前にエリスと対策を考えていたので、そこで動揺する事無く部屋の確認をした後、ベッドへと座った。

「ふぅ~何かベッドに座ったら少し眠くなって来たな」
「ダメだよクリス。寝るなら、この後の連絡事項が終わってからにしてよ」
「大丈夫、大丈夫。寝ないよ~」

 シンからの言葉を聞きながら、私はついそのままベッドへと倒れた。
 あ~気持ち~~ずっと座ってたから、この包まれる様な柔らかさが眠気を誘う。
 そのまま私は過ごしだけ目をつぶろうとした時だった。
 シンが私の額目掛けてデコピンして来たので、私は直ぐに飛び起きた。

「いった……何するんだよ、シン」
「クリスが僕の忠告を無視するからさ。ここに居たら、また眠くなるだろうしもうロビーに行こうよ」
「うっ……そ、そうだな。悪かったよ」
「もういいよ。ほら、行こうクリス」

 私はベッドから降りて、シンの後をついて行くように部屋を後にした。
 その後担当教員に言われた通り、15分後には全員がロビーに揃っていたので、連絡事項を伝えられた。
 今日はこの後、バイキング形式の昼食をとったのちは、各自十七時の夕食まで自由時間となった。
 ホテル周辺を歩きローデングスを探索するなり、部屋でゆっくりするなり、そこは各自の判断とするとされた。
 もし外出する際には、一声この後担当教員に掛ける事となった。
 また、明日は午前中に安らぎの城『ジュヴェリアヴァーベン城』へと移動し、一日各班ごとに観光となると伝えられた。
 そして連絡事項が終わると、そのまま食堂へと移動をした。
 食堂に到着すると、既に他の寮生たちがバイキング形式の昼食を食べ始めていたので、私たちも席をとり自由に昼食をとり始めた。
 私はシンと声を掛けて来た、トウマとルーク、そしてシンリとアルジュの六人で昼食をとる事にした。

「で、皆はこの後の自由時間どうするんだ?」

 そうトウマが切り出すと、シンリが最初に答え始めた。

「僕はアルジュと外に出るつもり。滅多に来れない所だし、色々と回ろうかと思って」
「ああ、何やら市場的な催し物もやっているらしく、その辺に足を運ぶ予定だ」
「へぇ~そんなのやってるんだ。知らなかったな。クリス、知ってた?」
「いや。調べたりしたのか?」
「いいや、ロビーに早く着いた時に従業員の人に訊いたんだよ」

 するとアルジュが、従業員から貰ったビラを見せてくれた。
 それには先程アルジュが話してくれた市場の様な催し物の事が書かれた。
 この地域限定の特産品とか、調味料とか売ってたりするんだ。それ以外にも本とか、雑貨とか色々やってるんだ。ちょっと行ってみたいな。
 私はビラを見せてもらい、どんな事がやっているのか興味津々に見ているとシンリに行きたいと言うのが伝わってしまったのか「一緒に行く、クリス?」と誘われた。

「え、いいの?」
「別に秘密の何かって訳じゃないし、構わないよ。でしょ、アルジュ?」
「一緒に行く人が増えるのは構わない。別にずっと一緒に行動しろと言う訳でもないしな」
「ありがとう! シンはどうする?」
「僕も面白そうだなって思ったから行こうかな。部屋に籠っていてもつまらないし」
「じゃ、じゃ俺も行く。何か面白そうだしな」

 そこでトウマも同行する意思を口にした。

「ルークは行かないだろ? さっき部屋で、午後はゆっくりしようかなって言ってたしな」
「いや、話しを聞いていて気が変わったから俺も行くぞ」
「なっ」
「何でそんな変な顔をするんだよ、トウマ」
「べ、別に! 何でもねぇよ!」

 結局この場の全員が、このまま外出しその催し物を見に行く事になるのだった。
 その後、私たちは昼食を取り終えて一休みした後、ホテルから出て行きアルジュについて行った。
 道中、皆で何のたわいもない話で盛り上がりつつ目的の場所を目指すと、徐々に人の数が増えて行き、遂に目的の場所へと辿り着く。
 そこでは、ジェルバンスでいう所の収穫祭に近い様な雰囲気で、市場が行われて活気づいていた。
 出店やイベントがあちこちで行われて、お祭り状態であった。
 そして私たちはそこで、各自見たい物を見る事にして一旦別れた。
 と言っても、私はアルジュとルークと共に様々な本を扱っている店へと向かい、シンリとシンとトウマはイベント事が気になるとの事で三人で回る事にしたのだった。
 それから私たちは、本を漁ったり装飾品屋を覗いたり、北にした生息しない生き物を使った軽食を軽く食べたりと回っていると、そこへトウマや遠くから声を掛けて来た。

「お~い、三人共! こっち、こっち! 面白いのやってるぞー!」

 トウマからの呼びかけに私たちは、トウマの方へと向かうとそこでは巨大な池が完全に固まっており、そこで多くの人が池に乗ったり、一部で滑ったりして遊んでいた。

「すご~こんな場所があるんだ」
「なぁ、凄いだろ?」
「何でお前が自慢げなんだよ、トウマ」

 ルークからのツッコみに、軽く謝るトウマ。
 トウマの近くには、池の上を滑っていたのか少し疲れ果てたシンリとシンが座っていた。

「いや、全然うまく滑れなくて疲れちゃったよ。でも、めっちゃ楽しい!」
「初めてやったよこんな事。にしてもトウマは、滑るの上手いね」
「まあ、俺の運動神経をもってすればこんなの余裕さ! クリスたちもどうだ? 一緒にやらないか?」
「せっかくだし、ちょっとやってみようかな」

 私は今まで氷った池を滑ったという経験もなく、そもそも滑るという行為自体初めてだったが、楽しそうに滑っている人を見て楽しそうと思いやってみる事にした。

「僕は休んでいる二人と見てるよ。ルークはどうするんだ?」
「面白そうだし、俺も滑ってみるよ」

 そうして、私とルークは氷った池の上を滑るために、それ用の靴をレンタルしてもらいトウマに教えてもらいながら履き替えた。
 そのまま滑り出そうとしたが、立つことで精一杯で生まれたての小鹿の様に、足が震えてしまった。
 あ、あれ? 思っていた様に出来ない……意外と、これ難しいな。
 私は一度近くの壁に捕まって体勢を整えつつ、ルークの方を見るともう既に涼しい顔で気持ち良さそうに滑っていた。
 嘘……何であんな感じで直ぐに滑れるのよ。これが私とルークの違いって事?
 私は少し羨ましそうにルークを見ていると、そこへトウマがやって来てくれた。

「大丈夫かクリス? ゆっくりでいいから、まずは進んでみるか。後、ルークのあれは初心者じゃあり得ん。絶対に似た様な何かをしてたんだよあいつ」
「なるほどね。滑れるトウマがそう言うなら、そうなのかも」

 ゆっくりと私は壁から手を離して、トウマの方へとゆっくりと滑りだしたが急にスピードがついてしまい焦ってしまう。
 そして少し体勢を崩し倒れそうになったが、トウマがすぐに私を支えてくれ倒れずに済んだ。

「危ない。怪我ないかクリス?」
「え、あ、うん。大丈夫。ありがとうトウマ」

 そのまま私はトウマに支えられながら、近くの壁へと近付きそこで体勢を直した。
 するとその光景を見ていたのか、ルークも私の元へとやって来た。

「大丈夫だったか、クリス?」
「ああ、トウマが助けてくれたから大丈夫だったよ」

 トウマは何故かそこでルークに少し自慢げな顔をすると、ルークが少しムッとした表情をし返していた。
 あー滑るのって難しいな、もう少し滑っている人の観察してからやってみようかな。
 私はそんな風に考えたので、一度休んでいるシンリたちの所へと戻る事をトウマとルークに伝えた。
 トウマが心配して「ついて行こうか」と言って来たが、壁伝いに行けば辿り着けるので「大丈夫」と遠慮した。
 その後トウマとルークは、何やら競争でもする様な会話をした後勢いよく滑り始めた。
 私は何とかシンリたちの元へと戻っている時だった、バランスを崩してしまい壁から手が離れてしまう。
 そのまま壁から離れて行き、私は少し焦ってしまうが、とりあえず止まる為にわざとその場で座る様に倒れた。
 結果、何とか止まる事が出来たので私は安堵の息をつく。
 あぶない……変な所まで行く所だった。いや、安心している場合じゃないよね。ここにいたら危ないから、早く移動しないと。
 私は立たずに何とかゆっくりと壁際へと戻り始めた時だった。

「うわー危ない危ない! どいてどいて!」
「え!?」

 その声は私に向かって来る人物のものであり、私が顔を向けた時は既に手遅れで避ける事が出来ずに、そのままその人と私は激突してしまう。
 私はその人が覆いかぶさる様に倒れて来たので、全身を強く氷にぶつけてしまう。

「いたたた……大丈夫ですか? すいません、慣れてなくて……ん? あれ、その学院服」
「おい、何やってるんだ――って、本当に何やってんだお前!」
「いや、これは」

 と、二人が何やらもめている所にトウマとルークが通りかかりクリスが誰かとぶつかり倒れている姿を目にする。
 そのまま直ぐに近付き声を掛けるがクリスの反応はなく、その代りぶつかった相手ともう一人が振り返り、トウマとルークがその顔を見て目を見開いた。

「なっ!?」
「何でお前らが?」

 トウマとルークが驚いた視線の先にいたのは、学院対抗戦で出会い対戦した相手でもあったシリウス魔法学院のラーウェンとドウラであった。
 直後、倒れていたクリスが目を覚まし体を起こした。
 そしてルークたちがそれに気付き、全員が視線を向けるとクリスはゆっくりと一人一人を見つめた後、口を開いた。

「えっと、貴方たちは……誰、ですか?」
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