とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第479話 無鉄砲者

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「はぁー、はぁー、これが王国軍隊長サストの強さ」

 ルークはそう口にし、離れた場所で呼吸を整えていた。
 周囲は更に結界内で覆われており、ルークたち以外に相手のサストしかいない状況であった。
 視界の先ではダンデ、スバンを中心に次期副寮長たちで支援しつつ戦闘が行われていた。
 だが相手のサストは複数人相手だろうが不利になる事なく、ダンデの接近攻撃に対しては上手く流しスバンの魔法は身に付けた防具で弾き飛ばしていた。
 体術も魔法もサストの方が完全に格上であり、ロムロスの作戦もことごとく読まれ隙を突いての解除コード奪取も失敗に終わっていた。
 解除コードは首元かつる下げており、戦闘に応じて取れると思われたが手にすらかする事が出来ずにいた。

「どうするロムロス? 足止めも身動きも少しでも封じる事も出来ない。攻撃を仕掛けても簡単に流れて相手にすらなってない感じだ……」

 トウマが一度下がって来てロムロスに訊ねるも、手詰まり状態でありロムロスは奥歯を噛んだ。
 そしてダンデとスバンも反対側へと一旦下がり上がった息を整え始める。
 サストは終始無言のまま、左右に離れて行ったルークたちを交互に見つめた。

「ロムロス、ダンデとスバンたちと合流出来る様に誘導してくれ。やはり、力を温存出来る相手じゃない。俺の最大火力で吹き飛ばす」
「待てルーク! まだこの後も戦闘をするんだ、全力なんてここで出していたら」
「じゃ、他に何か解除コードを奪取出来る作戦があるのか?」

 ルークの問いかけにロムロスは言い返す事が出来ずに黙ってしまう。

「ロムロス、俺は心の何処かで解除コードを奪うくらいなら隊長だろうと大丈夫だと思っていたよ。だけど、甘く考え過ぎていたよ。全力を出しても手が届くかどうかの状況だよ、これ」
「っ……確かに俺もトウマの様に、倒すんじゃなく奪うくらいならと甘く見積もってた。だが結果はこれだ」

 そうロムロスが口にした直後、耳元に付けていた通信用魔道具でダンデとスバンにルークの作戦を伝えだす。

「ルーク、最大火力を放てるまでの時間は?」
「最短で一分」
「全員で飛び掛かればそれくらい稼げるだろ。な、ロムロス」
「向こうも消耗が激しいから、半々いやそれ以下かもしれない。それにルークが最大火力を放とうとすることぐらいすぐに見抜いて、最初に潰しにくるかもしれない」

 タツミはその考えに「確かに」としか口に出来なかった。

「俺の守りは考えなくていい、動きながら準備は出来る。後は、射線上から離れてくれれば問題はない」
「すぐにどけって言われてもどけない場合もあるし、人質に取られるかもしれないだろうが」
「ダンデ、悪いがもう少しだけ接近戦を頼めるか? スバンも先程と同じ様に接近と中距離からの攻撃を頼む」

 ロムロスはすぐさま作戦を構築し始め、通信用魔道具で伝える。
 自身とトウマは長距離からの魔法攻撃とし、次期副寮長たちに中距離からの攻撃と支援を継続依頼する。
 ダンデやスバルたちはすぐに了承した。
 トウマは自身が言った事の考慮はどうするんだと口にしようとしたが、ロムロスは先程の戦いでダンデならその可能性は低いと考え作戦を立てたのだろうと思い口をつぐんだ。
 ロムロスはこれまでのサストとの戦いでこちらを殺しに来る様な気配や攻撃は仕掛けて来てないという判断材料や、相手もこの中でルークが一番危険と判断しているであろうという判断から、ルークの作戦を立てた。

「ルーク、頼んだ」
「ああ。任せろ」

 と、声を掛け合った後ロムロスが作戦開始を告げ、ダンデとスバンが再び突っ込み。
 ロムロスとタツミが魔法で攻撃を仕掛ける。
 サストは周囲が動き始めたのに反応して動き始め、近付いて来るダンデたちから対処しようと踏み込んだ時に、背後からルークの異様な魔力の集まりを察知し振り返る。
 だがそこへ迫っていたのは、ロムロスとタツミが放った魔法であった。
 サストは方向を百八十度変え移動し始め、迫る魔法を防具で防ぎロムロスたちに近付いて行く。
 が、ルークはすぐさまその場から離れ始めサストは移動し始めたルークを逃がさまいと目で追いつつ、腕に魔力を集め始める。
 ロムロスはそれを目にし少しでも狙いをずらそうと魔法を放とうとするも、サストの方が魔法の速度が速く「間に合わない」と思った直後だった。
 突如サストの動きがそこで固まったのだ。
 そこへロムロスとスバンが放った魔法が直撃する。
 ダンデは異常な出来事に一旦足を止め、距離をとった。
 サストは魔法攻撃を受けてもびくともせずその場で固まり続けていた。
 ルークも思わぬ状況に魔力を集中させるのを止めてしまう。
 皆が驚き様子を見ようと止まっている中で、トウマだけは何故かふとこれはチャンスなのではと勝手に思いサストに突っ込んで行く。
 そしてそのまま、首から下げていた解除コードを掴み引っ張って手にするのだった。

「あれ、マジで取れちゃった」

 その行動にはロムロスを含め皆が驚き声を上げるが、一番驚いていたのは行動したトウマ自身であった。
 トウマは驚きながらもロムロスの元へと戻って来ると、ダンデやスバンたちも未だに動かないサストを警戒しつつタツミの元へと集まり始める。

「ど、どうしよ。取れちゃったよ」
「いや凄いけど、何してんだお前! あそこで近付く奴があるか!」
「その何ていうか、あ、これとれんじゃね? っていう思考が走ったらそのまま動いていたんだよ」
「普通はそうはならないと思いますわ」
「でも、何にしろ解除コードが運よくでも奪取出来たのは奇跡だ」

 そこへルークも合流して来てサストの方を向きながら口を開く。

「で、どういう事だ? 何が起きてるんだこれ」

 サストはあれから微動だにしておらず、ルークたちも不気味に感じ始めていると、突然覆われていた結界が解除され始める。
 それと同時に先程まで固まっていたサストの全身が茶色くなり始めるのだった。

「おいおいおい、何だよあれは!」
「結界も解かれて行くわ。戦っていた結界内だけでなくて、周辺を囲っていた結界もよ」

 スバンが自身らが王国軍隊長のレントを振り切って突破して来た結界も解除され始めたのを指さし、皆もそれを目にする。

「解除コードを奪取するとこうなるって事か?」

 トウマは自身が手にした解除コードを見ながら呟くと、ルークは「今はそれよりも解除コードを学院へ届けよう」と口にした。
 トウマたちは頷き結界外にいるであろうサポート班と合流する為、その場を離れだすのだった。
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