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第480話 最悪の擬態
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「皆さん、ゆっくりでいいですよ」
「ここから下の階に向かいます」
ジュリルたちは学院内にて、参加者たちを慌てさずに校舎の入口目指し誘導をしていたがそこには、リーリアとティアの姿だけなかった。
先頭をマートルとミュルテで進み、後ろからジュリルとモランで警戒しながら付いて行く分担をしていた。
「リーリアさんと、ティア女王様は大丈夫かな」
「大丈夫に決まっていますわ。ティア女王様に、あの方が認めるご友人ですのよ。私たちは彼女らの指示通り、このまま参加者たちと共に出口に向かえばいいのですのよ」
「そう、だね。ティア女王様たちがいうには、他に侵入者はいないし校舎の出口までいけば安全と言っていたし今はそれだけを考えるべきだよね」
「ええ。私たちがティア女王様らを心配する必要はないわ。それよりも、私たちにはやるべき事託された事を確実に遂行する事に全力を尽くせばいいのです」
その言葉にモランは頷き、参加者たちが降りて行った階段を後ろから付いて行くのだった。
ジュリルもモランの後を追い階段を降りて行こうとしたが、そこで一度足が止まり今来た道を見つめた。
「(まさかアリスのお母様が、あれほどの実力者だったのは驚きですわ。それよりも、私たちを先に逃がすために足止めに行かれるとは……いえ、他人の心配よりもまずは託された事を必ず達成しなければ)」
そう軽く首を振った後、ジュリルは階段を降りていくのだった。
一方でリーリアとティアは、こちらに向かって来る魔力を感知しその場で待ち構えていた。
「彼女たちは今頃どの辺かしらね?」
「そうね、大回りをして正門側の校舎入口を目指しているから、今頃は反対側の校舎の一階に降りている頃じゃないかしら」
「こっちに二つの魔力がそのまま向かって来るって事は、ティアの偽装魔法が上手く行っている証と考えていいのよね?」
「何、疑っているの?」
「ちょっとね。所詮は彼女らの魔力を感知しずらくしているだけで、似た魔力をここから放ってここで隠れていると思わせているだけでしょ」
リーリアがそう口にするとティアは少し不機嫌な顔をして訊き返す。
「現にあの二人の魔力がこっちに来ているのだから、問題ないでしょ。それに向こう側に簡単に行かせない様に、こっちに来る前に細工もして来たでしょ」
「確かにそうなんだが、バベッチだけならまだしもあのロバートが気付かないとは思えないんだよ」
「……それじゃ、別れず一緒に付いて行くべきだった? バベッチの狙いは貴方よ、リーリア。今回学院を攻めたのも、アリスが狙われているのも貴方を手にしようとしての行動のはず。この場にアリスがいないから、彼女を引き寄せる為に彼女らを狙ったと考えるのが普通でしょ。だけど今ここに貴方が現れた事で狙いは一つになったず」
「標的の私を確実に手にする為に、バベッチなら自我のないロバートを引き連れ彼女らを無視してこちらに来る」
「そうよ。もし仮に彼女たちの方へ向かったとしても、保険の魔法も当然掛けているからその間に駆けつければ問題ないはずよ」
「流石、その辺は抜かりないなティア」
ティアはそういわれると片手を腰に当てて「誰に言っているの」と口にする。
すると二人の前に、バベッチとロバートが現れる。
「あれ、二人だけ? おかしいな、魔力感知では他の人もいるはずなんだけどな」
「巻き込みたくないから、隠れててもらっているだけよ」
そこでロバートがバベッチの前へと出て来て立ち止まると、二人はすぐに戦闘態勢をとる。
すると周囲を囲うようにロバートが広範囲に結界を展開する。
「これでもう逃げられないよ。リーリア、ティア」
結界を展開し終えるとロバートはゆっくりと二人の方へと歩き始めた。
が、次の瞬間ロバートが踏み出した片足が突然崩れ、その場で両手を付くように倒れる。
思わぬ事態にティアもリーリアも驚く。
倒れたロバートは足が崩れた事など気にせず、前に進もうと片手を前に出すとその手も崩れ去り、完全にその場でうつ伏せで倒れてしまう。
そのまま残っている両手足の先から徐々に崩れて行き、最後には完全にロバートという人物がその場から消え去ってしまうのだった。
「どういう事?」
「いや~流石にロバートじゃ圧倒的過ぎるだろ? 俺は一方的なやられ方をして欲しくないんだよ。勝てそうで勝てない相手をぶつけて楽しみたいんだよね、俺はさ。それに二人の苦しんで苦戦している姿を見てみたいんだよね」
「(バベッチがロバートを排除したのは好都合だけど、完全に思考がバベッチの姿をした別人ね)」
不気味な笑みを浮かべるバベッチを見つめリーリアは握りしめていた手をより強く握りしめた。
するとバベッチの背後から分身体が二体現れる。
「で俺はさ、考えた訳よ。どうすればそんな顔が見れるかってさ」
「わざわざそんな個人的な感情の為に、ロバートを消してくれたのはこっちとしてありがたいわね。で、その代わりの相手がバベッチの分身体? 情があって私たちが攻撃出来ないとでも思ったのかしら? そしたらそれは見当違いよ」
ティアの言葉にバベッチは人差し指を立てて、軽く左右に揺らした。
「んなぁ訳ないじゃん。こうするんだよ!」
バベッチは前に立たせた二体の分身に向け、擬態魔法を使い全身を泥で覆わせる。
そして二体の分身体の泥が固まり崩れて行き中から現れた人物にティアとリーリアは動きが完全に止まってしまう。
二人の前に擬態として姿を現したのは、それぞれの息子であるアバン・フォークロスとオービン・クリバンスであった。
その頃、ジュリルたちはというと無事に校舎の反対側の一階の廊下を進み、正門側の校舎入口へと向かっていた。
何も問題なくこのまま無事に辿り着くかと思われたが、突然先頭のマートルとミュルテが足を止め、後方のジュリルとモランに声を掛けるのだった。
マートルたちかの呼び声に直ぐに反応し、ジュリルたちが先頭に合流し目にした光景は、進行方向に立ち塞がるロバートであった。
「嘘、でしょ……」
「あの人って確か、ティア女王様方と戦ってた人よね?」
「ここに居るって事はティア女王様の偽装魔法が見抜かれて、先回りされたって事なんじゃないの?」
「理由は何にしろ、この場からはすぐさま退却しますわよ。私たちで倒せる相手ではありませんわ」
ジュリルの言葉にマートルたちは小さく頷き、ミュルテとモランが参加者たち側へ寄り添い後退し始め、ジュリルとマートルで動かず立ち尽くしているロバートをけん制しながら、ゆっくりと後退し始める。
「おいおい、逃げるなよ。あの時みたいに威勢よく突っかかって来てくれよ。それを期待していたんだぞ?」
今まで黙り込んでいたロバートが、突然話し始めた事にジュリルたちは思わず驚いてしまうが、足を止める事無くそのままゆっくりと後退を続けた。
その姿を見てロバートはため息をついてから、歩いて後を追い始める。
「もしかして話さず黙ったままの方が良かったか? いや、そんなの関係ないよな。とりあえず、止まってくれよ」
ジュリルはその問いかけを無視し、小さくミュルテとモランに「走って」と伝えると二人は参加者たちに「行って!」と声を掛けると一斉に来た道を走り始める。
それと同時にジュリルとマートルは、ロバートを少しでも足止めをする為先程リーリアとティアがやっていた氷の壁の劣化版を協力し創造し始める。
同時に魔力創造にて隔てる壁を創り上げ、そこに氷魔法でコーティングするというものであったが、ロバートはそんなのは既に見通しており、二人が創り上げた壁の中心部に正方形の結界を展開し穴を空ける。
そして二人目掛けて拳ほどの正方形の展開した結界を放ち直撃させて、魔法を中断させる。
更にロバートは逃げる集団の先に壁の様に結界を展開し、完全に足を止めさせるのだった。
「(何ですのあの魔法は!?)」
ジュリルは倒されながら、ロバートの魔法に驚く。
「そっちが話を聞かないっていうなら、力で強引に抑え込むだけだ。死にたくないなら、その場でじっと――」
そうロバートがジュリルたちに近付きながら話していると、ロバートは突然後頭部に見えない打撃を受け少し前へとよろめく。
ジュリルたちは急に何が起きたのか分からずにいると、ロバートはゆっくりと姿勢を直し振り返った。
「おいおい、どういう事だ? 何で外にいるはずの生徒が、ここまで入り込んで来てるんだ?」
「そんなの答えなくても分かるでしょ、侵入者さん?」
と、ロバートに逆に問い返しながら姿を現したのはエリスであった。
「ここから下の階に向かいます」
ジュリルたちは学院内にて、参加者たちを慌てさずに校舎の入口目指し誘導をしていたがそこには、リーリアとティアの姿だけなかった。
先頭をマートルとミュルテで進み、後ろからジュリルとモランで警戒しながら付いて行く分担をしていた。
「リーリアさんと、ティア女王様は大丈夫かな」
「大丈夫に決まっていますわ。ティア女王様に、あの方が認めるご友人ですのよ。私たちは彼女らの指示通り、このまま参加者たちと共に出口に向かえばいいのですのよ」
「そう、だね。ティア女王様たちがいうには、他に侵入者はいないし校舎の出口までいけば安全と言っていたし今はそれだけを考えるべきだよね」
「ええ。私たちがティア女王様らを心配する必要はないわ。それよりも、私たちにはやるべき事託された事を確実に遂行する事に全力を尽くせばいいのです」
その言葉にモランは頷き、参加者たちが降りて行った階段を後ろから付いて行くのだった。
ジュリルもモランの後を追い階段を降りて行こうとしたが、そこで一度足が止まり今来た道を見つめた。
「(まさかアリスのお母様が、あれほどの実力者だったのは驚きですわ。それよりも、私たちを先に逃がすために足止めに行かれるとは……いえ、他人の心配よりもまずは託された事を必ず達成しなければ)」
そう軽く首を振った後、ジュリルは階段を降りていくのだった。
一方でリーリアとティアは、こちらに向かって来る魔力を感知しその場で待ち構えていた。
「彼女たちは今頃どの辺かしらね?」
「そうね、大回りをして正門側の校舎入口を目指しているから、今頃は反対側の校舎の一階に降りている頃じゃないかしら」
「こっちに二つの魔力がそのまま向かって来るって事は、ティアの偽装魔法が上手く行っている証と考えていいのよね?」
「何、疑っているの?」
「ちょっとね。所詮は彼女らの魔力を感知しずらくしているだけで、似た魔力をここから放ってここで隠れていると思わせているだけでしょ」
リーリアがそう口にするとティアは少し不機嫌な顔をして訊き返す。
「現にあの二人の魔力がこっちに来ているのだから、問題ないでしょ。それに向こう側に簡単に行かせない様に、こっちに来る前に細工もして来たでしょ」
「確かにそうなんだが、バベッチだけならまだしもあのロバートが気付かないとは思えないんだよ」
「……それじゃ、別れず一緒に付いて行くべきだった? バベッチの狙いは貴方よ、リーリア。今回学院を攻めたのも、アリスが狙われているのも貴方を手にしようとしての行動のはず。この場にアリスがいないから、彼女を引き寄せる為に彼女らを狙ったと考えるのが普通でしょ。だけど今ここに貴方が現れた事で狙いは一つになったず」
「標的の私を確実に手にする為に、バベッチなら自我のないロバートを引き連れ彼女らを無視してこちらに来る」
「そうよ。もし仮に彼女たちの方へ向かったとしても、保険の魔法も当然掛けているからその間に駆けつければ問題ないはずよ」
「流石、その辺は抜かりないなティア」
ティアはそういわれると片手を腰に当てて「誰に言っているの」と口にする。
すると二人の前に、バベッチとロバートが現れる。
「あれ、二人だけ? おかしいな、魔力感知では他の人もいるはずなんだけどな」
「巻き込みたくないから、隠れててもらっているだけよ」
そこでロバートがバベッチの前へと出て来て立ち止まると、二人はすぐに戦闘態勢をとる。
すると周囲を囲うようにロバートが広範囲に結界を展開する。
「これでもう逃げられないよ。リーリア、ティア」
結界を展開し終えるとロバートはゆっくりと二人の方へと歩き始めた。
が、次の瞬間ロバートが踏み出した片足が突然崩れ、その場で両手を付くように倒れる。
思わぬ事態にティアもリーリアも驚く。
倒れたロバートは足が崩れた事など気にせず、前に進もうと片手を前に出すとその手も崩れ去り、完全にその場でうつ伏せで倒れてしまう。
そのまま残っている両手足の先から徐々に崩れて行き、最後には完全にロバートという人物がその場から消え去ってしまうのだった。
「どういう事?」
「いや~流石にロバートじゃ圧倒的過ぎるだろ? 俺は一方的なやられ方をして欲しくないんだよ。勝てそうで勝てない相手をぶつけて楽しみたいんだよね、俺はさ。それに二人の苦しんで苦戦している姿を見てみたいんだよね」
「(バベッチがロバートを排除したのは好都合だけど、完全に思考がバベッチの姿をした別人ね)」
不気味な笑みを浮かべるバベッチを見つめリーリアは握りしめていた手をより強く握りしめた。
するとバベッチの背後から分身体が二体現れる。
「で俺はさ、考えた訳よ。どうすればそんな顔が見れるかってさ」
「わざわざそんな個人的な感情の為に、ロバートを消してくれたのはこっちとしてありがたいわね。で、その代わりの相手がバベッチの分身体? 情があって私たちが攻撃出来ないとでも思ったのかしら? そしたらそれは見当違いよ」
ティアの言葉にバベッチは人差し指を立てて、軽く左右に揺らした。
「んなぁ訳ないじゃん。こうするんだよ!」
バベッチは前に立たせた二体の分身に向け、擬態魔法を使い全身を泥で覆わせる。
そして二体の分身体の泥が固まり崩れて行き中から現れた人物にティアとリーリアは動きが完全に止まってしまう。
二人の前に擬態として姿を現したのは、それぞれの息子であるアバン・フォークロスとオービン・クリバンスであった。
その頃、ジュリルたちはというと無事に校舎の反対側の一階の廊下を進み、正門側の校舎入口へと向かっていた。
何も問題なくこのまま無事に辿り着くかと思われたが、突然先頭のマートルとミュルテが足を止め、後方のジュリルとモランに声を掛けるのだった。
マートルたちかの呼び声に直ぐに反応し、ジュリルたちが先頭に合流し目にした光景は、進行方向に立ち塞がるロバートであった。
「嘘、でしょ……」
「あの人って確か、ティア女王様方と戦ってた人よね?」
「ここに居るって事はティア女王様の偽装魔法が見抜かれて、先回りされたって事なんじゃないの?」
「理由は何にしろ、この場からはすぐさま退却しますわよ。私たちで倒せる相手ではありませんわ」
ジュリルの言葉にマートルたちは小さく頷き、ミュルテとモランが参加者たち側へ寄り添い後退し始め、ジュリルとマートルで動かず立ち尽くしているロバートをけん制しながら、ゆっくりと後退し始める。
「おいおい、逃げるなよ。あの時みたいに威勢よく突っかかって来てくれよ。それを期待していたんだぞ?」
今まで黙り込んでいたロバートが、突然話し始めた事にジュリルたちは思わず驚いてしまうが、足を止める事無くそのままゆっくりと後退を続けた。
その姿を見てロバートはため息をついてから、歩いて後を追い始める。
「もしかして話さず黙ったままの方が良かったか? いや、そんなの関係ないよな。とりあえず、止まってくれよ」
ジュリルはその問いかけを無視し、小さくミュルテとモランに「走って」と伝えると二人は参加者たちに「行って!」と声を掛けると一斉に来た道を走り始める。
それと同時にジュリルとマートルは、ロバートを少しでも足止めをする為先程リーリアとティアがやっていた氷の壁の劣化版を協力し創造し始める。
同時に魔力創造にて隔てる壁を創り上げ、そこに氷魔法でコーティングするというものであったが、ロバートはそんなのは既に見通しており、二人が創り上げた壁の中心部に正方形の結界を展開し穴を空ける。
そして二人目掛けて拳ほどの正方形の展開した結界を放ち直撃させて、魔法を中断させる。
更にロバートは逃げる集団の先に壁の様に結界を展開し、完全に足を止めさせるのだった。
「(何ですのあの魔法は!?)」
ジュリルは倒されながら、ロバートの魔法に驚く。
「そっちが話を聞かないっていうなら、力で強引に抑え込むだけだ。死にたくないなら、その場でじっと――」
そうロバートがジュリルたちに近付きながら話していると、ロバートは突然後頭部に見えない打撃を受け少し前へとよろめく。
ジュリルたちは急に何が起きたのか分からずにいると、ロバートはゆっくりと姿勢を直し振り返った。
「おいおい、どういう事だ? 何で外にいるはずの生徒が、ここまで入り込んで来てるんだ?」
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