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第549話 独断で行った事
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暫くの間、担当試験官も試合状況に驚き固まっていたが、すぐさま結界外へと吹き飛んで行ったルークへと他の教員を向かわせる。
芝生の傾斜に埋まる形でルークは何とか意識を保っていたが、動ける状態ではなかった。
外の教員から担当試験官がルークの安否状況を確認した直後、アリスの方へと視線を向けるとその場で両膝をつき座り込んでいた。
「勝者――」
と、担当試験官が結果を口にした直後アリスがその場で倒れてしまう。
すぐに担当試験官はアリスの方へ走りながらタツミの名を呼ぶ。
「呼ばれずとも、もう来ている。たっく無茶し過ぎたお前らは」
タツミは最後のアリスの一撃を見てから既に動き出しており、すぐに結界内へと入りアリスの状態を確認した後安静な場所に寝かせる様に指示を出す。
既に一緒にいたトウマに応援を呼びに行ってもらっているので、最低限の状態把握と治療だけを行っていた。
その後ルークの元へと向かい始めた時だった。
突然タツミの足が止まる。
「っ――」
立ち尽くしていたタツミに、ルークの様子を見ていた教員から大きく声を掛けられ、再び止めていた足を動かしルークの元に向かう。
教員の手によりルークを斜面から出し芝生の斜面に寄りかかる様に安静にさせた状態で、ルークが状態を確認し始める。
「っ……タツミ」
「意識があるなら、黙ってそのままでいろ。自分の攻撃がどれほどの威力は分かってるだろ」
「まさか、あれを倍にして返して来るとは思わないだろ」
「常識的に考えればな。だが、常識は完璧でも正しい訳でもない。今回はお前の負けだよ、ルーク」
タツミの言葉を聞きルークは瞳を閉じると「やられたな」と小さく呟くと、微かに笑うのだった。
それから数分後、トウマが診察所にいた教員を数名連れて来てタツミの指示の下更なる応急処置がされ、二人は運ばれて行くのだった。
次にアリスが目を覚ました場所は、ベッドの上であった。
「ここは……」
寝たまま周囲を見回すと、そこは競技場地下の治療室であった。
「そっか、あの後倒れちゃったのか私」
すぐにアリスはルークとの試合後に自分の身に起きた事を察すると、治療室の扉が開きタツミが入って来る。
タツミはアリスが目を覚ましている事に気付くと、笑顔でアリスの近くにある椅子に腰かける。
「やあ、おはようアリス」
「うっ……お、おはようございます。タツミ先生……」
「俺が何が言いたいか分かっているよね?」
「何となくですけど……すいません」
謝るアリスに小さくため息をつき、手に持っていた診断書をめくり今の状態を説明し始める。
重症ではないが、急激に魔力消費した結果による軽い欠乏症だと伝え、体力面も試合で低下していたことにより意識を失っていたと知る。
「全く無茶をするな。大変なのは自分だけじゃないんだ、それをしっかりと覚えろ。いいな」
「はい。ご迷惑をお掛けしました」
「ルークの奴も素直にそれくらい言えればいいんだが。まぁ、あいつはそれどころじゃないかもだが」
アリスがその訳を訊こうとした時、治療室の扉がノックされ二人が扉の方へと視線を向けると、そこにはオービンが立っていた。
「オービン先輩!?」
「オービン、お前なんでここにいる? あれやったの、お前だろ」
「あれ、バレちゃいました?」
オービンは軽く頬をかきながら部屋に入って来る。
アリスは何の事だか分からず軽く首を傾げる。
「やぁアリス、凄い試合をしたね。でもルークに勝ったことに変わりない」
「勝ったといっても一度だけですよ。これまで三回勝負してギリギリでの一勝です」
「謙虚だね」
「のんびり話しているがオービン、お前こんな所に居ていいのか? 学院長の所とか他の奴らに説明を求められているんじゃないのか?」
タツミの言葉にオービンは目を泳がせる。
そんな態度をとるオービンを見てアリスは何をしたのかをタツミに訊ねる。
「あの、何したんですかオービン先輩は?」
「それはな、お前とルークの試合を独断で校内に中継したんだよ。それだけじゃなくて、他の学院長らが見ている方にも流したんだよコイツは」
「え、えぇ~!?」
――遡ることアリスとルークの試合開始前。
――王都メルト魔法学院の地下、ダンジョンの一室にて。
「何だ急に映像が乱れ始めたぞ」
各学院長らが見つめる先の映像乱れに、後方で見ていたリーベストが反応する。
ミカロスたちも同様に何が起きたのかと驚く。
暫くすると映像が直ると、そこに映し出されたのはアリスとルークの対戦場であった。
映るはずのない場所の映像にマイナは驚き、すぐさまデイビッドに視線を向ける。
だがデイビッドも驚いた表情をしており、マイナの視線に気付き首を横に振る。
「(どうなっているの? 彼女の場所は映像で映らないはずだし、そもそも誰が映像を中継させているの?)」
マイナが少し険しい顔をしている一方で、先程から注目の試合をしているルークが映されたことで他の学院長らが盛り上がる。
「おい見ろ、ルークだ! またいい試合が見れそうだな~相手は――って、女子? どうしてルークの相手が女子なんだ? おいミカロス、どういうことなんだ?」
「あの顔何処かで……」
映像に映ったアリスにマーガレットが呟く。
他の皆もルークの対戦相手に見覚えがあり、誰だったか思い出し始める。
「ミカ、どういうこと? 何でアリスとの対戦が映っているの?」
「俺が聞きたいくらいだよ」
エリスとミカロスが問いかけているリーベストを無視して小声でやり取りしていると、後ろの扉から聞き慣れた声にその場に居た全員が振り返る。
「こっちもバッチリ映ってますね」
「オービン!? あれお前来られないんじゃなかったのか?」
「オービン、さっきの言葉どういう事だ?」
再びリーベストの問いかけをかき消すように奥からマイナが声を掛ける。
オービンは部屋に入ると、マイナたちの方へと向かって行く。
「ぜひ皆さんにも、見て欲しい試合だったので独断ですが繋げさせてもらいました」
「どうしてそんな勝手な事を」
「そんなに責めないであげてください、マイナ学院長」
そう口を挟んだのは、クレイス魔法学院長のフレイであった。
芝生の傾斜に埋まる形でルークは何とか意識を保っていたが、動ける状態ではなかった。
外の教員から担当試験官がルークの安否状況を確認した直後、アリスの方へと視線を向けるとその場で両膝をつき座り込んでいた。
「勝者――」
と、担当試験官が結果を口にした直後アリスがその場で倒れてしまう。
すぐに担当試験官はアリスの方へ走りながらタツミの名を呼ぶ。
「呼ばれずとも、もう来ている。たっく無茶し過ぎたお前らは」
タツミは最後のアリスの一撃を見てから既に動き出しており、すぐに結界内へと入りアリスの状態を確認した後安静な場所に寝かせる様に指示を出す。
既に一緒にいたトウマに応援を呼びに行ってもらっているので、最低限の状態把握と治療だけを行っていた。
その後ルークの元へと向かい始めた時だった。
突然タツミの足が止まる。
「っ――」
立ち尽くしていたタツミに、ルークの様子を見ていた教員から大きく声を掛けられ、再び止めていた足を動かしルークの元に向かう。
教員の手によりルークを斜面から出し芝生の斜面に寄りかかる様に安静にさせた状態で、ルークが状態を確認し始める。
「っ……タツミ」
「意識があるなら、黙ってそのままでいろ。自分の攻撃がどれほどの威力は分かってるだろ」
「まさか、あれを倍にして返して来るとは思わないだろ」
「常識的に考えればな。だが、常識は完璧でも正しい訳でもない。今回はお前の負けだよ、ルーク」
タツミの言葉を聞きルークは瞳を閉じると「やられたな」と小さく呟くと、微かに笑うのだった。
それから数分後、トウマが診察所にいた教員を数名連れて来てタツミの指示の下更なる応急処置がされ、二人は運ばれて行くのだった。
次にアリスが目を覚ました場所は、ベッドの上であった。
「ここは……」
寝たまま周囲を見回すと、そこは競技場地下の治療室であった。
「そっか、あの後倒れちゃったのか私」
すぐにアリスはルークとの試合後に自分の身に起きた事を察すると、治療室の扉が開きタツミが入って来る。
タツミはアリスが目を覚ましている事に気付くと、笑顔でアリスの近くにある椅子に腰かける。
「やあ、おはようアリス」
「うっ……お、おはようございます。タツミ先生……」
「俺が何が言いたいか分かっているよね?」
「何となくですけど……すいません」
謝るアリスに小さくため息をつき、手に持っていた診断書をめくり今の状態を説明し始める。
重症ではないが、急激に魔力消費した結果による軽い欠乏症だと伝え、体力面も試合で低下していたことにより意識を失っていたと知る。
「全く無茶をするな。大変なのは自分だけじゃないんだ、それをしっかりと覚えろ。いいな」
「はい。ご迷惑をお掛けしました」
「ルークの奴も素直にそれくらい言えればいいんだが。まぁ、あいつはそれどころじゃないかもだが」
アリスがその訳を訊こうとした時、治療室の扉がノックされ二人が扉の方へと視線を向けると、そこにはオービンが立っていた。
「オービン先輩!?」
「オービン、お前なんでここにいる? あれやったの、お前だろ」
「あれ、バレちゃいました?」
オービンは軽く頬をかきながら部屋に入って来る。
アリスは何の事だか分からず軽く首を傾げる。
「やぁアリス、凄い試合をしたね。でもルークに勝ったことに変わりない」
「勝ったといっても一度だけですよ。これまで三回勝負してギリギリでの一勝です」
「謙虚だね」
「のんびり話しているがオービン、お前こんな所に居ていいのか? 学院長の所とか他の奴らに説明を求められているんじゃないのか?」
タツミの言葉にオービンは目を泳がせる。
そんな態度をとるオービンを見てアリスは何をしたのかをタツミに訊ねる。
「あの、何したんですかオービン先輩は?」
「それはな、お前とルークの試合を独断で校内に中継したんだよ。それだけじゃなくて、他の学院長らが見ている方にも流したんだよコイツは」
「え、えぇ~!?」
――遡ることアリスとルークの試合開始前。
――王都メルト魔法学院の地下、ダンジョンの一室にて。
「何だ急に映像が乱れ始めたぞ」
各学院長らが見つめる先の映像乱れに、後方で見ていたリーベストが反応する。
ミカロスたちも同様に何が起きたのかと驚く。
暫くすると映像が直ると、そこに映し出されたのはアリスとルークの対戦場であった。
映るはずのない場所の映像にマイナは驚き、すぐさまデイビッドに視線を向ける。
だがデイビッドも驚いた表情をしており、マイナの視線に気付き首を横に振る。
「(どうなっているの? 彼女の場所は映像で映らないはずだし、そもそも誰が映像を中継させているの?)」
マイナが少し険しい顔をしている一方で、先程から注目の試合をしているルークが映されたことで他の学院長らが盛り上がる。
「おい見ろ、ルークだ! またいい試合が見れそうだな~相手は――って、女子? どうしてルークの相手が女子なんだ? おいミカロス、どういうことなんだ?」
「あの顔何処かで……」
映像に映ったアリスにマーガレットが呟く。
他の皆もルークの対戦相手に見覚えがあり、誰だったか思い出し始める。
「ミカ、どういうこと? 何でアリスとの対戦が映っているの?」
「俺が聞きたいくらいだよ」
エリスとミカロスが問いかけているリーベストを無視して小声でやり取りしていると、後ろの扉から聞き慣れた声にその場に居た全員が振り返る。
「こっちもバッチリ映ってますね」
「オービン!? あれお前来られないんじゃなかったのか?」
「オービン、さっきの言葉どういう事だ?」
再びリーベストの問いかけをかき消すように奥からマイナが声を掛ける。
オービンは部屋に入ると、マイナたちの方へと向かって行く。
「ぜひ皆さんにも、見て欲しい試合だったので独断ですが繋げさせてもらいました」
「どうしてそんな勝手な事を」
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