美少女転生! 迫真の表情

椎木唯

文字の大きさ
5 / 7
美少女令嬢幼少期

間接キスは粘膜接触といっても過言ではない。実質セ

しおりを挟む
    少し行儀は悪いがしょうがない。ほらコラテラルダメージってあるじゃん? それ。
 いや、全然意味違うな。さすがにそれは無理があったか。良い、悪いとかの意味をさておいてもそれ以前に間違った言葉使ってしかも意味すらもあってないとか日本人の風上にも置けないな。風上ってどこだよ。
 そもそも今、この体は日本人だと断言できる材料はないので思考する意味すらないんだけどな。

 そんな言い訳を作りながらサイドテーブルに置いている冷えてきたおかゆを手に取る。
 俺、猫舌だから熱いの食べられないんだけどね…と、今日の天気並みの雑談で言ってきた友人を「そっか…人生の半分を損をして生きているんだな…今度おごるわ」と、嘆きの表情で言ってきた友人Bを俺は忘れないだろう。因みに俺も猫舌なのでおごってもらった記憶がある。あの時のラーメンが旨かったな…。

「(…今考えると猫舌で人生を損しているって話なのに熱いのが美味しいラーメン食べに行くとかどんな思考回路していたんだろうな)」

 恐らく美味しいものを食べれば治るとか考えていたんだろう。なにそれ可愛いな。
 昔の記憶に縋りながら一生懸命おかゆをかき込む。
 まぁ、日本じゃないって時点で嫌な予感はしていたんだけどね…。

 勢いよくかき込んでもまだ、半分以上も残っているおそらくお湯に溶かしただけであろうオートミールを見つめる。
 いや、別に俺はオートミールが嫌いなわけじゃない。言ってしまえば好きな分類に入るとも言える。あれは、懐かしい高校時代。食べたことのなかったオートミールをコンビニで発見し、ドキドキしながらレジに向かった夏休み後半の昼下がり。
 炎天下の中自宅へと帰宅し、親のPCで調理法を調べ、牛乳に浸した時の何とも言えない吐しゃ物感。あれは今でも繊細に思い出せるぜ…。

 と、考えながら段ボールを塩水でふやかしたような味の吐しゃ物を無心で口に運び続ける。
 ああ、確かに栄養価は高いさ。食欲がない病人や病み上がりの人にとってしてみれば液体を混ぜてかき込むスタイルの食事は救世主とも言えるだろう。だがお湯はイカンよ…。
 無心で機械のように口に運んでいたのだがそれを疑問に思ったのかカレンさんが聞いてきた。

「お味の方はいかがですか? 自分なりのアレンジで塩を加えてみたのですが…」

 謎の塩水感はそれだったのか…。
 そもそもの問題で最初に食べたのが高校時代のあれだけでそれ以来オートミールを食べていない俺の記憶はあの時で固定されてしまっているのだ。
大人になって味覚が変化して好き嫌いが変わるってよくある話じゃない。それと同じようにあの時と同じような調理法、味なのだが大人の俺からしてみると不味いって可能性が微生物の核並みにある。

 これはお世辞でも美味しいと言った方が良いのか。そう考えてしまうのだが肉体は子供である。なら、正直に言っても良いよね。言いも悪いも俺次第なのだが。

「…何も言わないけどさ。食べてみてよ」

「え、それじゃあ間接キス…まさかルリ様…?」

「この器ごと投げてやろうか…」

 その持ってきた台車に乗っている食器は何のためにあるんだよ飾りか? と、口から出る寸でのところで抑えた。別に言ってもよかったのだがそれだと何故か喜びそうな未来が見えたので止めた。こんな未来予知は嫌だなぁ。
 どこか満足いったのか「では、失礼して」そう言ってスプーンを受け取り口に運ぶ。
 ゆっくりと味わうように咀嚼し飲み込む。

「例えるなら薄味のゲボですかね…」

「どうして味見をしなかったのか小一時間程問い詰めたいんだが。何故ゲボを食わせた…」

「あの…その、見た目が良かったのでつい…やっちゃいました」

「今度からは食べ物を扱わないでね…次は解雇っすわ」

 え、まじすか? と驚愕の表情を浮かべるカリンさんを尻目に最後の一口を終え、完食する。初めての食事がこれで良いのか。そう、先が思いやられるのだが朝をお漏らしで迎えた俺が言える立場じゃなかったなこれ。

「あの…お口直しに私は…」

「さすがに女同士でも年齢差で捕まるんじゃない?」

「安心してください。そんな法律はこの国には存在していませんので」

「それのどこに安心する要素があったの…?」

 でも強姦は犯罪だよね。そう言うとほぼノータイム、反射的に「同意じゃ…」と返すカリンさんは一体何者なのか。疑問が湧いて出てくるがゴキブリ並みのどうでもよさなのでスルーする。
 食べ終わった食器をカリンさんが受け取る。その際に「申し訳ございません。ですが残しても…」と言ってきた。

「いや、食べ残しは何するかわからないじゃん」

「…チッ」

「…え?」

 立場とは。メイドとは。
 メイドとして仕えている立場なのに舌打ち聞こえるようにして仕事をするメイドはいったいなんなのだろうか。哲学だな。

「ですが私としてはルリ様のお体が最優先ですので少しでも異変を感じたら…」
「いや、そもそも異変を感じさせるものを食べさせないようにしろよ」

「テヘ」

「それで許せるほど胃は強くないからね…」

 そんな会話をしながらも片づけを終え、簡単な清掃を終えたカリンさんはでは、と部屋を後にする。扉に手を掛け、開けようとしたとき何かを思い出したのか立ち止まった。

「ああ、そういえば何ですがカリンさん、ではなくカリンとお呼びいただけますか。年と経験では私の方が上ですがルリ様は貴族なのですから」

「うーん、経験の説明は必要だった?」

「では、食後の一時を楽しんでください。また時間が経ちましたらある程度の勉強を始めていかないといけませんので」

「ある程度?」

「主に国間の情勢。ルリ様のお父様、侯爵の爵位をお持ちになっている領地主としての立場…とかですかね。これはルリ様の記憶と並行していかないといけないのであまり詳しくは言えないです。では」

 ぎぃ、と立てつけが悪いのか。油をさしていないのか。それまたその両方か。
 扉の開閉音を響かせながら部屋を出ていく。

 最初の敬称無しは…まぁ、確かにそうなのか?
 俺からしてみるとメイドがはっちゃけている方が変だと思うのだが…。母親…の年齢まではさすがにいかないものの、おそらく自分の二倍ほどはある人を呼び捨てで言えとは中々キツイものがあるな。
 だが、言ってしまえばそんなことは問題ではない。問題として足らないのだ。
 呼び捨てなんて時間が経てば慣れるだろうし慣れなかったら胃が持たなくなる。胃薬は…あるのかな。

 そう、問題とはカリン…が言っていたある程度の勉強のことである。聞いた限り上辺だけどもある程度の量を超えているのだが…。何故この年にもなって社会科的な内容をしなくちゃいけないのだ。しかも分野的に日本史と世界史っぽい。例えるならその二つが妥当だと思うが…妥当も糞もないな。キツイ以外の言葉が出てこない。

 そんな目先のことにクヨクヨ言っていてもキリがないので瞼にかかる心地よい眠気に抵抗むなしくベットに倒れ込む。言ってしまえば寝てしまえばどうでもよくなるのだ。
一回寝てしまえば頭の中はスッキリとするし物事を論理的に考えるとこができる。論理的とか初めて使ったな。
体に感じる、包み込まれるような抱擁感を感じながら夢の世界に引き込まれるように落ちていく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

俺の伯爵家大掃除

satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。 弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると… というお話です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

処理中です...