スマホ依存症な俺は異世界でもスマホを手放せないようです

寝転ぶ芝犬

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第342話 まだ答えは出ないけど

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「それじゃあ明日のパレードの順番はメリア、リッキーくん、ナイト、アンドリューさん、俺で良いのね?」

 パレードの前日の夕食時、パレードの時の順番はどうするかという話に対してミチナガが初めて出会った順番にしようということで結論ついた。メリアは一番手の露払いということでプレッシャーを感じていたようだが、大役を仰せつかったということで意気込んでいた。

 すでに各々がどのようにやるかは決まっているので、これ以上決めることはない。あとはおしゃべりでもして、明日のために早く眠ったら良いだけだ。そんなおしゃべりの中、ミチナガは己の中の疑問をぶつけた。

「良い王様とは何か…ですか。しかし先生はすでに国を持って王として治められているのでは?」

「いやまあ…そうなんだけど。なんというか俺はまだ形だけしか王様になれていない気がしてさ。どうしたらちゃんとした王様になれるかなぁ…なんて。ちなみになんだけど…王様っていうとどんなイメージ?」

 王とはどうあるべきか。ミチナガはそんな疑問を皆にぶつけた。ミチナガの表情を見ればふざけてそんな質問をしたわけではないことがわかる。そんなミチナガのためにも4人は考える。今は5人だけの食事会。他には護衛も誰もいない。身内だけのプライベートな話し合いだ。

「では私から。というよりも私の所属する国の王についてですな。それから連合同盟に所属する各国の王を見てですが…やはり王とは聡明であることですな。暗愚が王では国は持ちません。一人の暗愚な王が生まれたせいで長く続いた国が滅びることは歴史を見ても明らかです。賢い王こそ良い王かと。」

「賢い…か。まあ俺はそんなに賢くないけど…使い魔達がなんとかしてくれているからなんとかなっているな。確かに国の運営をしているけど、馬鹿じゃどうにもなんないわ。」

 ミチナガはこれまで王として行ってきた業務を思い出す。その仕事量、重要性は一つ間違えただけで国が揺らぎかねない。間違いなく使い魔達がいなかったらセキヤ国などとっくに滅んでいただろう。

 だからこそアンドリュー子爵の言うことは正しいと理解できる。すると珍しくナイトが口を開いた。こういった話は苦手かと思ったが、ミチナガのためを思って意見を言ってくれるようだ。

「俺は…優しさも必要だと思う。他を思いやれぬ王では人々は苦しむだけだ。」

「優しさ…確かにそうだな。俺は国とは人々のためのものだと思う。国を自分のものとしか考えないで自分勝手に国を動かせば人々はついてこない。人を思いやって優しさで国を運営する。確かにそれも良い王かもな。」

 ナイトにしては意外な答えであったが、考えてみればナイトは元々孤児だ。しかも行く当てもなく、幼い頃は路地裏で生きて来た。そんな国に嫌気がさして国を離れ、人からも離れてナイトは森の中で生きて来たのだ。

 そんなナイトだからこそ王とは優しさが、思慮深さが必要だと思ったのだろう。ナイトの答えを聞いて頷くミチナガに対し、メリアも口を開いた。

「私としては…魅力でしょうか。ゴテゴテに着飾った煌びやかな王はどうかとも思いますが…普通の服装で無精髭を伸ばしている王はどうかとも思います。」

「確かに。それは確かにそうだな。王がドロドロの汚い姿で出て来たら臣下も良い顔はしないだろう。美しい顔立ちで美しく着飾っているだけでも王だと思えるな。そういう考えもありだな。」

 どんな王も宝石を散りばめた煌びやかな衣装で描かれる。王というものを深く考えていなかった時は、王は金ばっか使いやがってとも思ったことはある。しかし今こうして自身が王になるとTシャツに半ズボンというわけにもいかないだろう。

 王としては最低限の衣服を身に纏わねば威厳を失う。さらに素の見た目も良ければ良いほど良いだろう。顔立ちの整ったイケメンでも良いが、筋骨隆々の王というのも威厳がある。そう、見た目だけでもやりようによっては威厳を醸し出せる。

 見た目の良い王様。それもあながち的外れというわけではない。見た目もしっかりしてこその王様だ。するとリッキーくんが、素のヴァルドールとして意見を発した。

「王とは力だ。力無き王では人々はついてこない。我は力で吸血鬼達の王となった。故に王とは力である。そう我が王に進言します。」

「力…か。確かにそうかもな。力がなくては人々を守れない。弱い王では周囲の国々への牽制にはならない。強い王…強さもまた王として必要なのかもな……」

 リッキーくんは、ヴァルドールはかつて100年戦争時代に吸血鬼を束ねる王として世界中で戦いを繰り広げていた。強さこそが全て。そんな言葉が当たり前な時代に王として君臨していたヴァルドールならではの言葉だ。その言葉には重みがある。

 弱き王では人々を救えない、導けない。王とは強さそのもの。そういう考え方も間違いとは言えない。むしろ弱い王は王と呼べるのか、そんな疑問がミチナガの中に浮かんだ。するとアンドリューとメリアがオロオロとしている。

「あ、あの…リッキーくんは王とか…吸血鬼とか…一体…」

「ん?……あ!そういえば昨日アンドリューさん眠っちゃったから言ってなかったっけ!メリアは当然知らないもんね。それじゃあ今は人目もないし…紹介します。リッキーくんこと吸血鬼ヴァルドールくんです。パチパチパチ…」

 リッキーくんがその頭部を取り外し、素顔を晒す。その姿は数々の英雄譚に出てくる悪役、ヴァルドールそのもの。その正体を知ったアンドリューとメリアは慌てふためき混乱する。

 そんな二人をなんとか落ち着かせて、現在は何にも怖いことはないんだと理解させる。しかしそうは言ってもヴァルドールは世界で一番有名な悪人である。悪の中の悪、吸血鬼神、虐殺神、英雄殺し、その悪名だけでも数多の呼び名がある。

 そんなヴァルドールに対する怯えをなんとか払拭するのに数時間を用した。とりあえずなんとかヴァルドールのことを信頼してもらったので、このことは口外しないという約束だけしてその日はお開きになった。

 部屋に戻るとミチナガは一人窓際に佇む。4人からはそれぞれ意見を言ってもらったが、しっくりくる答えはまだ出ていない。ミチナガはしばしの間、思案にくれた。

「王とは何か…多分こういうのは考えても答えは出ないんだろうなぁ……だけど…だけどこの答えは、いや答えじゃなくてもなんか…何かこう…欲しいんだよなぁ…」

 ミチナガは王としての求める方向性を求めていた。王とはどうあるべきなのか、今後王として生きるためにはどんな風になれば良いのか、その方向性さえわかればこの不安も取り除かれるだろう。

「ああもう!わからん!全くわからん!そもそも俺は一般人だ!商会の商会長として活動するだけでも大変なのに、王としても活動しなくちゃいけないなんてそんなのはわからん!ああもう!もう寝る!」

 ミチナガはベッドにダイブして布団にくるまった。しかしなかなか寝付けない。頭の中から王とはなんなのかという疑問が離れてくれないのだ。どんなに考えても答えの出ない疑問。そんな疑問に2時間、3時間と思案を続けたミチナガは徐々に疲労がたまり、眠りについた。



 そして現在、ミチナガはホテルのロビーまでやって来た。外では使い魔たちがミチナガのパレードの準備を済ませている。胃が痛い。あまりにも胃が痛くて蹲りたくなる。体調が悪いから俺は休む、そう言いたくなる。しかし皆が一生懸命準備してくれたのを知っている。だから今更逃げ出せない。

 ついにホテルの外に出たミチナガは太陽の光を憎く思う。こんなにも自分は思い悩んでいるのにいつもと変わらず、いやいつも以上に明るく照らしやがる。そんなミチナガが出て来たことで歓声が上がる。ミチナガはその歓声に対し、とりあえず手でも振ろうとする。しかし皆が見ているのは空だ。

「一体何を見ているんだ?」

 ミチナガも人々と同じように空を見上げる。するとそこには見たこともない光景が広がっていた。この世界では決してありえない光景。ミチナガでさえも自身の目を疑った。

 そこにあるのは飛行機であった。大型の飛行機が隊列を組んで5機もこちらに向かって来ているではないか。ミチナガが大口を開けてその光景を見ているといつの間にか使い魔たちが集まっている。

『ポチ・時間ギリギリだね。よかったよかった。』

『社畜・おお!無事ここまでたどり着いたのである!成功である!』

『サクラ・見事!今後は桜花航空師団と名付けよう。』

『ピース・そ、それだと爆発しちゃいそうな気が……』

「やっぱりお前らの仕業か…」

 飛行機開発。そんなものに着手していたとは知らなかったミチナガは実に驚かされた。一応サクラの能力で戦闘機である桜花があるため、飛行機の設計は行いやすかった。しかし動力源の開発や大型化などの問題でなかなか開発が進まなかったらしい。

 しかしここ半年でようやくある程度のものになったので試験導入したらしい。そんなこの飛行機は一体どこから飛んで来たかといえば…セキヤ国からだ。

「お、おい!なんか降りて来たぞ!」

「何あれ…人だわ!」

 一直線に並んでやって来た飛行機は突如ハッチを開けて人を降らせて来た。しかもよく見ると鎧を着込んだ状態で他にはパラシュートも何も装着していない。いくら魔法のある世界でもこの高さでは飛行魔法が使えでもしない限り着地と同時に死に至るだろう。

 降り立って来たのは総勢500人の騎士たちだ。そんな500人全員が飛行魔法を使えるとは思えない。その光景に思わず血の気が引くミチナガであったが、突如砂埃が舞い上がった。その砂埃は騎士たちを包み込み、落下速度を落とした。

 そして500人の騎士全員が何事もなかったように地面に着地する。そんな騎士たちの先頭にはミチナガもよく見知った男、イシュディーンの姿があった。

「イシュディーン…それにみんなも…来てくれたのか。」

「お久しゅうございます陛下。我らセキヤ王国騎士団500名、陛下の晴れの舞台にいても経ってもいられず、無理を言って駆けつけました。」

 ミチナガの目の前で500人の騎士たちが一斉に膝をつく。その光景にミチナガは歓喜した、心震わせた。ありがとうと言って一人一人抱きしめたいくらいだ。しかし今はそうするべきではない。そのくらいの分別はミチナガにもある。

 しかしそんな彼らに対して一体何をしたら良いかまるでわからない。王として振舞うべきなのはわかる。しかしミチナガは未だどんな王になれば良いかまるでわからない。だからどんな王として振る舞えば良いのかわからない。

 そんなミチナガがふと横を見るとポチの姿があった。ポチもこの光景に感激して体が震えている。メイドたちも、ミチナガに同行して来た騎士たちも全員ミチナガに膝をついている。そんな彼らの先にいるのは自分だ。そう思った時ミチナガは初めて王としての自覚を持った時のことを思い出した。

 シェイクス国でもうダメだと思った時、ミチナガのことを思い駆けつけてくれた人々。命をかけてミチナガのために戦ってくれたものたちの姿を。あの時の戦場を思い出したミチナガは、自分がどんな王になるべきなのか、なんとなくわかった気がした。

「そっか…人だ。俺は決して王じゃない。ただの人間だ。特別なんかじゃない…俺はただの人間だ。特別な存在になろうとしなくて良いんだ。」

『ポチ・何かわかったの?』

「ああ、なんとなくだけどな。俺は王になるべき男というわけじゃない。普通に生きていけるただの凡庸な男だ。だけど…だけどそんな俺でも…みんなが俺を王にしてくれる。俺が王になるんじゃない。みんなが俺のことを王にしてくれるんだ。」

 ポチはミチナガのすっきりとした表情を見て笑顔になる。随分長々と考えたけれど、答えなんてものは案外単純だ。いや、まだ答えにはたどり着いていないのだろう。本当の答えを得るのはまだまだこれからだ。

 しかし答えを得るためのとっかかりは得た。自分がどんな王になるか、みんなのためにどんな王様になれるか。そのとっかかりさえわかれば後はなんとでもなる。

「俺はただの人間だ。特別なんかじゃないただの人間。そんな俺でも…皆が俺を慕ってくれる。皆が俺を王にしてくれる。俺がどんな王になるか…それはこれからの出会いでいくらでも変わっていくんだろうな。だけど…だけどそんな俺を王にしてくれるものたちがいる限り、俺は王でいよう。王としてあり続けよう。いくぞポチ。」

『ポチ・はいはい…どこまでもついて行きますよ。僕たちの王様。』

 ミチナガは一歩一歩確かめるように歩いた。一歩踏み出すごとに笑みが出そうになる。王は笑って良いのか。いや、ミチナガを慕うものたちはミチナガの明るく楽しい笑顔を親しんだ。だから笑みを浮かべよう。

 己の全てを皆が肯定してくれる。そんな王で良いと思ってくれている。だからいつも笑っている王様でいよう。明るく楽しく、それでいて王としての威厳を保とう。ミチナガの雰囲気がガラリと変わった。先ほどまでの緊張していた凡庸な男とは思えぬオーラを放っている。そんなミチナガはイシュディーンの前に立った。

「皆よく来てくれた。色々話したいことはあるが、今はやめておこう。だから俺から今言えるのはただこれだけだ。…着いてこい!!」

「「「「「おぉ!!」」」」」

 ミチナガはただ歩いた。メリアのような華やかさはない。リッキーくんのような面白さも、ナイトのような雄々しさもない。アンドリューのような知名度もない。それでもミチナガは後ろに騎士団を引き連れてただ歩いた。

 その光景は異様であった。先ほどまでのパレードが嘘のようだ。観衆はその様子を見て驚いた。先ほどまでの歓声が嘘のようにピタリと止んだ。観衆はただ単に、単純に崇高の念を抱き、頭を下げた。

 ド派手なパレードの最後尾を歩くミチナガ。そこには歓声はない。目を奪われるような催しはない。それでは先ほどまでのパレードの大トリとしてはダメなのかというとそうではない。最高の大トリだ。観衆も、その後ろに続く騎士団たちも一目で理解した。

 そこにはまさに王がいた。誰が見ても異論を唱えることのない王がいた。誰もが認める王がそこに誕生した。

 ミチナガ商会所属。ミチナガ商会創設者にして現商会長。世界に数多の商会あれど、この商会こそが世界一の商会と呼ぶものも多い。わずか設立数年で世界貴族になり、国を起こし、世界有数の商会まで上り詰めた。

 彼の功績を挙げればきりがない。火の国の救世主、アンドリュー自然保護連合同盟の影の立役者、ブラント国の救国の英雄。他にも多くの国々がミチナガ商会によって食料問題を解決し、国の発展をすることに成功した。

 年商金貨1000億枚以上。商国セキヤ・ミチナガ。そこらの国の国家予算を軽く稼ぐこの男の年収はすでに計測が困難だ。そんなこの男はミチナガ商会の商会長として、セキヤ国の王として、そして世界貴族として再び英雄の国へと舞い戻った。
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